いま“企業が狙うミドルシニア”は「プロジェクトマネジャー」人材!

部長職であれ課長職であれ、管理監督者として部下をマネジメントしていればよいというピラミッド型組織の長に留まらず、いわゆる「ハンズオン型」「プレイングマネジャー型」タイプが求められるようになって幾久しいのは、皆さんご存知の通りです。
では組織マネジメント力は必要なくなったのかといえばそのようなことはなく、これまで以上に部下を動機付け動かす力を求められる。さりとて、肩書きで語る人、転職などで肩書きを求めてくる人は嫌われる。

いやはや、難しい時代です(汗)。どうすればいいの?どのように考え、行動すればいいの?
今回は、そんなキャリアカーバーユーザーのマネジメント職にある皆さんの疑問にお答えしてみます。

部長職であれ課長職であれ、管理監督者として部下をマネジメントしていればよいというピラミッド型組織の長に留まらず、いわゆる「ハンズオン型」「プレイングマネジャー型」タイプが求められるようになって幾久しいのは、皆さんご存知の通りです。
では組織マネジメント力は必要なくなったのかといえばそのようなことはなく、これまで以上に部下を動機付け動かす力を求められる。さりとて、肩書きで語る人、転職などで肩書きを求めてくる人は嫌われる。

いやはや、難しい時代です(汗)。どうすればいいの?どのように考え、行動すればいいの?
今回は、そんなキャリアカーバーユーザーのマネジメント職にある皆さんの疑問にお答えしてみます。

組織は「ピラミッド型」から「フラット型」「プロジェクト型」へ。

そもそも既に多くの皆さんが体感していると思われることに、組織構造の変化があります。21世紀に入りはや20年が経とうとしていますが、この20年のネット社会の進展、またグローバル化に伴って、企業、事業、組織に求められるスピードは加速度的に増してきています。

これに対応すべく、組織は「ピラミッド型」から「フラット型」「プロジェクト型」へ移行してきています。固定的な役割を上意下達式でガチッと組み、それを徹底遵守して動くという昭和までの組織構成から、平成の30年をかけて、階層を減らしてトップから現場までの距離を極力少なくし、またその時々の事業や業務に臨機応変に対応すべくプロジェクト型でチームを編成して事に当たるスタイルが(まだまだという企業も大手や老舗中堅中小には少なくありませんが)だいぶ浸透してきました。

この組織構造の変化に相まって、従業員個々人に求められる役割のあり方も変化してきています。職務専門性は今後ももちろんその人の人材価値として大事なものであることに変わりはありませんが、職務の割り当て(アサインメント)については、明らかに職能ありきから、パーパス(目的)やテーマありきへと変わりつつあります。

もともと、一昔前から言われてきた、ダメな転職自己PRに「部長ができます」という苦笑話が語り継がれてきている通り、役職でその人の仕事力やリーダーシップ力、マネジメント力は語り得ない訳ですが、「経理部長ができます」「人事マネジャーをやりたいです」という職能+肩書きについても近しいニュアンスになっていることを感じます。

そうでなく、「あなたはこのチームの、この役割について○○の貢献ができると思いますか」という会社からの問いがあり、本人としては「私は、このチームのこのテーマ・課題について、このような経験・スキル・専門知識(あるいは情熱)を持って貢献できます」というメッセージ型の職務参画ができるか否かが、特にリーダークラス、マネジメントクラス以上になってきますと非常に重要な人材評価ポイントとなっています。

「マルチキャリア」「越境人材」「学び直し力」こそ、これからのミドルやシニアの売りポイントに。

上記のような時代のスピード、マルチプル(乗数)な変化。また一方では「人生100年時代」と言われるような就労寿命の延長によって、私たちはもはや、一つの仕事、一つの専門性、一つの職種で仕事人生を全うすることはできなくなりました。

職務によってはイノベーションによって消えてなくなってしまうものがこれまでもありましたが、これから更にそういった変化は同時多発的に起こるでしょう。また同じ職種でも、新たな技術、新たなルールにキャッチアップしていくために付加的な学習を常に求められる度合いが増すでしょう。

組織の変化に伴い、個人にとっても「多様」性〜複数の専門性を持ち、並行して複数のチームに参画することや、複数の専門性の掛け算で新しい価値を生み出すようなことが求められ始めています。まさに、マルチキャリアを築けることであったり、越境型人材であることが生き残れる条件となり、アドバンテージにもなる時代が到来しています。
(デザイン・イノベーション・ファーム「Takram(タクラム)」の代表取締役・田川欣哉氏は、越境人材の要件として「BTC型人材」を提唱しています。Bはビジネス、Tはテクノロジー、Cはクリエイティブ。この3要素を掛け算するところに新しい職種が存在していることが多くあります。)

「プロジェクトマネジメント」としての自身の組織マネジメント経験とプレイング経験を語ろう。

ここまで見てきたようなことから言えることは、これからは、フレキシブルにチームに参画できる人材、フレキシブルにチームを編成・リードできる人材、複数のチームに同時並行参画できる人材にアドバンテージがあるということです。要するに、「プロジェクトマネジャー型」人材が、これからの時代や環境に対応しやすく、バリューを出せるリーダー人材です。

その観点で、あなたが転職活動でどのようなコミュニケーションをするとよいかを確認してみれば、

①どのような職務上のテーマ、想いを持っているのか
②それを裏付ける、あるいはそれに至った変遷を説明する過去の経験と実績を、プロジェクトとして捉えて紹介する
③いま、どのようなことに評価を受けていて、自身としてどのようなことをしたいのか

の3点をこの順にプレゼンテーションすることです。

マネジメント職の皆さんは、おそらく今後もマネジメントとして、組織リーダーとしてご活躍されたい皆さんだと思いますので、ぜひプロジェクトを語る際に、この3点を踏まえつつ、組織マネジメントのご経験と今後どのような組織マネジメントをされたいのか、プラス、プレイングのご経験と今後どのようなハンズオンの部分での職務を担われたいかについて言及ください。

これはそれぞれ、①=未来、②=過去、③=現在、を表しています。
職歴書や面接時のお話の中に、あなたの「未来」(テーマ、想い)→「過去」(プロジェクト実績)→「現在」(何をしたくて、何を評価されている人なのか)が見えるでしょうか?
そんな観点でぜひ、応募先企業と、あるいはそれを支援する我々のような転職エージェントたちと会話してみてください。きっと望ましい次への展開ができるはずです。応募先企業が「あなたを採用するのは得だ」と思ってくれる(思ってしまう)自分の見せ方の具体策として、ぜひご活用頂ければ幸いです。

ではまた、次回!

井上和幸氏

井上和幸

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。

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