全国の生産者と二人三脚で、一次産業の未来を鮮やかに。

「生産者の“こだわり”が正当に評価される世界へ」をビジョンに掲げ、生産者が食材を直接消費者に販売できる産直通販サイト『食べチョク』を運営する株式会社ビビッドガーデン。同社は今、地方自治体との連携や冷凍食品開発への進出など、新たな事業にも次々と挑戦しています。2018年の創業初期から在籍し、現在は執行役員として複数の新規事業を牽引する松浦悠介氏に、これまでのキャリアや会社の成長の裏側、そしてビビッドガーデンが目指す未来について伺いました。

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「生産者のこだわりが正当に評価される世界」を目指して

── まずは、株式会社ビビッドガーデンの創業背景や事業内容について教えてください。

ビビッドガーデンは、2016年に代表の秋元が創業したスタートアップ企業です。秋元自身が農家の出身でありながら、「なぜ農家は儲からないのか」「つくる人が正当に評価されていないのではないか」と疑問を抱いたことが、会社設立の原点となっています。

現在は、持続可能な一次産業の実現に向けて、生産者と消費者を直接つなぐさまざまなサービスを展開しており、中でも主力事業となるのが、産直通販サイト『食べチョク』です。農家や漁師などの生産者が自ら商品を出品し、消費者に直接届けることができるこのサービスです。おかげさまで2025年4月現在でユーザー数は110万人を突破。日本全国から10,000軒以上の生産者の方々にご登録いただいており、生産者の顔やストーリーが見える新しい購買体験ができるサービスとして消費者の方々にもご支持をいただいています。

 私たちが目指しているのは、ECによる販路拡大だけではなく、すべての生産者が正しく利益を得られる仕組みをつくること。これまでの流通構造では、中小規模の生産者が利益を上げるのは難しく、例えば、スーパーで販売されている生鮮食品のうち、生産者の手取りはわずか3割とも言われています。私たちは流通のあり方を根本から見直し、栽培や漁に真摯に向き合うすべての生産者の方々が、正しく評価され、安心して一次産業を続けていける世界をつくりたい。この想いこそが、ビビッドガーデンのすべての出発点であり、事業の原動力となっています。

── 松浦さんは、創業初期から在籍されていると伺いました。現在はどういった役割を担っているのでしょうか?

2018年に入社してから、現在は執行役員として新規事業全体の戦略設計から実行までを統括しています。『食べチョク』で認知いただいていることの多い当社ですが、実はほかにも多角的に事業を展開しています。たとえば、冷凍加工食品ブランドの『Vivid TABLE (ビビッドテーブル)』や旬の食材を定期便で届ける宅配事業『ドットミィ』、そして自治体と連携した地域産品のプロモーション事業など。私はそれらの新規事業を統括する立場として、いわば『食べチョク』に続く次の柱を育てていく役割を担っています。

もともと入社当初は、マーケティング担当として『食べチョク』のグロースを担当していました。完全未経験入社だったのですが、すべて手探りの中で、広告運用から広報、PRの立ち上げをすべて内製で手がけ、さまざまな仕事を兼務しながら、徐々にキャリアの幅を広げていった形です。執行役員というとお堅く思われがちですが、実際のところ“何でもやる人”かもしれません(笑)。「食と一次産業を中心とした新しい価値をどうつくるか」。その答えを、事業開発という手段を通じて問い続けるのが、私の仕事だと思っています。

自分の世界を広げてくれた、一次産業に恩返しがしたい

── ビビッドガーデンに入社するまでの経緯について教えてください。

学生時代の私は、明確なゴールから逆算して動くというよりも、興味のままに「まずは行動してみる」タイプでした。サークルは6つ所属、スタートアップでのインターンも4社経験、アルバイトも幅広く挑戦しました。とにかく自分の可能性を広げたい、という気持ちが根底にあったと思います。その中で偶然出会ったテーマが「農業」でした。友人に誘われて立ち上げた農業サークルでは、全国の農家さんを訪ね歩いたり、生産者と消費者をつなぐイベントを企画。次第に本格的に関わりたいと思うようになり、大学3年生の頃には畑を借りて農業経営にも挑戦していました。アメリカのブドウ農家に1ヶ月ほど住み込みで働いたこともあります。

ここまで農業に強く惹かれた理由を振り返ってみると、やはり一次産業に携わる方々の“人の魅力”に尽きると思います。農家の人たちって、本当におもしろい方が多いんですよね。一人ひとりが経営者であり、気候変動や自然災害といった予測不能な外的要因と向き合いながら、コストを意識してビジネスをされている。中には「業界を変えたい」と高い志を持ち、本気で農業と向き合う熱い方が多くいます。日々刺激をもらい、自然と「この人たちの力になりたい」という想いが芽生えました。だからこそ、社会人になるタイミングでも、「いつか一次産業に貢献できる人間になりたい」とは思っていたんです。

── ところが、新卒では別の企業に就職されたそうですね。

そうなんです。新卒の時は、外資系のIT企業を選びました。実は学生時代にビビッドガーデンにはすでにお世話になっていたのですが、まずは自分の視野を広げ、武器となるスキルを身につけたいと考えました。就職先はシリコンバレー発のスタートアップ企業。クラウドや仮想化といったIT領域で経験を積みました。ところが、入社2年目を迎える頃、転機が訪れます。きっかけは、2018年に起きた西日本豪雨でした。当時、SNSのタイムラインに、「ビニールハウスが流された」「今季の収穫はゼロになった」など、かつてお世話になった農家の知人たちの悲痛な投稿が流れてきて……。「いつかITの力で恩返しを」と思っていた自分が情けなく思えてきたのです。いつかじゃない。今、この瞬間も、農家さんたちは困っているのだと気づかされました。そんなタイミングで、偶然にも代表の秋元に飲み会に誘ってもらい、二次会のカラオケで1対1で話したのですが、もうその時の熱量がすごくて。酔いも手伝っていたのかもしれませんが…(笑)「私は日本の一次産業を本気で変えていきたいと思っている」。そんな彼女の言葉が胸にまっすぐに届いて、「自分もやっぱりこのフィールドで生きていこう」とその場で決意しました。 “転職”というより“戻ってきた”という感覚に近かったですね。

生産者さんと二人三脚で、事業と業界の成長をつくる

── 松浦さんが入社された当時は、まだ2期目のタイミングでした。入社後はどのような苦労がありましたか?

入社から数年間は、とにかく「自分にできることは何でもやる」という姿勢でコミットしました。スタートアップあるあるだと思いますが、名刺上の肩書きは一つでも、実際には複数の業務領域やチームを横断して担当していました。広報・PRの立ち上げから始まり、SNS運用やキャンペーン設計、広告運用、マーケティング業務、さらには生産者支援やカスタマーサポートまで。知見のある分野ばかりではなかったので、正直、最初の頃は毎日が修羅場のようでした(笑)。それでも必死に調べて仮説を立て、実行し、振り返る。そんな試行錯誤の中で常に意識していたのは、「この仕事は、農家の皆さんの幸せにつながっているか?」という視点でした。もちろん失敗もありましたが、役割が固定されていなかったからこそ、自然と視座が上がり、事業全体を俯瞰して捉える力が養われたと感じています。

この姿勢は決して私だけのものではなく、今年9期目を迎えた現在のビビッドガーデンにもしっかりと根付いています。当社には「全員が船を漕ぐ」という行動指針があり、一人ひとりが事業や組織づくりに、当事者意識を持って関わる文化があります。「自分の仕事はここまで」と線を引くのではなく、部署を超えて、全員で会社を前進させていく。この一体感は、規模が大きくなった今も変わらず、当社の強みだと思います。

── 仕事のやりがいや面白みを感じる瞬間はどんな時でしょうか?

やはり、自分の仕事が目に見えるかたちで農家さんの役に立っていると実感できたときですね。たとえば、キャンペーンや施策を通じて生産者の商品が完売したり、「こんなに美味しい野菜が届きました!」といったSNSの投稿を見つけたりすると、とても嬉しくなります。中には、お礼の手紙や似顔絵を送ってくださる農家さんもいて、その方々の顔を思い浮かべるだけで自然とエネルギーが湧いてきます。「夢中になれる仕事」ってこういうことなのだと実感しますね。

私たちの仕事は、常に生産者の皆さんと二人三脚です。どちらが上ということではなく、対等な立場で、業界をより良くしていくパートナーとして共に事業をつくっている感覚があります。お客さまというより、いい意味で“戦友”のように感じることもあるんです。
印象深いのは、あるリンゴ農家さんとの取り組みです。経営が少し落ち込んでいたタイミングで『食べチョク』に登録してくださったのですが、出荷量の少ない珍しい品種を扱っていました。当時は30歳の息子さんが事業を引き継いだばかりで、生産も売り方も手探りの状況。そこで一緒にアプリ内のページの打ち出し方を工夫したり、購入者へのお手紙をお願いしたりと、少しずつ改善を重ねていきました。その結果、登録から3年で『食べチョクアワード』1 で1位に。これは売上ではなく、リピート率やレビュー数など“ファンの多さ”で評価されるランキングです。農家さんの努力が、きちんと消費者に届いていることを実感できました。その後も3年連続で1位を獲得し、今では殿堂入りに。出会った頃からは、想像もできなかった変化ですね。この農家さんとは今でも親しくさせていただいていて、東京にいらしたときには自宅にお招きするような関係です。仕事でありながら、こうしたご縁に恵まれるこの仕事は、本当に飽きないですね。

 ※1「食べチョク」が毎年開催している賞。レビュー点数やリピート率などが審査基準であり、生産規模の大小に関係なく、年間を通じてお客様の満足度が高く、支持を集める生産者を表彰する賞

社会課題と本気で向き合い、成長を更新し続けられる企業へ。

── ビビッドガーデンの今後のビジョンを教えてください。

私たちは創業以来、「生産者の“こだわり”が正当に評価される世界へ」というビジョンのもと、一次産業の様々な課題と向き合ってきました。そしてその課題解決の手段は『食べチョク』だけにとどまらないと考えています。

実は、創業当初から『食べチョク』と社名を統一したほうがPR効率がいいのでは?という議論が何度もあったのですが、私たちは一貫して使い分けることにこだわってきました。社名のビビッドガーデンは “鮮やかな農地”を意味する言葉。そこには、一次産業そのものを根本から支える企業になるという、私たちの決意が込められています。一方の『食べチョク』は、あくまで消費者向けの分かりやすい“入り口のひとつ。食べチョクで解決できる「流通構造の見直し」というテーマは、一次産業が抱える課題のごく一部にすぎません。日本中の農地をもっと鮮やかに変えていくために。農業、漁業、畜産などの現場に共通する、より根本的で構造的な問題から、目を背けてはいけないと考えています。例えば、人手不足や販路不足、資材コストの高騰、新技術への適応など。多角的に事業を展開し、包括的にアプローチしていく必要があります。まずはこれまで通り「流通改革」を起点としつつ、その先で、これからの一次産業全体を支える“インフラ企業”になる。これが、ビビッドガーデンが本気で目指す未来です。その実現に向けて、チーム一丸となって、日々試行錯誤しているところですね。

── 最後に、これからどんな人と一緒に働きたいか。求職者の方へのメッセージをお願いします。

今、ビビッドガーデンが求めているのは、「次のフェーズの一緒につくる」仲間です。“日本の生産者を応援したい”という気持ちでご応募いただく方が多いのですが、現場は想像以上にシビアです。資本主義の中で事業を続ける以上、利益を出し、会社の成長を止めないことが絶対条件です。もし私たちの歩みが止まれば、販路を失い、路頭に迷ってしまう生産者さんが日本中にいます。だからこそ、この仕事と本気で向き合い、成果を出し続けるという“覚悟”が問われる仕事です。とはいえ、業界経験や一次産業にまつわるバックグラウンドは必要ありません。意外に思われるかもしれませんが、うちの社員の多くは異業種出身。自分の経験に固執せず、必要があればアンラーニングしてゼロから学び直す。そして成果を出すまで、試行錯誤を続けていく。そんな柔軟さと主体性を持った人は、きっと当社のどのポジションでも活躍していただけると思います。

私たちがつくりたいのは、単なる事業成功ではなく、社会に必要とされる“仕組み”です。それは、現場のリアルな課題と丁寧に向き合い、一つずつ結果を積み上げていくことでしか実現できません。だからこそ、自ら現場の最前線に立ち、生産者さんたちの苦悩に耳を傾けながら、夢中になって進み続けられる人と働きたいと考えています。今のビビッドガーデンには、その熱意に応えられるだけの挑戦の土壌があります。新たなポジションも、成長のチャンスもあります。「日本の一次産業を本気で変えたい。」そんな意志を持つ方と、ともに未来を耕していけたら嬉しいです。少しでも心に響くものがあれば、ぜひ気軽に話を聞きに来てください!

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