ショートムービープラットフォーム「TikTok」や各種サービスを運営するByteDance株式会社。大手広告代理店から同社に飛び込み、現在は営業組織のトレーニングチームの責任者を務めている大塚深冬さんに、転職理由や感じている仕事のやりがい・醍醐味などについて伺いました。
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大塚 深冬氏
株式会社電通に新卒入社(2015~2022年勤務)。デジタルメディアの部署を長く経験した後、社内公募でグローバルPR部署へ異動。社内外の有志で運営するDEIウェブメディア組織では、副編集長として組織運営にも携わる。
2022年6月に転職し「TikTok for Business」に参画。経営戦略とセールスオペレーションを担う部署に2年在籍し、主に社内CRMや業務効率化などを担当。2024年6月に現部署へ社内異動、現在は営業組織の開発や人材育成などを担う立場で、社内の営業強化研修の開発や運営などを行っている。現部署の業務の他にも、社内カルチャーを醸成するチームにも携わっている。

「”創る”仕事より、”減らす”仕事がしたい」と気づく
―大塚さんは2022年に中途入社でTikTok for Businessにジョインされたとのことですが前職でのご経験と、転職に踏み切った理由を教えてください。
大塚:アメリカの大学への留学を経験し、新卒で電通に入社しました。卒業後はそのままアメリカで働くことを考えていたのですが、「グローバルで活躍するには、まず自分のルーツである日本でビジネス経験を積む必要がある」と考え直し、優秀な人が圧倒的に多いと感じた国内の厳しい環境で社会人生活を始めることにしました。
同社では、広告のセールスや運用業務など、デジタルメディアに初任配属から関わった後、社内公募でPRの部署へ異動し、日本政府の国際広報事業などを担当しました。同時に、ダイバーシティ・インクルージョンの領域には大学時代に興味を持ったこともありDEIを扱う組織にも関わりました。
会社のことはとても好きで充実していました。昔からアイディアを表現したり企画を設計することが好きだったのですが、社会人になってから、新しいものを生み出す「0→1(ゼロイチ)」や、生み出したものを大きくする「1→10(イチジュウ)」の仕事よりも、業務を整理したり効率化したりする「10→1(ジュウイチ)」のような仕事が好きなのだと徐々に気づくようになりました。ある業務で効率化を任された時にやりがいを感じたことがきっかけでした。
しかし、「10→1」に特化したようなポジションはなかなか見つけられず、かつ、個人的に掲げていたいくつかの目標も達成できていたこともあり、転職活動を始めました。
「グローバル」「効率化」という視点で転職を決める
―転職先に関してはいろいろな選択肢があったかと思いますが、そのなかでTikTok for Businessを選んだ理由は何ですか?
大塚:私の「転職先選びの軸」は、業務を減らしたり効率化したりする仕事であること、そして学生時代から夢だった「グローバルに働ける」ということ、の2軸でした。その2軸に当てはまりそうな求人を探しましたが、簡単には見つからず、1年ぐらいかかったと思います。
その中で、当社に注目したのは、転職エージェントに紹介されたのがきっかけです。紹介されたのは営業部門の職種で自分の軸と合わないために断るつもりでしたが、「グローバル」という軸はクリアしているので、試しにサイトの求人ページを見てみたところ、セールスオペレーションという部署の求人を発見。主に社内CRMで顧客データの管理やシステム改善、業務効率化などを担当する仕事とわかり、「探していた仕事だ!」と転職エージェントに掛け合い、応募。ご縁あって転職が決まりました。

ーセールスオペレーション部門は希望に合っていたということですが、約2年在籍した後、今の部署であるBusiness Training and Developmentに異動されています。どのようなきっかけや気持ちの変化があったのでしょうか?
大塚:セールスオペレーションの仕事はとても楽しかったです。エンジニアチームと営業チームの間に立って、双方のニーズをすり合わせながら業務効率化につながるようなシステム改善を行う仕事など、自分の希望に合っていたし、強みや持ち味も活かせていたと思います。
入社から2年が経ち、社会人10年目というタイミングだったので、「今の仕事をあと10年やりたいか」と次の10年を考えるようになりました。もし、このままセールスオペレーションの仕事を続けるのであれば、もう少しシステムに関するより専門的な知識をつけていくべきですが、「今ではない」気がしたんです。その道のスペシャリストになるのかはまだ決めたくない、と。
そんなとき、「自分は人やチームの可能性を広げることが好きだ」という、もっと昔からの純粋な気持ちを思い出しました。タイミングよくBusiness Training and Developmentのポストが空いていました。元々入社時に知って興味を持っていたポジションだったので、「このチャンスに乗ってみよう!」と応募しました。セールスオペレーションでのデータ分析経験などをアピールし、運良く選ばれることができました。
「TikTok for Business」の人材育成・組織開発に携わる
ー―Business Training and Developmentは、「TikTok for Business」の営業組織を育成する仕事だと伺っていますが、具体的にはどのような業務を担当しているのか教えてください。
大塚:今の仕事内容は、大きく4つのカテゴリーにわけることができます。
1つ目は「入社研修・社内ネットワーク」。新しい人が入社してきたとき、早期に営業組織に馴染めるよう、様々なオンボーディング研修を行います。社員同士をつなげるような仕組みも考えています。
2つ目は「情報共有・アップデート」。この業界は目まぐるしく変化しているので、いかに情報をアップデートし続けるかが重要です。そのため、例えば毎週最新のプロダクトを勉強する時間を取ったり、営業の成功事例を皆で共有する機会を作ったりしています。
3つ目は「営業トレーニング・能力向上」。当社は日本だけでなく、さまざまな国や地域にオフィスがありますが、各地域がそれぞれのやり方で進めるべきことと、統一性をもってすべきことがあります。例えば、過去の成功事例などをもとに営業の「型」を決めたり、商談前のロープレ(壁打ち)サポートのようなことも行ったりしています。
4つ目は、「ツール・分析・組織開発」です。例えば、上記のロープレの評価項目を考えたり、営業スキルをデータにして見える化したり分析することで一人ひとりに対して適切な助言や研修を実施したりします。
営業メンバー全員を見ている立場なので、「組織のさらなる成長のために私ができること」を模索し続けています。研修でも情報共有の仕方でも、営業に負担がかかるものであれば見直し、より効率的に習得できるものに改善し続けるのが仕事です。
営業メンバーが成長し、評価されることが一番のやりがい
―仕事を通じて大塚さんが感じているやりがいや醍醐味、一方で大変だと感じることを教えてください。
大塚:研修やトレーニングなどを通じて、営業メンバーがいい方向に代わっていく姿を見るのがやりがいですね。営業メンバーが努力して成果を上げ、その成果が正当に評価される…それに関われることが、この上ない喜びです。
大変だと思うのは、自身の存在価値を証明するのが難しい点ですね。営業ならば例えば売上で成果を可視化できますが、私の仕事の場合は何をもって価値証明すればいいのか、わかりにくいのです。
まだこの職種の経験が浅い今は「できることを全部やる」しかないと思っています。常に営業メンバーのことを考え、彼ら組織がより活躍できるために必要なものを見つけ出し、そしてやるべきことをやり切ることが、自分の価値を示す方法だと捉えています。
―今までのキャリアの中で、一番の転機となったことは何ですか?
大塚:「転機」というと、特定の出来事や経験を挙げるイメージかと思うのですが、そういうものは特に思い浮かびません。ただ、主に前職で「信頼を得ることの大切さ」を叩きこまれたことが、最も活きていると感じます。
広告代理店の営業時代、「最後は人対人」だと教え込まれました。目の前の人を喜ばせるために最善を尽くす。そしてその頑張りが、最終的にはほかの誰かの心にも届く。そのことを常に意識して仕事をしてきました。これらは、仕事においては当たり前のことかもしれませんが、その「当たり前」を逃げずにやり切ってきた経験が、今の糧になっています。現在、国も言語もまたいで、多様な人や組織と接点を持ちながら堂々と働けているのは、あの時の経験があったからこそだと考えています。
ゆくゆくは組織全体の文化を育成する存在に挑戦したい
―大塚さんが今後目指しているキャリアを教えてください。

大塚:立派な肩書がほしいとか、影響力を拡大したいなどとは考えておらず、「今の仕事をあと10年は続けたい」と思い続けることが私の目指すキャリアの状態です。
私はこの会社がすごく好きなので、組織全体のカルチャーを作る仕事はしてみたいですね。最近は企業文化の育成をリードし、責任を持つという「チーフカルチャーオフィサー(CCO)」という役職を設ける会社があると聞いたことがあって、そのような仕事を任せてもらえる存在になってみたいですね。
今の仕事を10年続けて存在価値を発揮するためには、身につけなければならないことはたくさんあります。
まずは経営視点。経営者として、今の営業組織をどのように強化したいのか、あるいは自社の企業文化をどのような方向にもっていきたいのか。その視点を養わないと、成果を上げ続けるのは難しいと考えています。そのためにも、経営陣と積極的に接点を持ち、経営陣の考え方を知るとともに、彼らから必要とされる人材にならなければと思っています。
あとは、英語力もさらに磨く必要があると感じています。日本国内だけで見た時に私は「英語ができる人」と見られることが多いですが、国際的なビジネスの場に身を置くと私は最低レベルだと感じています。英語力をさらに磨き、日本語の時と同じバリューの仕事ができるようになるというのは、私の大きな目標です。
裁量権を活かし、会社の成長に貢献できる喜びがある
―「 TikTok for Business で働く魅力」は、どういうところにあると感じますか?

大塚:一人ひとりが裁量権を持ち、自分でいろいろなことを決めて動かせる点ですね。自分で物事を判断して進めたい人、スタートアップ志向が強い人にとっては非常に魅力的な環境だと思います。自分のところに来た仕事をこなすだけではなく、自分で考え行動することが求められます。
テクノロジーの強いグローバル企業ではありますが、まだ整備し切れていない部分もあると思っており、スタートアップ感と大企業感、国内と国際の醍醐味を感じられる楽しさもあります。
コーポレート職も同様です。一般的にコーポレート職というと、決められた仕事を滞りなく進めるイメージがあるかもしれませんが、当社はそうではありません。自分の力で組織を作り上げていける人が向いていると思います。
本気でグローバルを志向する人にも、ぜひお勧めしたい会社です。「グローバル」というと欧米の会社を思い浮かべる人が多い印象ですが、世界は広く多種多様です。世界中に拠点を持つ当社では、様々な国・地域の人と関わる機会があり、英語一つとってもレベルやイントネーションが多種多様。こういう点に面白さを感じられる方に、ぜひジョインしてほしいですね。
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