
人材不足にあえぐ日本のモノづくりを、再び世界のトップに押し上げる。そのカギを握っているのは「検査」である—−。大手光学機器メーカー出身の西本励照さんが立ち上げた株式会社MENOU。同社は、あらゆる製造現場で行われている外観検査を自動化するAIシステム「検査AI MENOU」を開発し、2019年の創業以来、急速に導入企業を増やしています。西本社長は、なぜ「検査」という分野に着目し、どんな可能性を見出しているのか。一連のストーリーを伺いました。
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| 年収 | 500~700 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | その他カスタマーサクセス |
| 年収 | 550~750 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | web/オープンSE |
| 年収 | 500~700 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 大阪府 |
| 職種 | セールスエンジニア/プリセールス |
| 年収 | 550~750 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | IT/通信製品法人営業 Webサービス法人営業 |
目次
物心ついた頃から、モノづくりは生活の一部だった
── 「検査を通してモノづくりを支える」。その事業立ち上げに至るまでには、どのようなストーリーがあったのでしょうか。
幼い頃から私にとって「モノづくり」は身近な存在でした。山口県の田舎町にある実家には、ガレージや倉庫がいくつもあり、毎日のように父が機械いじりや電気いじりをしていました。私も自然と一緒にモノを作るようになり、モノづくりが生活の一部でした。そのような生い立ちからか、機械や構造物を見ると、設計や作り方を考えるのが癖になっています。例えば、テーマパークに行っても、乗り物の裏側の構造にばかり注目してしまう。同行者から「変わってるね」とよく言われます(笑)。
中学卒業後は高等専門学校に進学しました。専攻は、電気・機械系。そこでさまざまな先進技術教育を受ける中で、興味を持ったのが半導体露光装置でした。あまり聞き馴染みのないものだと思いますが、ありとあらゆる電子機器を作っている装置です。早く社会に出て実践的な技術を身に付けたいと思い、卒業後は就職の道を選び、半導体露光装置の分野でトップクラスの実績を持っていた大手光学機器メーカーに就職しました。
── 光学機器メーカーではどんなお仕事をされていたのですか?
最初に配属されたのは、CADを使った電気設計開発の部署でした。設計業務を任され、電気系、機械系の分野で幅広くモノづくりに携わりました。私は昔から好奇心が強く、配属先でもいろいろなことに携わらせてもらいましたが、それでも物足りなくなり自らプログラミングを覚えました。自主的に電気設計開発の自動化を進めていくうちに、社内でも「変わった奴がいるな」と認識されてきたようで、アサインされたのが、当時立ち上がったばかりの検査装置自動化プロジェクトでした。
子どもの頃からモノづくりには触れてきましたが、それまで私は「検査」というものにあまり注目していませんでした。しかし、検査装置開発に携わるようになり、お客様の製造現場を視察するうちに認識が変わりました。例えば、私たちが当たり前のようにスマホを綺麗な状態で購入できることも、普段使うデスクなどが最初から割れていないことも、検査員が精度の高い検査をしてくれているからです。実際に製造現場に行くと、この方々のおかげで我々の生活は豊かになっているのだと気づきました。昨今、品質不良のニュースが絶えませんが、これは至極当然のことです。検査が人に依存しているからこそ、人材不足のシワ寄せが顕著に出てしまうのです。このような事案を見て「日本のモノづくりが崩れ始めている」と、検査装置自動化の重要性を強く感じました。

「メイドインジャパン」ブランドが、過去のものになる危機感
── メーカーでの検査装置自動化プロジェクトでは、どのような成果が上がりましたか?
正直なところ、最初は思うようにいきませんでしたが、その経験がMENOUの立ち上げにつながっています。私の中で大きな出来事だったのが、インドネシアに工場を構えるお客様との案件です。私はお客様からヒアリングした課題と要望を受けて、半年かけて検査装置のプロトタイプを作り上げました。ですが、いざ現地の工場に到着してみると、伺っていた検査がもう行われておらず、「その課題は半年前のもので、この装置では今の業務には使えない」と言われてしまいました。その場でプログラムを書き直して調整してみたものの、すぐに実用化できる精度ではありませんでした。検査業務には、現場の検査員が無意識に、そして感覚的に行っている工程があります。それらは言語化ができておらず、プログラムの書きようがないのです。そこで痛感しました。現場のことを深く知らない第三者が作った装置は、まったく使い物にならず、私たちが取り組んできた開発スタイルでは、現場に通用しないのだと。
それに、何かが起きる度に外部のエンジニアが改修対応をしなければならないようでは、モノづくりのスピードが落ちてしまいます。そのため、これまでも検査装置の導入を試み、諦めて、人の作業に戻すというサイクルがずっと続いてきてしまっていた。しかし、現場の人材が減ってきている中で、人力の検査には持続性がありません。「この課題を解決できないだろうか」と考えているうちに、ディープラーニングの技術が世に出てきて、これを応用すればエンジニアに依存していた技術を補完できると感じました。製造現場の方々こそが、現場に必要なプログラムを実装していくことができる。この気づきが、そのまま現在の事業につながり、MENOU創業に至りました。
── そこまで「検査」という分野にコミットし、起業にまで至ったのはなぜでしょうか。
世界一と言われていた日本のモノづくりが、どんどん遅れをとっていくことがやるせなかったんです。また、ちょうどその頃、私の第一子が生まれたタイミングでもあり、このままではこの子が大人になる頃には「メイドインジャパン」の栄光は歴史の教科書の話になってしまう。それを見過ごしてはダメだと思いました。とはいえ、日本のモノづくり品質は、今でも世界と比べて圧倒的に高い。ただ、品質を保つ仕組みが持続的ではないだけです。その仕組みさえ作れば、きっと日本のモノづくりを復活させられる。「検査」という分野には、そんな可能性があると確信して、ノーコードで検査装置を作れるシステムを開発しようと決心しました。もちろん、勤めていたメーカーで1つの事業として取り組む選択肢もあり、大手企業ならではのメリットも多くありました。しかし、日本のモノづくりを復活させるためには、大きな組織の意思決定速度では間に合わないと思ったんです。それぐらいの危機感を持って、起業しました。

検査の効率化を通して、さらなる価値を生み出す
── どのように事業を軌道に乗せていったのですか?
本当にゼロからのスタートでした。4人の創業メンバーは全員が技術系の出身で、営業やマーケティングのノウハウは一切なく、展示会に出展して地道につながりを作っていきました。しかし、名もなきスタートアップが作ったAI検査システムを使ってくれる企業はなかなかいません。ようやく最初のお客様と出会えたのは、創業から半年ほど経った頃でした。コロナ禍だったため、出展企業も来場者もまばらな展示会で、当社の「検査AI MENOU」に可能性を感じてくれるチャレンジングなメーカーさんが2社、現れました。本当にお客様に恵まれたと思います。まだ試作段階のプロダクトを導入してもらい、お客様と一緒に改善を重ねながら、なんとか一定の成果を上げることができました。そこから少しずつ実績を積み重ねていき、展示会にも出展し続け、徐々に評価や認知度も広がっていきました。今では150社を超える企業様に導入いただくまでになりました。さらに、現在では、AI検査システムで最も大切であり、難しい工程である「撮像」に関しても、ロボットアームメーカーとの連携を始めました。お客様により幅広い提案をできるように、進化を続けています。
── AI検査装置の導入企業においては、どんな成果が出ていますか?
「検査AI MENOU」の導入企業様では、短期的な視点で見ると、検査の自動化、省人化、品質向上という成果はもちろんありますが、我々が目指しているのは、そこからさらにプラスアルファの価値です。検査AI MENOUを導入することで、人による検査では残らなかった検査結果データが溜まっていきます。このデータを活用することで、検査業務だけでなく、設計や製造工程における改善点まで見えてきます。実際にお客様からも、「モノづくり全体の向上に役立つ気づきを得られている」というフィードバックをいただいています。私たちとしては、蓄積されたデータをいかに有効活用していくのか、今後さらに研究していきたいと考えています。

「顧客が自らAI検査装置を作る」類を見ないコンセプト
── AI技術の発展によって後発企業が増えてきている中で、いかにして競合と差別化されているのでしょうか。
確かに競合は増えていますね。ただ、差別化ポイントは明確です。私たちのプロダクトのコンセプトは「製造現場側でカスタマイズできるAI検査装置」。AI検査装置を作り上げるのは私たちではなく、あくまでお客様側であるということです。数多くの競合他社にも、未だにこのコンセプトを真似されたことはありません。そこが重要だと気づいていないからだと思います。ほとんどの場合、ベンダー側が装置を開発しています。ですが、私たちは製造現場の実態を見て、多くのフィードバックをいただいてきました。だからこそ「持続可能な技術であるか」という観点を何より大事にしています。私たちが提供しているのは、競合他社のプロダクトのように第三者が作り上げた検査装置ではなく、言わば一人の検査員を教育し一人前に育てるように、現場でAIを教育し、AI検査装置を作り上げていくサービスなのです。
また、MENOUでは、通常“企業秘密”とされるような重要な技術情報も含めて、ノウハウをすべてインターネット上に公開しています。技術を模倣されるリスクは高まりますが、私たちは技術情報をクローズドにするよりもオープンにすることの方がお客様に必要であると考えています。また、MENOUは他社の追随を許さないほど圧倒的な速度で開発を進めており、現在、年に24回の「新バージョンリリース」を実施しています。お客様のアクティビティ情報から収集したデータをもとに機能を追加していくため、一つひとつのリリースの精度も高いです。このようなスピード感を持続できるのは、迷いがないからです。他のスタートアップ経営者からは事業ピボットの話をよく聞くのですが、私たちの場合、それは一切ありません。創業以来、一貫して「検査の自動化」にフルコミットし、「高品質なモノづくりを未来に繋ぐ」という目標に、一直線で向かっていくだけです。

社員の意思を尊重することで、開発速度を最大化していく
── 圧倒的なスピード感を実現するMENOUとは、どんな組織なのでしょうか。
モノづくりにおいてトライ&エラーを繰り返していくように、組織づくりや社内の制度、働き方についても、その時点の最適を模索し、絶えず変わり続けています。一つ変わらないものがあるとすれば、全員が目的思考の組織を目指している点ですね。面接の際に重視している質問は「何のために働くのか」ということ。もちろん答えは人それぞれでいいのですが、やはり人生一度きりなので、貴重な今日一日、この一瞬をMENOUという会社に使っていいのだろうか、と問い続けてもらいたい。業務効率化の面でも、パフォーマンス向上の面でも「やりたいからやる」に勝るものはないと思うんです。また、少々些末な話になるかもしれませんが、出社すること自体が目的にならないように、決まった出社日というのは設けていません。職種によって目的達成のために必要があれば出社やお客様先訪問をしますが、それ以外は基本的にバーチャルオフィスに集まってリモート勤務をしています。私もよく実家の山口に帰省しています。各自の好きな場所で、好きな時間を使って、最大限に力を発揮してもらえたらと思っています。
── 具体的な開発体制についても、工夫や特徴があれば教えてください。
特徴的なのは、当社ではPDM(プロダクトマネージャー)のポジションを設けていないことです。ある種、エンジニア全員がPDM的な思考を持って動いています。カスタマーサクセスチームから、毎日お客様のご意見やご要望に関する報告があり、それをエンジニア全員が閲覧できます。必要に応じて、エンジニア自ら製造現場に出向いて情報を収集したり、カスタマーサクセスチームに聞き取りをしに行ったり。誰かの指示を受けて開発をするのではなく、自身が解決したい課題や、使ってみたい技術にチャレンジするのが当社の開発方針です。
この方針にこだわるのは、お客様が使えないものを作ってしまった、私自身の失敗体験があるからです。人から又聞きになると、スピードは落ちます。その間にも現場のニーズは変わっていく。では、何が最速なのかと考えると「自分で拾って、自分で実装していく」のが一番。だからこそ当社では、全社員に展示会のアテンドを任せることにしていて、企業のリアルな課題や悩みに直接触れられる機会を作っています。そうして、開発メンバーそれぞれが主体的に、自身が必要だと思うものを提案してくれる組織が形成できています。それで業務が成り立っているのは、メンバーが優秀だからと言うほかないのですが(笑)。
また、開発以外のポジションでも、自ら課題を見つけて解決していきたい方や、スキルを発揮する場を求めている方にとっては、とても挑戦しやすい環境ではないかと思います。自らが貢献した分、将来の自分自身の暮らしの質を上げることに直結するのも、私たちの事業の特徴です。そうした社会的な意義にも共感してもらえるならば、日々の業務はさらに面白いものになると思います。ご興味をお持ちいただけたなら、ぜひ一度お話ししましょう。MENOUが目指す未来と、あなたの人生の目的に重なる部分があれば、こんなに嬉しいことはありません。

株式会社MENOUが募集している求人はこちら
| 年収 | 500~700 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | その他カスタマーサクセス |
| 年収 | 550~750 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | web/オープンSE |
| 年収 | 500~700 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 大阪府 |
| 職種 | セールスエンジニア/プリセールス |
| 年収 | 550~750 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MENOU |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | IT/通信製品法人営業 Webサービス法人営業 |
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。