【顧問2.0】30代から「複業で顧問」できる時代の幕開け

最近、日本企業でも顧問という働き方が増えていて、その中には「複業で顧問」をする方も出てきています。しかも、50代、60代だけでなく、「30代から顧問」として働くことも十分に可能だといいます。しかし、そもそも「顧問という働き方がよくわからない」という方、「複業顧問の具体的なワークイメージが湧かない」という方も多いのではないでしょうか。そこで、30代、40代のプロフェッショナルが複数企業で同時に働く案件紹介サービスを展開するサーキュレーション様に、30代からの複業顧問について、詳しいお話を伺いました。

最近、日本企業でも顧問という働き方が増えていて、その中には「複業で顧問」をする方も出てきています。しかも、50代、60代だけでなく、「30代から顧問」として働くことも十分に可能だといいます。しかし、そもそも「顧問という働き方がよくわからない」という方、「複業顧問の具体的なワークイメージが湧かない」という方も多いのではないでしょうか。そこで、30代、40代のプロフェッショナルが複数企業で同時に働く案件紹介サービスを展開するサーキュレーション様に、30代からの複業顧問について、詳しいお話を伺いました。

顧問・複業顧問のニーズは今後一層増えていき
就きたい方もますます多くなっていくのではないか

はじめに、「顧問」と「複業顧問」の現状について伺えればと思います。

まずは「顧問」について、ごく簡単に説明します。顧問とは、一言で言えば「アドバイザー」で、それまでに培ってきた専門的な経験や知識を活かして、主に実務的な面で助言を行う存在です。似た役職に「相談役」がありますが、相談役は社長やCEOなどが第一線を退いた後に就任する場合が一般的です。それに対して、顧問は社内・社外を問わず、さまざまな方を登用するケースがあります。

とはいえ、顧問というと、50代以降の方が就くイメージがあると思います。しかし最近は、30代、40代でも顧問を務める方が増えています。私たちサーキュレーションでは20代から60代以上のシニアまで多くのプロフェッショナルの方々にサービスを提供していますが、年代による仕事内容の違いはほとんどありません。経営者、経営コンサルタント、銀行・証券営業、新規事業開発、経営企画・事業企画、人事、マーケティング、Webディレクターなど、さまざまな専門性を持ったビジネスパーソンが、数多くの企業の顧問に就いています。

最近はその中に、少しずつ「複業」の方が出てきています。ただし、まだ数は決して多くありません。サーキュレーションのご登録者は、フリーランスが約90%で、複業・兼業の方は現状10%ほどに過ぎません。複業OKの会社がまだそこまで多くないこと、複業に使える時間が限られていることなどが、大きな障壁になっているのだと思われます。しかし今後、日本のビジネスパーソンの働き方がさらに変わってくれば、複業顧問も増えてくるのではないかと考えています。

顧問や複業顧問が増えている背景には何があるのでしょうか?

増えている背景には、以下の3つの理由があると考えています。1つ目は、日本の労働人口が減少していること。日本企業の「労働人口の減少を受けて」国が「働き方の変化」を後押ししており、これを受けて「社員の複業を認める会社」が少しずつ増えています。2つ目は、進化の早い時には(特に新規事業開発など)、企業は「雇用ではなくプロジェクトベースで外部人材を活用する」ことの価値が見出されていること。人材への投資を抑え、ビジネスリスクを減らすことができるためです。3つ目は、テクノロジーの発達で個人が自らのキャリア・プロフィール情報をSNSで開示できる時代に突入し、今後は各人が自分の強みを活かして働く「ワークシェア」の考え方が一般化していくこと。既にアメリカでは21〜33歳の3割、70代の1割が独立プロとして活躍しています。

こうした背景を踏まえると、顧問・複業顧問のニーズは今後一層増えていくでしょうし、そういった働き方を選択する方もますます多くなっていくのではないかと考えられます。

完全な即戦力募集だから
ニッチな職種・経験・スキル・ノウハウのマッチングも多い

30代・40代の顧問に多いのはどのような仕事・働き方でしょうか?

働き方について詳しく説明すると、就業期間は3カ月ほどの短期間案件もあれば、2~3年という長期の案件もあります。その中で、1年~1年半がボリュームゾーンとなっています。働く頻度もさまざまで、隔週1日ほどの軽い案件もあれば、週3~4日でほぼ社員と変わらない勤務時間の案件もあります。勤務場所は案件によって変わりますが、最近は場所を問わない案件も多く、特にクライアントが地方や海外の場合は、一度もオフィスに伺うことなく、Web会議・チャット・メールなどですべてを対応するケースも珍しくありません。

案件の内容も多種多様です。比較的多いのは、「新規事業開発」「働き方改革に合わせた新たな人事制度の設計・構築」「ECサイトの設計・構築」「IoTやAIを絡めたビジネス変革」などです。全体的に見れば、人事系、コンサルティング系、IT系の案件が多いのですが、だからといって、そうした方々が必ずしも案件を得やすいわけではありません。クライアントの求める人材は多岐に渡りますし、転職と違って完全な即戦力募集ですから、ニッチな職種・経験・スキル・ノウハウのマッチング事例が数多くあります。顧問には、さまざまな専門性を活かせるチャンスがあるのです。

30代・40代の皆さんが複業顧問で働くメリットは何でしょうか?

30代・40代の皆さんが複業顧問で働くメリットは、大きく3つあると考えています。第一に、「強みを仕事にできる」点です。1社で働いていると、自分が伸ばしたい専門性に関わる仕事以外にも携わらなくてはならない可能性がありますし、異動になってしまうかもしれません。その点、複業顧問であれば、自分が注力したいスキル・経験・実績にコミットできます。しかも、環境の異なる会社で、次々にキャリアを磨けるのです。何らかの専門家として生きていきたい方にとって、これは大きなメリットだと考えています。

第二に、「報酬」の面でメリットがあります。もちろん、報酬は人によって異なりますが、特に高い専門性をお持ちの方は、報酬面で大きな魅力があるはずです。私たちは、スキルに見合った適切な報酬体系を用意することを常に心がけています。

第三に、「時間・場所にとらわれない」働き方ができることです。先ほども説明したとおり、勤務時間・勤務地を問わない案件が数多くあります。週1回Web会議をするだけで、あとはチャットとメールでコミュニケーションするといったものも少なくありません。ですから、育児・介護・ご自身の病気といった理由で、働く時間や場所の制約がある方も、スキルや経験を活かせるのです。家族の介護などで、一時的に自分の故郷に住むことになった方が、「複業顧問」という働き方を選択するケースもあります。こうした方々に選択肢を用意するのは、私たちの大きな使命の1つだと考えています。

複業顧問・顧問の働き方事例

具体的な事例をいくつか教えてください。

●事例1:30代・複業顧問
ある日系大手企業の新規事業開発の案件です。そのクライアントは、知見のない教育領域でビジネスを始めることになりました。そこで、3カ月という短期間で、自ら事業計画書づくりを行いながら、メンバーに新規事業立ち上げに必要なプロセスを教えてくれる顧問が欲しいというオーダーをいただいたのです。この案件には、30代のAさんをご紹介しました。Aさんは、ある教育ビジネス企業に正社員として勤めており、事業計画立案の経験が十分にありました。また、これも重要なことですが、Aさんの会社のビジネスとクライアントの新規事業は、バッティングしていなかったのです。Aさんには、3カ月間、ワーク形式でクライアントの皆さんにP/Lの書き方などを教えていただきながら、実際の事業計画書も一緒につくっていただきました。Aさんからは、「現職の看板を背負わずに、自分の力でどこまでできるかをチャレンジでき、良い経験になりました」という感想をいただきました。

●事例2:50代・複業顧問
これも新規事業開発の案件です。そのクライアントのメインビジネスはBtoBでしたが、新規事業はBtoCのため、社内にマーケティングの知見が欠けていました。そこで、BtoCマーケティング部門を新たに立ち上げて、自らマーケティング戦略を立案し、社内の人材を育成して、社外のアライアンス・ネットワークを構築できるスペシャリストを顧問として求めていました。期間は1年で、1年後には顧問の方がいなくても、マーケティング部門が機能するようにしてほしいというのが、クライアントの要望でした。この案件には、外資系企業に勤めており、ゼロからマーケティング部門を立ち上げた経験のある50代のベテランマーケッター・Bさんを紹介しました。Bさんは、見事に組織とビジネスを構築し、人材を育て上げました。終了後、Bさんは「務めている会社とは仕事の進め方がまったく違い、自分が学ぶことも多くありました」とおっしゃっていました。

●事例3:40代・顧問
地方の製造系ベンチャー企業の案件です。当時は社員100名未満で、大きく成長を遂げている最中でしたが、実は人事制度が整備されていませんでした。そこで、一人の役員の方が、社長の想いを組織に浸透させるためにも、役割等級制度を中心とした人事制度を構築したいと考え、私たちに顧問紹介を依頼したのです。この案件にマッチングしたのは、40歳前後の人事系コンサルタント(フリーランス)・Cさんです。Cさんは製造業の知見があり、ベンチャー企業・中小企業のクライアント経験に加え、役割等級制度を導入したこともありました。半年ほど、週1日の勤務で、経営者や現場社員などに直接インタビューした後、役員の方と協力して人事制度を書き起こし、導入するまでを担当していただきました。Cさんは、「地方の伸び盛り製造系ベンチャー企業という稀有な職場で、魅力的な経験を積むことができました」と喜んでいました。

責任感があってスキルの棚卸しができていれば
顧問として働ける可能性は十分にある

最後に、顧問になる際の注意点を教えてください。

1つ重要なのは、「責任感」です。たとえ短期間であっても、クライアントの一員として熱意を持って取り組んでいただける方でなくては、私たちも紹介することができません。経験・スキル・ノウハウだけでなく、働く姿勢や考え方なども、マッチングする上で極めて大切なポイントとなります。もう1つ、ときおり「スキル・アンマッチ」になってしまうことがあるのですが、そうした方の多くは、自分のスキルを十分に棚卸しできていません。顧問の場合、クライアントはスキルの伸び代に期待する余地がないのです。

だからこそ、顧問として働く際には、事前に自分の強み・スキルを因数分解し、どんな課題解決に活かせるのかを十分に棚卸ししていただきたいと思います。

顧問として活躍しているのは、責任感があり、謙虚で、自分のスキル・経験をよくわかっていて、自分のことを自分でしっかりと売りこめる方です。逆に言えば、それさえできていれば、どのようなスキルセットの方でも、30代から顧問・複業顧問として働ける可能性が十分にあります。

最後に、私たちサーキュレーションのビジョンについて、少しだけ語りたいと思います。私たちが目指すのは「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」です。顧問・複業顧問などのサービスも、その一環です。自分の経験・知見を社会に提供することで、世界や社会に貢献したいと思う方、ぜひ私たちのサービスを活用してください。私たちも、あなたのために全力を尽くしたいと思います。

新井 みゆ氏

株式会社サーキュレーション エグゼクティブコーディネーター

新井 みゆ(あらい みゆ)

大手信託銀行にて資産管理業務、システム開発、法人営業、新規事業立ち上げと幅広い経験を積む。
現在は(株)サーキュレーションにてプロジェクトベースで企業の経営課題と個人の強みをマッチングするサービスを提供。
個人側の部隊として20〜70代の様々な分野の専門家へのインタビュー、多様な働き方を実現する為のサービス企画やマーケティングに従事。

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