
2023年10月にグループ再編を実施したLINEヤフー株式会社。カンパニー制の導入により、変化の最中にある組織での働き方はどのようなものなのか。今回はマーケティングソリューションカンパニーに所属し、経営推進部部長と人材・組織開発チームリーダーを兼務する加藤喜大さんにお話を伺いました。
加藤喜大氏
2014年にLINE株式会社に新卒2期生として入社。法人向けに広告商品の営業を担当したのち、事業企画職にジョブチェンジ。2023年のグループ再編に伴い異動し、現在は経営推進部部長と人材・組織開発チームリーダーを兼務する。
営業、事業企画、人材・組織開発と、社内で3回のジョブチェンジ
―加藤さんは新卒でLINEに入社したと伺っています。入社からこれまで、どのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。
加藤:入社したのは2014年、新卒2期生でした。もともとは企画の仕事がしたいと考えていましたが、ファーストキャリアは営業職。法人向けに『LINE公式アカウント』や『LINEプロモーションスタンプ』の導入支援を2年半担当していました。その後、『LINE広告』や『LINE公式アカウント』の事業企画職にジョブチェンジします。事業企画職のミッションは簡単にいうと、売る仕組みをつくることです。プロダクト成長という目標が達成できるのであれば、やり方は個人に任されています。たとえば、公式アカウントの認知度や好感度を測るための新たな機能を実装したり、販売代理店の士気を高めるためにパートナー認定制度をつくったり。国内外の成功事例を取り入れてみることもあれば、自分でゼロから企画を考えることもあり、かなり自由度高く取り組んでいました。この職種に限らず、「やりたい」という想いを尊重し、背中を押してくれる風土は、LINEヤフーの特徴だと思います。
そして2023年10月のグループ再編と同時に異動になり、現在はマーケティングソリューションカンパニーの経営推進部と人材・組織開発チームに所属しています。
これまでのキャリアで、自分から希望を出して異動したことは一度もありません。ただ結果として、自分が挑戦したいことを実現できる環境に配属されてきました。自ら声を上げずとも、周りの方々が一人ひとりの能力や適性、志向をしっかりと見てくれているのだと思います。

―現在のお仕事について教えてください。
加藤:経営推進部の部長と人材・組織開発チームのリーダーを兼務しています。経営推進部はざっくり言うと、各カンパニーが抱える経営課題に対する解決策を“数字”などのデータをもとに考える部署です。事業やプロダクトのコンディションをレビューしたり、今後の戦略を経営層と練ったりしています。
対して人材・組織開発チームは、経営課題を“人”の活用によって解決するチーム。カンパニーの経営層と部門の人事とのブリッジとなるようなポジションです。たとえば最近取り組んだものに、グループ再編に伴う新評価制度の導入支援がありました。制度自体は人事や事務局が主導で刷新したのですが、それをどう浸透させるのか、運用した場合にどのような課題が出てくるのかを検証する部分は私たちの担当。カンパニーの経営陣とディスカッションしたり、現場社員に協力を依頼してロープレを実施したりするなど、導入に向けた準備を進めてきました。今は導入して2期目が終わったところなので、実際に運用して浮き彫りになった課題などを吸い上げて、ブラッシュアップしているフェーズに入っています。
当社は役職があるかどうかに関わらず、仕事を兼務している人が多いかもしれません。あくまで私の推測ですが、多様な業務を経験している人材が増えればフレキシブルに配置転換できるようになり、社会の変化にも柔軟に対応できるようしているのだと思います。さらに、新しい視点が生まれてそれぞれの仕事に良い相乗効果が生まれますし、個人のスキルの幅も広がります。
自分の発案で、新しい仕組みづくりに挑戦
―人材・組織開発チームでは、加藤さん主導で新しい取り組みもされているとお聞きしました。
加藤:『人材最適配置』における判断基準をつくろうとしています。プロダクトの成長率や職種の役割、工数、さらに個々人のスキルやモチベーションなどといった、さまざまな定量データと定性データを掛け合わせて最適な人員をアサインするという手法です。もともとは私が事業企画部で部門長をしていたときから感じていた課題感として、「どの部署も常に人が足りないと言うけれど、どうすれば最適な人員配置ができるのだろう」といったことがありました。タイミングよく人材・組織開発チームに異動になり、頭の中で温めていたアイデアを実現してみようとなったんです。
現在は、論理上は上手くいきそうだというところまで辿り着いていますが、メンバーのスキルやモチベーションといった不確定要素が多いので、実際に導入できるかを検討している段階です。
先ほども言いましたが、このように自分がやってみたいと思ったことに挑戦させてくれるのは、当社のいいところです。会社としても頻繁にビジネスコンテストを開催するなど、社員がアイデアを発信できる機会をつくってくれています。2024年だけでも、3回のビジネスコンテストが開かれました。

―加藤さんは、今後LINEヤフーでどのようなことを成し遂げたいですか。
加藤:『人材最適配置』の考え方を、実際の意思決定の場に導入することが直近の目標です。そのために、現場社員と日々コミュニケーションを取っている人事の方々と連携しながら、スキルやモチベーションといった定性データの精度をどうすれば高められるかを検証しています。最終的には、この仕組みを導入したことで、事業やプロダクトが成長していくことはもちろん、働く人たちの成長にも貢献できるようにしたいですね。『人材最適配置』をもとにして異動したメンバーが、新天地で高いパフォーマンスを発揮する。会社と社員、双方にとってメリットのあるものにしたいと考えています。
さらに先のことを言えば、何か事業を立ち上げてみたいですね。今は具体的に何か動いているわけではありませんが、当社であればもし「やろう」となったときに、すぐに動き出せる環境であると思います。
―LINEヤフーの環境・風土で魅力に感じている点はどのようなところですか。
加藤:スキルアップのための支援が豊富にあります。もともとLINEとヤフーそれぞれにも十分すぎるほどの制度があったと思うのですが、統合してより充実した印象です。社内のセミナーは頻繁に開催されていますし、GROBISも学び放題です。上長が薦めてくれることもありますが、自分の意思で自由に参加することもできます。
私の場合は、マーケティングソリューションカンパニーに異動するタイミングで、上長に紹介された大学院の授業を受講。経営戦略やマーケティングの基礎を学びました。3ヶ月間のカリキュラムでしたが、その後も自分で希望して受講を続け、計6ヶ月間、大学院に通っていました。もちろん費用は会社が払ってくれています。
―LINEヤフーの人事職に求められるスキルはありますか?
加藤:職種の専門知識やスキルがあることは前提です。加えて、人事は経営と密接に結びついている仕事なので、“会社視点”を持つことが大切だと私は思います。たとえば目の前にある課題に対して、その場しのぎで対処するのではなく、組織としてどうするのが最適なのかを考えてみる。そういった広い視点を持つことで、部門をサポートする際にも事業やプロダクトの成長という大きなゴールに向けた動き方ができるようになるはずです。
そしてもう一つ、変化を楽しめることも重要です。当社が変化の真っ只中ということもありますが、業界全体で見ても、3年後5年後がどういう状況になっているのか誰にも予測できません。やっとゴールが見えてきたと思っても、世の中のトレンド次第で振り出しに戻る、なんてこともあり得ます。だからこそ、先のわからない環境にワクワクできる人と一緒に働きたいですね。
