プロセスエンジニアの論理的思考力を活かしコンサルタントへ【転職事例Vol.05】林佑悟

東南アジア出身、技術畑で経験を積んできた求職者。コンサルタントという新たな可能性を提示し、「チャレンジしたい」という思いに火をつけた

プロセスエンジニアとして高い実績。論理的思考力に注目

東南アジア出身の技術者、Aさんとの出会いは2014年9月。キャリアカーバーにご登録いただいたレジュメを拝見し、その経歴に惹かれてご連絡したのが始まりです。

Aさんは34歳。大学留学で来日し、卒業後は外資系化学メーカーに入社。関西にある拠点でプロセスエンジニアとして活躍していました。多国籍のメンバーをまとめ、国内工場の製造ライン効率化プロジェクトに携わり、大幅な製造コスト削減を実現。アジア各国の工場にも頻繁に出向き、力を発揮していました。

Aさんにご紹介したいと思った求人案件は、東京に本社を構えるコンサルティング会社B社が募集している人材や組織改革を主に扱うコンサルタントのポジションでした。全くの畑違いに思われるかもしれませんが、技術者ならではの論理的思考力は、コンサルタントには必須のスキル。理系出身で活躍しているコンサルタントは、実は多いのです。

加えてB社では、グローバルで活躍できる人を求め、ポテンシャルが感じられれば異業界からの転身も積極的に受け入れていました。ダイバーシティの推進にも積極的で外国人も働いており、Aさんならばピッタリなのではないかと考えました。

まずはメールでこの求人案件をご紹介したところ、「興味がある」との返信をいただいたため、電話面談を実施。外国の方だとはとても思えぬほどの、流暢できれいな日本語をお話になり、敬語の使い方も完ぺきで、驚かされました。また、会話のキャッチボールもうまく、コミュニケーション力の高さも感じられました。

キャリアに対する考え方を詳しく伺ったところ、今までのキャリアを活かせる役割を探すと同時に、「チャンスがあれば違う世界も見てみたい」、「自分の可能性を探りたい、チャレンジしたい」という強いご希望をお持ちでした。そこで、改めてB社のポジションについて詳しくご説明。今後アジア全域に拠点を作り、本格的な海外進出を目論んでいることもお話ししたところ、「自分が力を発揮できれば、ゆくゆくは母国にも拠点を作り、母国の成長にも貢献できる」と、応募いただきました。

一次面接を終えた段階でB社からは「コンサルタントに必要な考え方を持っており、コミュニケーション能力も高い。日本語も堪能で、日本企業のクライアントも十分お任せできる」と高評価。明るさと謙虚さを兼ね備えている点も評価され、とんとん拍子で内定が決まりました。しかし、ここで思わぬ壁に突き当たりました。Aさんの奥様の反対です。

林佑悟さん

求職者が抱える「不」を全て聞き出し、一つひとつ解消する

Aさんの奥様はAさんの母国出身で1年ほど前に来日したばかり。日本語はほとんど話せません。しかも現在妊娠中で、やっと住み慣れた関西から離れたくないという思いをお持ちでした。また、Aさんは、他の人材コンサルティング会社経由で化学メーカーC社からも内定を得ていました。C社も東京勤務ではありましたが、「全くの異業種に飛び込むよりも、今までの経験をそのまま活かせるC社のほうが、先行きが安心だ」とC社を推しているとのこと。

無理にB社への転職を勧めるつもりはありませんでしたが、Aさんは新しい可能性にチャレンジしたいという強い思いを持っておられましたし、私もB社に進めばAさんのキャリアの可能性はさらに広がると考えていました。「独身だったら、絶対B社に決めるんだけど…」というAさんのつぶやきを聞いた私は、「お二人が今感じている懸念点を、すべて話してください。可能な限りご協力させて頂きます」とお伝えしました。

Aさんから挙がって来たものは、「出産を控えた妻がいるので、できればしばらく関西にいたい」「入社後に専門知識を身につける必要があるが、未経験者向けの教育制度が整っているか心配」「どれぐらい努力すれば、未経験者でも短期間にキャッチアップできるのか」などの不安や懸念点。これらについてB社と相談し、できる限りの解決策を考えました。

奥様の不安を解消するため、はじめは関西にある支社で勤務してもらい、出産後落ち着いた頃に東京本社に異動するというプランを設計。教育制度についてはプログラム内容を詳細にお話しし、B社で活躍するエンジニア出身の先輩社員とも会っていただきました。先輩社員の「正直、初めは大変です。でも、とてもやりがいのある仕事ですし、エンジニア出身者も多数活躍していますよ」との言葉に、Aさんは腹を決めてくれました。「先輩社員の生の声を聞けて良かった。とてもワクワクできたし、新しいことにチャレンジしたいという思いを再確認できた」と言っていただけたときは、本当に嬉しかったですね。

奥様の同意も得たAさんは、2014年12月に同社に入社。現在はまだ研修中ですが、新しい知識を貪欲に吸収している様子で、嬉しく思っています。

林佑悟さん

個人では思いつかない新たな可能性を提示し、視野を広げてもらいたい

私は人材コンサルタントとして、求職者の方の「想い」をじっくり聞くように心がけています。仕事、キャリアについてどう考えているのか、本当にやりたいことは何なのか…聞き役にとことん徹して、徐々に心を開いていただき、奥底にある本心をつかむようにしています。「できること」だけでなく、「本当にやりたいこと」もつかむことで、求職者が心から納得でき、ワクワクできる1社をご紹介したいと考えているからです。

Aさんの事例で、改めて「本心を聞く」ことの大切さを再認識しました。新しいことにチャレンジしたい、仕事でワクワクしたい、もっとステップアップしたいという彼の並々ならぬ思いに触れられたし、懸念材料も一つずつ解消することができた。モヤモヤをすっきり取っ払ったうえで次のステップに進んでいただけたことが、コンサルタントとして何より嬉しいし、我々の介在価値を強く感じることもできました。

Aさんに始めにオファーをしたとき、彼は「自分にこんな可能性があるのか」と驚き、喜んで下さいました。これからも、求職者一人ひとりの「本心」を大切にしつつ、新しい可能性を提示し続けたいですね。我々人材コンサルタントと話すことで、一人でも多くの方に「こんな世界もあり得るのだ」と視野を広げていただきたいし、これからのキャリアにワクワクしてもらいたい…と願っています。

林佑悟さん

林 佑悟さん

株式会社アイ・エス・エス・コンサルティング

理工系専攻にて大学院修了後、外資系IT企業に入社。ストラテジックアウトソーシング部門にてシステムエンジニアとして複数のプロジェクトに従事。その後、日系証券会社 IT基盤部門を経て、ISSコンサルティングに入社。今までの経験を活かし、IT業界、コンサルティングファーム、金融業界を担当している。

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