求職者の想いをとことん理解し、キャリアのストーリーを複数考え、ご提示する。「相談して良かった」 との言葉が最大の喜びです

エンジニアから人材コンサルタントにキャリアチェンジ

大学卒業後に大手光学機器メーカーに入社し、技術サポートエンジニアとしてフィルムを使ったアナログ医療機器を担当しました。6年ほど勤めましたが、市場のデジタル化が進むにつれ自分のキャリアに不安を感じ始めるように。そこで、人材紹介会社にキャリアプランについて相談したところ、「うちで人材コンサルタントをやってみないか?」と誘われました。意外すぎる誘いだと思ったのですが、「今まではエンジニアとして企業をサポートし、顧客満足度を高めてきたのですよね?今度は求職者のサポートをして、転職を考えている個人の満足度を高めてみませんか?」と言われ、「面白そうだ」と興味を持ち、思い切って飛び込んでみました。

その人材紹介会社は、クライアント側と求職者側に分かれてコンサルティングを行うスタイルで、私が担当したのは求職者側でした。個人のキャリアを親身になって考え、その結果「いい転職先が決まって嬉しい。ありがとう」とダイレクトに言っていただけるのが嬉しく、やりがいを感じましたね。以前は、企業相手の仕事だったので、なかなかダイレクトに感謝の言葉をいただく機会がなかったのです。自分の介在価値を実感し、この仕事に就いてよかったと思いました。

ただ一方で、求職者側にしか会えないことに、徐々に不満を感じるようにもなりました。求職者の想いを直接企業側に伝えられないジレンマ、企業側の熱意を求職者に「又聞き」という形でしか伝えられないジレンマを感じ、求職者と企業側、一気通貫で携わりたいと思うようになったのです。

そんな時、たまたま知り合ったアイ・エス・エス・コンサルティング(以下、ISS)のメンバーに「うちに来ない?」と誘われました。ISSは、1人のコンサルタントが企業側も求職者側も担当します。やりたいことができる環境がここにはあると感じ、転職を決意しました。以降、もう15年以上も、ISSで人材コンサルタントとして働いています。

実際、企業と求職者の双方に関わることで、双方の想いを大切にしたマッチングが実現できていると感じています。想いを伝えることで、結果は変わる。互いに共感し、心から納得できる。コンサルタントは「双方の想いを伝える橋渡し役」であるというスタンスを大事にすることでより良いマッチングが図れていると思いますね。

石塚裕さん

求職者の「想い」を大切にするため、面談は常に全力投球

求職者の方とお会いする際に、いつも心掛けているのは、求職者の「想い」をとことん聞くこと。まだ表面上には出てきていないこともある、求職者が「本当にやりたい」と思っていることを引き出すのです。そのために、初めて求職者の方にお会いする際には、事前にその方のレジュメ等を読み込み、その方の状況を把握するための準備に時間をかけています。

以前、30歳半ばの大手日系企業でセールスとしてご活躍されているA氏にお会いしました。海外大学出身で英語も堪能、実績もすばらしく、A氏を積極的に採用したい企業は多いだろうと考えました。それと同時に、在籍されている企業の規模が大きく、事業の幅も非常に広かったことから、転職することで「現職よりも役割が狭くなる可能性がある」ことが懸念点だと感じました。

面談時にお話を伺うと、年収を上げて外資系企業で活躍したいと強く希望されていたため、希望に合いそうな案件をいくつかご提案しました。しかしなかなか興味を持っていただくことはできませんでした。そこでA氏とのやり取りの中で、私が懸念に思っていた「役割が狭くなる可能性」についてどう感じていらっしゃるのか、A氏に「想い」をとことんお話いただいたところ、実は「やりがい」「役割の広さ」を何よりも大切にしていたということが明確になったのです。

改めて、考えられる可能性やキャリアパスのストーリーを全て提示しました。それぞれのメリット・デメリットを一つひとつA氏と検討しながら今後どのように転職活動を進めていくかを話し合い、時間をかけてでもA氏の「想い」に合致する案件を探し続けることに決めたのです。そして、初めてお会いしてから約半年後、A氏にベストマッチすると確信を持てる求人を入手することができ、すぐにAさんに案件をご紹介したところ、話はとんとん拍子に進みご入社が決定。今はその部門の主要なメンバーとしてご活躍されています。

どんな方でも、可能性や方向性は一つではありません。その方のご状況やご希望をもとに考えられるあらゆるストーリーを考え、それぞれのメリット・デメリットとともに提示する。そしてどのストーリーが一番その方の想いに合致しているかを話し合い、キャリアプランを明確にすることを大切にしています。そうすることで、ご自身のキャリアに対してより納得度の高い選択ができると考えているからです。

一方、企業にお会いする時には人事担当者だけでなく、現場のマネージャーや経営トップ層など、当社が持つルートや人脈も使いながら、できるだけ多様な立場の方の話を聞いて情報を取りに行っています。人材コンサルタントとして、その企業の状況やビジョン、「想い」を深く理解することで企業が本当に求める人材像にマッチし、企業の想いに心から共感できる方をご紹介したいと思っているからです。

「企業側に入り込み、現場の情報を得た結果、より良いマッチングが図れた」例があります。ある外資系ヘルスケアメーカーから、SCM(サプライチェーン・マネジメント)ポジションを担える人を採用したいという依頼があり、人事からいただいたジョブ・ディスクリプションにマッチする方をご紹介しました。しかし、当社からの紹介を含めて誰ひとり、面接どころか書類選考すら通過しない状態が数カ月続きました。人事によると、現場のマネージャーがNGを出しているとのこと。どうしても現場を見て、話を聞く必要があると思い、頼み込んで現場マネージャーに時間を割いていただきました。すると、現場では、私がイメージしていた人材像とは全く違う人材を求めていたこと、そして現場マネージャーがいかに本ポジションに期待しているかがわかりました。

改めてそのポジションに求められる役割と本人のご経歴・ご希望が合致する方にお声がけをし、「今よりさらに上のサプライチェーンを実現するため、現場の改善を担ってほしい」というマネージャーの想いを伝えたところ、すぐに面接が決まり、私が現場を訪れてわずか3週間以内で内定まで至ったのです。現場を知り、想いを伝えることの重要さを、改めて実感させられた経験でした。

石塚裕さん

ヘルスケア業界の動向は日々変化。最新の情報を、ぜひ聞きに来てほしい

一昨年よりヘルスケア業界を担当していますが、この1年半で状況が大きく変化しています。

大手製薬メーカーは、医薬品開発コストの飛躍的な上昇や大型化する見込みのあるパイプライン候補の減少、そして主力製品が次々と特許切れを迎え、売り上げ減を受けてのリストラや組織スリム化の動きが高まっています。反面、日本において新規参入のバイオファーマ系企業等は、希少疾病医薬品や専門領域を絞った特徴のある医薬品の開発を進め、高い技術力を活かしてビジネス拡大、採用も活発に行っています。

ポジション的には、セールス部門(MR)が縮小となる一方で、MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)の採用が増えました。また、世界的な安全性基準の厳格化に伴い、専門性の高いPMS(市販後調査)やPV(ファーマ・コヴィジランス)の採用も増えてきました。そして、今後の開発ニーズに合わせて、オンコロジー領域の経験者を求める企業も増えると予想されます。

医療機器メーカーにおいては、新しいイノベーション等により、画期的な新製品の発売が増えてきました。また、医薬品よりスピーディーな承認が取得できるようになったことに加え、異業界からの新規参入も増えつつあり、非常に採用ニーズが高まっていると思います。

ポジション的には、プロダクトマネージャーの案件が増加中。製品増への対応、そして業務細分化・専門化が背景にあるため、医療機器経験者だけでなく、コンサルタント経験者をお迎えするケースもあります。

求人動向は刻々と変化しています。個人で転職活動をしていると、こういう動きをつかみ切れず、キャリアの範囲を狭める恐れもあります。その時々の新しく正しい情報を持っているのが、我々の最大の強み。弊社のヘルスケア業界を担当するキャリアコンサルタントには製薬業界出身、医療機器業界出身のコンサルタントも在籍しており、それぞれの専門性や強みを発揮してチームとして転職をサポートしています。今の状況を把握し、可能性を広げるためにも、ぜひ気軽に人材コンサルタントに声をかけてほしいですね。

石塚裕さん

石塚裕さん

株式会社アイ・エス・エス・コンサルティング

石塚 裕さん

新卒で光学機器メーカーに入社し、医療機器の技術サポートエンジニアとして6年間勤務。その後、人材紹介会社に転職し、人材コンサルタントにキャリアチェンジする。2000年、「企業と求職者、両方と接点を持ちたい」とISSコンサルティングに転職し、メーカーやIT/コンサルティング業界を長く担当。2013年より、ヘルスケア業界を担当している。

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