
『アバターを、すべての人の、新しい能力にすることで、人類のあらゆる可能性を広げていく』をミッションに掲げる、ANAホールディングス発のスタートアップ企業、avatarin(アバターイン)株式会社。遠隔からお客様をサポートする接客AIサービス「avatarin」やコミュニケーションAIロボット「newme(ニューミー)」などを手がけ、さまざまな業界に新たな価値を創出しています。2021年には、同社の事業モデルが、ハーバード・ビジネス・スクールの教材に選出。2022年には、第4回日本オープンイノベーション大賞にて内閣総理大臣賞を受賞、第5回宇宙開発利用大賞にて総務大臣賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。航空業界を経て、AI、ロボティクス、通信技術を活用したアバター技術の開発に取り組むまでの挑戦と、これからの展望を、代表取締役CEOの深堀さんにお伺いしました。
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| 年収 | 600~800 万 |
|---|---|
| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | web/オープンプロジェクトマネージャー |
| 年収 | 600~800 万 |
|---|---|
| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | IT/通信製品法人営業 |
| 年収 | 600~1000 万 |
|---|---|
| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 事業企画 |
| 年収 | 700~800 万 |
|---|---|
| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | web/オープンプロジェクトマネージャー |
目次
憧れた航空業界。生まれた使命感。
── ANAでキャリアをスタートされたとのことですが、まずは航空業界に興味を持ったきっかけから、これまでのご経歴を教えてください。
父親が転勤族だったこともあり、頻繁に飛行機に乗る幼少期を過ごしました。4歳から11歳まではアメリカで暮らしていて、NASAが主催するワークショップにも参加するぐらい、当時から宇宙や航空といった分野に強く興味を抱いていましたね。また、周囲にパイロットの親を持つ友人も多く、職場見学のような形で空港や飛行機の操縦室に入らせてもらったりしていました。そのころから航空業界へ進む道は考え始めていたんだと思います。それと同時に、幼いながら社会課題にも関心を持つ子どもでした。当時通っていたのが、モンテッソーリ教育を行う小学校だったんです。自主性や好奇心を尊重し、自ら考えて行動する力を養う環境で育ったため、「社会課題を解決するために何ができるか」という視点を自然と持つようになっていました。日本に帰国後も、航空業界へ進みたいという想いは変わらなかったのですが、「自ら飛行機を操縦する」ことだけでなく、「航空技術の発展に関わる仕事をしたい」という目標に変わっていきました。
大学では航空宇宙工学を専攻し、ANAに入社します。配属されたのは、パイロットの緊急時の操作手順などを設計する運航技術職。もともと希望していた仕事でもあり、内定が出た次の日にはパイロットのライセンスを取得するために、アメリカに渡ったりもしましたね。それほど憧れていた仕事に就けて嬉しい気持ちはありましたが、とあるギャップにも直面したんです。ANAは当時「世界の人々に夢と感動を届ける」という経営理念を掲げていて、私自身も、この理念に惹かれて入社しました。
ただ、実際に飛行機を利用しているのは、世界人口のわずか6%。75億人に対して、4.5億人だけ。経済的余裕や空港が近くにあるかなど、いくつかの条件が揃っている人でないと飛行機が使えないのです。「この現状を変えるためには、どうすればいいのだろうか…」というのを業務の傍でずっと考えていました。そこで、運航技術やその後に異動した宣伝部の業務とは別で、新たな事業モデルの開発にも取り組みました。たとえば、ANAのマイレージを活用したクラウドファンディング「WonderFLY」や、NPO支援型の航空券提供プログラム「BLUE WING」。そして、アバターインの構想もこの時からはじまりました。

移動の制約を超える挑戦。アバター技術の誕生。
── avatarinが生まれたのは、どのような経緯だったのでしょうか?
きっかけは、2016年にアメリカのXPRIZE財団が主催するコンペティションに参加したことです。XPRIZE財団とは、多数の財界人や起業家などが本財団を支援し、世界中のイノベーターのチャレンジをサポートし続けている非営利団体。その創設者のピーター・ディアマンデス氏から、「次の賞金レースのテーマを公募する」と聞いたのです。それまで財団が主催していた賞金レースのテーマは、所属する学者や起業家らスペシャリスト集団が設計し、イーロン・マスク氏などの資産家や著名人が数十億円を投じて冠スポンサーになるという形式でした。しかし今回は賞金レースのテーマ自体を募るコンペティションだったのです。これはチャンスだと思い、社内の役員などに「このレースに業務外で参加したい」と伝え、現在avatarinで取締役COOを務めている梶谷ケビンとともに参加しました。
「やるからには絶対に優勝してやる」その想いで、業務後に遅くまで二人でアイデアを考えつづけていました。テーマを考える上で、財団から与えられたお題は、「10億人の生活を変えられるかどうか」。はじめは、エアラインを活用する案も考えていましたが、世界人口の6%しか利用しない飛行機では、それほど多くの人の生活は変えられない。どのような方法なら、10億人の生活に変革を生み出せるだろうか…。ああでもない、こうでもないと、二人でアイデアを出しながら、ふと何気なく出てきた言葉が「テレポーテーション」でした。その時は、「結局は、どこでもドアだよな」なんて言っていましたね(笑)。実際に、本気でテレポーテーションを実現しようと、量子テレポーテーションの第一人者である、東京大学の古澤明教授を訪問し、話を聞きに行ったりもしました。ただ、今の技術では、量子ビットの情報を瞬時に転送することはできるものの、物理的な人間の転送は現実的ではなかったんです。それでもなんとか実現する方法はないかと、テレポーテーションの解釈を別の視点で考えていき、辿り着いたのが「アバター」でした。人のスキルや感覚を遠隔で共有することができれば、それはある意味のテレポーテーションではないか、と発想を転換したんです。そして、「アバターを使い、地理的・時間的・経済的距離を縮めて世界をつなぎ、人類の課題を解決する」というコンセプトが生まれました。
このアイデアでコンペティションに臨み、グランプリを勝ち取ることができました。そして、高性能アバターを開発する国際賞金レース「ANA AVATAR XPRIZE」がスタートしました。2018年には正式に「アバタープロジェクト」を立ち上げ、実証実験を進めながら事業化に向けた準備を行い、2020年の4月にavatarin株式会社を設立するにいたります。
── これまでのプロジェクトと違い、スタートアップとして独立する道を選んだのには、どのような背景があったのでしょうか?
航空券提供プログラムの「BLUE WING」とマイレージを活用する「WonderFLY」は、エアラインのリソースを活かしたプロジェクトというのもありますが、アバターインもANAの一つの事業として進めていく道もあったと思います。ただ、アバター技術を本格的に事業化するには、独立したスタートアップとして勝負する必要があると考えたんです。周りからも、「支援を受けながら続けてみては?」と言われていましたが、もし事業が転んだ時に、社長だけANAに戻れる往復切符を持っているのはダサいじゃないですか(笑)。それに、社長だけ安全な場所にいると、世界中のトップ人材は本気でついてきてくれないと思うんです。自らリスクを背負うことで、志をともにする仲間が集まりやすくなる。また、意思決定における自由度やスピード感という側面もあります。僕はとにかく、早期にアバターインを社会実装したかったため、迷わずに独立の道を選びました。

本気かつ全力で、自ら行動する。それが想いを伝える、一番の手段。
── 業務外でプロジェクトを立ち上げたり、コンペティションに参加したりなど、そのモチベーションはどこからきているのでしょうか?
幼いころの教育で、社会課題の解決への興味や主体性が培われたのもあると思います。でも、とにかく僕は何事も当事者意識を持って、自らアクションを起こすことを常に意識しています。これまでANAで立ち上げたプロジェクトは、基本的に有志でやるようにしていたんです。新しいことに取り組む時は、誰かにやらされるよりも、自ら考え、行動する方が圧倒的に熱量もパフォーマンスも高いと思うんですよね。そのために、会社の制度を活用するのではなく、有志で企画を進め、外部の人々を巻き込みながら形にしていく手法を取っていました。
もちろん、その分本業にも力を入れていましたよ。ある時、上司からアドバイスをいただいたことがありました。「新しいことをやりたいなら、本業で120%の成果を出せ。そうすれば、誰も文句を言わないし、人もついてくる」この言葉で、より一層、本業を全力でこなしながら新規事業に取り組むようになりましたね。まずは本業で信頼を得ることを最優先に、成果を出すことに集中する。その結果、「深堀が言うなら、聞いてみようか」と、社内の協力者が増え、新規事業の提案も通りやすくなるんです。そして、この考え方は、avatarinの企業文化の基盤になっています。スタートアップなので、自由な発想が求められますが、それと同時に、各メンバーが自分の責任を果たし、成果を出すことを大切にしています。

つくるのは、人の代わりではなく、人々を支え、可能性を広げるAIロボット。
── 会社の今のフェーズとこれからの展望を教えてください。
最初は新たな移動手段として開発したアバターですが、現在、avatarinでは「アバターコア」と呼ばれる独自技術を開発しています。これは、ロボットやデバイスに搭載することで、誰でもどこからでも遠隔操作できるシステムです。たとえば、空港の案内ロボット、病院のリモート診察機器、ホテルのリモートコンシェルジュなど、多岐にわたる用途で活用できます。これを用いて取り組んでいるのが、コミュニケーションAIロボット「newme」を活用したAI関連の機能の開発です。さまざまな場所で「newme」を遠隔操作して見て、聞いて、話して、動き回ってサービスを提供する。その過程で、個人が特定できないような形で映像や音声、制御などの複合的なデータ(マルチモーダルデータ)を同時に記録し、それを元にAI学習を行う。業界特有の情報やマニュアルをベースにしながら大規模言語モデル等と連携させることで、スキルの高いサービス提供者の接客スキルを学習した「さまざまな業界に特化したAI」の構築が可能になります。現在、まさに開発中で、商業施設や博物館、区役所などさまざまな場所に導入し、データの収集に取り組んでいます。
僕たちが目指しているのは、単なるAIやロボットではなく、「人間の可能性を広げるアバター」です。従来のAIは「人の代わりになる」という発想が強く、ロボットも無機質なイメージが強くあったと思います。けれど、僕たちが目指すのは、人の営みをサポートし、能力を最大化する存在。例としてあげるのであれば、映画「アイアンマン」におけるジャーヴィスです。ジャーヴィスはアイアンマンが開発したAIで、優れた頭脳やさまざまな身体拡張機能を持っていますが、あくまでアイアンマンのサポートツールなのです。助言はしても最終的にはアイアンマンの意志を尊重する。まさに僕らが目指しているAIロボットの理想形ですね。この実現に向けて、今のフェーズは山で例えると、5合目といったところでしょうか。ですが、3年後までには、世の中にavatarinのプロダクトが普及する世界を実現していくつもりです。
── 3年とは、かなり近い未来のお話だと思いますが、実現に向けた目処が立ったのには、どのような背景があるのでしょうか?
生成AIの登場がとても大きな要因でした。これによって、僕たちの技術の進化も加速したんです。たとえば、「遠隔操作で人の技能や感覚を伝える」という技術。これには、単なるビデオ通話の延長ではなく、よりリアルに、その場にいるような体験をつくる必要があります。ただ、実現するには、膨大なデータを処理できるAIが必要でしたし、それを学習させるための環境も整っていませんでした。そこに生成AIが出てきたことで、まず、学習データの処理能力が飛躍的に向上しました。これまで人間が一つずつ手作業でチューニングしていたものが、AIによって効率的に処理できるようになったんです。さらに決定的に違うのは、これまでのAIは、過去のデータをもとに判断するものでしたが、生成AIは未来を予測しながら創造できる。その人が次にどう動くか、どんな判断をするかを予測できるようになってきたんです。これは、ただの遠隔操作の延長ではなく、「未来の動き」を先回りしてアシストする仕組みになってきています。
正直、数年前までは「この技術が実用化するのに何十年、下手したら百年単位でかかるんじゃないか…」と思っていたんですが(笑)。でもそれが今、生成AIの登場で一気に手の届くところまで来た。まさに、技術革新の転換点にいる。そんな感覚がありますね。

世界中の仲間たちと、人類共通の課題解決に挑む。
── ビジョンの実現に向けて、組織づくりで意識していることはありますか?
2020年に会社を立ち上げた当時の社員は十数人ほど、国籍だと数カ国ほどでしたが、設立から5年が経ち、今では約70人、20カ国を超える規模に成長しました。ただ、さまざまな国籍のメンバーが集まったことで、文化や考えの違いに直面することも増えてきています。そのなかで、お互いを理解しわかり合うために、月に一度メンバー全員が集まって、ビュッフェ形式のランチを食べる、「ミングルランチ」を実施しています。お昼なのでお酒はありませんが、普段仕事で関わらないメンバー同士もざっくばらんに会話できる良い機会になっていますね。
他には、日本語ができない社員も多いため、生活に困らないように日本語レッスンを月に2回のペースで実施。レッスンには、日本人のメンバーも加わることでその学びをサポートしながら交流を深めています。逆に日本人メンバーから英語レッスンの希望もあり、自発的に一人のメンバーが周りを巻き込んで実施しはじめたところです。
このように課題に直面する度に、社内からアイディアを募ってとりあえずやってみる姿勢を大切にしています。日本語ができないメンバーも多いなか、母国を離れて暮らしていくことは並大抵のことではありません。それでも家族で日本に移住してくれたメンバーもいますし、日本でパートナーを見つけたメンバーもいます。70人を超えるメンバーがavatarinのビジョンに共感して、ジョインしてくれていると思うと、とても嬉しいですし、まさしく日本だけでなく世界をより良くするために事業はもちろん、働きやすい環境づくりも推進していきたいと強く思います。
── 今、会社にどのような人材を求めますか?
技術的な面では、avatarinの事業はAI、ロボティクス、通信技術の融合が鍵であるため、それらの技術的なバックグランドを備えている方や、新しい技術を学ぶ意欲のある方は大歓迎です。また、社内のさまざまな国籍のメンバーたちとの協業はもちろん、世界のトップエンジニアや投資家との関係構築も重要なため、グローバルな視点も欠かせませんね。マインド面で大切だと考えているのは、社会課題への想いと当事者意識です。私たちが挑むのは世界規模の社会課題の解決です。社会の課題をいかに、自分事に捉えられるか。そして、当事者意識を持って、「世の中を変えてやるんだ」という情熱をお持ちの方には、ぴったりの環境だと思います。
もし次のキャリアに悩まれているのでしたら、ぜひ自分の想いに正直に、全力で行動してみてください。その先に、avatarinという選択肢がありましたら、ぜひ一度お話を聞かせてください。お会いできるのを、楽しみにしています。

avatarin株式会社が募集している求人はこちら
| 年収 | 600~800 万 |
|---|---|
| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | web/オープンプロジェクトマネージャー |
| 年収 | 600~800 万 |
|---|---|
| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | IT/通信製品法人営業 |
| 年収 | 600~1000 万 |
|---|---|
| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 事業企画 |
| 年収 | 700~800 万 |
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| 会社名 | avatarin株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | web/オープンプロジェクトマネージャー |
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。