小学校でプログラミングが必修科目に? 教師と保護者が抱く「期待」と「不安」

2016年4月19日、文部科学省が小学校でのプログラミングを必修科目にすることを検討すると発表しました。これには2016年時点で17万人、2030年には80万人不足するといわれている「IT人材の不足」を解消する手段として、子どものころからプログラミングに触れさせる目的があります。 プログラミング必修化にどんなことが期待されているのか、また、現場で働く教師や保護者は必修化をどう考えているのか、リアルな声を聞きました。

2016年4月19日、文部科学省が小学校でのプログラミングを必修科目にすることを検討すると発表しました。これには2016年時点で17万人、2030年には80万人不足するといわれている「IT人材の不足」を解消する手段として、子どものころからプログラミングに触れさせる目的があります。 プログラミング必修化にどんなことが期待されているのか、また、現場で働く教師や保護者は必修化をどう考えているのか、リアルな声を聞きました。

プログラミング必修化はなぜ始まろうとしているのかし

冒頭でも述べたように、日本のIT人材は2030年には80万人も不足するといわれています。アメリカでも同じように2020年には40万人のIT人材が不足するという試算が、子どものプログラミング教育を勧めるNPO法人から出されています。

こういった試算を受けて、日本では2025年までにプログラミング人材を100万人増やすことを目標に、さまざまな対策が行われています。その取り組みのひとつとして、小学校のプログラミング必修化が検討されていると言われており、早ければ2020年から実施される予定です。

「プログラミング思考」そのものにも「自分の意図を実現するための手順を論理的に考える力」を育む効果があるとされ、職業に関係なく必要な能力を育てられるのでは、という期待も大きいようです。

現場の教師はプログラミング必修化をどのように感じているのか

勉強する子ども

プログラミングが必修化されると小学校の教師が生徒に教えることが予想されますが、教師もプログラミングに詳しい人ばかりではありません。一体今回の必修化についてどのように感じているのでしょうか? 関東で小学校の教師として働くIさん(男性、30代)に伺いました。

プログラミング必修化についてどのように考えていますか。

我々教師の世代にはありませんでしたが、小学校で行われる英語授業はALT(外国語指導助手)と一緒に授業をしています。当然教師も研修は受けるのですが、プログラミング必修化の際も、専門の講師と一緒に授業ができると心強いです。1つの教室に教える人が二人いることになるので、内容が分からない生徒へのフォローも、一般の教科よりも手厚くできるようになります。二人体制になることに期待したいですね。

プログラミングというと、まずパソコンなどの機器に子どもが慣れていることも大切だと思いますが、その点はいかがでしょうか。

今の小学生にとってパソコンやインターネットはすごく身近だと思います。私が勤務している小学校では、6年生のクラスだと9割近くの家庭がパソコンを持っていますし、スマートフォンを親が持っていて、それでゲームなどをやらせてもらっている児童もいます。さらには、自分で携帯電話を持っている児童もクラスに2割はいると思います。なので、いわゆる大人が知っている一般的なIT知識は知っているんじゃないでしょうか。

保護者がプログラミング必修化について抱える期待と不安とは

キーボードとマウス

教師の方からは、英会話の勉強と同じような体制で実施できれば、今の子どもたちはパソコンやスマートフォンに慣れている子も多いので、あまり不安には感じていないという声が聞かれましたが、親はどういった考えを持っているのでしょうか。小学校に通う子どもが3人いるYさん(横浜市在住、女性、35歳)からはこんな意見が聞かれました。

小学校でのプログラミング必修化について、不安はありますか?

私はそこまでではないのですが、親御さんの中にはパソコンの電源も入れられない人もいるので、子どもにパソコンやプログラミングのことを聞かれても分からないよ、フォローできないよ、といった不安を持つ人はいると思います。中高生だと、ある程度自己責任で勉強を進めるけれど、小学生は親が寄り添っている家が多いから、親が全然分からないとなると不安も大きくなるでしょうね。

英会話の授業みたいに、将来英語を学ぶからそのためのハードルを低くする、といった授業ならいいんですが、ある程度プログラミングを理解することを求めるなら、親も教科書を読めばすぐに理解できるくらいに教材を作りこんで欲しいなと思います。

保護者が全く分からない場合は、塾に通わせたりすると思いますか。

逆に今は、IT系企業で働く親ほど自分の子どもをプログラミング塾に通わせている傾向がありますね。でもほとんどは、いずれそのうち……といった感じでしょうか。プログラミングで何ができるようになるかを知らない親が多いと思うので、プログラミングを学ぶと何がどう役に立つとか、日常生活のどこで使われているとかが分からないと、習わせようとまでは思わないのかもしれませんね。

まとめ

英語はいずれ受験で必要になったり、就職の際にTOEICの点数が求められたり、海外出張などでも使う可能性が高いため、学ぶメリットを保護者も体感できているでしょう。しかし、プログラミングというと、職業によっては小学生の保護者世代でも必要性を認識していない人もまだまだ多く、保護者自身が分からないことを子どもが習うことへの不安もあるのが現状のようです。

しかし、IT人材の不足は確実に近づいてきている事実です。親として「分からない」中でも何ができるかを考えていくことは、今以上にIT化が進むであろう未来を生きる子どもたちのために、今まさに必要なことなのかもしれません。

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