企業にも個人にも、最大限の誠意と情熱を持って接し方向性を見誤りそうであれば、ときに厳しく叱咤する「頑固おやじ」ならではの愛情あふれるアドバイスを信条としています。

「企業は人で成り立つ」を追求するため、メーカーからエグゼクティブサーチの世界へ

ヘッドハンター歴は、今年で5年目になります。それまでは、新卒で入社した大手輸送機器メーカーに30年超、勤務していました。営業畑でさまざまな企業の輸送プロジェクトに関わり、支店長、営業部長、営業統括を歴任。マネジメント経験も積んできました。

転機になったのは、リーマンショックによる経営不振。立場上、自らの手でメンバーを減らさねばならない局面に陥りました。その時、「企業にとって、人材とは?」を改めてじっくり考えるようになったんです。ものづくりは、設備だけあればできるものではありません。あらゆる部分、特に人材面が強固になり立っていないと、できないものです。それを追求したくて、この業界に飛び込みました。

前職は、モノを売る仕事でしたが、商品に魅力があり、ときめきを感じていただかないと、お客様には買っていただけません。それと同様に、個人の方々に求人案件をご紹介する時にも、その方にとって魅力的であり、ときめきを感じていただけるものを最大限探したいと思っています。

そのために、個人個人の思いや考えをじっくりヒアリングすることに力を注いでいます。年収、家族構成、希望のポジションや仕事内容、将来像などあらゆることを伺いますが、特に重視しているのは、これからどういう立ち位置でキャリアを築いていきたいと思っているか。

つまりは、ご本人の「仕事に対する想いや哲学」です。

決して崇高なものでなくていいのです。ここがしっかり固まっている人は、想いがブレないので次のステップを見つけやすく、我々もチャンスを提供しやすくなるからです。

一方で、ここがブレている人には、軽く説教をすることもありますね。名刺に書かれているタイトルに見合った責任を、あなたはまっとうできているのか?仕事を通じて本当に社会貢献ができているのか?などなど。ヘッドハンターという立場ではありますが、この世界にも一人ぐらいは頑固おやじが必要でしょう(笑)。「目からうろこが落ちた」なんて言われることも多いんですよ。

このスタンスは、企業に対しても同様です。私は必ず、経営陣にお会いして、彼らが「人材」をどう考えているか掴みにいきます。「なかなかいい社員が来ない」なんてこぼすトップには、「トップのポテンシャルが低ければ、いい人材なんて来ない。まずはあなたがしっかりと舵を取り、魅力ある企業づくりをすべき。そうすれば黙っていても人は来ます」と叱咤激励することもあります。

ただ、これは互いの信頼関係があってこそ。信頼関係を築くために私が努力しているのは、「最大限の誠意と情熱を持って接する」こと。企業の事業課題に沿った人材をご紹介するために、そして個人の方が進路を見誤らないように、時間をかけ、相手の立場に立って、じっくり話を聞くことを心掛けています。

古澤聡さん

企業と個人双方から「ありがとう」と言われることがヘッドハンターとしての無上の喜び

企業の想い、個人の想いをしっかり聞き出し、互いのご要望に沿ったマッチングが図れた結果、「ありがとう」の言葉をいただいたときは、何よりの喜びを感じますね。そして、個人が新しい組織でイキイキと活躍し、それに伴い新しい事業がどんどん拡がっていく過程を見られた時は、この仕事に就いてよかったと心底思います。

以前、30歳前後のITコンサルタントからキャリア相談を受けました。大手コンサルティング会社に入社し、まじめにやってきたものの、組織の中で先が見えてしまった。MBAを取れば何か変わるかと思ったがやはり何かが物足りない…というものでした。ヒアリングを進める中で、彼は硬直的な組織ではなく、個人が自由に裁量を持てる組織でのびのび活躍したいタイプなのだと判断。また、自分の手で新しいものを生み出したいという想いにも気づきました。

そこで、海外展開中にあるIT関連企業の幹部候補のポストをご紹介しました。自由でアグレッシブな社風でもあり、企業のトップともすぐに意気投合し入社が決定。さっそく、新規事業立ち上げの責任者として世界を飛び回っているうえ、トップの右腕としても活躍しており、双方から感謝の言葉をいただくことができました。新天地で、彼の表情はガラリと変わり、イキイキと明るくなりました。会社自体もきっと、彼の手腕で成長していくのだと思うと、嬉しくなりますね。

また、先日は大手自動車メーカーで長年マーケティング職に就き、海外赴任も経験している30代後半の女性のお手伝いもしました。すでにキャリアを築いているし、よそに行かなくてもいいのでは?と思ったのですが、話を聞くと「もっと別の分野で、自分のマーケティングの力を試してみたい」という。こういう熱い想いを持った若者に会うと、頑固おやじは俄然、嬉しくなります(笑)。腕まくりをして案件を探し、希望に沿ったさまざまな企業をご紹介しました。

どの企業も「ぜひ来てほしい」ともろ手を挙げて歓迎する中、彼女はある外資系の食品メーカーを選びました。ベテラン女性が多く、人間関係の構築が難しいと思われる環境でしたが、全く別のマーケットで自分を試せる点、外資系ならではのアグレッシブな社風で働ける点に惹かれ、彼女は飛び込みました。苦労はそれなりにあるようですが、新しい環境でチャレンジをしている彼女は輝いていますね。風土改革も含め、重要な仕事を次々に任されているようです。

このように、「もっとパワフルに仕事がしたいのに、今の環境では叶わない」と力を持て余している、30代の次世代エグゼクティブ候補は非常に多い。そんな彼らの支援に、これからはもっと注力していきたいですね。彼らがくすぶったままでは、日本経済にとっても損失です。彼らのチャレンジ精神を引き出し、思う存分力を発揮できる環境をご紹介して、その対価として「ありがとう」をいただく…これが私のミッションであり、生きがいなのです。

古澤聡さん

中小優良企業の事業継承案件と、海外拠点再構築ニーズが増加中

私がメインで担当している中堅企業においては特に、「事業承継」案件が増えていますね。

日本企業の7割は中小企業が占めていますが、優良中小企業の約15万社が、後継者がおらず事業承継できない状態にあると言われています。そんな企業が、事業承継できる次世代経営者の採用に動いています。

中小でも、唯一無二の技術を持っている企業や、ニッチ分野でシェアトップを張る企業、 長年愛されている商品・サービスを持っている企業は非常に多く、この火を消してしまうのはあまりにも大きな損失です。企業がなくなれば、当然雇用も喪失するわけで、日本経済のためにも、この分野に注力することは、ヘッドハンターとしての使命だと感じています。

一方、海外展開をしている大企業、中堅企業では、海外拠点からの撤退ニーズが増えています。東南アジアを含め、社会情勢が不安定だったりコストに見合わなくなった拠点を畳みたいという需要が増えていますが、現地雇用などの問題から、撤退は進出よりも難易度が高く、「撤退のプロ」が求められています。 合わせて、海外展開を含めて事業戦略を一から見直そうと考える「原点回帰」の動きが高まっており、経営者の相談役になり得る立場の人を採用したいという声も多数いただいています。こちらは、経営経験、グローバル展開経験ともに備わっているエグゼクティブクラスが対象になります。

全てのビジネスは、人がいてこそ成り立っています。人材がどんどん海外に流出しよとしている今、どこかで歯止めをかけないと日本経済の未来はありません。 今の職場で力が発揮できないとくすぶっている方も、一足飛びに海外に出るのではなく、国内で環境を変えれば、働きがいはガラリと変わります。次のステップを模索している方は、まずは気軽にお声掛けください。

古澤聡さん

株式会社トランサーチ・ジャパン アソシエイツ シニア コンサルタント

古澤 聡さん

青山学院大学卒業後、大手輸送機器メーカーに勤務。営業部門で多数の実績を収め、支店長、営業部長などを歴任する。30年超務めた後、2009年に株式会社トランサーチ・ジャパンインターナショナルに入社。今までの経験を活かし、メーカー(自動車・輸送機器・機械・食品)を中心に幅広い業界のエグゼクティブサーチビジネスに情熱を注いでいる。

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