自分だけの“物差し”が、納得できる転職を実現する。あなたらしいキャリアを、一緒に考えられるエージェント選びを。

今回お話を伺ったのは、『RECRUIT DIRECT SCOUT HEADHUNTER AWARAD 2025』にて、エグゼクティブ部門1位を受賞した、フォルトナ株式会社の石井力さん。高校時代から経営コンサルタントを志望し、大学在学中に中小企業診断士の国家資格を取得。新卒でアビームコンサルティングに入社し、大手企業の業務・システムコンサルティングや海外ジョブを担当。戦略部門では全社改革や人事制度刷新に携わり、社内の人事企画や採用面接も経験されています。そんな石井さんに、転職活動を成功に導く秘訣や、良いエージェントの見極め方を伺いました。 

石井力

人事の経験から生まれた、「個人のキャリアと深く向き合いたい」という想い。

── はじめに、コンサルタントからエージェントに転身されたきっかけを教えてください。

アビームコンサルティングでの10数年のキャリアの中で、人事企画に関わったことがきっかけです。採用や研修などに携わるうちに、人の成長を支援すること自体に、大きなやりがいを感じていると気づいたんです。 

その感覚は、自分にとって大きな転機でした。もちろん、コンサルタントとして成果を出すことにも達成感はあります。ただ、人が変わっていく瞬間――例えば、研修を通じてあるメンバーが新たな視座を獲得したり、自信を持ってプロジェクトに取り組めるようになったりする姿を見ることに、深く心を動かされるようになっていったんです。 

やがて、「個人のキャリアにもっと深く向き合いたい」「一人ひとりと丁寧に向き合う仕事がしたい」という気持ちが強くなっていきました。そこからエージェントというキャリアに自然と興味を持つようになったのです。 

エージェントになって最初の5年半は、別の人材紹介会社で働いていました。その会社で専門エージェントとしてのイロハを学ばせていただきました。経験を積み上げていく中で、プライベートの事情等もあり、わがままかもしれませんが働き方やクライアント、ご相談者様との向き合い方について、もっと自由度を求めたくなっていきました。 

そんな中で出会ったのが、今のフォルトナ株式会社でした。最初に感じたのは、「この会社は各エージェントがご相談者様一人ひとりに向き合うために、エージェント個人の自由度(裁量)が非常に高い」ということでした。 

例えば、面談の時間をじっくり取ることもそうですし、コンサル業界に注力しているからこそ、表面的なマッチングではなく、部門ごとのカルチャーや案件傾向まで含めた提案ができる。エージェント側に、それだけの深さと覚悟があるのだと感じました。 

「ここなら、エージェントとして自分らしくいられる」そう思い、入社を決めたんです。 

転職活動成功のコツは、自分の「物差し」を明確にすること。 

── フォルトナ社はコンサル業界の転職支援に強みを持っていると伺いました。コンサルタントへの転職のコツを教えてください。 

昨今、コンサルティングファームに転職したい、もしくは業界内でステップアップしたい、という方は多いですよね。ただ、私がこれまで多くの方とお会いして感じるのは、「選び方がボヤっとしている人が多い」ということです。 

よくあるのは、知名度や噂、何かのランキングなど“巷の情報”だけでファームを選んでしまうケースです。確かに有名なファームで働いていると、周囲の反応も良いですし、年収も高いでしょう。でも、それが本当に自分に合っているかどうかは別問題。入社後に不満が生じてしまう可能性が高くなります。コンサル業界の中でも、ファームごとに強みや注力テーマは違いますし、同じファームでも部門やチーム単位で印象が変わることも多々あります。 

例えば、知名度No.1のファームが全ての業界やコンサルティングテーマにおいてNo.1とは限りません。あまり目立たないファームのほうがその方の専門性や志向に高くフィットするというケースもあります。こういった違いを知らずに転職してしまい、入社後に「思っていたのと違う」というギャップから、早期退職してしまう方も少なくないのです。 

転職を考える際に大切なのは、自分の「物差し」を明確にすることです。年収なのか、案件の規模なのか、専門家の多さなのか、テーマの幅広さなのか、それとも働き方の柔軟性なのか、キャリアパスなのか、etc…。人によって重視するポイントは違います。それをきちんと見つけたうえで、企業やチームを比較する。これが成功する転職の一番のコツだと考えています。 

希望に寄り添うだけじゃない。「選び方」まで伴走する。 

── エージェントを活用するメリットはどんな点でしょうか。

一つは、「自分だけでは見えにくい情報や視点を得られること」です。例えば、求人票に書かれている内容だけでは、その企業や部門を理解したとは言えません。でもエージェントであれば、「この部門はこういう方針やカルチャーがある」「最近はこういう専門性をもった人が評価されやすい」「あまり知られていないがこの領域ではNo.1」といったリアルな情報をお伝えできます。それは、長年の業界経験や企業との関係性があってこそ得られるものです。 

もう一つは、戦略的に選考を進められることです。どの企業をどのタイミングで受けるのか、志望動機やキャリアの語り方をどう変えるのか、並行して進めることでどう比較検討するか――そういった判断を、一人で抱えるのは大変です。信頼できるエージェントと伴走すれば、自分の価値観に沿って冷静に整理しながら、より納得感のある選択ができるはずです。 

── どのように信頼できるエージェントを見極めれば良いでしょうか。

私が考える良いエージェントの条件は大きく二つあると思います。一つは、主要なファームを「面で」カバーしているかどうか。つまり、限られた数社だけでなく、幅広いファームと取引があるかです。取引先が少ないと、どうしてもその限られた中から提案せざるを得なくなります。面で抑えているエージェントなら、よりフラットに、あなたに合った提案がしやすくなる。これは他業界でも同じだと思います。 

もう一つは、その業界に対する深い理解と専門性があるか。求人票に書いてあることをそのまま伝えるのではなく、実際のカルチャーや部門ごとの特徴、もっと言えば強みのみならず課題になりそうなことまでも語れるかどうかです。この部門のチームはこういうカラーです」「ここの経営方針は最近こう変わってきました」「全体の規模は大きくないけど、あなたがやりたいテーマの専門性は高い」というような深い情報を持っているかは非常に重要です。    

私自身、コンサル業界に10年いて、採用活動にも携わったことがあります。その経験があるからこそ見える景色、感じられる空気がありますし、お伝えできることがある。それが私の強みだと思っています。 

キャリアの正解は他人が決めない。「あなた基準」で選ぶ転職を。 

── 普段、転職支援をする上で、心がけていることや大切にしていることを教えてください。

私は「表裏を伝えること」を何より大切にしています。転職は人生の大きな決断です。ご相談者様にとって耳触りの良いことだけを言っても意味がありませんし、結果的にミスマッチになってしまう。また、物事は見る角度によってポジティブかネガティブかが180度変わります。だから私は、表(良い面)も裏(リスク)も正直に伝えるようにしています。 

また、その人の価値観に沿った提案をするために、じっくりと話を聞きます。どんなキャリアを描きたいのか、どんな仕事が楽しかったのか、何にストレスを感じるのか…。そうやって「その人だけの物差し」を掘り下げていくと、自然と選ぶべき道筋が見えてきます。例えば、「もっと上流のコンサルティングをしたい」とおっしゃっていた方が、話していくうちに「実は現場でクライアントの変化を肌で感じられる仕事のほうが好き、つまり企画構想から実現まで伴走できる仕事をしたい」とわかることもあります。前者と後者では企業選びは変わってくるでしょう。そうやって、表面的な希望ではなく、本当の希望に沿ったキャリアを一緒に描いていくのが私の役割です。 

派手さはありませんし、「夢を与える」タイプではないかもしれません。でも、現実的で納得感のある提案をする。それが私のスタイルです。 

── 転職活動を始める際に、どんなことに取り組んだほうが良いでしょうか。

まずは「自分の物差しを決めること」。何を重視するのか、どんな働き方がしたいのかを明確にすることで、企業選びがしやすくなります。その上で、履歴書や職務経歴書を早い段階で一度整理するのはお勧めです。経験豊富な専門エージェントであれば、履歴書と職務経歴書をみればかなりの精度で転職先候補をリスト化可能です。と言っても、最初から完璧にやる必要はありません。自分一人では難しいと思いますので、ぜひエージェントにご相談いただきたいですね。 

それから、複数のエージェントと話してみて、相性の良い人を見つけるのも大切です。そして、表面的な情報ではなく、部門やチームレベルの情報までしっかり確認する。面接でも遠慮せずに質問し、自分に合う環境か見極める姿勢が大切です。 

コンサル業界は、決して楽な世界ではありません。私自身も何度も挫折し、悩みながらここまで来ました。それでも、そこで得た経験や人とのつながりは、人生の財産になっています。だからこそ、転職を考える皆さんには、自分自身の価値観に正直になってほしいと思います。周りの噂や世間の評価に流されず、最終的に幸せに働けるかどうか、自分が何を大事にしたいのか、自分の物差しを信じて欲しいのです。 

そして、もし迷ったり不安になったりしたら、一人で抱え込まずに相談してください。エージェントは、あなたが納得のいく決断ができるように、一緒に悩み、一緒に考えるパートナーです。あなたにとって本当に価値のある選択ができるよう、私も全力でお手伝いします。 

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。