
1955年のペンシルロケットから、イプシロンロケットまで、日本屈指のロケットシステムメーカーとして成長を続けてきたIHIエアロスペース。ロケット技術と宇宙利用技術、それらに必要な複合技術を磨きながら、宇宙・防衛・航空領域の進化を目指している。
同社の強みはどんな点にあるのか、技術者たちにはどんな苦労ややり甲斐があるのか、どんな人を迎えたいと考えているのか…。豊かな自然に囲まれた群馬県富岡市の本社を訪ね、衛星打上げ用ロケットの設計・開発を担当する野口さんと、防衛用ミサイルのロケットモーター開発を担当する佐竹さんにお話を伺った。
野口裕一
佐竹正明
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| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 設計(機械系) |
| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市, 東京都江東区 |
| 職種 | 設計(機械系) |
| 年収 | 650~1300 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 設計(機械系) |
| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 開発(技術・研究・製品) |
宇宙開発と防衛装備に、確かな技術力を提供してきた歩み
── 御社はIHIグループにおいて、航空・宇宙・防衛事業領域の中核を担う会社です。同業他社との違いなど、業界内での位置づけを教えてください。まずは、衛星打上げ用ロケットを担当している野口さん、どうでしょう?
野口:私たちIHIエアロスペースは、衛星打上げ用ロケットを開発するメーカーとして、日本で衛星を打ち上げた経験を持つ2社のうちの1社です。長年の開発で培ってきた実績が認められ、国のロケット(基幹ロケット)であるイプシロンロケットの開発も一部任されるようになりました。ロケットの設計にあたって、どういう要件が求められるか、それをどうやってモノに反映していくかといった初期の段階から携わり、最終的にお客様に喜んでもらえる価値のつくり込みから関与できているのです。
そういう役割を与えられていることもあって、業界の中でも兄貴分的な存在で、業界関係者から声をかけられて頼りにされる機会も非常に多いです。先輩たちが積み上げてきた信頼関係のおかげですが、ここは大きな強みではないかと感じています。
── 同じ質問ですが、業界における位置づけについて、防衛用ミサイルを担当している佐竹さんは、いかがですか?
佐竹:防衛の場合、高性能なロケットモーターのオンリーワンメーカーだと言えます。ロケットモーターというのは、EVの電気モーターのような回転をするものではなく、「ロケット推進装置」です。
防衛の場合、遠くから飛んでくる速い弾道ミサイルのような、脅威の大きな目標を迎撃する必要がありますが、そうした高性能の迎撃ミサイルに使うロケットモーターを開発できるのは日本では我々だけで、製品自体に強みを持っていることになります。
── 宇宙と防衛、それぞれの事業の歩みの中で、節目となった出来事はありますか?
野口:2013年の9月に、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の下で機体システムの設計・製造を担当した「イプシロンロケット」試験機を打ち上げ、惑星分光観測衛星「ひさき」を軌道に乗せるミッションに成功しました。このときを境に、弊社の担う役割が徐々に変化していきました。ロケットの機体全段の組立も任されるようになったのです。
その後、新たな節目も訪れており、民間事業のニーズにも応えうるイプシロンSロケットの開発を、いま進めています。より広範囲におよぶ開発を包括的に委託されるようになったのです。試験機のロケット開発時からしっかり役割を果たしてきた実績が、この状況に繋がったのだと思います。世界各国の市場環境も踏まえて、「ロケットはどうあるべきか?」というコンセプト段階から、JAXAの伴走の下で取り組んでいます。

── 防衛はどうでしょう。
佐竹:日本における防御の必要性が高まることになる、2つの節目がありました。
1つ目は、1998年の北朝鮮によるミサイルの発射実験です。これを機に、防衛省とアメリカ国防総省による迎撃ミサイルの共同開発が始まります。当時入社したばかりの私も開発初期に参加させてもらいましたが、10年の歳月をかけて新型迎撃ミサイルが装備されました。IHIエアロスペースが国防総省からも認知され、米国の防衛への貢献にも繋がっています。
もう1つはウクライナ戦争です。これをきっかけに、各国が防衛装備の不足を再認識し、日本も国防予算が増えて、数々の防衛用ミサイルの開発プロジェクトが立上っています。また、この需要の高まりに応じるべく生産基盤の強化も行っています。多くの機種を同時に開発するだけでなく、製造能力の増強も求められるため、いままさに、それに対応すべく取り組んでいるところです。
チャレンジの先に、誰も見たことのない光景が広がる喜び
── お二人はともに新卒入社とのことですが、IHIに入った経緯や、これでまでのキャリアを教えてください。
野口:学生時代から航空宇宙関係の勉強をしていました。就職活動をしていた頃、新しいロケット開発のプロジェクトがIHIグループで進行中だったのですが、そのエンジン開発に興味を持って、2007年に入社しました。今年で19年目になりますが、まずは希望がかなって、ロケットのエンジン開発を約5年経験した後に防衛技術部(現:防衛事業推進部)に移って、さまざまな装備品の開発・企画を行いました。その後、元のロケット技術部(現:宇宙輸送事業推進部)に移り、小型ロケットの概念設計、イプシロンロケットの3号機と4号機の打上げにも携わってきました。
次は、IHIの昭島事務所で航空機のジェットエンジン開発プロジェクトが立ち上がるタイミングで異動となりました。2年経ったところで、ここ富岡の本社に戻ってきて、今年で3年になります。のべでいうと5部門、宇宙・防衛・航空の開発部門を経験してきました。
佐竹:私は物心ついた頃から宇宙やロケットに強い興味を持っていまして、そのまま高校、大学、大学院と学びを進めました。大学時代は、航空宇宙工学科でロケット工学を専攻していたのですが、JAXAの宇宙科学研究所に送り込まれた形で、ロケットの固体燃料にあたる「推進薬」について研究をしました。産官学で連携していたご縁もあって、2006年にIHIエアロスペースに入社しました。
ロケットというのは推進装置が重要な構成部品になっていて、その燃料は大きく言うと、液体と固体の2種類ですが、私は固体ロケットの設計部門に配属されました、そのあと、防衛ミサイル用の固体ロケットの開発を担当して、いまは入社20年目です。

── これまでの仕事の中で、もっとも印象的だった出来事を教えてください。
野口:2つありまして、1つは入社4年目、液体ロケットエンジンの開発の部署にいたときのことです。自分が設計した部品をテストする機会があって、燃料噴射して燃焼する様子を確認する試験だったのですが、何回やっても火が着かなくて、試験にならないんです。なかなかうまくいかないまま何日も過ぎました。試験隊の皆さんを待たせている焦りもある中で、夜中までデータ解析をして、圧力や温度や部品を変え、翌朝の試験条件を決めては試験を試みては失敗する繰り返しで、ようやく火が着いたのです。わずか2センチほどの小さな炎でしたが、ずっと見守ってくれた試験隊の皆さんも喜んでくれた表情が嬉しくて忘れられません。
もう1つは、鹿児島県内之浦の現場で、イプシロンロケットの打上げに参加したときのことです。自分たちのチームが設定したパラメータでロケットが飛ぶため、ミスがないように何日も点検し続けてきて、いよいよ本番当日を迎えました。打上げ自体は無事にクリアしましたが、きちんと軌道に乗って目的の場所に届けられるかどうか、ハラハラした思いは続きます。ロケットを正常に飛ばすためのパラメータは、その根拠も含めて膨大な量です。パラメータを設定するために膨大な解析をし、設定したパラメータに間違いないかどうか確認していくという、辛抱強い作業を約1年繰り返してきただけに、モニターからは一瞬も目が離せませんでした。
発射から1時間弱で、狙っていたドンピシャの場所に人工衛星が投入された瞬間、大きな歓声が上がりました。その後、必要なタスクを終えて、IHIエアロスペースからの技術支援スタッフ、JAXAや関係者含め全部で100人ほどの打上げ隊のみんなと乾杯しました。「打上げ」の「打上げ」ということですね(笑)

── 佐竹さんは、印象的な出来事はどうでしょう?
佐竹:入社3年目の頃、ロケットモーターの設計の正しさを確認するための破壊試験というのを行いました。燃焼中は、内部圧力がかなり高くなるため、確実な耐性が求められます。そのために闇雲に分厚くしても重たくなるだけですから、ギリギリの限界設計ができるように破壊試験でデータをとりながら、修正を重ねていくわけです。壊れる前提で設計した上で、その通りの結果になるかどうかも確かめました。急速な水圧によって負荷をかけたあと、水を抜いてみると、実際に割れている様子が見えたんです。その瞬間は、もう一生忘れられません。なぜなら、世の中の誰も見たことがない光景を自分が初めて目にしたという興奮を覚えたからです。
一方で、このときに課題も残っていました。壊れた瞬間の圧力と、我々が想定していた圧力との間に、わずかな差があったのです。そのズレの原因は、当時の私には解明できませんでした。それでも開発は進めなければなりません。そこで、圧力のほうを下げて絶対に壊れないようするという、対症療法的な設計修正をするしかなかったのですが、悔しい思い出として、ずっと心に残っていました。
それから6年後、他部署でシステム全体を見ることを経験して、研究開発に戻って、ロケットモーターの設計の高度化に関する研究を担当しました。そこで、設計手法を高度化して、あのときのリベンジマッチをしたのです。すると、マージン・オブ・セーフティという数字があるのですが、それを超えたところ、つまり壊れると想定したギリギリのところで壊れました。この結果は忘れられません。
たとえば自動車ならエンジンやブレーキやタイヤなど、走るのに最低限必要なところは、すでに技術が確立しているため、早いスパンでのモデルチェンジが可能です。いっぽう、ロケットやミサイルは最高性能をつねに求められる性格のものなので、これまでの限界の突破を基本的な設計アプローチとしています。ですから、見たことのないところ、到達したところのないところにチャレンジできる面が、この仕事には本質的に付随してくると言えます。
ロケット開発とは「総合格闘技」。いろんな得意分野を持つ人と、目的を共有したい
── ロケット技術について、「じつはここは頭打ちになっている」「ここはまだまだ伸びしろがある」という点などはありますか?
野口:ロケットに求められるのは、まずは高性能であることです。同じ材料を使ってもたくさんのものが運べる、遠くに運べるということをいままでは重視してきました。そうした性能をいつでも発揮できる信頼性も欠かせませんから、設計の段階からの検討、試験での検証、失敗からの学びを反映させるサイクルをつねに回し続けています。さらに最近は、人工知能も含めてコンピュータの性能も高まったため、実物なしにシミュレーションしたデータの活用も行っています。
したがって、斬新な技術の飛躍の余地が少なくなってきたような現状ですが、新しいものをつねに生み続けていく観点は忘れてはなりません。そのためにも、1チームで1つのものを作るという従来の枠組みを超えた、設計・開発手法を進化させていくつもりです。
佐竹:軽ければ軽いほど、そして燃料がたくさん詰まっていれば詰まっているほど、遠くまで速く飛んで行きます。エネルギーを出す固体燃料である推進薬の研究が進んだ結果、かなりギリギリまで性能は高まっていて、生み出せるエネルギーのポテンシャル自体はもう頭打ち状態です。一方で、軽量化による性能向上の伸びしろはまだまだあります。たとえば、軽さを実現できる複合材の部品の割合を増やす開発には余地が残されています。
もう1つ、詳細は言えませんが、ロケットモーターにこれまでになかった新しい機能を追加していく方向での取り組みも進めています。
野口:いま佐竹から燃料の性能は頭打ちという話がありましたが、我々はこれまで固体ロケットの開発に注力してきました。一方、液体燃料を用いたロケットは、より高性能な推進が可能になるだけではなく、運用面でも新たな可能性が広がると考えています。例えば、液体メタンを燃料にしたロケットエンジンの開発を進めており、衛星打上げロケットへの搭載を目指しています。液体ロケットは構造が複雑で軽量化の面で課題がありますが、燃費が良いため搭載燃料を減らせるメリットがあります。また、液体推進系は推力の調整や中断が可能で、機能面でも柔軟性が高いという利点があります。固体・液体それぞれの特性を活かし、用途に応じて適切な方式を選択しながら、今後も技術開発を進めていきたいと考えています。

── 最後になりますが、どんな人を新しい仲間として迎えたいですか?
野口:ロケット開発というのは、「産業の総合格闘技」とも言われています。いろんな技術領域の塊なのですが、それがバラバラでも良くないし、たくさんの人が関わるだけでは、求める形には仕上がりません。それぞれが持っている専門知識や技術をうまく発揮して組み合わせていかなければ、成り立たない仕事だと感じています。ですから、「ロケットをなんとしてもつくり上げたい」という思いを持ち、「ここは誰にも負けない」という腕に覚えのある方に、ぜひ来ていただきたいです。データを活用する重要性も高まってきましたから、情報工学の知識や技術を持つ方も活躍していただけるのではないでしょうか。また、事業としてどう進めていくかという視点から牽引できるような、技術系以外の人材も必要だと考えています。例えば、衛星打上げ用ロケットを使ったサービス提供を企画するにあたっては、入念な契約プロセス、関連法規制への遵守も求められ、法律に長けた人も欠かせません。
佐竹:いきなり「ロケットの開発やりませんか」と言うと、躊躇される人は多いと思います。でも、野口が言ったように、ロケットというのは総合工学なんです。ロケット工学という一分野があるだけではなくて、構造設計、素材、流体解析や流体力学など、いろんな知識と技術が集結されて初めて製品になるのです。ですからご自分の専門の領域さえ一つでも持っていれば、躊躇なくチャレンジしに来てほしいと思います。
そして、「我々は何のためにこの製品を開発してるのか」「そもそも我々は何のためにここにいるのか」という根本的な目的意識を共有して、腹落ちしてくれる人と一緒に働きたいです。私のいる部署の場合ですが、国防に資するというのは、人々の暮らしを守るということです。決して甘い仕事ではなく、楽ではない局面はたくさんありますし、泥臭いことももちろんあります。そんな中でも高いモチベーションを持って仕事をしていくためには、目的意識は重要ですし、自分が作っている製品が大好きであることは大切だと思います。
野口:ロケット愛は、確かに大切です。私はいつか宇宙に行きたいと考えています。いろんな人が宇宙に行くためにも、航空機と同レベルの安全・安心が大前提になりますから、技術者として特にここは目指し続けていきます。

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| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 設計(機械系) |
| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市, 東京都江東区 |
| 職種 | 設計(機械系) |
| 年収 | 650~1300 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 設計(機械系) |
| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 開発(技術・研究・製品) |
| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 設計(機械系) |
| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市, 東京都江東区 |
| 職種 | 事業企画 |
| 年収 | 780~1300 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 事業開発 |
| 年収 | 650~1050 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社IHI |
| 勤務地 | 群馬県富岡市 |
| 職種 | 設計(電気・制御) |
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