上質なインテリアが紡ぐ空間を、もっと多くの人に届けたい。

暮らしに欠かせない、衣食住。その中でもコロナ禍を経て、人々の関心が特に高まっているのが“住”ではないでしょうか。株式会社ソーシャルインテリアは、2016年に創業し、インテリアのサブスクサービスを日本で初めて手がけたスタートアップ企業。BtoB、BtoCともにニーズは拡大し、現在では600ブランド12万種の商品を取り揃え、オフィスのコーディネート支援やインテリア業界向けの業務管理クラウドにも事業を広げています。創業者の町野氏は累計550万ダウンロードを記録したキュレーションアプリ『Antenna』のサービス立ち上げ経験もあり、ソーシャルインテリアは自身にとって2社目の起業だと言います。これまでのキャリアを深掘りしながら、ソーシャルインテリアの創業に至った経緯や事業拡大の変遷について伺っていきます。

町野 健

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業界を変えるような、大きな革命を起こしたい。

── ソーシャルインテリアは町野さんにとって2社目の起業ですよね。1社目では、キュレーションアプリ『Antenna(アンテナ)』を立ち上げられていますが、もともと起業したいという思いが強かったのでしょうか?

もともとは起業なんて全く考えてなかったです。Antennaを立ち上げる以前はマクロミルというマーケティングリサーチ系の企業で、基幹システムの開発や、事業企画、経営企画などに携わっていました。新規事業立案なども任せてもらっていた延長で、アイデアを常に探していて思いついたのがAntennaのサービスでした。

僕はもともと雑誌が大好きで、ジャンルを問わず毎月30冊くらい読むんですよ。本屋に行って平置きになっている雑誌を見るのって楽しいじゃないですか。その体験を、アプリにしたら流行るんじゃないかと考えたんです。自分なりに事業計画を作って、社内で提案しました。そしたらありがたいことに採用となりました。ただ、別の会社を創ってやりなさいとなりました。その方がスピードが勝ると。起業なんて全く考えてなかった自分の背中を、当時の代表だった杉本さんが強く押してくれたことで、飛び込む決心ができました。杉本さんには今でも本当に感謝しています。

── 『Antenna(アンテナ)』ののち、「もう一度起業しよう」と考えられたのはなぜだったのですか?

私個人の人生のテーマが、「革命」なんです。自分としては、Antennaでライトな革命は起こせたと思っています。

雑誌やメディアの中には、有名じゃないけど、すごくいい記事を書いているものってあるじゃないですか。知る人ぞ知る小さいメディアだけど、音楽やインテリア、アートに対する編集者の愛が伝わるようなもの。そんなメディアに1社1社挨拶しに行って、当時は最終的に200ものメディアが契約してくれました。Antennaで載せている記事からは各メディアにリンクできる仕様になっているので、Antennaが大々的に広告してダウンロードされて記事を見てもらえたら、彼らのページビューも上がるんですよ。そしたら、すごく喜んでくれて。僕らとしても、彼らの記事のおかげでアプリ内の情報が濃くなって、メディアの価値を上げることができました。ユーザーはもちろん、メディアの方々にも還元できる仕組みを作れたことが、僕にとってのライトな革命でした。そして自分の残りの人生では、さらに大きな革命を起こしたいと考えるようになりました。その後企業して様々な失敗を経た後にインテリアのサブスクを思いついて、可能性を感じたんですよね。インテリア業界の市場規模は3兆円で意外と大きい。人生を賭けた革命を起こすには文句ないと考えて、ソーシャルインテリアの創業に至りました。

ブームに先立ち、日本初のインテリアのサブスクサービスを開始。

── インテリアのサブスクサービスは、ソーシャルインテリア社が日本で初めてスタートされたサービスだと伺っています。そもそもどのようにして、このサービスを思い付いたのでしょうか?

もう一度起業しようと考えていた頃に、ちょうど引っ越しをしまして。新しい家にあわせて家具も一式揃えようと、大好きな目黒の家具通りに行きました。30店舗近く家具屋さんがずらーっと並んでいて、どれも本当に素敵なんですよ。有名から無名のお店もあって、どれもすごく心惹かれる商品ばかり。ただ、値段は高い。自分としても一式揃えるのは厳しいなと思って、量産されている安価な家具も見に行ったんですけど、僕の心には正直全く刺さらなかった。質のいいものは高くて買えない。でも手の届く商品は欲しいと思えない。目黒通りのショップの店長さんからは「平日はお客様もこないし、倉庫代もかさむし、儲からないんですよね」という話も聞いて。需要と供給にすごくギャップがある業界だなと感じました。

それとちょうど同時期に、サブスクブームの予兆を感じていました。2018年頃なので、日本で「サブスク」と言っても誰にもわかってもらえない頃です。きっかけは、アメリカのベンチャー企業が集まるイベントでした。150社近くが次々に事業をプレゼンしていく中で、ハードウェアのスタートアップが登壇。提案した内容は、数万円の商品をただ販売するのではなく、月々3,000円程度の支払いで使い始められる、という内容でした。まさに今でいう、サブスクリプションのモデルです。その話を聞いた瞬間に、引っ越しのときの経験が頭の中で繋がり、インテリアのサブスクを始めようと決めました。

── ソーシャルインテリアの創業から現在までの事業の変遷をお伺いできますでしょうか?

もともとは自社製造家具で始まったんですが、採算が合わなくて途中から仕入れに切り替えまして。「良い家具が売れる世界を作りましょう」って提案して回りました。ありがたいことに1社目から「面白いですね」って賛同してくださって、知名度の高いブランドも次々に参加してくださり、集客にも成功。toCで人気を得ることになりました。ただ、サブスクって難しくて、どんどんお金が先に出る。想像以上に人気になったことで、さらにマイナスが膨らんでしまって、初期は資金繰りに奔走しました。同時期にtoBへの展開も始めました。

企業に受け入れてもらうまでに少し時間はかかりましたけど、1社取れると数十〜数百台と導入してくれるので、効率がとてもいいんです。加えて、その頃にサブスクブームが起きたことで企業側の心理的障壁も下がり、導入数は急速に伸びていきました。

── 先見の明があったからこそ、サブスクブームが到来するタイミングまでにサービスを確立することができたんですね。

タイミングは良かったですよね。ただ、それでも売上は月に数千万円程度で、資金調達はずっと厳しくて。業界に衝撃を与えるような革命も起こせていなかったし、事業を大きく伸ばさないといけない状況で、市場を面で取れるビジネスの必要性を強く感じていました。
そこで開発したのが、様々なメーカーの家具家電の見積もりや在庫の問い合わせを効率よく依頼できるプラットフォームです。インテリア業界って、外部の方から見たら驚くほどアナログなんですよ。社内のデザイナーも、各メーカーから配布されるカタログを文字通り山積みにしながら家具を選んでいました。しかも問い合わせは、基本的にメールか電話がメイン。よくよく話を聞いてみると、当社に限らず、どこのメーカーやデザイナーも悩みを抱えていたんです。業界としての課題も感じ、サブスクとはまた異なる新しいサービスとしてスタートさせました。その後は会社の売上も安定し、現在も業績は伸び続けています。

上質なインテリアがもたらす変化を、より多くの人々に体感してもらえたら。

── 今後はどのような展開を予定されているのでしょうか?

インテリアに対する日本の意識って、欧米と比べるとまだまだ低いんですよね。コロナ禍に家で過ごす時間が増えたことで、インテリアの価値が浸透しはじめたとは思います。でも、まだまだです。インテリアコーディネーターにお金を払って部屋をデザインしてもらう世界観ってないじゃないですか。たとえば、素敵な人に出会いたかったら、いい服を着ますよね。それと同じなんですよ。ダサい部屋は、自分をダサくする。ダサいオフィスは、会社をダサくする。逆にいい部屋は、そこに暮らす人の魅力を引き出して、素敵な出会いを生んでくれます。いいオフィスは、そこで働く人を幸せにして、素敵な縁を呼び寄せてくれます。感覚的な話になってしまいますが、私自身は、上質なインテリアには空間の質感を変え、人を変える力があると思っています。そんな体感を多くの方に味わってもらい、インテリアに対する意識を変えていきたい。売る側と買う側の双方の課題を一つひとつ解き、日本のインテリアに対する意識を変えていく。そんな革命を、ソーシャルインテリアで起こしていきます。

一人ひとりの“気持ち”に感謝して、慎重に向き合いたい。

── 組織づくりにおいて大事にされていることを教えてください。

社員のみんなは、ソーシャルインテリアのつくりたい世界観に共感して、集まってくれている。だからこそ、一人一人の気持ちや想いを大切にしなければいけないと強く意識しています。具体的には、社員のモチベーションやメンタルをすごく慎重に見ていますね。画一的な仕組みを用意するのではなく、社員の温度感や状況にあわせて慎重にケアしています。過剰な部分もあるかも知れないですけど、気持ちが一番大切ですから。もちろんまだまだ完璧ではないです。でも、当社はスタートアップなので他には何もないんですよ。新しいことをやっているから過去の事例もないし、大手企業のような資本力もないし、思い通りに行くことなんてほとんどない。ソーシャルインテリアは、社員の気持ちに支えられているんです。

── 実際に働かれている方はどんな方が多いんでしょうか?

当事者意識を持った熱い人が多いですね。表面的には落ち着いていて大人しい印象でも、内側ではそれぞれに想いを持っていて、全社員に対して新ミッション策定のためのインタビューを実施したときにも、「インテリア業界の古い環境を変えていきたい」「デザイナーさんがもっと輝けるような場を作りたい」といった熱い想いを聞くことができて、個々人が情熱を持って仕事に向かってくれていると実感できて、すごく嬉しかったことを覚えています。

実はミッションの策定に社員を巻き込んだのも、当事者意識をより高める狙いがありました。ミッションって全社の向かう方向を決める話なので、考える工程自体をみんなでやらないと腹落ちしないと思ったんですよ。トップがどれだけかっこいい言葉を作って、これを目指しましょうって言っても、社員は自分ごとにしづらいですよね。それじゃあ、機能しないです。全員の声をもとにして、最終的には「インテリアの世界を変える。インテリアで世界を変える。」という新しいミッションが誕生しました。社内では「ので」という略称で打ち合わせや会話の中でも頻繁に登場しているので、社員にも浸透しつつあるのかなと感じています。

── 最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いできますか。

私は、このビジネスモデルなら1兆円規模を狙えると思っています。会社として基盤は完成しつつある段階ですが、これからどれだけ伸ばせるかが勝負。スタートアップとしてさらにスピードを上げて成長していきたいので、困難も一緒に楽しんでくれる人に来てもらいたいですね。例えばスポーツでも、つらい練習を乗り越えないと試合に勝てないように、困難がなくてはビジネスも成功しません。うまくいかないことや調子の悪いときは誰にだってあります。でも、助け合える仲間がいれば一緒に乗り越えられるじゃないですか。ソーシャルインテリアには相手視点を持った熱い仲間がたくさんいますから。全員で困難を乗り越えて、インテリア業界に革命を起こしましょう。

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