
「FIRST STAGE PRODUCTION」「すぺしゃりて」「Vebop Project」「RK Music」の4つのVTuber事務所を運営するREALITY Studios株式会社。グリーホールディングスの100%出資子会社として2023年に設立され、既存の枠にとらわれない多様な事務所展開に取り組んできました。グリーの生え抜き社員としての経歴を持つ、代表取締役の杉山綱祐さんに、エンタメ業界を志したきっかけやVTuber事業に懸ける想いをお聞きしました。
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| 年収 | 400~500 万 |
|---|---|
| 会社名 | REALITY Studios株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 芸能マネージャー |
| 年収 | 300~500 万 |
|---|---|
| 会社名 | REALITY Studios株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | その他出版/メディア/芸能/エンタメ専門職 |
目次
安定を手にするよりも、アドベンチャーをしたかった
── 杉山さんは、新卒でグリーに入社されたと伺っています。なぜエンタメの世界に飛び込んだのでしょうか。
幼い頃からアニメやゲームが好きで、その熱量のまま大人になった感覚があります。私にとってエンタメはただの娯楽ではなく、人の感情に深く影響を与えるもの。自分自身がそうした作品に心を動かされてきたからこそ、いつかこの業界で働きたいという気持ちがありました。影響を受けた作品はたくさんありますが、一つ例を挙げるとすれば『ファイナルファンタジーVII』ですね。当時はまだ家庭用ゲーム機の発展期で、それまでドット絵で表現されていたものが、3Dグラフィックになったときの衝撃は今でも忘れられません。あの感動が、エンタメの可能性を信じる原点になっているのだと思います。
また、私が就活をはじめたころは、様々なインターネットサービスが登場した時代でした。グリーも当時、モバイルゲームやインターネットを通じたサービスで急成長しており、グローバル展開も視野に入れていました。そのころはまだ安定した会社ではなく、この先どうなるかわからない状況でしたが、ワクワクするような環境に自分も身を置きたいと思ったのです。
── 2019年には、グリーの執行役員に就任されていますが、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。
グリーに入社した当初は、データ分析を行う専門部署に所属していました。毎週何十人も社員が増えてくようなフェーズだったのですが、入社した直後から業績は右肩下がりに。業績低下とともに自分の周りのデスクからどんどん人がいなくなって…。会社が潰れてしまうのではないかと思うくらいの状況のなかで、私自身も、当時の経営陣の事業戦略や経営判断に納得いかないところがあり、「自分ならもっと上手くできるのに…」という想いがありました。まだ若かったのもありますが、不満があったら何でもあけすけに言ってしまうタイプで(笑)。それを聞いていた上司や経営層から、「じゃあ、経営企画部にいかないか」と誘われたんです。経営企画部に異動してからは、代表の田中と直接議論しながら、どの事業に投資し、どの事業を整理するか、グループ全体の立て直しを図りながら、成長戦略を手掛けていきました。そうした実績を評価されて、2019年からは執行役員を任されることになったのです。

一世一代のVTuber事業は、「悔しさ」からはじまった
── REALITY Studiosの前身は、グリーグループのVTuber事業ですよね。そこからプロダクション機能を独立させ、本格的に強化しようとした背景には何があったのでしょうか。
まず、グリーグループは2018年に、『REALITY』というライブ配信アプリを立ち上げています。ユーザーが自分好みのアバターをつくり、顔を出さずに配信しながら、バーチャルコミュニティをつくれるアプリです。そうした、いわゆるメタバース市場に大規模な投資をしていくなかで、メタバースと親和性のあるVTuber事業にも参入していきました。分社化する以前から『KMNZ』や『VESPERBELL』といった人気VTuberタレントを抱えていたのですが、市場が大きく伸びてきたタイミングで、事務所としての機能を独立させ、さらに大規模な投資をしようと試みたのです。そうすれば、自分たちの強みも生かしながら、より経営の自由度を高め、さらに事業拡大を目指せるだろうという確信がありました。
しかし、これは表向きの理由です。分社化の根底にあったのは、「悔しさ」でした。当時、『ANYCOLOR』や『カバー』といった、VTuber事務所を運営するスタートアップ企業が急成長を遂げ、上場して非常に高い時価総額をつけました。もともと参入していた領域で、しかも積極的な投資をしてきたのにも関わらず、あっけなく追い越されてしまったんです。経営陣をはじめ、私にも歯がゆい気持ちがありました。「このまま負けてはいられない」「VTuber領域で、本気で戦おう」。そうした感情的な理由も相まって、REALITY Studiosを設立するに至ったのです。
── 分社化の決断が下されたとき、なぜその舵取りを杉山さんが任されることになったのでしょうか。
最初はまさか自分が代表取締役になるとは思っていませんでした。しかし、この事業を成功させるためには、グループ全体を俯瞰できる人間が必要不可欠でした。グリーの生え抜き社員であり、経営企画部を経て執行役員も務めてきた自分なら適任だろう。打診を受けたとき、合理的に考えて「やるべきだ」と判断しました。そして、何より自分自身がこの事業に可能性を感じていたんです。VTuberはまだ、世に生まれてから十年と経っていない新しいフォーマット。ゲームやアニメが何十年もかけて発展してきたように、まだまだ伸び代があり、いろんな可能性に溢れている領域です。そんな事業に注力できるのは、限られた人生のなかで、とても有意義な時間の使い方なのではないかと思いました。

自分の好きなものばかり集めたら、会社も事業もつまらなくなってしまう
── REALITY Studiosでは、現在4つのVTuber事務所を展開されていますが、ひとつの事務所に統一しなかったのには何か理由があるのでしょうか。
すでに先発企業がいるなかで、我々が戦っていくためには、ただ彼らと同じ事をするのではなく、に新しい体験を提供していかなければいけません。そこで、ひとつの事務所に統一するのではなく、異なる個性を持った複数の事務所を展開し、それぞれが違うターゲットに向けた戦略を取ろうと考えました。これは、グリーグループの傘下にあり、大きな資本の後支えがあるからこそできることでもあります。また、そうした戦略を取るからこそ、私はクリエイティブな領域にはあまり口を出さないようにしています。タレントの選考には参加しますが、私の好みだけで選んでしまうと、事務所のカラーが統一されてしまうので、基本的には各事務所の責任者に任せていますね。
現在、約80名のタレントを抱えるまでになりましたが、2024年には、ゲーム配信を活動の主軸とする『すぺしゃりて』所属の『本阿弥あずさ』が、某声優の声に似ているということで話題を集めました。『日経エンタテインメント!』の特集<2025年の新主役100人>に選ばれるなど、業界内でも異例の成功を収めています。何がうまくいくかは、正直やってみないとわからないのがエンタメの世界です。それぞれの個性をとにかく尖らせて、可能性を模索し続けていくことが勝ち筋だと思っています。
── 日本市場と比べて、海外展開で特に難しいと感じる点は何でしょうか?
設立当初から海外展開を見据えて取り組んできました。今ある4つの事務所のうち、2つの事務所では、英語圏のユーザーに向けた海外タレントを採用し、すでに20名弱ほどが活動しています。海外展開で難しさを感じるのは、各国の文化や価値観を理解することですね。VTuberは日本発のカルチャーですが、日本の成功モデルをそのまま適用しても上手くはいきません。現地の言葉だけでなく、感覚的なところも理解して、国ごとに最適な戦略を打ち出すことが成功の鍵になると思います。
当社では、海外タレントの採用に加えて、彼らを支えるマネージャー職も現地の文化に精通した人材を積極的に採用し、より効果的な運営体制の構築を進めています。日本市場では先手を取られてしまいましたが、海外市場ではまだリードできる余地があり、勝機を見出せると考えています。
無理なルールや制度は、つくらない。
── VTuber事務所でのお仕事は、タレントの活動内容に依存する部分もあるかと思いますが、どのような働き方をされているのでしょうか。
タレントに寄り添うビジネスである以上、働き方がタレント活動に依存するのは仕方ないところですね。毎日ではありませんが、配信活動は夜に行うのが通例なので、特にタレントマネージャー職であれば夜遅くまで働くこともあります。その代わり、毎日の出社義務は設けていません。タレントのスケジュールに合わせながら、一方で組織全体の定例ミーティングなどはバランスを見て調整するなど、できるかぎり柔軟な働き方ができるようにしています。無理なルールや制度を設けても、誰の幸せにもならないですから。それぞれが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが重要だと考えています。

エンタメの未来を切り拓くために、失敗し続ける勇気を持って
── 今後どのような組織を目指していきたいですか?
後発企業として新しいことに挑戦する以上、失敗は避けられません。むしろ、数多くの試行錯誤を重ねることで、可能性を見出していくものだと思っています。必死に考えた企画が鳴かず飛ばずに終わることもあるかもしれません。個性を尖らせすぎて、既存のユーザーに受け入れられないこともあるでしょう。それでも、他社には真似できない隙間を見つけ、新しい価値を生み出していくことが求められています。だからこそ、ここで働く社員には勇気を持って、たくさんの失敗をしてほしいと思っているんです。裏を返せば、「こうしたらもっと面白くなる」というアイデアをすぐに実行できる環境があるということ。自分の考えたアイデアが、タレントの成長や事業の拡大につながる瞬間は、言葉では言い表せないほどのやりがいに満ちています。失敗を恐れず、一人ひとりが創造力を最大限に活かし、新たな可能性を切り拓いていく。そんな組織を目指していきたいですね。
── 最後に、読者に一言をお願いします。
みなさんにも、子どもの頃に夢中になったゲームやアニメはありますか? 私にとって、それは人生を形づくる大切な存在でした。だからこそ、エンタメの世界で『新しい感動をつくる』ことに挑戦したいと思うようになりました。VTuberという文化も、まだまだ可能性に満ちた新しいエンタメです。もしかしたら、みなさんの中にも、同じようにこの世界に魅力を感じている方がいるかもしれません。そんな方と、いつか一緒に、エンタメの未来をつくれる日が来たら嬉しいです。

REALITY Studios株式会社が募集している求人はこちら
| 年収 | 400~500 万 |
|---|---|
| 会社名 | REALITY Studios株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 芸能マネージャー |
| 年収 | 300~500 万 |
|---|---|
| 会社名 | REALITY Studios株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | その他出版/メディア/芸能/エンタメ専門職 |
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