営業という立場で、医療の最前線に立つ。

医療機器メーカーの営業と聞いて、どのような仕事を思い浮かべるでしょうか。病院を訪問し、製品を説明し、導入を提案する。そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、アボットで働くKさんの仕事は、その枠に収まりません。白衣や鉛エプロンを身にまとい、医師や医療スタッフが行う心臓カテーテル治療の現場に立ち会います。営業という立場でありながら、臨床に深く関わる。経験を積み重ねる中で、Kさんが大切にしてきたのは、医療の最前線で一つひとつの事例に真摯に向き合う姿勢でした。地道な活動を通して、医師や医療スタッフとの信頼を積み上げていく。その延長線上にある仕事のあり方を語っていただきました。

K.S(上記Kさん)

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文系から、医療の世界へ。

── まずは、これまでのキャリアについて教えてください。

大学卒業後、新卒で医療機器メーカーに入社しました。国際教養系の学部で英語と医療を軸に学びながら、ヘルスケア分野をテーマにしたゼミに所属し、人の健康や命に関わる仕事に自然と関心を持つようになりました。循環器領域についても基礎的な内容に触れたため、文系出身ではありますが、「医療」という分野を遠く感じることはなかったと思います。

── 新卒で医療機器メーカーを選んだ理由は何だったのでしょうか。

就職活動の段階で、業界はかなり絞っていました。「誰の役に立っているのかが分かる仕事がしたい」という思いが強く、病院や医療機関と関わる仕事に魅力を感じていたんです。英語を使う仕事にも興味はありましたが、それだけだと少し抽象的に感じてしまって。医師や医療スタッフがいて、その先に患者さんがいるという構造が見える医療業界のほうが、自分には合っていると感じました。

── 最初の会社では、どのような仕事をしていましたか。

人工透析領域の製品を扱う国内メーカーで、営業職として働いていました。東京近郊の病院や透析クリニックを担当し、すでに導入されている自社製品を長く使っていただくためのルート営業が中心でした。毎日複数の医療機関を訪問し、医師や看護師、臨床工学技士の方とコミュニケーションを取る。困りごとがあればすぐに対応する。そうした積み重ねが評価される仕事でした。

変化を求めて、アボットへ。

── 転職を意識し始めたきっかけは何でしたか。

数年働く中で、業界全体の構造が少しずつ見えてきたことが大きかったです。人工透析という分野は治療法が確立されており、市場としては成熟しています。患者数が急激に増えることもなく、医療としては非常に重要で安定している一方、大きな技術革新が頻繁に起こる分野ではありません。

── そのことに、どのような思いを抱いたのでしょうか。

仕事自体に不満があったわけではありません。ただ、「この領域で10年、20年先まで働く自分」を想像したときに、少し立ち止まって考えるようになりました。自分は、変化のある環境で新しい知識を吸収し続けたいタイプなんだな、と。その気づきが、次のキャリアを考えるきっかけになりました。

── そこで循環器領域に目を向けた理由は?

学生時代に少し学んでいたこともあり、循環器領域は以前から関心がありました。循環器は治療技術の進化が早く、数年単位で治療のスタンダードが変わっていきます。同じ医療業界で働くなら、変化の中で専門性を高め続けられる領域に身を置きたい。そう思いました。

── アボットとの出会いについて教えてください。

転職活動で色々と企業を探すなか、出会ったのがアボットでした。グローバル企業として最先端の治療技術を扱っている点、そして循環器領域の中でも今後の成長が見込まれる分野に携われる点に魅力を感じました。「ここなら、もう一段深い医療の現場に関われる」と感じ、入社を決めました。

医療に深く関わる営業。

── 営業として、どのように医療と関わっていますか。

私たちの仕事は、単に製品をご紹介することではありません。医師の先生方がどのような考えのもとで治療方針を決めているのか、どのような課題を感じているのかを理解しながら、対話を重ねていく仕事だと感じています。診療の流れや医療の背景をきちんと理解していなければ、会話の質も深まりません。だからこそ、常に学び続けることが求められますし、自分の知識や視点が試されていると感じる場面も多いです。

── 関わり方が深まっていると感じるのは、どのようなときですか。

製品の話題だけでなく、製品の話題にとどまらず、関連する情報について相談をいただく機会が増えたときです。営業という立場は変わりませんが、求められる役割は確実に広がっていると感じます。単に自社製品の情報を届ける存在ではなく、状況に応じた選択肢を整理し、考えを共有できる存在であること。それが、私が目指している営業のあり方です。

── この仕事の難しさはどこにあると思いますか。

医療は日々進歩しており、常に新しい知識が求められます。専門的な内容を理解し続ける努力が欠かせませんし、相手の立場に立って物事を考える姿勢も必要です。その分、自分自身の成長がそのまま仕事の質につながる。医療と深く関わる仕事だからこそ、責任とやりがいの両方を感じています。

「売る」よりも前にあるもの。

── 営業としての役割は、これまでの経験を通じてどのように広がっていきましたか。

症例立ち会いは変わらずありますが、加えて施設全体の状況を見ながら、どのように関係性を深めていくかを考える機会が増えました。数字や売上の管理もありますが、私の場合、「どうすればこの施設でより安心して治療を進めてもらえるか」を考えることが、結果的に数字につながっていると感じています。

── この仕事で、やりがいを感じる瞬間はどんなときですか。

やはり、「信頼されている」と実感できたときです。最初は、どうしても経験不足が立ち回りに出てしまいます。医師の方から見ても、「まだ完全には任せられない存在」だったと思います。それでも、その都度次に生かせるよう情報を整理し、うまくいかなかった点も含めて正直に向き合ってきました。そうした積み重ねの中で、少しずつより深いディスカッションができるようになっていったと感じています。

── 印象に残っているエピソードを教えてください。

ある病院を担当して1年ほど経った頃、循環器内科の責任ある立場の先生が、私の先輩に、「Kさんは、いてもらわないと困る存在になっている」と私について話してくださったそうなんです。その言葉を先輩から聞いたとき、自分の積み重ねがちゃんと実になっていたんだと実感しました。前職では味わえなかった達成感でした。

結果と姿勢が評価される環境。

── 女性の活躍環境としてはどう感じていますか。

正直に言うと、「女性だから」という理由で特別に意識する場面はあまりありません。評価されるのは、性別ではなく、どれだけ現場に向き合っているか、どれだけ誠実に関係性を築いているか、そして専門性を高め続けていけるかどうかだと思っています。

── 働き続けられている理由は、どこにあると思いますか。

チームの存在が大きいです。急な体調不良やトラブルがあったときも、誰かがすぐにフォローに入れる体制になっており、チームメンバー同士で支え合う文化が根付いています。外資系というと個人主義のイメージを持たれがちですが、実際はかなりチーム志向の文化だと感じています。

── 最後に、この記事を読む方へメッセージをお願いします。

この仕事は決して楽ではありません。ただ、専門性を積み上げ、誰かに頼られる存在として現場に立ち続けたい人にとっては、とても良い仕事だと思います。性別に関係なく、姿勢や努力がそのまま信頼につながる。そういう環境で働きたい方には、きっとやりがいを感じてもらえると思います。

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