
自動車部品や医療機器、半導体関連などを手がけ、商社とメーカー双方の機能をあわせ持つ日邦産業。70年以上の歴史を築いてきた同社が、いま新規事業開発に大きく舵を切っています。その背景には、激化する競争環境のなかで、企業理念である「異色ある価値」の創造をいかに体現していくかという強い意志があります。既存事業の強みを土台にしながら、自社発のアイデアを起点とした事業づくりへと歩みを進めています。本記事では、常務取締役の三上氏、新事業開発部長の服部氏への取材を通じ、新規事業を生み出す組織体制や挑戦のリアル、そして社員の成長機会について紐解いていきます。
三上 仙智
服部 淳一
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| 年収 | 442~707 万 |
|---|---|
| 会社名 | 日邦産業株式会社 |
| 勤務地 | 東京都千代田区 |
| 職種 | 戦略/経営コンサルタント 機械/電気/電子製品法人営業 |
目次
理念から始まる挑戦。「異色ある価値」を創造していく

── 新規事業に力を入れている背景について教えてください。
当社が新規事業に力を注ぐ背景には、明確な企業理念の存在があります。当社が掲げる企業理念の根幹は「異色ある価値」の創造です。自社独自の価値を生み出し、それを社会へ広く届けることで、お客様のものづくりの進化に貢献していく。そしてその積み重ねが、会社の繁栄と社員一人ひとりの幸福増進につながるという考え方が根底にあります。70年以上の歴史を持つ企業だからこそ、現状維持では成長が止まってしまうという危機感があり、常に新しい挑戦を続ける必要があると捉えています。
これまで当社は、お客様の困りごとやニーズに応える形で価値を提供してきました。その姿勢は大きな信頼を築いてきた一方、同様のサービスを展開する競合も多く、競争が激しい市場環境に身を置いています。だからこそ、近年は「自社のアイデアを起点とした価値創出」に力点を移しています。既存の要望に応えるだけでなく、自ら発想した商材や自社規格製品を提案することで、ようやく他社にはない独自性をお認めいただくことができると考えている次第です。
例えば産学連携による新素材開発です。名古屋工業大学との共同研究により、水中生物の表面構造が持つ“水を保持する文様”に着目。その仕組みを工業製品に応用し、樹脂成形技術によって世界で初めて再現することに成功しました。これは単なる素材開発にとどまらず、断熱性能の向上や結露の抑制など、住宅・設備分野での活用が期待される技術です。現在は樹脂だけでなく、金属やフィルムなどさまざまな素材への展開を視野に入れ、用途の可能性を広げています。まだ見えていない新たな価値が生まれる余地がある点も、この技術の魅力の一つといえるでしょう。
なぜここまで新しい取り組みにこだわるのか。その問いに対して、当社は非常に現実的な視点を持っています。現状を守るだけでは他社の成長に追い抜かれてしまう可能性があります。競争の中で生き続ける企業として、他社以上のスピードで進化し続けることが不可欠です。そのための手段として、自社発のアイデアによる新規事業創出を重要な戦略に位置づけています。理念を起点に、独自の価値を生み出し続ける。この姿勢こそが、当社が次の成長を実現できるか否かの鍵となっています。
「環境貢献」を軸に、社内外の知見を掛け合わせて事業を生み出す
── 新規事業活性化に向けたアプローチについて教えてください。
現在の新規事業は、「環境貢献」というキーワードを起点に展開しています。上場企業としてESGへの取り組みを強化する中で、当社が持つリソースや技術、設備、そして商社とメーカー双方の機能が、この分野と非常に高い親和性を持つことに気づきました。さらに、長年培ってきたパートナー企業や大学とのネットワークを組み合わせることで、単独では実現が難しい領域にも踏み込める体制が整ってきています。
特に注力しているのが、「水素・水電解」の分野です。近年、環境課題の中心にあるのはCO₂の排出抑制や固定化、さらには資源の有効活用といったテーマであり、多くの企業がこの領域に取り組んでいます。当社も同様に、環境に対して何ができるかを模索する中で、最初に着手したのがこの分野でした。単なるトレンドとしてではなく、自社の強みを発揮できる領域として位置づけている点が特徴です。
その背景には、当社が持つ独自の事業構造があります。商社機能とメーカー機能の両方を有しているため、新しい設備や技術の構成を見た際に、「どこに自社のリソースが生かせるか」を立体的に捉えることができます。実際に、水電解に関わる装置の構成を分析したところ、自社の技術やノウハウを提案できる余地が多くあることが見えてきました。一方で、不足している要素も少なくありませんでした。そのギャップを埋めるため、大学やパートナー企業との連携を強化し、事業として成立させるための体制としくみづくりを進めています。
現在は、名古屋工業大学との産学連携を軸に研究開発を推進しています。加えて、専門性の高い企業と連携しながら取り組みを拡張しています。それぞれの得意領域を掛け合わせることで、単なる技術開発にとどまらず、実際のものづくりへとつなげていく構想です。
当社単独で完結させるのではなく、ネットワークを駆使して価値を創出していく。このスタイルこそが、現在の新規事業アプローチの特徴といえます。環境という社会的テーマに対し、自社の技術と外部の知見を融合させることで、新たな事業の可能性を広げています。
既存事業の強さを土台に、“新規専任”の組織で未来をつくる

── 新規事業活性化に向けた組織体制について教えてください。
当社の組織は、商社機能を担う商事本部と、ものづくりを担うメカトロニクス本部の二本柱で構成されています。長年にわたり一流企業との取引関係を築いてきたことから、既存事業だけでも安定した売上(ご注文)が成り立つ体制が整っていました。その一方で、日々の顧客対応や既存案件に注力するほど、新規領域に手が回りにくくなるという構造的な課題も見えてきました。そこで約3年前、新規事業の創出に特化した「新事業開発部」を立ち上げました。新しい事業の立案と、自社規格製品の開発を主な役割とする専任組織として機能しています。
現在は、事業本部で実績を上げてきた営業出身の人材を中心にメンバーを構成しています。顧客の現場を知り尽くした人材だからこそ、どの領域に可能性があるかを具体的に描けると考えています。さらに今年度からはマザー工場内(愛知県稲沢市:稲沢工場)に研究開発センターも新設し、技術起点でアイデアを創出する体制を整えました。営業の視点と技術の視点が融合することで、構想段階から実現までを一体で進められる環境が整ってきています。
加えて、「水素・水電解」を軸とする「Ecoプロダクツ事業」は、来春の本格立ち上げを見据えています。その準備組織として、新エネルギー事業準備室を経営企画部内に組成し、将来的な独立組織化も視野に入れながら体制を強化しています。新規事業を単発の取り組みで終わらせず、新たな事業セグメントとして育てていくための布石です。
── 求める人物像について教えてください。
新規事業の活性化に向け、即戦力となる人材の採用も積極的に進めています。この部門で求められるのは、受け身ではなく主体的に動ける人材です。自ら課題を見つけ、当社が主体的なコントローラーとして、影響の輪を広げること。既存メンバーと積極的に意見を交え、新たなシナジーを発揮することを期待しています。
既存事業で培った信頼や技術を背景に、即戦力人材と専任部門、研究開発機能が連携し、新しいビジネスの芽を育てていく。そうした環境の中で、自ら機会を見つけ、挑戦を楽しめる方とぜひ一緒に未来を切り拓いていきたいと考えています。主体的に考え行動することで、新しい価値を生み出していく。そのプロセスそのものを面白いと感じられる方にとって、当社は大きな可能性が広がるフィールドになるはずです。
ゼロから価値を生み出す。そのプロセスこそが最大のやりがい

── 新規事業に挑む面白さについて教えてください。
これまでの成功事例として挙げられるのは、パートナー企業とのアライアンスによって生まれたプロダクト群です。従来のようにお客様の引き合いを起点とするのではなく、当社の強みを起点に「組み合わせれば高付加価値になる領域」を自ら構想し、実現できる企業と連携して形にしていく。この進め方は、いわゆるマーケットインとは異なり、プロダクトアウト志向の色合いが強いものです。まだ顧客が存在しない段階から市場を想定し、武器となる製品をつくり上げ、その価値を提案していく。まさに新規事業ならではのアプローチだと感じています。
具体例として分かりやすいのが、自社製のウルトラファインバブル技術です。テレビCMなどで知られる家庭用シャワーのイメージが強い技術ですが、当社ではこれをBtoBの工業用途へ展開できないかと考えました。例えば、エコキュートや蓄電池、洗濯機、食洗機といった設備の内部に組み込まれる部品としての活用を想定しています。微細な気泡の働きによって汚れが落ちやすくなるなど、家庭用で実証されている機能を工業分野へ応用し、自社で特許を取得しながら用途開発を進めてきました。既存市場の延長線ではなく、新しい価値をつくり出し、その価値を自ら提案しに行く。この流れが一つの成功パターンとして形になり始めています。
とはいえ、新規事業の世界は決して順調なことばかりではありません。むしろ成功よりも失敗のほうが圧倒的に多いのが実情です。既存顧客がいない状態から始まるため、すぐに売上が立つわけではなく、数年間はコストだけが先行することも珍しくありません。三年目に入る頃には焦りも生まれますし、安定収益を生み出している既存事業がうらやましく見える瞬間もあります。それでも挑戦を続けられるのは、この取り組みが将来必ず既存事業の成長にもつながるという確信があるからです。活動内容を社内に見える形で共有し、全社として取り組む意義を伝え続けることも重要な役割だと感じています。
現在は8名のチームで新規テーマを推進しています。年間で一人あたり10件ほどのアイデアが生まれ、構想段階の「ポンチ絵」から具体的な提案へと磨き上げていきます。これまでの新規営業は既存顧客を起点としたものでしたが、今取り組んでいるのはパイプのない領域を自ら切り拓く活動です。自分たちのアイデアを出発点に、市場を想定し、形にしていく。そのやり方を少しずつ組織として身につけてきました。
挑戦を後押しする仕組みづくりにも力を入れています。例えば評価制度では、「挑戦して成果を出した人」を最も高く評価し、その次に「挑戦したが成果に結びつかなかった人」を位置づけています。一方で、挑戦せず既存業務で成果を出した場合は三番目の評価となります。挑戦そのものに価値を置く文化を明確に打ち出している点が特徴です。
さらに、今後は組織を拡充し、M&Aも新規事業のテーマの一つとして取り組んでいく予定です。営業や技術職だけでなく、経理や人事といった間接部門の知見も不可欠になるため、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる余地が広がっています。
こうした環境のなかで働くメンバーを見ていると、やりがいの源泉は単なる売上ではないと感じます。もちろん事業として成立させることは重要です。しかし、その背景には「新しいテーマを実現したい」「会社に貢献したい」「自分自身を成長させたい」という思いがあります。そうした内側からの動機こそが、挑戦を続ける原動力になっています。
モチベーションは常に高い状態を保てるものではありません。だからこそ重要になるのが、なぜ挑戦するのかというマインドセットです。突き詰めれば、「人生を受動的に生きるのか、それとも能動的に生きるのか」という姿勢の違いとも言えるでしょう。自ら機会を見つけ、行動を起こす側に立つのか。それとも与えられた役割の中だけで完結するのか。その選択が、挑戦の積み重ねによる成長の幅を大きく左右します。
私たちは、自ら考え行動する人の挑戦を組織として支えたいと考えています。挑戦の結果がすぐに成果につながらないこともあります。しかし、その一歩一歩が新しい事業や異色ある価値を生み出す土台になります。そうした挑戦を続けられる人とともに、これからの事業を築いていきたいと思っています。
既存事業と並び立つ“新たな柱”を、自らの手で生み出す
── 今後の展望について教えてください。
今後は、新規事業を既存事業に肩を並べる規模へと育て、新たな事業セグメントとして確立していく考えです。その中心となるのが、エコプロダクツ事業です。水素・水電解分野やウルトラファインバブルといった取り組みを軸に、環境領域での価値創出を加速させていきます。単発の成功で終わらせるのではなく、既存事業にも貢献しながら次の柱へと成長させる構想です。もちろん、当社はBtoBの工業分野を基盤とする企業であり、強みとかけ離れた領域に進むことはありません。これまで培ってきた技術やネットワークを土台に、着実に事業を積み重ねていきます。
その歩みを支えるのは、新しい価値の創出に挑みたいという意志を持った人材です。業容拡大と理念の実現に向け、会社に貢献しながら自身の成長や幸福も実感できる。この挑戦に共感し、自らの力を発揮したいと考える方と、ぜひ未来をつくっていきたいと願っています。

日邦産業株式会社が募集している求人はこちら
| 年収 | 442~707 万 |
|---|---|
| 会社名 | 日邦産業株式会社 |
| 勤務地 | 東京都千代田区 |
| 職種 | 戦略/経営コンサルタント 機械/電気/電子製品法人営業 |
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。