横断的な業務経験を整理し強みを明確にした結果、CFO兼管理部長に【転職事例Vol.23】岡本 裕

クライアント企業様と“共に”要件定義した「独自案件」だからこそ、またS様の本当の強みを知るための詳細な「ご経験の棚卸し」を行ったからこそ真のマッチングを実現できた

横断的な業務経験を一つひとつ詳細にヒアリングし、Sさんの強みを整理した

Sさんは40代半ばの女性で、前職では中小規模の会社で経理を中心とした管理部長を務めていました。その会社がクローズすることになり、最後まで残ったSさんは、会社を閉じてから転職活動をスタート。しかし、キャリアが経理・総務・財務・人事など幅が広く強みがわかりにくかったこと、ご本人が管理部長かそれに近いポジションを希望していたこと、希望年収と提示年収の間に開きがある案件が多かったことから、なかなか転職先が決まらない状況でした。そこで困ったSさんが、あるとき私のところにやってきました。

私はまず、Sさんの一日の出社から退社までの動きを一つひとつ詳細に伺って、ご経験を細かく棚卸ししていきました。例えば経理の仕事に関しては月次決算の際にどこまでを自分の手で進め、どこからは税理士に任せていたのか。財務であれば銀行折衝の際にご自身はどのような役割を担っていたのか。総務であれば、どのような業務を中心として、コストカットなどの面では、どのような施策を打ち出し、どのような成果を得られたのか、などを言語化できるようにしていきました。

なぜ最初にこうしたことをするかといえば、Sさんのような方にとっては、キャリアの棚卸しこそが、面接成功の秘訣であり近道だからです。私たちPMCは、CXOや管理部長・マーケティング部長、経営企画や事業企画など、キャリアや業務内容やスキルが言語化しづらく、会社によって個別性が高い職種を主に扱う転職エージェントであるためです。こうした職種では、例えば「経理をしていました」「経営企画をしていました」と語るだけでは、具体的に何をしてきたのかが伝わらず、その方の強みや価値がなかなか見えません。それどころか、会社によっては「CFO」「管理部長」などのポジションや業務内容は、職種名は一緒ではありますが、その役割は大きく異なるケースが珍しくないのです。極論を言えば、言葉の定義から1社ごとに違います。だからこそ、Sさんのように「できること」と「やりたいこと」を細かく棚卸しすることが大切です。求職者の方が自らのキャリアを棚卸しして、自分の強み・価値・得意分野などを具体的に言語化し、理解できれば、面接時にも定義の違いを乗り越えて、自分のことを的確に伝えられるようになるのです。

Sさんは特に謙遜する傾向が強い方で、例えば当初は「財務の経験はありません」とおっしゃっていましたが、棚卸しをすると、確かに銀行との折衝を単独では行っていませんでしたが、折衝の際に必要な資料はすべてSさんがつくっていましたし、折衝の場にも毎回同席していたことがわかりました。これは企業によっては財務経験として見られます。後ほど詳しく説明しますが、この経験が、SさんをU社に紹介する上で1つのポイントとなりました。

岡本裕さん

要件定義をこちらから企画・提案するのが私たちのスタイル

このように求職者の方々に接する一方で、私たちは企業サイドにもできるかぎり丁寧に対応しています。クライアントから「採用業務のアウトソースをお願いできませんか?」とお声かけを頂けることは、1社のエージェントとしてではなく、より深くクライアントに入り込めていることだと考えています。私たちはクライアントからご依頼を頂いた際、まずはクライアントの社長・人事部長・対象職種の上長などの方々に直接ヒアリングをします。次に、そこで得た情報を基に、今回求める人材の「要件定義」を複数のバリエーションで企画・提案し、そのなかからクライアントとともに要件定義を決めていきます。その上で、求人メディアなどを活用して、要件定義に合った人材を探すというのが、私たちの一般的な仕事の進め方です。常に要件定義から入り込む形でビジネスを行っている転職エージェントはそう多くはないかと思います。言い換えれば、私たちは、転職市場に出回らない独自案件や転職市場で目にする以前に採用完結をしている非公開求人を常にいくつも抱えているのです。

実は、今回Sさんにご紹介したU社の案件も、私が要件定義を行った独自案件です。U社は、イベントプロデュース・ノベルティ制作・ライセンス管理などを広く手がける数十名規模の会社で、ビジネスは好調が続いており、組織の強化・拡大を目指していました。そのためには、管理業務のほとんどを社長が行う現体制を変革し、本格的な管理部門を立ち上げる必要があります。そこでU社は、「CFO兼管理部長」として、経理・財務を中心にして管理部門全体を広く見ることのできる人材を必要としていたのです。経理財務を中心とし管理部門を横断的にマネジメントできるSさんのような方を求めていたというわけです。特に、経理全般がわかる経理スキルや、社長の銀行折衝を全面的にサポートできるだけの財務スキルが必須でした。それから、組織変革を進めるにあたって、今回のポジションの方には常にバランスを取りながら行動していただく必要がありますが、Sさんは以前の会社で組織変革に携わった経験があり、変革時のバランス感覚にも長けていました。まさにうってつけの人材だったのです。私はSさんのキャリアの棚卸しが終わった時点で、このポジションにピッタリ合っていることを確信していました。

Sさんの入社が決まった後、U社の社長からは「本当にピッタリの方ですね」と言われました。嬉しいお言葉でしたが、自分で要件定義を決めた案件なのだから、ある面では当然の仕事だと思っています。

岡本裕さん

面接を「ミーティング」のようにしていただきたいと思っている

面接時、私たちは面接官の方に、求職者のスキルや印象などの基本情報を事前に詳しくインプットするようにしています。なぜなら、私たちは面接を「ミーティング」のようにしたいと思っているからです。これまでご説明してきた通り、要件定義のフィルターは私たちがすでにかけていますから、スキルチェックなどはできるだけ早く済ませて、経営陣・上長と求職者の方の相性が良いかどうか、双方の考え方やスピード感が合っているかどうか、ワークライフバランスの考え方がどうなのかを確かめたり、人となりをお互いに理解し合ったり、具体的なビジネス課題の目線合わせをしたりする場として活用していただきたいと思っています。

私たちは、入社後の「こんなはずじゃなかった」を極力減らしたいのです。CXOや部長レベルの募集案件でありがちなのは、入社後に経営陣・上長との考え方や性格が合わずに辞めてしまうことです。また、事前に会社が伝えていた課題や役割が実はまったく違ったために、辞めざるを得なくなるケースもあります。こうしたことが起こるのは、お互いにとって、そして私たちにとっても不幸以外の何物でもありません。こうしたことを防ぐためには、面接時にできるだけ両者に素の自分を出していただき、お互いを深く理解していただき、会社の状況をできるだけ具体的に共有していただいて、フィット感を高めることが大切です。

これらの努力の甲斐があって、PMCを通してお仕事が決まった方で、短期間で辞めてしまう方はほとんどいません。

Sさんの場合は、1次面接でスキルチェックをすべて完了していただき、2次面接は、レポートラインとSさんの考え方が合うかどうか、ビジネスのスピード感にズレがないかどうかを見る場、そして具体的な課題の共有と目線合わせなどの場として使っていただきました。3次はランチ面談で、改めて将来の方向性やSさんの将来のキャリアについて軽く話し合っていただいた上で、役員とSさんが握手をして、無事に入社が決定しました。困り果てたSさんとお会いしてから、わずか1カ月後のことでした。U社の社長からも、「今回は良いご縁をいただけて感謝しています」とお礼の言葉をいただけ、大変嬉しく思っています。

最後に、一つだけメッセージをお伝えしたいと思います。私たちは、すでに転職をすることを決めている方々だけでなく、現職に残るかどうかを悩んでいる方々の相談も受け付けています。全てのケースが【転職すること】で解決できることではなく、あくまで現職の企業に残ることを決心されるきっかけになることも大切なことだと思っています。ぜひ悩まれたらまずは気軽にご相談ください。お話を伺った上で、まだ転職しないほうがよいと感じたら、はっきりとそのようにお伝えしますし、自己実現されるための転職の一端を担えるのであればそれも一つだと考えています。いずれにしても、迷いがなくなって、気持ちよくお仕事ができることは素敵なことだと考えています。

岡本裕さん

岡本裕さん

PMC株式会社

岡本 裕さん

大学を卒業後、人材紹介・採用支援を行うベンチャー企業へ入社。紹介事業部にて、サービス業中心にコンサルタントとして従事。その後、部署のM&Aにより、大手派遣会社の紹介事業の立ち上げに携わる。IT・不動産・金融のチームの立ち上げを行い、サービス業界に特化したチームの立ち上げも並行して行う。その後、ヘッドハンティング会社にて登録型の人材紹介・新卒紹介事業の立ち上げに参画し、同社で取締役として8年ほど従事。現在は企業の根幹を担うポジションを中心とした紹介事業を立ち上げ現在に至る。

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