【私のキャリアの軌跡】株式会社電通コーポレートワン 森川憲太氏・佐藤淳氏|2万人の仕事を支え、コーポレートの専門性を突き詰められる環境 

2022年1月に発足した株式会社電通コーポレートワン。dentsu Japan(電通グループの日本リージョン)のコーポレートプラットフォームとして、株式会社電通をはじめとしたグループ各社のコーポレート業務を包括的に実行・支援しています。その仕事の魅力とはどのようなものでしょうか。役員報酬制度の設計に携わる森川憲太さんと、執行役員であり人事オフィス長を兼任する佐藤 淳さんにお話を伺いました。 

森川憲太氏

新卒で入社したシンクタンクグループで人事システムの開発や人事・給与業務のフルBPOに従事。その後、外資系コンサルティングファームや金融機関で様々なテーマの人事コンサルティング業務を経験し、2023年に株式会社電通コーポレートワンへ入社。現在はエグゼクティブの報酬設計や報酬委員会の事務局運営に携わる。

佐藤 淳氏

1999年に新卒で株式会社電通へ入社。16年間、ビジネスプロデュース部門で様々なクライアントを担当。その後、電通アイソバー株式会社の取締役を経て、2018年より株式会社電通人事局へ。2022年に電通コーポレートワン人事オフィス長。2024年より執行役員を兼務する。

第三者の立場ではなく、その会社の当事者として変革を牽引したかった

―森川さんは2023年に電通コーポレートワンに入社されたのですね。前職のご経験と、転職に踏み切った理由を教えてください。

森川:電通コーポレートワンは、私にとっては4社目になります。これまで一貫して人事に関わる仕事をしてきました。最初はエンジニアとして、人事システムの開発や人事・給与業務のフルBPOに従事していました。その後、外資系コンサルティングファームや金融機関などで人事コンサルティング業務に携わりました。コンサルタントとしてのキャリアは約10年。人事制度設計、人事戦略立案、グローバル、タレントマネジメント、役員人事など、あらゆる領域で一人前とを目指して日々の仕事に励んでいたのですが、どこか物足りなさを感じていました。

コンサルタントは、あくまで第三者の立場でしかない。その会社の当事者として内部から変革を牽引し、課題を解決できてこそ、真の人事プロフェッショナルと呼べるのではないか。そんな思いから、転職を決意しました。

―転職にあたり、電通コーポレートワンを選んだのはなぜですか?

森川:私が働く上でいちばん大事にしていることは、その仕事を楽しいと思えるかどうかです。その点で、電通コーポレートワンは、とても魅力的な選択肢でした。電通は、日本有数の企業ですから、入社する以前から企業動向には注視していました。2016年以降、電通では労働環境改革がスタートしています。2020年には純粋持株会社体制に移行。さらには2023年に指名委員会等設置会社へ移行し、ガバナンスが非常に厳しい株式会社の設置形態を取るようになりました。また、本格的にグローバル経営を目指すようにもなりました。

そうした変革期にあるタイミングだからこそ、チャレンジも許容してくれる環境があるんじゃないか。自分自身もこの会社に入って、いろんな課題を解決できるような人材になりたい。そんなワクワクした気持ちになれたんです。

―佐藤さんは、森川さんの採用にも携わられたそうですが、どのような活躍をされていましたか?

佐藤:私自身は新卒からずっと電通の中で育ってきたので、電通の人事のことしかわかりません。ですが、電通の人事が世の中にとっての当たり前ではないと思っているんです。ですから、多様な経験を持っている方を採用したいと常々考えています。

森川についても、人事の知見だけでなく、コンサルで培ったプロジェクトマネジメント力や、1から10まで言われた通りやるのではなく、課題に対してどうアプローチするかを自分でデザインできる力。あるいは、何が課題なのかを自ら設定できる力が備わっているなと感じましたね。

―入社前と入社後では、電通コーポレートワンへのイメージは変わりましたか?

森川:実際に働いてみると、世間から思われている電通のイメージとは180度異なると感じました。私はまだ中堅ぐらいの年次で社歴も浅いですが、誰でも自由闊達に意見が言える環境ですし、働きやすさを実感しています。また、仕事が好きで責任感が強い人ばかり。一人ひとりが自立したプロフェッショナル集団です。電通出身者や様々なバックグラウンドを持つメンバーと一緒に、電通のビジネスを支え、進化させていくことに楽しさを感じています。

一貫して人事に携わってきた経験を活かし、真の人事プロフェッショナルを目指す

―現在のお仕事内容と、そのやりがい・醍醐味を教えてください。

森川:現在はエグゼクティブ(役員)報酬制度の設計や報酬委員会の事務局運営に携わっています。役員報酬は非常に専門的な分野になり、最新の法律やいろんな企業の事例も把握していなければいけません。求められる知見は広範になります。数少ないメンバーでそれぞれの専門性を発揮しながら役割分担で運営しています。

なかでも、私は海外幹部を含めたグループの役員報酬制度を設計しているのですが、海外のメンバーとも毎週のように会議をして、言語を超えた価値観の違いやさまざまなギャップをいかに埋めるかというところに苦労しているところです。当社に限らず、海外展開する日本企業が抱える課題だと思いますが、とりわけ当社の場合は日本と海外で業界内での立ち位置が異なります。そうしたことも考慮しながら、海外幹部の離職率を低減しつつ、より高いパフォーマンスを発揮してもらうための報酬制度を目指しています。

―マネジメント層から見て、森川さんの活躍はどう映っていますか?

佐藤:森川は今、電通グループのグループエグゼクティブ報酬オフィスに出向中ということもあって、実は日常的に接点を持つ機会はあまりないんです。ただ、株式報酬の領域について、私自身があまり詳しくなかったため、森川からレクチャーしてもらう機会があったのですが、資料の作りも説明も非常にわかりやすくて、これまで培った人事の素養や造詣の深さを感じました。良い仲間に恵まれたと嬉しくなりましたね。

―森川さんは今後、電通コーポレートワンでどのようなことに挑戦したいですか。

森川:当面はグローバルヘッドクオーターである電通グループに所属し、日本を含む4リージョンの報酬ガバナンスの整備に取り組みたいと思っています。電通グループでは「One dentsu」の旗印のもと、グローバル経営を強化していく変革期にあります。報酬領域においても、日本からガバナンスを効かせるための枠組み作りやガイドラインの整備は喫緊の課題です。

それが実現できた暁には、電通コーポレートワンに戻り、dentsu Japanの新たな人事課題の解決に向き合いたいと考えています。その頃にはどのような課題を抱えているか分かりませんが、電通グループのパーパス「an invitation to the never before.」のとおり、多様な視点を持つメンバーと一緒に、かつてないアイデアで日本企業のロールモデルとなる人事ソリューションを生み出したいです。

―電通コーポレートワンの環境・風土で魅力に感じている点はどのようなところですか。

佐藤:電通コーポレートワンは2022年1月にできたばかりの会社です。株式会社電通のコーポレート部門と業務全てを移管するという前代未聞の佐藤:電通コーポレートワンは2022年1月にできたばかりの会社です。株式会社電通のコーポレート部門と業務全てを移管するという前代未聞のプロジェクトで、受発注関係にあった旧3社(電通、電通マネジメントサービス、電通ワークス)が合併した組織です。経営、業務、意識など統合への注力は今も続いています。大企業の安定感を持ちながらも、会社を一緒につくりあげていく面白さも味わえます。

森川:国内グループで約150社、2万人の仕事を支える大きな仕事に取り組めます。各社にも人事がいますが、それらを統括する役割を当社が担います。つまり、色々な会社の人事の人たちと仕事をする機会がある。さらに言えば、日本は電通の4つあるリージョン(事業地域)のうちの1つでしかありません。海外グループは約650社の企業集団で構成され、これらの企業とも連携を図っていくわけですから、そのスケールは壮大です。また、電通ならではのユニークでパワフルな人材が集まっており、まさに人種のるつぼです。そうした人材を起点とした企業変革に携われるのは、当社ならではだと思います。 

―電通コーポレートワンでは、どのようなスキルやスタンスが求められますか? 

森川:人事に求められる役割がオペレーション的なものから、より経営に近いことが求められるようになってきたと感じています。自分の担当領域や担当業務にフォーカスするだけではなく、もっと視野を広げ、アンテナを張っておく必要があるでしょう。今の時代、人材不足もありますし、ハラスメントやジェンダーといった難しい課題を人事は抱えるようになりました。これまでと同じように人事をやっていれば解決できるという状況ではありません。一人ひとりがレベルアップすることも大切ですが、チームの総合力で難題に立ち向かっていく姿勢が求められると思います。

佐藤:森川も言ったとおり「これまでと同じことをこれまで通りに」では、ビジネスサイドの期待には応えられません。また、コーポレートの専門会社ということは、「言われたことをやる」のではなく「課題を自ら発見し、最適なやり方を提案して実行する」ことが期待されています。人事業務をグループ外に委託することはありません。そのため、競争相手がおらず、成果を出しても出さなくても仕事にあぶれることはない、ということになります。でも、人事が果たすべき役割を果たせないと、ビジネスの成長の足を引っ張ってしまうことになります。自身の専門性を突き詰めつつも、その枠にとらわれず様々なチームと積極的にコラボレーションし、自律的に成長していける人材が求められるでしょう。

電通コーポレートワンには、人事センターだけでも20を超える部署があり、幅広い業務経験を通じてスキルを磨いていくことができます。これから人事パーソンとして生きていく、あるいは腕を磨いていこうという方にとっては、これ以上ないエキサイティングな環境ではないかと思います。