40代からの折り返し転職は長期戦略が重要

転職に失敗する人の要因は何か?

40歳を過ぎての転職にはリスクがつきものです。
「給与アップを目指して転職活動をしたものの、結果的に給与が下がった」
「すぐに決まると思って会社を辞めたが、なかなか転職先が見つからない」
といった事態になってしまうと、なかなか取り返しがつきません。このような失敗をする方には、大きく分けて以下の3つの傾向があります。

① 市場で需要があるスキルがない

過去の経歴、特に直前の職種や最も長かった経験、が一般的に需要の少ない、もしくは需要が減少傾向にある業種や職種だとしたら、どうしても転職活動が長期化し、苦戦する可能性が高くなります。

② 需要はあるが、スキルレベルが低い

転職市場で相対的に需要の大きい、または需要が高まりつつある業種や職種の場合は、同じ経験を持つ人の中での優位性を問われます。特に40歳を超えたら、ポテンシャルに期待される年代ではなくなり、成熟した経験値や管理者としてのマネジメント能力を問われるため、スキルレベルが低いと転職が困難になってしまう可能があります。

③ 大企業勤務で転職経験がない

これまで転職経験がなく、就職以来、大企業1社で長期間働いてきた方は注意が必要です。会社以外で、自分と他者のスキルを比較した経験が少ない中、大企業ゆえ相対的に高い給与を得ているため、高望みしてしまう傾向があります。実際に転職活動を始めると、「自身の経験・スキルと合致していないため不採用になる」「採用には至ったが、給与が想定以上にダウンしてしまう」といった結果を招いてしまいます。

40歳を超えた方は、決して「すぐに転職できるだろう」という前提で仕事探しを始めるのではなく、自分のスキルや経験、転職先企業について、しっかりと戦略を練ることが重要です。

自分の人生をいかに経営するか?

人生100年時代においては、キャリアの面でも長期の戦略が求められます。100年という長さから見れば、40代はまだまだ折り返し地点。しかし、キャリアの選択肢が狭くなり始めるタイミングでもあります。

人手不足なのは、WEBサービスを事業の中核にしている大手ベンチャーや、サービス系業種などです。しかし、成長企業が40代50代を大量に採用することはほとんどありません。また、ボリュームの多い、営業や事務系職種は、そもそも供給(転職希望者数)に対して需要(求人件数)の割合が少ない状況なので、自分の手持ちのスキルに需要があったとしても、レベルによって、上記②のように非常に競争倍率が高くなります。

そんな前提を考慮したうえで、まだまだ長い仕事人生を、どのように自分が主導権を持って生きていけるかを長い目で考える必要があります。
その際に邪魔になるのは、年収やポスト、権限など、これまで持っていたものを求めてしまう人間の心理です。

・本当にどれだけの生活コストが必要なのか?
・ポジションや権限へのこだわりが生まれる背景は何か?
・知らぬ間に、過去の会社に近い企業規模や知名度を求めていないか?
など、過去の人生で積み上げて獲得してきたと考えているものをゼロベースで見直す必要があるかもしれません。

先日、お会いしたある企業の元取締役は、「昨年、大病を経験して、大手術と入院で3ヵ月も会社を留守にすることになりました。生きるか死ぬかの経験をしてから、“時間こそが人生なので大切に使いたい”と考えるようになりました」と話されていました。
人生そのものと言っていい、大切な時間をいかに有意義に使うかどうか、は、人生の質に直結しています。

上の方は結局、年末に会社を退職して、ご自身が長年、経理や経営企画で積み上げてきた強みを若い中小企業の経営者に使っていただくべく、正式に株式会社を設立して事業を開始されました。年明けにお伺いしたところ、さっそくいくつかの会社の決算業務などをお手伝いする契約が決まったとのことでした。

自分のキャリアをどうデザインして、どう運用していくか、そのために起業や転職などという手段をどのように活用するか、ということを考える際にも、ぜひこの大前提を念頭に置いていただきたいと思います。

黒田真行氏

ルーセントドアーズ株式会社代表取締役

黒田 真行(くろだ まさゆき)

日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。2019年、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を開始。
「CanWill」https://canwill.jp/
「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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