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幹部クラスの皆さんにとって、「猪突猛進型」転職が危ない3つの理由

コロナ禍の期間中も変わらず、活況を呈する幹部クラスの転職市場。アグレッシブに活動される経営幹部・管理職の方々も非常に多くなっていますが、その分、落とし穴にはまる方も増えていらっしゃる模様です。その原因と対策を見てみましょう。

求人案件への「猪突猛進型」エントリーがなぜ問題なのか?

当社でもリクルートダイレクトスカウト上から、日々、多くの経営幹部や管理職の皆さんからの転職ご相談、求人案件へのご応募を頂きます。
その際、私たちが感じることは大きく2つに分かれます。

「このかたが、今回、この案件にご興味をお持ちになるのは、なるほどきっとこのご経験を活かして、今後、このようなことをされたいのだろうな」

「うーん、このかた、これまでのご経験やご専門をみるに、この辺りが主戦場でいらっしゃると思うのだけれど、今回、なぜこの案件に応募されているのだろう?」

私たちがお会いすることになるのは、前者の方々です。
後者の方々には、お力添えしたい気持ちはあれども、どうして差し上げれば良いか分かりかねる。また、ご検討頂くべきポジションはこれこれの類だと思うのだが、あいにくそれに該当する案件は現在、当社の手持ちにはないので、お時間を頂いても具体的に進めていくお話ができない。こうした理由で、ご面談を差し控えることが多くなります。

特に困ったな、と感じるのは、脈絡なく様々な求人案件に多数同時に応募してこられるかたです。

これが、私たちにどう映るかといいますと、何をされたいかや、ご自身のお力の活かしどころを自覚できていないのではないか。深く考えて転職活動されていらっしゃらないのではないか。焦って「どこでも良いから移りたい」となってしまっているのではないか。こうしたかたに見えてしまうのです。

もちろん転職活動においては、様々な案件を検討してみることが大事です。しかし、そこにはあなたのこれまでのキャリアとの接合点が必要であり、また、今後どうされたいのかについての一貫性が重要です。特に組織や事業を背負う幹部・管理職の皆さんですので、当然、企業側は一般職以上にこの部分について着目しています。

「とにかくアプローチしないと」と、業種、業界のみならず職種、職責もかなりバラバラの求人に片っ端からエントリーする、<下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる型>の応募は、ご本人の気持ちとはおそらく裏腹に、百害あって一利なしです。

こうした典型的な「転職活動を一生懸命にしているつもり症候群」は、企業側からすると「なぜ?」「できるの?」の嵐。結果、エントリー全滅に…。
応募総数=転職活動度合い、ではないということを認識頂ければと思います。<経験・専門性>と<今後の志向、希望>でしっかり応募先を絞り、想いのこもったエントリーを重ねましょう。それだけで、エージェントや企業からの反応が変わると思います。

面接時の「私を見てください」スタンスは、何が問題か?

書類通過し、面接に進みました。
そこで起こる、クライアント企業の社長や人事部長から共通して聞く採用選考での困った(頭にきた)「あるあるケース」は、こんな場面です。

まずひと通りの経歴確認があり、あなたは自信満々でこれまでの歩みを面接官に話しました。相手の反応も好感触です。
そして後半、「で、今回のポジションでは、我が社で現状、○○事業における主力製品の市場シェアが徐々に落ちてきてしまっているという課題がありまして、法人マーケティングでテコ入れを図っていただける人を求めているのです。**さんであれば、このような状況に対して、どのような策の仮説を持たれますか?」と面接官が問いかけます。
対する**さんの答えは「はい、え~と、御社ではどのような製品を扱っているのでしょうか?」面接官が椅子からずり落ちたのは、言うまでもないでしょう。

自分から応募して面接に出向いているのに、応募先企業の基本情報をほとんど見ていないという幹部・管理職クラスの応募者は、想像以上に多いようです。面接者の社長や事業部長、人事部長は「何で来たの?」となってしまうでしょう。こうした姿勢になる原因は、おそらく次の2つかと考えます。

一つは、「面接=自己アピールをする場」という応募者の認識・理解です。「自分はこのような人物です」「こういう仕事をしてきました」という点は、大抵の転職希望者が一生懸命、面接官に伝えようとします。しかし、自分が縁があった際に着任する企業とその職務については、「配属は相手企業が決めること」「入社することになったら理解しよう」というぐらいの心根なのだと思います。

もう一つは、「俺様・殿様受験」のメンタリティーです。大手企業出身者が幹部クラスで初めての転職に臨むような場面では、「自分はこれだけの出世をしてきた人物。それを三顧の礼で買うのは相手企業だ」というスタンスの応募者も(一昔前に比べれば減りましたが)、いまだに散見されます。こんな姿勢では、応募先企業から疎まれるだけであり、そもそもの仕事力を疑われるだけです。

応募先企業の基本情報をほとんど見ていない、<あなた主導型>の応募はいただけません。あなたのせっかくの貴重な時間と未来を台無しにします。
幹部採用・転職は、企業とあなたの「商談的すり合わせ型」であることを、しっかり認識した上で、万全の準備で臨みましょう。

自分のことなのに…経験を突っ込まれて失敗?

もうひとつ、幹部・管理職クラスの方が猪突猛進型転職活動で陥るケースをご紹介しておきます。

上記で、企業側から課題などでのディスカッションを求められて詰まってしまった例をご紹介しましたが、ご自身の経歴についても突っ込まれて打ち破れる方もよく見受けます。

まずひとしきり職歴の概要を話し終え、内心ホッとしていると、面接者である社長からこんな質問を受けました。

社長「で、このプロジェクト経験にとても興味があるのですが、この時は具体的にはどのようなことをされたのですか?」

応募者「えっと……」

通りいっぺんの職歴自己紹介はそつがないのに、部分部分で深掘りの質問を浴びると、各論が話せない。そんな人も、私はキャリア面談でかなり多く見てきました。その際、面接者である社長や、キャリア面談者である私の頭の中に浮かぶのは、2つのことです。

「ん? この人、実はこの部分、自分でやったことではないのかな?」
「そうか、上から言われたことをやっていただけだな」

自分が直接やっていなかった仕事には、当然、転職先でも期待ができません。自分の頭を使わず、言われたことだけやってきた(としか見えない)経営幹部や管理職を、自社の幹部として採用する企業もありません。

当然のことですが、それは自身が主導したことなのか、プロジェクトの一員だった(だけ)なのか。その時々のプロジェクトや業務の実績について、自分は何を考え、どのように取り組んだのか。こうしたところを、具体的に、事実と数字とロジックをもって明快に語れるようにしておきましょう。
これはなにも転職活動に限ったことではなく、平素の業務執行においてもリーダーにとっては絶対に欠かせないことです。

 *   *   *

「闇雲応募」を重ねていると、今回ご紹介したような課題を抱えたまま面接に臨んで、あえなく失敗することを繰り返し続けることになります。
問題の本質を認識せずに、次の会社に応募しては、また同じことを繰り返す。これでは転職活動が長期化するばかりでなく、泥沼の面接NGで精神的にも参ってしまい、ますます活動がうまくいかなくなるというバッドスパイラルに陥ります。

このような負の連鎖から抜け出すためには、しっかり職歴を詳細に棚卸しし、自己認識を図ることをお勧めします。こういうときこそ、「急がば回れ」です。

ではまた、次回!

井上 和幸 氏

株式会社 経営者JP / 代表取締役社長・CEO

井上 和幸(いのうえ かずゆき)

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。