
人手不足や食品ロスの課題が深刻化する中、食品業界では高度な自動化技術が求められています。食に関わる計量・包装・検査システムにおいて国内トップシェアを誇る株式会社イシダは、その中核技術を起点に、AIやロボティクスといった最先端領域へと進化を続けてきました。現在では、食品の製造から流通までを支えるトータルソリューション企業として、国内外で存在感を高めています。本記事では、取締役 専務執行役員の大下氏をはじめ、AI・ロボティクス領域の開発責任者への取材を通じて、同社の技術力の本質と、エンジニアとして働く魅力に迫ります。
大下 実
開発本部を統括し、同社の技術戦略全体を牽引。計量技術を核とした事業基盤の強化に加え、AI・ロボティクスといった先端領域への展開を推進している。長期視点での研究開発投資と、人材育成を重視した組織づくりを主導し、食品業界の自動化・高度化を支える技術開発に取り組む。
川西 紀男
食品業界向けのAI技術開発を担当。画像認識や異物検査など、現場課題に直結するAIソリューションの高度化を推進している。IoTやクラウドと連携したデータ活用にも取り組み、検査精度の向上や食品ロス削減など、顧客価値の最大化に貢献。エンジニアの育成にも力を入れ、最先端技術の実装を現場に落とし込む役割を担う。
高橋 淳
食品ハンドリングに特化したロボティクス技術の開発を担当。既存ロボットの活用と内製技術を組み合わせ、食品特有の課題に対応するエンドエフェクター(ハンド)の設計・開発を推進している。大学や研究機関との共同研究にも積極的に取り組み、衛生性と生産性を両立する技術の実用化をリード。現場課題起点の開発を通じて、食品業界の自動化に貢献している。
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| 年収 | 450万円~800万円 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社イシダ |
| 勤務地 | 滋賀県栗東市 |
| 職種 | 機構設計 機械研究開発 |
| 年収 | 450万円~800万円 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社イシダ |
| 勤務地 | 滋賀県栗東市 |
| 職種 | データサイエンティスト 組込/制御設計/開発(画像処理) |
目次
計量技術を起点に広がる“トータル支援”という競争優位

── 御社の事業領域と強みについて教えてください。
当社の事業は、食品業界を中心に構成されており、顧客の約9割を食品関連企業が占めています。領域としては、リテール・流通と食品工場の製造工程に大別され、計量から包装、検査、物流に至るまで、一連のプロセスを横断して支援しています。単一工程ではなく、全体最適で価値を提供できる点が特徴です。
こうした広がりの起点にあるのが、計量機で培ってきた圧倒的なシェアと信頼です。現場で最も使用頻度の高い基幹機器を担うことで、顧客の課題が自然と集まる構造が生まれています。その声に真正面から向き合い、一つひとつ解決してきた結果として、現在のトータルソリューションへと発展しました。
また、成長戦略においては海外展開も重要な柱となっています。人口増加が見込まれる地域を中心に市場を拡大しており、現在では売上の約40%を海外が占めています。国内外を問わず、食品の生産・流通を支えるインフラとしての役割を担っています。
個別最適ではなく工程全体を任せられる存在であること。そして、顧客の声を起点に進化し続ける開発姿勢。この二つが重なり合うことで、他社にはない競争優位が生まれています。
現場データを価値に変えるAI活用の最前線

── 現在注力されているAI技術について詳しく教えてください。
当社のAI活用は、事業領域の拡張とともに顕在化した「データ課題」の解決を起点に進化してきました。これまでIoTやクラウドを活用し、設備や工程から得られるデータの蓄積・可視化を進めてきましたが、その先にある価値創出としてAIの導入を加速させています。現在は、個別機器へのAI実装に加え、複数設備を横断したシステム全体での活用、さらには開発プロセスへの応用といった複数のレイヤーで取り組みを展開しています。単なる機能強化ではなく、「現場全体の最適化」に踏み込んでいる点が特徴です。
具体例として挙げられるのが、X線検査における画像認識技術です。食品同士が重なり合った状態では、従来のアルゴリズムでは正確な判別が困難でした。人間であれば視覚的に理解できる状況でも、コンピューターにとっては識別が難しい領域です。ここにAIを活用することで、重なりや密着といった状態を文脈として捉え、個々の食品を正確に認識できるようになりました。その結果、検査精度は飛躍的に向上し、品質管理の高度化に貢献しています。
さらに、データ活用は検査工程にとどまりません。蓄積されたデータを分析し、生産効率の向上や食品ロスの削減といった経営課題の解決にもつなげています。食品業界では数%のロスが利益を大きく左右するため、この領域での改善は極めて重要です。AIは単なる技術ではなく、顧客の収益構造に踏み込む手段として機能しています。
エンジニアにとっての魅力は、最先端技術を現場課題に直接結びつけられる点にあります。一方で、AIは導入すればすぐに成果が出るものではなく、現場環境や条件に合わせた調整が不可欠です。試行錯誤を重ねながら精度を高めていくプロセスそのものが開発の本質であり、技術を“使える価値”へと昇華させる力が求められます。この難易度の高さこそが、エンジニアとしての成長とやりがいにつながっています。
ロボットの核心は「手」にある――食品特化ロボティクスの真価

── ロボティクス技術について教えてください。
当社のロボティクスは、汎用ロボットの開発そのものを目的としていません。多関節ロボットを一から製造するのではなく、既存のロボットを活用しながら、制御技術やエンドエフェクター(手の部分)を自社で開発することで、食品分野に最適化された価値を提供しています。中でも重視しているのが「腕」ではなく「手」の設計です。
食品は形状や硬さ、大きさ、温度、粘着性などがすべて異なり、同一条件で扱えるものがほとんど存在しません。例えば、ご飯をつかむ場合と、生卵や包装資材を扱う場合では、求められる機構や力加減はまったく異なります。このような千差万別の対象に対して、それぞれに最適なハンドを設計することが、当社のロボティクスの中核です。計量技術で培った「扱う力のコントロール」が、この領域でも活かされています。
さらに、食品を直接扱う以上、衛生面への配慮は極めて重要です。ネジの露出を防ぎ異物混入リスクを排除する構造設計や、分解・洗浄・殺菌が可能な仕様など、細部にわたる工夫が求められます。単に動かせるだけでは成立せず、食品業界特有の厳しい基準を満たす必要があります。
こうした技術が発揮されるのが、実際の生産現場です。例えば、出来立てで高温の食品を一定量取り分け、見栄えよく盛り付ける工程では、従来は複数人の手作業に依存していました。当社のロボティクスは、こうした負荷の高い作業を自動化し、衛生性と生産性を同時に向上させています。
ロボティクスエンジニアにとっての醍醐味は、この“現場起点”の開発にあります。目の前の課題に対し、自ら設計した機構や制御で応えていく。その結果が現場での効率化や品質向上として可視化される点に、大きな手応えがあります。汎用ではなく専用だからこそ難しく、だからこそ面白い。この領域にこそ、同社の技術者が挑み続ける価値があります。
試行錯誤を価値に変える開発文化と成長環境

── 技術開発の難しさと、エンジニアに求められる姿勢について教えてください。
当社の開発における難しさは、「現場ごとに条件が異なる」という点に集約されます。例えば、スーパーの包装工程で使用されるトレーを認識するAI開発では、透明なトレーを検知するという高難度の課題に直面しました。人の目でも判別が難しい対象を、カメラ画像から正確に識別する必要があり、単純な学習では対応できません。光の反射や背景条件など、多様な環境要因を考慮しながらロジックを組み上げていく必要があります。AIであれば何でも解決できるわけではなく、現場に適応させるための地道な調整が不可欠です。
こうした難易度の高い開発を支えているのが、個々のエンジニアの経験と、挑戦を後押しする組織文化です。中途入社の場合も、これまでのスキルを踏まえ、最も力を発揮できる領域からプロジェクトに参画します。そのうえで、実務を通じて同社の開発思想や進め方を習得していく流れとなります。領域ごとに扱う技術や製品が異なるため、自身の専門性を活かしながら段階的に理解を深められる環境です。
また、教育への投資を惜しまない点も大きな特徴です。社員一人ひとりに年間10万円以上の学習予算が提供されており、外部講座や新技術の習得に自由に活用できます。さらに、部門を越えた情報交換の場が設けられており、他チームの知見を取り入れながら挑戦領域を広げていく風土が根付いています。
こうした取り組みの背景には、長期視点で研究開発に向き合う経営方針があります。オーナー企業として、短期的な成果にとらわれず、必要と判断した技術には継続的に投資を行う姿勢が貫かれています。時間のかかるテーマであっても、粘り強く挑戦し続けられる環境が整っている点は、エンジニアにとって大きな魅力といえるでしょう。
── 滋賀で働く魅力について教えてください。
当社における国内の開発拠点は滋賀に集約されており、技術者にとってはここがキャリアの中心となります。拠点が分散していないからこそ、開発リソースや知見が一箇所に集まり、領域を横断した連携が生まれやすい環境が整っています。専門性を深めるだけでなく、幅広い技術に触れながら成長できる点が特徴です。
また、滋賀という立地そのものにも独自の魅力があります。都市の利便性と自然環境がバランスよく共存しており、過度な喧騒から離れつつも、不便さを感じにくい生活が可能です。琵琶湖や山々に囲まれた環境は、日常の延長線上にリフレッシュの機会があるとも言えます。釣りやマリンスポーツなど、趣味の時間を充実させている社員も少なくありません。
首都圏から転職してくる方の中には、この環境を“リゾートのようだ”と表現する声もあります。実際に、UIターンで入社し、地域に根差した働き方を選択するケースも増えています。開発拠点が一極集中していることにより、勤務地の選択に迷いがない点も、長期的にキャリアを築きたい方にとっては安心材料となります。
単なる勤務地ではなく、技術者として腰を据えて働くための基盤であること。この点において、滋賀という環境は同社の価値の一部を形成しているといえるでしょう。
世界の食を支える技術へ――社会課題に挑むエンジニアのフィールド

── 今後の展望と、読者の方にメッセージをお願いします。
世界的に人口は増加を続ける一方で、食料の生産量は必ずしもそれに追いついているとは言えません。この需給バランスの歪みが拡大すれば、将来的に食料不足という大きな社会課題へと発展する可能性があります。こうした状況に対し、当社は食品の生産・流通における効率化を通じて、持続可能な供給体制の構築に貢献していきます。特に、食品ロスの削減や生産性の向上は重要なテーマであり、自動化技術を軸に価値提供を広げていく方針です。
また、人口増加が見込まれる地域では、今後、食の品質や多様性へのニーズも高まっていきます。加工・流通の高度化を支えることで、より安全で豊かな食文化の発展にも寄与していきたいと考えています。単なる効率化にとどまらず、食そのものの価値向上にまで踏み込んでいくことが、これからの技術の役割です。
こうした領域における開発には、食品特有の難しさが伴います。形状や状態が常に変化する対象に向き合うため、画一的な解決策は通用しません。一つひとつの課題に対して、粘り強く最適解を導き出していく姿勢が求められます。効率だけでは測れない“扱う難しさ”に向き合い続けることが、この分野の本質です。
その上でお伝えしたいのは、技術の力で社会の基盤を支える仕事に挑む面白さです。機械やソフトウェアへの興味を起点に、自ら手を動かし、試行錯誤を重ねながら価値を形にしていく。その積み重ねが、世界の食を支える仕組みへとつながっていきます。難易度の高い領域だからこそ、得られる成長と手応えは大きいはずです。技術を通じて社会に貢献したいと考える方にとって、ここには挑戦する意義のあるフィールドが広がっています。

株式会社イシダが募集している求人はこちら
| 年収 | 450万円~800万円 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社イシダ |
| 勤務地 | 滋賀県栗東市 |
| 職種 | 機構設計 機械研究開発 |
| 年収 | 450万円~800万円 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社イシダ |
| 勤務地 | 滋賀県栗東市 |
| 職種 | データサイエンティスト 組込/制御設計/開発(画像処理) |
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。