
『医療に選択肢を』というスローガンのもと、医療DXを推進する株式会社Doctorbook。疾患啓発メディアや医療者向け教育プラットフォームの運営、バーティカルSaaSを通じた医療機関の経営支援、治療用アプリ(DTx)の開発など、スマートな医療の実現を目指してさまざまな事業を展開しています。今回お話を伺ったのは、代表取締役CEOの相馬理人さん。口腔外科医としてキャリアをスタートし、医療コンサルティングファームを経てDoctorbookを創業。そこにはどんな思いやストーリーがあったのでしょうか。
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| 年収 | 504~624 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Doctorbook |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 広告/メディア法人営業 Webサービス法人営業 |
| 年収 | 408~540 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Doctorbook |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | Webディレクター |
| 年収 | 408~540 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Doctorbook |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | Webサービス法人営業 |
目次
天職と思えた道から方向転換し、時代が求める方へ
── 起業までには歯科医やコンサルタントを経験されたそうですが、どのような道のりを歩んでこられたのでしょうか。
私は3人兄弟の末っ子で、兄と姉とは歳が離れていまして。幼い頃から自由奔放に、やりたいことは何でもやらせてもらってきました。高校3年のときには、人と違うチャレンジをしてみたいと思い立ち、アルゼンチンに1年間留学しました。この経験が、私の人格形成に大きな影響を与えたと思います。
ホスト先は、首都ブエノスアイレスから1000kmも離れた地方都市でした。当然ながら言語も文化も、何もかも日本と違って、いきなりホームシック。おまけに当時、日本との連絡手段といえば高額な国際電話か、片道2週間かかる手紙くらい。だけど、そんな環境だったからこそ、自分自身とも、現地の人々ともしっかり向き合うことができたんです。おかげで、“今”を大切に生きる陽気で快活なラテンの魂が、自分の中にもインストールされました。
私の留学を支援してくれたのは、AFSというボランティア団体でした。その前身は、第二次世界大戦中に敵味方の区別なく負傷兵を救護したAmerican Field Service(アメリカ野戦奉仕団)という組織です。終戦とともに役目を終えたAFSは、二度と戦禍を繰り返さないように、未来を担う若者の国際交流を支援する団体に生まれ変わりました。高校生ながらに、そんなAFSの理念に共感した部分も少し、あったかもしれません。自分も、何か世の中に貢献できないだろうか。そう考えるようになりました。
当時のアルゼンチンは、先進国と比べると社会インフラが整っているとは言えませんでしたし、首都から遠く離れた町であれば尚更です。ただ、そんななかでも、医療は確かに人々を支える重要なインフラとして機能していました。現地で私と親しくしてくれた人たちのなかにも医療関係者がいて、彼らとの出会いや交流も、私の背中を押してくれて。そうして帰国とともに、医療の道に進むことを決めました。

── そこからは医療者としてのキャリアを積まれていったのですか?
実は、そうはならなかったんです。高校卒業後は歯科大学に進み、大学病院の口腔外科で臨床医としてのキャリアをスタートしました。昔から手先の器用さには自信があり、手技が求められる歯科医の仕事はまさに自分の天職ではないかと思うほど。やりがいのある毎日でした。
しかし、あるきっかけから、別の道へ転じることになります。当時、医療業界には大きな変化が訪れていました。多くの病院が経営課題に直面し、日本中で大規模な経営改革プロジェクトが実施されていた時期です。私が所属していた病院も手探りの経営改革を行っていました。私自身も、新米医師ながら医療経営に対する課題意識を持っていて、診療の傍ら、経営の勉強をするようになりました。そのなかで出会ったのが「診療内容を定量的にベンチマークする手法」です。それまでは病院ごとに独自に行われていた経営を、他院との比較・分析によって最適化できる。「これは、臨床現場に大変革が起こるぞ」という確信とともに、自分の使命のようなものを直感しました。そこで、国内有数の診療データを持つコンサルティングファームへの転身を決意したんです。

医療の世界は、まだまだベールに包まれている
── コンサルティングファームでは、思い描いたような仕事ができましたか?
それはもう、存分にできましたね。約7年間、夢中で働きました。年に200日以上は出張して全国の病院を飛び回り、ベンチマークデータを基に診療の適正化を支援していました。例えば、同じ疾患を持ち、同じ手術を行った患者の術後経過や処方歴などが、すべて可視化され、即座に比較・分析ができる。それは、現場の医師たちから「目から鱗」と言われるほど画期的なアプローチでした。
そうしたコンサルワークとともに取り組んだのが、がん専門病院同士の情報共有を活性化する研究会の立ち上げです。最初は、病院間で医療データを開示しあうことに難色を示されたこともありました。実際、初回は医療機関名を伏せた匿名比較から始まったんです。でも、回を重ねるごとに先生たちの意識も変わっていき、院長に加えて各科の専門医も対面で集まり、有意義な議論が交わされるようになっていって。医療の世界を包んでいたベールが、少しずつ剥がされていくような感覚でした。臨床と経営、両方の視点から医療が良い方向に変わっていく。その手応えを、確かに感じていました。
── 業界の変革が順調に進んでいくなかで、なぜ起業という選択に至ったのですか?
医療機関の連携が進み、情報が可視化され、業界が急速に変わっていたのは事実です。しかし、それはまだまだ業界内に閉じた話でした。全国の医療現場を回りながら医師たちと対話する中で、一般生活者や患者に対する情報発信が圧倒的に足りていないことを痛感していました。
そんななか、決定的なきっかけとなったのが当時話題になっていた「病院ランキング」のムック本です。ふらっと入った書店で手に取ってみたのですが、その内容には違和感しかなくて……。医療現場の実態を正しく伝えているとは、到底思えませんでした。しかも、医療機関によっては掲載費用を払っているというのです。こんな形で情報が発信されていたら、患者も医療者も、正しい選択なんかできはしない。それなら、より良い仕組みをつくれないだろうか。もっと質の高い情報を社会に共有して、医療を見える化できないだろうか。そんな思いが、Doctorbook立ち上げの原動力になりました。

「先生、ご自身の手術は、誰に託したいですか?」
── 創業後は、どのように事業を軌道に乗せていったのでしょうか。
医療情報の発信者として何よりも大事にしたかったのは、情報の質と信頼性を担保すること。そこで、まず注力したのが、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる各専門領域を牽引する医師とのリレーション構築でした。第一線で活躍されている先生たちは、「正しい医療情報の発信」に課題を感じていながらも、多忙で手が回らないことに葛藤されていて、快く協力してくださいました。一人会えたら、また次の先生を紹介してもらって、数珠つなぎに協力者を増やしていきました。
ちょっと生々しい話ですが、KOLの先生も、自分自身の手術を自ら担うことはできませんよね。そこで、「もしものとき、誰に自分の身を預けたいですか?」と問いかけてみる。すると真剣に考えてくださって、本当に信頼のおける先生や、ライバルの先生を紹介してくれるんです。西から東へ飛び、北から南へ飛び、最初の半年で100人以上の先生にお会いすることができました。
そうして、まず立ち上げたのが一般生活者向けの疾患啓発サイトです。KOLの先生方に直接出演いただくことで専門性の高い情報を発信し、信頼性のあるメディアづくりにこだわりました。次に着手したのが、医療者向けメディアの構築。ここでも、業界の注目を集める KOL を起点にコンテンツを展開することで、医療者会員の獲得を進めていきました。現在では 10 万人以上の医療者が登録し、数千本もの臨床コンテンツを提供するプラットフォームに成長しています。
この医療者向けメディアの本質的な目的は、医療者の発信の場を増やし、医療者同士の情報連携を強化すること。学会などでの発表よりもフランクに発信ができる“オンライン学会”のような場を目指して、医療者同士が互いの専門性を知りやすく、そして連携しやすくなる環境を整えていきました。

土台づくりを終え、本格的な変革フェーズへ
── 事業を着々とスケールされてきていますが、今後のビジョンや現在の取り組みについて教えてください。
私たちが目指すのは、医療者同士の結びつきを強め、正しく良質な医療情報を世の中に行き渡らせること。それによって受診の流れを最適化し、誰もが主体的に医療を選択できる社会を実現することです。これまでの10年で、医療者をつなぐ場づくりに関しては一定の成果を感じていて、ようやく土台が整ってきました。ここからはいよいよ、一般生活者や患者にとって実感のある価値創出に、本腰を入れて挑戦するフェーズだと思っています。既存事業の拡張にも引き続き取り組みますが、新規事業も積極的に展開していきます。
現在、新たな取り組みとして力を入れているのが、口腔ケアの啓発を通じた予防医療の推進です。その一環として、歯周病治療のための DTx(治療用アプリ)の開発に取り組んでいます。歯周病が「人類史上最大の感染症」と言われているのをご存知でしょうか。罹患者の多さもさることながら、歯周病は、糖尿病をはじめとするさまざまな全身疾患と密接に関連していることが明らかになっています。この社会的意義の大きなテーマに対して、当社は2021年から東京科学大学と共同研究を進め、すでに複数の特許も取得しました。今後、このDTxを社会実装して、実際の医療現場で活用できる仕組みを確立していくことは、Doctorbook の重要な使命だと捉えています。

ビジョンは明確、行き方は自由。フリースタイルを楽しもう
── 社会的意義の大きなビジョンを実現するために、どのような組織づくりや運営をされていますか?
理想を実現していくスピードが足りないことへのもどかしさは、常に感じています。何しろ、解決しようとしている社会課題があまりにも大きいのです。だからこそ、何よりも大事にしているのは、チャレンジし続けること。「失敗してもいいから、全力でやってみよう」という文化です。誰だって、歩けばつまずくし、走れば転ぶ。でも、転ぶのを怖がって何もしなかったら、スタートアップとしては何の価値も生み出せません。評論よりも行動。これを徹底しています。そして、目標が大きいからこそ、一歩一歩着実に、ひたむきに。Doctorbookが目指す組織の姿は、5つの行動指針に詰まっています。
1.「目的を見定め、主体的に取り組む」
皆が幸せになるために、自分の頭で考え、行動する。
2.「顧客の期待を、感謝に変える」
期待を超える仕事をし、「ありがとう」と言われる存在を目指す。
3.「美意識をもって、細部にこだわる」
デザインや機能にも徹底的にこだわり、顧客の立場で価値を追求する。
4.「毎日努力して、昨日より進化する」
プロフェッショナルとして、昨日の自分を超え続ける。
5.「相互に尊重し、分かち合う」
お互いをリスペクトし、成果を分かち合いながら共に成長する。
それから、意識的に取り組んでいるのはコミュニケーションの活性化ですね。とにかく風通しのいい組織にしたくて、基本的には出社勤務です。デスクは私も含めてフリーアドレス制で、役職やレイヤーに関係なく働いています。眺望が自慢のルーフバルコニーやハンモック、BARスペースもあったりして、気持ち良く働ける環境づくりにはみんなでこだわっているんです。あとは、ちょっとした特徴ですが、年齢や性別に関係なく全員が「さん付け・敬語」で会話するのが当社のカルチャー。オープンで、フラットで、挑戦しやすく働きやすい会社でありたいと思っています。
── そんな組織からは、実際にどのような挑戦が生まれていますか?
そうですね、例えば、最近完成した当社のブランディングムービーは、入社して間もない若手スタッフが企画・制作をしてくれています。ほかにも、医療機関向けSaaSプロダクトの営業スタッフが、顧客開拓のために1ヶ月間の名古屋遠征を提案してくれたり、外国籍のスタッフが、海外のドクターに向けたセミナーを開催してグローバル展開の礎をつくってくれたり。医療資格を持つスタッフが、より広範囲なサービス認知獲得を目指してインスタライブを企画・配信したり。それらはすべて、スタッフからの自主提案なんです
私たちは、まだ世の中にないものをつくろうとしています。だからマニュアルなんてありません。目指すビジョンだけは明確ですが、そこへの行き方は自由です。一人ひとりが自分で考え、行動していくしかないのです。これから仲間に加わってくださる方には、そういうフリースタイルな働き方を一緒に楽しんでいただけたら嬉しいですね。

株式会社Doctorbookが募集している求人はこちら
| 年収 | 504~624 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Doctorbook |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 広告/メディア法人営業 Webサービス法人営業 |
| 年収 | 408~540 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Doctorbook |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | Webディレクター |
| 年収 | 408~540 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Doctorbook |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | Webサービス法人営業 |
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