
未経験からITエンジニアを育成するHRインキュベータ。ゼロからの研修を経てどのような仕事が待っているのか。現場で何を任され、どんなポジションへと進んでいけるのか。未経験で入社し、現在はSI事業部を率いる亀山京平さんと、入社2年目の末正優太さんに話を聞きました。
亀山京平
末正優太
株式会社HRインキュベータが募集している求人はこちら
| 年収 | 288 万 ~ |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社HRインキュベータ |
| 勤務地 | 東京都新宿区 |
| 職種 | web/オープンSE |
業界全体のIT人材を増やしたい
── まず、HRインキュベータの事業について教えてください。
亀山:HRインキュベータは、複数のIT企業で構成されるユニゾングループの一社です。グループ各社で活躍するエンジニアの採用と育成を担う会社として、2014年に設立されました。
事業は大きく分けて二つあります。一つは人材開発事業です。IT未経験者を採用し、約4カ月間の研修を経て、グループ各社へ出向してもらいます。出向期間は原則3年間で、その間に実務経験を積み、本人と受け入れ先双方の希望が合えば、出向先へ転籍する仕組みです。グループ全体へエンジニア人材を供給する役割を担っています。
もう一つが、私たちのSI(システムインテグレーション)事業です。こちらは人材開発事業とは異なり、HRインキュベータの社員として所属したまま、クライアントのシステム開発や運用・保守、既存システムの刷新などのプロジェクトを支援しています。受発注や在庫管理、生産管理、会計など、企業の基幹業務を支えるシステムを手がけているのが特徴です。
── 育成には時間がかかります。あえて未経験者を採用するのはなぜでしょうか。
亀山:背景にあるのは、IT業界全体の人材不足です。多くの企業で老朽化した既存システムが技術的な負債となり、事業の拡大や新しい取り組みを妨げていますが、その解消を担うエンジニアの数は足りていないのが現状です。
もちろん、企業の採用戦略として見れば、経験者を迎えるのが合理的です。しかし、限られた経験者を企業間で奪い合っても、IT業界で働くエンジニアの総数が増えるわけではありません。人材不足という課題に向き合うには、これまでIT業界に携わってこなかった人を迎え、現場で活躍できる人材へ育てる取り組みが必要です。HRインキュベータは、その役割を担うために未経験者の採用と育成を続けています。
── お二人は、どのような経緯でIT業界に入りましたか。
末正:私は高校を卒業してから、5年ほどコンビニでアルバイトをしていました。以前からパソコンに触れることは好きで、周囲にエンジニアとして働く先輩が何人かいたため、仕事について話を聞く機会もありました。IT業界は、仕事を始めてからも学び続けなければならない世界です。それを大変だと感じる人もいると思いますが、私には「知らないことが無限に湧いてくる」ことが面白そうに感じました。新しいことを知るのが好きな自分には、合っているかもしれないと思ったんです。
亀山:私の場合、最初のきっかけは大学時代に遊んでいたパソコンゲームでした。ユーザーがプログラムに手を加え、機能を拡張できる仕組みがあり、設定を変えるとゲームの動きも変わる。それを見て、「こういうことができるんだ」と興味を持ちました。ただ、大学卒業後、最初に就職したのは不動産会社です。営業と管理部門で3年弱働き、退職してから半年ほど、次にどの世界へ進むかを考えました。他業界も候補にありましたが、検討を重ねるうちにIT業界が残ったという経緯です。正直なところ、理系だったので、論理的に考える仕事なら適性があるかもしれない、という程度の出発点でしたね。
── 数あるIT企業の中で、HRインキュベータを選んだ理由を教えてください。
末正:4カ月の導入研修があることと、面接を通して感じた会社の姿勢です。未経験者を採用する企業をいくつか検討しましたが、これだけの期間を研修に充てる会社はほとんどありませんでした。
面接では、早い段階から人をまとめる仕事にも挑戦したいと伝えました。入社後の道筋を具体的に描けていたわけではありませんが、「新入社員にはまだ早い」と退けられることはなく、そのやりとりから、年次にかかわらず挑戦を後押ししてもらえる会社だと感じました。
亀山:私は、応募したその日のうちに内定の連絡をもらいました。転職エージェントを介さず会社と直接やりとりしており、採用担当者が電話で採用の意思を伝えてくれたことが印象に残っています。選考の速さに加え、一人の応募者としてきちんと向き合ってもらえた感覚がありました。最終的には縁だったと思っています。
── 末正さんは、入社前に不安もあったそうですね。
末正:25歳までアルバイトを続けていたので、仕事に生かせるスキルを持っていないことへの焦りがありました。就職活動を始めた頃は、生成AIが急速に普及し始めた時期でもあります。「これからエンジニアになっても、もう遅いのではないか」と考えたこともあります。それでも、業界の外から想像しているだけでは何も分かりません。まず環境に入り、変化を自分で確かめようと考えました。

技術の基礎から、チーム運営まで学ぶ4カ月
── 入社後の研修は、どのように進むのでしょうか。
亀山:最初の1カ月は、コンピュータやプログラミング、データベースなど、ITの基礎を幅広く学びます。その後はJavaによる開発やWebアプリケーションの仕組みを学び、4カ月目にはチームで模擬プロジェクトに取り組みます。研修はグループ各社の新入社員が合同で受講し、おおむね2カ月ごとに新しい期が始まります。参加者は通常8人前後ですが、4月は新卒者も加わるため人数が多く、末正の期は26人ほどでした。所属先が異なる社員も同じ場所で学ぶため、配属前からグループ内に同期や知人ができます。その後に同じプロジェクトに入ることもあるので、この時期にできたつながりは実務でも生きてきます。
── 末正さんが印象に残っている研修はありますか。
末正:最後の模擬プロジェクトです。研修会場周辺の飲食店を検索できるアプリを、企画から考えて開発しました。1週間ごとにプロジェクトマネージャー、チームリーダー、メンバーの役割を交代で担当し、私は2週目にプロジェクトマネージャーを担当しました。入社前から独学していたため、個人課題は比較的早く進められましたが、チーム開発では、メンバーによって理解度も進み方も異なります。自分が理解していることを、ほかのメンバーも同じように理解しているつもりで話してしまい、うまく伝わらないことがありました。最終的に、アプリは満足できる完成度には届きませんでした。自分のことだけを考えていては、開発はうまくいかないのだと実感しましたね。チームの足並みを揃える大切さは、実務に入ってからも痛感しています。
── 技術以外には、どのようなことを学ぶのでしょうか。
亀山:グループの人材育成で以前から掲げているのが、「当たり前のことを、当たり前にできる人材」です。報告・連絡・相談をする。分からないことを抱え込まず、仕事の段取りを考える。現場の先輩が、新人に最初から高度な技術を求めるわけではありません。むしろ対応に困るのは、本人がどこで立ち止まっているのか、周囲から見えない状態です。普段から会話を交わし、自分がどこまで理解しているのかを伝える。必要なときに周囲の人の助けを得られる関係を、自分から築くことも求められます。研修中は、日々の課題やチーム演習を通じて、そうした振る舞いを具体的にフィードバックしています。
末正:私は研修中、タスクを細かく分けるように何度も指摘されました。今も仕事を受けたら、必要な作業を最初に洗い出し、優先順位と期限を置くようにしています。もう一つはビジネスマナーです。アルバイト先では、言葉遣いやメールの書き方を細かく教わることがなかったので、当初は自分の振る舞いの何が失礼に当たるのかも分かっていませんでした。亀山さんから「まずは大人になることを目標にしよう」と言われたこともあります(笑)
── ITの知識がまったくなくても、研修についていけますか。
亀山:入社時点でITの知識がないこと自体は問題ありません。ただ、「本当に誰でもついていけるか」と聞かれれば、そうではないと思っています。エンジニアは頭を使って価値を生み出す仕事ですから、一定の論理的思考力や、新しいことを理解していく力は必要です。実際、研修を進める中で、なかなか理解が追いつかない人もいます。それは努力だけではなく、仕事との適性や能力による部分もあります。
その意味では、4カ月の研修は知識や技術を身につける期間であると同時に、自分がこの仕事でやっていけるのかを確かめる期間でもあります。もちろん、分からないことがあれば講師や会社が支援します。ただ、研修を受けていれば自然にエンジニアになれるわけではありません。自分で考え、学び、人を頼りながら前へ進んでいくことは必要です。

実務では、業務理解が重要
── 末正さんは現在、どのような仕事を担当していますか。
末正:研修後から、大手食品卸企業の基幹システムを運用・保守するプロジェクトに参加しています。HRインキュベータの社員で構成するチームに所属し、そのチームを束ねる立場として、グループの別会社に所属するリーダーがいる体制です。配属されてから現在まで、同じ現場で経験を積んでいます。マネジメントに関心があることを早い段階からチームリーダーに伝えていたため、最近ではほかのメンバーへ作業を割り振る役割も少しずつ任せてもらっています。
── 現場へ入った当初は、どのような状態でしたか。
末正:研修で学んだ知識だけでは、目の前の仕事を理解できませんでしたね。現場で扱っているのは、食品流通に関わる幅広い業務を支える大規模なシステムです。プログラムを読めても、なぜその処理が必要なのかまでは分からない。受発注のデータが在庫や会計へどうつながるのか、通常とは異なる事態が起きたときに、どの処理へ移るのか。お客様の業務を知らなければ、適切な対応を判断できません。最初は、問い合わせに出てくる用語を一つずつ調べるところから始めました。調査を重ねていると、以前に見た処理と、いま扱っている処理の関係が見えることがあります。そうして少しずつ、システム全体の見え方が変わってきました。今も知らないことのほうが多いですし、業務理解はこれからも深めていかなければいけません。
亀山:業務理解に時間がかかるのは、末正に限った話ではありません。流通、製造、会計など複数の領域が関わり、企業固有のルールもあります。経験を積んだエンジニアであっても、新しい顧客の業務を理解するには時間が必要です。
なお、新人の配属先を運用・保守に限定しているわけではなく、研修後すぐに要件定義へ加わった社員もいます。担当する工程は、プロジェクトの状況や本人の適性を踏まえて決めています。
── 配属後は、誰に仕事を教わるのでしょうか。
亀山:未経験の社員が一人でプロジェクトへ入るケースは、ほとんどありません。現場にはHRインキュベータ、またはユニゾンホールディングスグループの先輩がいます。所属する会社は異なっていても、共通の育成方針のもとで経験を積んできた人たちです。新人をグループ全体の後輩として育てる意識は、各社に根づいています。
末正:一時期、複数の案件を並行して担当した際に、優先順位をうまくつけられないことがありました。一つの作業が遅れ、その後に予定していた作業にも遅れが広がってしまったんです。そこで、タスク管理を得意とするグループ会社の先輩に相談し、作業の切り分け方や、状況を周囲へ伝える方法を一緒に整理してもらいました。その先輩に対して、所属会社が違うから相談しづらい、という感覚はありませんでしたね。

一人ひとりの強みを生かすキャリア設計
── 亀山さんは、未経験で入社し、現在は事業部責任者を務めています。どのような経緯があったのでしょうか。
亀山:私が入社した2020年当時、SI事業部は10人に満たず、組織の仕組みもほとんど整っていませんでした。人数が増え、リーダーを置こうという話が出た際に4人ほどが立候補し、その中に私もいました。入社から半年ほどの頃です。その後も開発現場に立ちながら、社内制度や事業部の業務設計に関わってきました。組織に必要な仕事を引き受けていくうちに、会社づくりに関わる仕事の比重が次第に大きくなっていきました。
── 社員のキャリアについては、どのように考えていますか。
亀山:プロジェクトマネージャー、技術面をリードする上級SE、お客様との折衝を担う役割など、システムエンジニアの役割は多岐にわたります。当社では、会社が用意したコースに社員を当てはめるよりも、本人の志向に応じて役割を広げていく形が合っていると考えています。肩書以上に大切なのは、その人の名前で頼られることです。「業務のことならこの人に相談しよう」「この技術ならあの人に任せよう」と、個人の専門性や仕事ぶりを認めてもらえる状態ですね。
もっとも、入社したばかりの社員に希望を聞いても、すぐに答えが出るとは限りません。現在はキャリアプラン面談を行い、仕事を人生の中でどう位置づけたいのかというところから話しています。現場の仕事以外にも、採用、社内教育、後輩育成、社内イベントなどを担う「社内ロール」を整備しているところです。
末正:私は現在、採用活動にも関わっています。自分が選考に携わった人が入社する予定なので、今後はその人の教育にも少し関わりたいと考えています。技術の勉強も好きですし、研究開発のような仕事にも興味があります。いくつか希望を口にしていますが、まだ進む方向を一つに決めたわけではありません。今は目の前の仕事で経験を積み、周囲から仕事を任せてもらえるだけの土台をつくることが先だと思っています。
── 昨今は生成AIの普及が加速していますが、どのように捉えていますか。
亀山:IT業界は、AIの影響を早い段階で受ける業界の一つです。この1年ほどで精度が大きく向上し、利用時のルールと確認の仕組みを整えれば、実際の開発でも活用できる段階に入っています。グループではAI戦略推進室を立ち上げ、全社員が1年間で計80時間の研修を受ける計画です。現場ごとに利用できる範囲は異なりますが、今後の開発において、AIの活用を避けることは難しいでしょう。一方、新人研修へどのように組み込むかは、まだ試行錯誤している段階です。AIが生成したプログラムの妥当性を判断するには、技術と業務の両方の理解が欠かせません。現在は従来のカリキュラムで基礎を身につけた後、研修の終盤でAIを扱う構成を想定しています。
── 最後に、未経験からIT業界を目指す方へメッセージをお願いします。
末正:未経験であることを理由に、応募する前から壁を設ける必要はないと思います。私も入社時点では、実務経験も正社員経験もありませんでした。今もできないことは多いですが、任される仕事は少しずつ増えています。HRインキュベータはグループの中では新しい会社で、組織としても発展途上。私は、そんな環境に面白さを感じています。自分たちの手で、会社の存在価値を形にしていける余地があるからです。
亀山:会社としても、ようやく事業と組織の土台が整ってきたところです。今後は社員総会をはじめ、社内ロールや報酬体系も整備していきます。制度が完成した組織ではなく、これからも変化が続く会社です。そうした変化を前向きに捉え、自分の役割を探していける人に向いていると思います。自分なりに実現したいことがある人や、相手の困りごとに寄り添って考えることが好きな人と、一緒に会社をつくっていきたいですね。

株式会社HRインキュベータが募集している求人はこちら
| 年収 | 288 万 ~ |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社HRインキュベータ |
| 勤務地 | 東京都新宿区 |
| 職種 | web/オープンSE |
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。