
「銀行」の常識を、テクノロジーの力で塗り替えていく——。住信SBIネット銀行は、SBIホールディングスと三井住友信託銀行の共同出資により2007年に設立されたネット銀行です。2025年6月現在、口座数825万口座、預金残高10兆円、住宅ローン取扱高12兆円を突破。2023年3月にはネット銀行として国内で初めて、東京証券取引所スタンダード市場に上場するなど、成長著しい企業です。また2025年5月29日には、NTTドコモが同社に対し子会社化に向けたTOB(株式公開買付け)を行うと発表し、金融×ドコモ経済圏を活かした新たな顧客基盤の獲得や価値創造が期待されるなど、ますます注目が集まっています。
その成長・勢いを支えているのが、先端テクノロジーを駆使したサービス展開です。住宅ローン審査では、仮審査から本審査に至るまでほぼすべての審査をAIで完結させ、コールセンターには音声対話AIによる自動応答システムをいち早く導入。さらに、他社ブランドに銀行機能を提供するNEOBANKⓇを通じた、BaaS(Banking as a Service)の先駆けとしても存在感を高めています。本記事では、執行役員(人事・データサイエンス担当)の酒井剛士さん、データサイエンス部長の志田剛さんへのインタビューを通じて、住信SBIネット銀行の事業と技術、カルチャーなどを紐解いていきます。
酒井 剛士 Takeshi Sakai(写真左)
大手銀行で営業・企画・人事など多様な業務を経験し、約1万5,000人の人事運営責任者として制度改革やキャリア採用拡大を推進。現在は住信SBIネット銀行の執行役員として、デジタルバンク・BaaS・非金融事業の成長を人的資本の側面から推進している。
志田 剛 Tsuyoshi Shida(写真右)
前職ではAIエンジニア・データサイエンティストとしてモデル構築やコンサル業務に従事。現在は金融機関の課題解決に向けたソリューション提供に加え、AIモデルの構築を軸に商品企画、事業計画、人材育成など多岐にわたる業務を担っている。
住信SBIネット銀行株式会社が募集している求人はこちら
| 年収 | 500~1500 万 |
|---|---|
| 会社名 | 住信SBIネット銀行株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | データサイエンティスト |
| 年収 | 600~1500 万 |
|---|---|
| 会社名 | 住信SBIネット銀行株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 業務企画 その他金融審査/回収 その他データサイエンティスト/アナリスト |
目次
「銀行×AI」で、圧倒的な効率と精度を実現。
── 近年、ネット銀行への注目が高まっていますが、その背景をどう捉えていますか?
酒井:ネット銀行全体が伸びている背景には、フィンテックの進展や社会全体のIT化があります。スマートフォンの普及やオンライン決済の浸透により、非接触かつ効率的な金融サービスが強く求められるようになりました。加えて、政府のキャッシュレス推進や、銀行業界におけるコスト削減の必要性も、ネット銀行の成長を後押ししています。AIやブロックチェーンなどを活用し、よりパーソナライズされた新しい金融サービスが、今後さらに求められていくでしょう。
一方で、銀行業界全体をみると、顧客獲得における競争は激化しています。人口減少や高齢化が進む中、新たな顧客を獲得するには、既存の常識を打ち破る発想が欠かせません。私たちのように支店を持たず、インターネットを通じてお客さまにお取引きいただいている銀行は、直感的で使いやすいUI/UXや、振込手数料などのコスト面での優位性といった「圧倒的な便利さ」を追求することが重要です。現在お客さまよりご評価いただいている高い顧客満足度を維持すべく、あらゆる商品・サービスの企画から実装に至るまで、お客さま中心主義を徹底しています。
── 住信SBIネット銀行のスケールや強みについて教えていただけますか?
酒井:おかげさまで現在、口座数は約800万口座、預金残高は10兆円にまで拡大しました。住宅ローンにおいては、 2024年度の年間新規実行額が1.9兆円に達し、メガバンクを含めても国内トップの水準となっています。この実績を支えているのが、AIをはじめとする先端技術の積極的な活用です。
たとえば住宅ローン審査では、現在その約9割をAIが担っており、精度とスピードを両立する審査体制を実現しています。当社独自のAI審査モデルにより、大手行では数百人単位で運用している業務を、他行の数十分の一の規模で対応しており、少数精鋭で高い成果を上げられる点が大きな強みです。また、カスタマーセンターにも生成AIモデル「GPT-4o」を活用した対話型AIプラットフォームをいち早く導入しています。お客様からのカスタマーセンターへの電話はAIオペレーターが一次対応を行い、内容に応じてスムーズに振り分けられる仕組みになっています。こうした取り組みも、金融業界の中ではかなり早い段階で実現できた例だと考えています。
── その他、特徴的な取り組みについて教えてください。
志田: 住宅ローンのAI審査モデルは、我々データサイエンス部門が開発を担当しています。それに加えて、法人向けの「トランザクションレンディング」や、不正検知のAIモデルなど、新たなサービスにも注力しています。「トランザクションレンディング」とは、企業の預金口座の入出金データをもとに、財務諸表に頼らず与信判断を行う新しい融資手法です。面談や書類の確認といった手間を省きながら、よりスピーディで柔軟な融資を可能にします。
また、他業種の提携企業さまとの協業により実現するBaaS(Banking as a Service)の分野にも力を入れています。お客様のサービス内に銀行機能を組み込み、住宅ローンや預金などの銀行サービスと提携企業のサービスを融合させたサービスを企画・開発し、提供することで、ユーザー体験の質を高めながら、事業価値の最大化にも貢献しています。
こうした取り組みは、AIやテクノロジーによる業務の効率化や精度向上にとどまらず、従来の銀行にはなかった新しい価値や体験を生み出すことにもつながっています。それこそが、業界全体の構造や常識をアップデートしていく原動力になっていると感じますね。

ここだから、できることがある。キャリアの先に、“攻める銀行”を選んだ理由。
── お二人が住信SBIネット銀行に加わった経緯と、現在の役割について教えてください。まずは志田さんからお願いできますか。
志田:私は現在、データサイエンス部で部長を務めながら、AI審査サービスを提供する子会社のDayta Consulting株式会社では取締役として、業務にあたっています。AIを活用した審査モデルの開発や、その技術を他の金融機関に広げていくためのコンサルティング、導入後のサポートなど、包括的に手がけています。
前職ではITベンダーにて、AIエンジニアやデータサイエンティストとしてコンサルティング業務を行っていました。ただ、実際には「絵に描いた餅」で終わってしまうことも多く、成果まで見届けるのが難しいジレンマがありました。その点、ユーザー企業である銀行であれば、自らの手でアウトプットを形にできる。さらに、膨大な顧客データと、技術に投資するカルチャーがある住信SBIネット銀行なら、金融の未来を“つくる側”に回れると感じ、2019年に入社しました。
── 酒井さんは、どのような経緯で入社し、現在はどんな役割を担っているのでしょうか?
酒井:私は現在、データサイエンス担当だけでなく人事担当の執行役員として、採用、人材配置、制度設計など、人的資本戦略全般も担っています。もともとは国内の大手銀行で、約1万5,000人の人事運営の責任者をしていました。当時感じていたのは、大手銀行全般にも言えることですが、変革に時間がかかりすぎることと、非効率な仕組みが数多く残っていることでした。紙の書類や複雑な承認プロセスなど、今の時代にはそぐわない慣習が、当たり前のように続いていました。
しかし、住信SBIネット銀行であれば、銀行という業界に残る非効率に、メスを入れられる環境があると感じています。自分の人生の時間をどう使うかを考えたときに、「世の中を変える仕事をしたい」と思いました。テクノロジーを積極的に取り入れている点や実力本位でフラットなカルチャーが根づいていることも非常に魅力的で、「ここなら、もっと早く、もっとダイレクトに変革が進められる」と確信したんです。
テクノロジーを武器に、旧態依然とした業界に新しい風を吹き込み、効率性と豊かさを両立させる。そんな銀行を実現したいと思い、2024年にジョインしました。いずれ「昔は銀行って、こんな不便なことやってたんだね」と笑って振り返られるような未来をつくりたいと考えています。
── お二人とも、入社後に“実現できたこと”“やりがいを感じること”が多くありそうですね。
志田:はい。AIモデルの社会実装に加えて、他行への技術提供を通じて、当社の取り組みが業界全体の構造にも影響を与え始めている実感があります。提案して終わるのではなく、きちんと形にして届けられる――それが何よりのやりがいです。
もうひとつ印象深いのは、立ち上げ当初から関わってきた子会社を、3年で黒字化できたこと。そこに至るまでは本当に苦労の連続でしたが、経営陣や上席の方々から多くのアドバイスをいただき、なんとか軌道に乗せることができました。入社して間もない時期から経営に携わる経験を得られたことは、今も大きな糧になっています。
酒井:例えば、27歳のマネージャーや32歳の部長、37歳の執行役員がいるように、年功序列にとらわれない登用が当たり前にあるのも、住信SBIネット銀行の大きな特徴です。挑戦する意志があれば、年齢や経歴に関係なく活躍できる。その仕組みを、人事という立場から現実の制度として形にできることに、大きなやりがいを感じています。
テクノロジーを武器に、これまでの銀行の“当たり前”を塗り替えていく。そのためには、どんな人を当社に招き、どんな環境で育て、どこまで任せていくかが非常に重要です。私たちの意思と仕組み次第で、会社も業界も、本気で変えていける。そう実感している日々です。

最先端×スピード。未来で選ばれる人材は、ここから生まれていく。
── 働く環境やカルチャー、求める人材について教えてください。
酒井:当社では、経営会議がほぼ毎日行われており、意思決定のスピードが非常に速いのが特徴です。さらに、若手社員が経営会議に同席できる仕組みがあり、自らの意見をダイレクトに経営陣へ届けることができます。実際、入社3〜5年目の社員がプロジェクトの中核を担っているケースも多く、挑戦する人に自然とチャンスが集まるカルチャーが根づいていると感じます。たとえば、新卒5年目の社員が「振込方法を自動で最適化する機能」を提案した際には、開発チームと議論を重ねたうえで、全社的にスピーディに実装されました。結果として、ユーザーからの評価も高く、利便性の向上にもしっかりとつながった成功事例の一つです。
志田:社内体制にも、支店(実店舗)を持たないという構造的な特徴が活かされています。支店の維持費や人員配置にかかるコストを抑えられる分、そのリソースをテクノロジーや人材に集中的に投資できる。そのため、有能な人材の挑戦に対して、必要なタイミングでしっかりと予算を投じることが可能です。事業規模に対して非常に効率的な経営ができているという実感がありますし、スタートアップのようなスピード感と柔軟さを発揮できる背景にもなっていると思います。
私の所属するデータサイエンス部では、生成AI・データ分析・モデル構築の3ユニットが、さまざまなテーマに取り組んでいます。希望があれば、ユニットをまたいだキャリア形成もでき、子会社の案件に兼務として関わることも可能です。たとえば、生成AIに携わっていたメンバーが、データ分析に軸足を移すといった柔軟な異動も自然に行えますし、特定分野に絞って技術を深めていくことも歓迎されています。
また、チーム内では、最新の論文や知見を持ち寄り、日々議論・共有する文化が根づいています。そこから得られた知識が、新たなモデル開発に取り入れられることも少なくありません。生成AIの活用や、機械学習・ディープラーニングを用いたモデル構築、BIツールやTableauによるデータ分析、さらには論文の読解やアルゴリズムの実装に関心のある方には、非常に刺激的で学びの多い環境だと感じています。
酒井:当社は、キャリア入社者が8〜9割を占めており、出身業界も金融に限らず、医療やコンサル、Webなど多岐にわたります。営業系のポストにおいては、むしろ銀行出身でない社員のほうが多いほどです。こうした多様な視点が自然と交わることで、新たな発想が生まれる土壌が育まれています。
また、営業や企画などフロント寄りの職種であっても、テクノロジーへの理解やシステムに関する知見が求められるのが当社の特徴です。エンジニアでなくても要件定義に携わる機会があり、システム開発との関わりが日常的に発生します。そうした実務を通じて、自然とITリテラシーが身につく環境が整っており、結果的に社員一人ひとりの市場価値向上にもつながっていると感じています。

銀行は、もっと快適に、もっと身近にできる。その未来を、一緒に実装しよう。
── 今後の展望や、目指している未来について教えてください。
酒井:住信SBIネット銀行は、「金融の当たり前」を変えていく会社だと思っています。ネット銀行と聞くと、まだ一部の人には馴染みがないかもしれません。ですが、少し立ち止まって考えてみると、アパレルや書籍の世界で起きた変化と同じことが、銀行にも起きようとしているのです。昔は洋服を買うのにお店へ行くのが当たり前でしたが、今はECサイトで購入し、自宅で試着して、簡単に返品もできる時代です。書籍も同様に、リアル書店からAmazonや電子書籍へとシフトしました。銀行も、まさにその転換点にあります。実際、私たちの住宅ローンは、申し込みから実行までをAIと自社デジタルプラットフォームやLINE上でオンライン完結できるレベルにまで進化しました。
さらに、BaaS(Banking as a Service)の取り組みでは、異業種の企業と連携し、それぞれのブランド内に銀行機能を組み込むことで、これまでにない金融体験を提供できるようになっています。
これまで金融は「難しそう」「面倒くさい」「時間がかかる」と思われがちでした。しかし、テクノロジーの力を使えば、その常識は覆せる。そして、その先には、もっと快適で、もっと楽しく、もっと身近な金融の姿があるはずです。私たちは、AIやデータ、そして人の情熱と知恵を掛け合わせながら、社会全体の豊かさを底上げしていくような銀行を、本気でつくり上げようとしています。
── 最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
志田:私は今、「AI×人」で金融の形をつくっていく面白さを、日々実感しています。社員全員がAIに強くなれる文化をつくり、業界初、日本初、世界初といった新しい価値をこれからも生み出していきたい。今後は金融機関以外の分野でも幅広くAI審査サービスを提供し、より多くのお客さまにご利用いただきたいと思っています。技術で解決できることは、まだまだあります。もし「自分の力で、世の中の仕組みを変えてみたい」と思う方がいれば、ぜひ一緒に挑戦してほしいです。
酒井:私たちの会社のスローガンは「テクノロジーと公正の精神で、豊かさが循環する社会を創っていく。」ですが、それを実現するための現場の合言葉は「テクノロジーで開拓せよ」。個人的にも、とても好きな言葉です。この会社には、「金融業界を変えていきたい」と本気で考えている人たちが集まっています。そして、そうした想いを受け止め、形にできるカルチャーがあります。経験よりも、熱意と好奇心を大事にする風土があるからこそ、「新しい銀行のかたち」は生まれる。未来の銀行を一緒に考え、創り上げてくれる仲間と出会えることを、心から楽しみにしています。

住信SBIネット銀行株式会社が募集している求人はこちら
| 年収 | 500~1500 万 |
|---|---|
| 会社名 | 住信SBIネット銀行株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | データサイエンティスト |
| 年収 | 600~1500 万 |
|---|---|
| 会社名 | 住信SBIネット銀行株式会社 |
| 勤務地 | 東京都 |
| 職種 | 業務企画 その他金融審査/回収 その他データサイエンティスト/アナリスト |
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。