クライアントへの「イエス」はトラブルの元

経験豊富なコンサルタントや弁護士は、必要以上に要求を受け入れると問題が起きることを知っており、その要因をいくつか挙げるでしょう。

経験豊富なコンサルタントや弁護士は、必要以上に要求を受け入れると問題が起きることを知っており、その要因をいくつか挙げるでしょう。

※参考資料

http://www.consultantsmind.com/2012/08/29/saying-yes/

「イエス」と言うのは簡単

新たなリサーチ、アドホック分析、追加のワークショップなど、クライアントが何かを依頼してきた時、その依頼は大抵、妥当なように思えます。何しろクライアントはコンサル費を支払っているので、コンサルタントを最大限に活用するのは当然ではないでしょうか?

コンサルタントが新たな要求に「イエス」と言えば、互いに気分よく、協力的でいられるでしょう。コンサルタントはクライアントの話にしっかりと耳を傾けている気になるし、クライアントは自分の考えが受け入れられたことを嬉しく思います。ストレスもなく、会話中のいやな沈黙もありません。上から下に水が流れるように、ほとんど滞りなく事は進むのです。

しかし、経験豊富なコンサルタントや弁護士は、必要以上に要求を受け入れると問題が起きることを知っており、その要因をいくつか挙げるでしょう。ここでは、そのうちの4つを紹介します。

口だけの約束となる

その場限りで「イエス」と言うのは簡単ではありますが、その後、約束をすっかり忘れてしまうことがあります。これは夫が妻の話を聞いていない時に「わかったよ、ハニー」と言っているようなものです。(当然、忘れないように書きとめておくこともしていません)

期待値以上の約束をしてしまう

以下のグラフは、おおよそではありますが、どのコンサルタントも事実だと思っていることを視覚化しています。すなわち「控えめに約束して、期待値以上の仕事をする」ということです。

クライアント期待値グラフ

クライアントが100の要求をしてきた時に、約束は控えめにして(赤色のグラフ)、より多くの成果を残します(青色のグラフ)。残念なことですが、これは真実です。クライアントの期待値を下げることで、それを上回るチャンスは大きくなります。ひねくれているし、自分を弱く見せて相手を騙す行為ではありますが、効果的な方法です。

時間を浪費してしまう

誤解しないでほしいのですが、クライアントは大抵、とりわけ組織体制(要は社内政治)について話す時には参考となる意見をくれます。どのクライアントからも学べることはあります。とはいえ、どのクライアントの要求も必ずしも有効ではないのです。

時には時間の無駄になることもあります。思い出してください。我々は「専門知識に対して」お金が支払われているのであり、しかもこのお金は多くの場合、時間単位で支払われています。クライアントのお金や我々の時間を無駄にしてはいけないし、最悪の場合はプロジェクトの進行が滞る可能性もあるのです。

協力関係が築けない

私が思うに、これは最も危険なことです。クライアントが新しいアイデアや、その場限りの要求を持ち出し続けてきたら…そしてコンサルタントがそれらの要求に応じ続けていたら…何かがおかしいと思った方がよいでしょう。そして、それはさらに大きな問題の火種なのです。

コンサルタント側の問題

プロジェクトの計画が不十分なため、重要なポイントの抜け漏れが次々と出てくるでしょう。 適切な人材が初めから関与できず、絶えず新たな人々が関わることになります。 コンサルタントは自分の計画が信頼できなくなり、安易な解決策を求めるようになでしょう。

クライアント側の問題

クライアントは次のステップが明確に見えなくなり、進行スケジュールに不満を感じるようになります。しっかりとした分析や説明を受けられず、クライアントが数字を疑い始めます。クライアントにはすでに解決策があり、そのお墨付きをコンサルタントに求めるようになります。

クライアントの要求をじっくりと考える

では、この問題についてどのように考えればよいのでしょうか?すでにご存じかもしれませんが、コンサルタントは2×2マトリックスを好んで用います。これは自分の考えを2つの変数(要素)に分けて、問題をじっくりと考えることができる手法です。以下は、この状況における私の考え方の例です。

クライアントが新たな要求をしてきたら…

「イエス」と言う

もしその要求が些細なことで有益なものであれば、ためらうことなく「イエス」と言って実行しましょう。その際はプロらしく素早く対応しましょう。価値を見出し、行動するのです。クライアントの提案は有益なのです。

代替案を見つける

その要求に応じると時間がかかってしまうけれども、それがプロジェクトに関わりのあることであれば、シンプルでより的確な解決法を見つけましょう。質問をして、なぜクライアントがこのような新たな要求をしてきたのか理解するのです。私はかつて、プレゼンのパワーポイントの下に短い脚注を付け足すことで、クライアントの懸念を払拭したことがあります。

調査を申し出る

その要求がプロジェクトに無関係であるなら、新たなコンサルの仕事に繋がる可能性があるということです。問題についての調査を提案し、場合によってはちょっとした分析やリサーチを行います。本格的なものである必要はなく、そのトピックに関する簡単な調査で構いません。

新たな仕事を売り込む

予算があるならば、新たな仕事に繋がる何より簡単な方法です。それぞれのプロジェクトが次のプロジェクトへと繋がるような、クライアントとコンサルタントの関係を育めるでしょう。良い仕事をすることがさらなる仕事に繋がる一番の方法です。

賢く「ノー」と言う方法を見つける

結婚歴が長い夫は、妻の要求に直接「ノー」ということが、妻との関係性を築くのに効果的で効率的なやり方ではないと言うでしょう。同じことがクライアントに対しても言えます。正面から「ノー」と言うコンサルタントでは、新たなビジネスを掴むことはできません。なぜクライアントが新たな質問をしてきたのかを突き止めましょう。予定外の追加要件かもしれませんが、問題を素早く解決することができるかもしれませんし、さらなるコンサルの仕事に繋がることさえあるのです。

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