老舗メーカーで革新を生む エンジニアが語るTOTOのDXとキャリア

水まわりの総合メーカーとして誰もが知る「TOTO」。キッチン、洗面、トイレ、お風呂など、誰もが毎日触れるものを手掛けていますが、実は今、DXやIoTを駆使して暮らしに新たな価値をもたらす取り組みを加速させているのをご存知でしょうか。たとえば遠隔操作で浴室内の機器をコントロールするシステムや、健康状態をトイレでチェックするウェルネストイレへの挑戦など、既存の“衛生陶器メーカー”の枠を超えた革新的な製品づくりに注力中。今回お話を伺ったのは、DXに関する製品開発をリードする技術主査の山崎さんです。前職では無線通信モジュールを開発していた山崎さんが、なぜTOTOで“モノ×IT”の最先端に挑み、どのようなやりがいを感じているのか。その想いと、TOTOで実現したい未来について語っていただきました。

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BtoBからBtoCへ。TOTOに挑戦を決めた理由。

── 前職ではどのような業務に携わっていたのでしょうか?

前職は、無線通信モジュールを扱う部品メーカーに在籍し、ハードウェアの開発を担当していました。具体的には、携帯端末やスマートフォンなどに組み込まれる通信部品の設計です。当時登場したばかりのPDAと呼ばれる携帯情報端末を見て、無線通信の時代が来ると考えたのが入社の理由でした。部品メーカーの強みとしては、さまざまな最終製品に採用されることで幅広い分野に貢献できる点があるものの、一方でエンドユーザーの声や使われ方が直接見えにくいという課題もありました。自分が開発した部品が使われる製品を普段目にすることは少なかったですし、実際にユーザーがどのような価値を感じているのかといった情報を得る機会も限られていたんです。そうしたなかで、ものづくり全体のプロセスを見渡しながら、お客様のリアルな反応を感じ取れる環境で働きたいという気持ちが高まっていきました。

── そこからTOTOへの転職を決めた理由は?

いちばん大きな理由は、お客様の生活に直結する最終製品づくりに携わることができると感じたからです。TOTOの製品は、毎日何度も使うトイレやお風呂など、“生活インフラのど真ん中”ともいえる存在ですよね。そこに携わることで、「自分の技術がどんなふうに活かされ、ユーザーの暮らしをどう変えているのか」を肌で感じられるのではないかと考えました。そして入社の決め手となったのが、TOTOがDX/IoTに本腰を入れ始めた絶好のタイミングだったことです。「世界トップクラスの衛生陶器メーカー」としてTOTOのブランド力は高かったものの、当時はまだDXの専門家が社内に少ない状況だと聞いて。だからこそ、私の前職で培った知見がダイレクトに活かせるのでは、と考えたんです。面談でも「新たな専用部署を立ち上げて、これからIoTの新製品をつくるために必要なスキルをどんどん取り入れていきたい」というビジョンを聞きました。ここでなら、経験を活かすだけでなく、企画の段階からものづくりに関わり“エンドユーザーにとって本当に価値のあるプロダクト”を生み出せると確信しました。

また、TOTOがもつ「品質を最優先に考える姿勢」も大きな魅力でした。水まわりや衛生に関わる製品は、人々の健康や安心に直結するため、ちょっとした不具合やミスが許されない世界です。そのぶん開発には手間や時間をかけるのですが、だからこそお客様に誇りを持って高い品質の製品を届けようとするTOTOの哲学に共感しました。「本物の品質にIoTを掛け合わせて、新しい顧客価値を広げることができる」──そんな可能性を感じたことが、私がTOTOを選んだいちばんの理由です。

DX専門部署が拓く、新たなTOTOの“水まわり体験”。

── 現在の仕事について教えてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する製品を開発する部署で、技術主査という立場を任されています。お風呂・トイレ・キッチン・洗面といったTOTOの全製品に対し「IoT技術を活用して便利にできないか?」といった企画や設計、技術的なサポートを横断的に行うチームのリーダーというイメージですね。製品のジャンルごとに担当部署があるのですが、各部署から「IoTでこんな機能を実現できないか」といった相談を受け、プロジェクトに参加するというスタイルが多いです。

時には私たちから「こんな機能で新しい価値を提供できるかもしれませんよ」と提案し、企画の立ち上げ段階から入ることもありました。どのパターンであっても、積極的に提案できるのが大きなやりがいです。たとえば、2020年9月にリリースした「つながる快適セット」は、その代表的なプロダクトの一つ。スマートフォンからお風呂の給湯や乾燥を遠隔操作できるほか、複数の機能を連携させることで暮らし全体をより快適にしてくれます。ユーザーの方からも、「帰宅前にお湯を張っておけるから助かる」「浴室内の湿気管理が簡単になった」という声が届き、“生活に直結する手応え”を感じました。

実際の設計・試作品テストを含む全工程に裁量を持って関われるのもこのポジションの特徴です。TOTOは品質に対してとにかく厳しく、仮に不具合が疑われれば発売を止めるほど徹底していますが、その分「自信を持ってお客様に届ける製品づくり」ができる。それは“部品メーカー”の頃には得られなかった、ものづくりの醍醐味だと思っています。

── エンジニアにとってTOTOはどんな環境ですか?

TOTOにとってのDXはまだ歴史が浅く、挑戦できる余地がたくさんあります。私も入社してから新しい技術を積極的に取り入れたチャレンジをしてきました。たとえば、公共トイレ内にある様々なセンサーを、近距離無線通信規格の一つ「ZigBee」を活用して繋いだ設備管理システムを開発しました。「ZigBee」は低コスト、低消費電力、複雑な設定をすることなくネットワークを構築できるという特徴を持っており、遮蔽物や故障した端末があっても迂回して通信を行う柔軟性が強みです。これで混雑状況をデジタルサイネージに表示したり、利用状況を見える化して効率的に清掃や備品補充をしたりといったことが可能に。私たちには、前例がないからできない、という発想はありません。ZigBeeも当時は詳しい人がいなかったので、チームメンバーみんなで勉強したり、詳しい人の話を聞きにいったりしました。全員が新しいことに積極的に取り組む姿勢をもっているからこそ、公共トイレに新しい価値を与えられたのだと思います。

部署間の垣根も低いので、ちょっとしたアイデアを思いついて社内チャットに書き込めば、すぐにミーティングが立ち上がることもしばしば。フラットなカルチャーで、「この技術面白そうだから試してみよう」という声に対して「やってみよう」と背中を押してくれる空気があるんです。また、開発中の試作品を社員が実際に試してフィードバックする文化も根づいており、「こんなシーンでも使う可能性があるのではないか?」と徹底的に洗い出します。品質優先の理念が隅々まで行き届いているからこそ、安心して新技術に挑戦し、生活の中で本当に役立つ形に仕上げられる。ものづくりとITの両方を本気で楽しみたいエンジニアにとって、TOTOは絶好の環境だと感じます。

品質ファーストで生活空間の未来を創る。TOTO×IoTが目指すこれから。

── TOTOのものづくりの特徴に、品質を最優先する文化があると聞きました。具体的にはどのような取り組みをしているのでしょうか?

トイレやバス、キッチン、洗面台は、生活インフラそのものです。世界中の誰もが毎日触れるものを、私たちは手掛けています。水まわりの製品はちょっとしたエラーでもお客様の快適さや健康を損なう恐れがあるため、「絶対に不具合を起こさない」ことが大前提。私が携わるDX分野でも同様で、開発段階からあらゆる使用シーンを想定し、徹底的な検証を行っています。

たとえば、試作品を社内のメンバーに配って実際に使ってもらい、すべての不具合を洗い出すステップを繰り返したり、長期間にわたる耐久テストを実施したり。万が一エラーの可能性が残る場合は発売を見送り、再度検討し直すケースも珍しくありません。利益や開発スピードよりも「お客様に安心して使っていただく」ことを最優先するのがTOTOの一貫した姿勢であり、これこそが創業から続くものづくりの哲学だと感じます。

── TOTOのDXが描く今後のビジョンを教えてください。

一例として、2025年3月に「トイレから始まる新たな健康習慣」の提案を目指し、開発中のトイレを参考出展しました。いわゆる「ウェルネストイレ」と言われるもので、センサーにより便をスキャンし、便の性状を計測。スマートフォンのアプリに計測結果と健康習慣に関するレコメンドを伝えます。これまでは陶器の品質や機能面を磨くことで価値を提供していましたが、DX技術を取り入れることで「暮らしの質そのもの」をアップデートする段階へと進んでいるわけです。

お風呂やトイレだけでなく、キッチンや洗面、照明や空調までを統合し、ライフスタイルに合わせて自動制御する。こうした未来を現実のものにするために、品質ファーストの姿勢を維持しつつ、新たな通信技術やデータ活用にも挑戦している最中です。もしかしたら、これから入社される方のスキルや知見がTOTOの技術と化学反応を起こして、全く新しい価値が生まれるかもしれない。そう考えるだけで今からワクワクしますね。

── 最後に、この記事を読んでいるエンジニア志望の方へメッセージをお願いします。

私自身は、もともと無線通信や電子機器部品といったニッチな分野から飛び込んできましたが、それでもTOTOのDX領域で大いに挑戦できています。これは、水まわり×IoTはまだまだ開拓の余地が大きく、前例がないからこそ、新しい発想を歓迎する社風があるから。TOTOがこれまで培ってきた技術と、最先端のIoTを融合させて、まだ世の中にないサービスを形にするチャンスはいくらでもあります。「自分の技術がどう活きるのか分からない」と思っている方も安心してください。私も業界の異なる部品メーカーで培った知見を活かせています。

また、私たちの部署は特に中途入社のメンバーが多く活躍しています。コミュニケーションが活発で社歴に関係なく自由に意見し合える雰囲気もあり、私も含めみんな入社後に違和感なく馴染めているのも、当社の良いところかもしれません。多彩なスキルや経験をお持ちの方と一緒に、TOTOの未来を切り拓いていけることを楽しみにしています。

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