水まわり空間を「パーソナルヘルスの入り口」に?IT人材が鍵を握るTOTOの新戦略

TOTO株式会社と聞くと、高品質なトイレや水まわり商品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、同社の真の姿はそのイメージだけでは語りきれません。実は近年、クラウド・IoT・データ活用を駆使し、製造業の枠を超えた“デジタル活用企業”としても急速に存在感を高めています。エレクトロニクス技術本部では、他社SaaSを活用したデータドリブンな業務改革から、お客様接点を一元化する新サービス構想、ウェルネス対応の新商品開発まで、従来の枠を超えた取り組みが進行中です。暮らしのインフラを支えてきたTOTOが、いまは“データ×生活”で新しい価値を創り出すフェーズに突入しています。今回は、システムインテグレーター(SIer)で活躍されたのち、同社に中途採用で入社され、エレクトロニクス技術本部で活躍する中野さんにTOTOの最新の取り組みについてお伺いしました。

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暮らしを支える設備機器メーカーからIT領域へ踏み出す

── 貴社について教えてください。

TOTOは、トイレ・洗面・浴室・キッチンといった水まわり商品を中心に、「まいにち」を支える総合メーカーとして発展してきました。長年培ってきた衛生陶器の開発力や、温水洗浄便座「ウォシュレット」に代表される精密制御技術は、国内外で高い評価を得ています。暮らしに欠かせない商品を提供し続け、そのなかで育まれた技術力が、当社の大きな強みです。

一方で、今日のTOTOはハードの優位性に加え、デジタル領域にも踏み出しました。私たちが手掛ける商品は老若男女問わず、だれもが毎日使うもの。これまでに培ってきたビッグデータを活用することで、今まで以上に世界中の快適で健康的な「まいにち」に貢献できると信じているからです。エレクトロニクス技術本部では、ミッションのひとつとして、水まわりの利用データの活用や、IoT商品・システムの研究開発など、ITを起点とした価値創出に挑んでいます。その象徴的な取り組みが、社内外のサービスの一元化を目指す「お客様接点強化プロジェクト」です。ユーザーが必要とする情報や手続きを迷わず行うことができるよう、TOTOとお客様をスムーズにつなぐ“新たな接点”の構築が進められています。新たな価値を生み出し、届けるための重要な土台づくりと言えるかもしれませんね。

また、生産性向上や事業改善を目的としたデータ活用も進行しています。たとえば他社SaaSを導入したことで、従来の手法では約38年かかると見込まれていた膨大なデータ処理を、4時間に短縮することに成功しました。これから社内の他部門に横展開していく予定です。

生活の当たり前をつくってきたTOTOが、次に挑むのは「水まわり×IT」が生み出す新たな価値創造です。生活の基盤を支える企業だからこそ、日々の体験をより良くする責任があり、その実現にはITの力は欠かせません。当社の先端技術開発の推進には、そんな使命感が確かに存在しています。

専門性が交わり、新しい価値が生まれる環境へ

── 貴社の働く環境や仕事内容について教えてください。

TOTOの先端技術開発は、企画と技術、それぞれの専門性を持つメンバーが緊密に連携しながら進められています。IoT企画構想立案エンジニアをはじめとする企画側のチームは、「DXで何ができるか」をテーマに、各種データの活用や、新たな価値・体験を社内外にお届けする商品/サービス/システムの企画構想が主な仕事です。課題整理、社内ルールの整理、関係部門との合意形成など、プロジェクトの“基盤づくり”も担っています。プロジェクト規模はテーマに応じて変動します。前段でお話しした「お客様接点強化プロジェクト」は5名体制でスタートしました。要件定義が終わりつつある今、具体化フェーズに向けてメンバーが拡張し始めています。一方、データ活用プロジェクトは少数精鋭で進められており、データ基盤の整備から横展開の戦略立案まで2名が中心となって推進しています。

さらに、必要に応じて総合研究所の研究者とも連携し、水まわりの深い専門知識を取り込みながら開発を進めています。このような小回りの効く体制は当社の魅力の1つです。私の所属するチームと研究職が同じフロアに在籍しており、進むべき方向を即座に共有できる距離感が、スピードと品質を両立させています。メンバー構成も多様で、新卒から中堅、異業界からの中途入社の人材まで幅広い層が活躍しています。普段から意見交換が活発で、立場に関わらず議論ができる社風です。この心理的な安心感が新しい発想を生みやすくしていますね。多様性のあるメンバーが集まり、異なる専門性が交差する場所から、TOTOならではの価値をカタチにする──それが当社の現場の魅力です。

TOTOのDX推進を加速させる鍵は、技術力よりも“伝える力”だった

── 貴社で働くやりがいについて教えてください。

TOTOの先端技術開発における最大の難しさは、技術そのものよりも“価値をどう伝えるか”にあると思います。システム会社とは異なり、必ずしも全員がITの専門知識を持っているわけではありません。そのため、新しい技術を導入する際には、抽象度を調整しながら「なぜそれが必要なのか」「導入すると何が変わるのか」を直感的に伝える工夫が欠かせません。技術要素を過度に強調するのではなく、現状と目指す姿を丁寧に言語化し、共通認識をつくるプロセスが非常に重要になります。

一方で、この“歩み寄り”が生み出すおもしろさもあります。ITナレッジを駆使しながら、研究・技術部門と対話し、新たな価値を一緒にカタチにしていく過程は、一般的なSIerでの開発とはまったく異なる感覚ですね。大きな承認を得るまでのハードルはあるものの、その分、プロジェクトが動き出した瞬間の達成感は格別です。

さらに、仕様策定から技術選定まで自らの判断がプロジェクトの土台になる点も大きな魅力です。TOTOでは“価値提案から実現まで”を一気通貫で担うことができ、自分のアイデアがサービスとしてカタチになる経験を積むことができます。

このやりがいを支えているのは、TOTOならではの社風です。社員一人ひとりの距離が近く、思ったことを素直に話すことができる雰囲気があります。水まわり商品は老若男女すべての人が使うため、“人に優しくあること”が社内でも自然と文化として根づいており、議論の場でも互いを尊重しながら進められます。前職では売上や納期に追われ、競争が当たり前の環境にいたメンバーからも、「TOTOでは一緒に価値をつくる仲間として向き合うことができる」という声をよく聞きますね。

完璧である必要はない。学びながら挑戦できるTOTOのDXフィールド

── どのような方が向いていると思いますか。

TOTOの先端技術領域では、技術力と提案力の両方をバランスよく発揮できる人材が求められます。特に、価値提案から導入までを一気通貫で担うポジションのため、プログラミングやサーバー構築、クラウドの基礎知識といったシステム開発スキルは欠かせません。また、導入決定後は外部パートナーと連携しながら実装を進めるケースが多く、ベンダーマネジメントの経験も重要になります。技術的な判断とコミュニケーションの両軸が伴うポジションと言えますね。

ただし、すべてを入社時点で完璧に備えている必要はありません。実際にチームには、システム会社の出身者からプロダクト系のバックグラウンドを持つメンバーまで多様な人材が在籍しています。基礎的な技術理解を持ち、調べながら試行錯誤できる姿勢があれば十分に活躍できます。社内には専門家も在籍しており、必要に応じて相談しながら知見を補完できる体制が整っています。また、オンライン研修環境や独自の教育プログラムも用意されており、業界未経験でも心配ありません。

システムをつくる人材から価値をつくる人材へ

── キャリアパスについて教えてください。

キャリアパスは大きく二つの方向性があります。一つは専門性を極め、特定分野のスペシャリストとして価値を発揮する道。もう一つはマネジメントに進み、プロジェクト推進や組織づくりに携わる道です。いずれも固定された経路ではなく、スペシャリストからマネージャーへ、あるいはその逆へと柔軟に進むことができます。

私自身はマネージャー職を目指しています。この部門は立ち上がってまだまだ若い組織です。これまで培ってきた技術やノウハウを活かして組織をマネジメントし、IT領域で社内外のパートナーと対等に渡り合えるIT組織を目指したいですね。前職は要望に合わせてシステムをつくる、いわゆる縁の下の力持ち的ポジションでしたが、IoT/DX 領域の専門家として、先進的なサービス・商品を提供していくことで、社会の発展に貢献したいと思っています。

水まわり×デジタルという独自の領域で、自分の技術をどう価値につなげるか──。その問いに向き合いながら、成長していける環境だと実感しています。

ITの力でTOTOをアップデートしていく

── 今後の展望について教えてください。

私たちは、共通価値創造戦略「WILL2030」を掲げ、「新しい暮らし方や価値観の変化の中で、 『持続可能な社会』と『きれいで快適・健康な暮らし』を 実現するという「意志=WILL」を持って、 世界中にTOTOファンを増やしていく」という挑戦をスタートしています。水まわりは健康状態と密接に結びつく場所であり、IoTやデータを掛け合わせることで、これまで見えなかった価値が生み出すことができると考えています。

その一例が「Daily Wellness」プロジェクトです。排せつ・手洗い・入浴など、日常の“当たり前の行動”を健康づくりのヒントとして捉え、トイレや洗面所を“パーソナルヘルスの入り口”へ変えていく取り組みです。単なる商品開発ではなく、生活者のウェルビーイング全体をデザインする発想がそこにはあります。

このような取り組みも序章にすぎません。水まわり業界においてIoT/DXはまだまだこれからチャレンジする領域が多く残されている分野です。業界のリーディングカンパニーとして長年築いてきたブランド力と技術基盤を持つTOTOには、世の中を席巻する商品・サービス生み出す挑戦の余白が大きく残されていると言っても過言ではありません。

── この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

私自身はSIer出身で、水まわりの知識はほとんどありませんでした。それでも今、TOTOのDX領域で大きな価値提案ができています。背景には、新卒・中途を問わず多様な意見を歓迎し、自由な発想を尊重するカルチャーがあります。IoT/DX の挑戦を受け入れる度量があり、“新たな価値をつくりたい”という意志を大切にしてくれる環境です。さらに魅力的なのは、企業理念をはじめとする先人から脈々と受け継がれてきた思いが深く浸透している点です。「どうしても親切が第一」「需要家の満足が掴むべき実体」という精神を全社員が共有しており、伝統を重んじながらも、同じ方向を向いて新たな挑戦を続けています。

水まわりはすべての人の生活と結びつく領域であり、そこにデジタルが加わったとき、暮らしは大きく変わります。そんな変化の起点に立ち、未来の体験をカタチにしていくことは、この仕事ならではの醍醐味です。生活文化を支えてきたTOTOに、あなたの技術と発想が加わったとき、どんな未来が生まれるのか──その答えを、ともに探してみませんか。

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※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。