街じゅうを<駅前化>するインフラをつくる。

「電動キックボード」や「シェアサイクル」といった言葉が身近になり、都市の移動手段が変わりつつある昨今。「街じゅうを<駅前化>するインフラをつくる」を掲げて新たな交通インフラづくりに挑んでいるのが、株式会社Luupです。マイクロモビリティシェアのサービスを、全国35エリア以上で展開。5年でアプリダウンロード数500万を突破し、都内のコンビニ数を上回るほど街中にポートを設置するなど、急成長を遂げています。その舵を取るのが、代表取締役CEO・岡井大輝氏。「100年後の日本に必要とされる交通インフラをつくる」というビジョンのもと、Luupを立ち上げました。なぜマイクロモビリティだったのか。そして、これから目指す社会のかたちとは――。LUUPのビジネスモデルに込めた思いを伺いました。

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次世代の公共交通インフラをつくる

── 近年、街中で電動キックボードやシェアサイクルを目にする機会が増えました。中でも注目を集めるLUUPですが、単なるモビリティサービスを提供する会社ではないというのは本当でしょうか?

はい。よく「LUUPって電動キックボードの会社でしょう?」とお声をいただくことも多いのですが、実は電動キックボードと電動アシスト自転車を約半数ずつ展開していますし、更にいうと、LUUPの本質はモビリティサービスではありません。電動キックボードや電動アシスト自転車のシェアリング事業は、あくまで「街じゅうを<駅前化>するインフラをつくる」というミッションを実現するための手段のひとつです。私たちが目指すのは、電車やバスに続く、次世代の公共交通インフラの構築。そして、都市における移動格差を解消し、誰もが自分らしく、自由に移動できる街づくりを推進することです。

そもそも日本の都市構造は、長らく鉄道網ありきでした。東京や大阪のような高密度都市が発展してきた背景には、駅を中心に生活機能が集中していることが大きく関係しています。しかし現在、少子高齢化や人口減少といった社会変化の中で、従来のインフラだけではカバーしきれない課題が山積しています。こうした社会背景を踏まえ、LUUPは10年後、50年後、さらには100年後の日本に必要とされる、新しい交通のあり方を模索したいと思っています。

鉄道やバスといった長距離移動、タクシーのような中距離移動に対して、LUUPが担うのは短距離移動のインフラ。たとえば、駅から徒歩30分かかるエリアであっても、LUUPを使えばわずか10分程度でアクセス可能になる。このような環境が整えば、人々はそこを「実質的な駅前」と捉え、通勤や居住地の選択肢が大きく広がります。このような現象を私たちは「駅前化」と呼び、新しい日本の街づくりのあり方として可能性を感じているのです。

── LUUPによる「駅前化」が実際に成果を上げている事例があれば教えてください。

例えば3つの事例をご紹介させてください。

まず1つ目は、「駅から離れた住宅地の利便性向上」です。これまでは交通の便が悪いために敬遠されがちだったエリアでも、LUUPのポートが設置されたことで、居住地としての魅力が上がるというケースが増えてきました。最近では、不動産物件の紹介文に、郵便局やスーパーからの距離と同じように「LUUPポートから○分」「LUUPポートあり」と記載されるようになりました。駅から10分以上歩くような物件でも、LUUPの設置によって内見率や入居率があがったという声を実際に多くいただいております。

2つ目は「地域商店の支援」です。これまではどうしても駅前の大規模商業施設やチェーン店に客足が集中していたのですが、LUUPの導入によって、駅から離れた立地にある昔ながらの良店――たとえばラーメン店や和菓子屋、銭湯といったお店にも足を運びやすくなりました。LUUPがあることで古き良きローカル文化を守るお手伝いができているのは嬉しいことです。

そして3つ目が「エッセンシャルワーカーの移動支援」です。例えば訪問介護士など、日常的に街中を回遊する必要のある職種の方々に、LUUPをご活用いただいています。訪問介護士の場合、LUUPを利用することで1日に回れる件数が増えるため、実質的に時給が上がるという効果にも繋がります。まさに移動インフラとしての役割を少しずつ実感していますね。

LUUPはなぜここまで普及したのか?

── 電動キックボードのシェアサービスといえば、日本よりも海外で先に普及した印象があります。LUUPはそうした先発モデルとはどのように異なるのでしょうか?

アメリカやフランスなどでは、「フリーフローティング」または「ポートレス」と呼ばれるモデルが主流でした。これは、利用者が任意の場所で車両を借りて、好きな場所に車両を乗り捨てられるという仕組みで、その利便性からサービスは急速に普及しました。しかし、車両の無秩序な放置が社会問題となり、街の景観や歩行者の安全にも影響を与えるケースが増えてしまった。一方で、日本はそもそも道路への車両放置が法律で禁止されていて、サービス事業者にも高い規律が求められます。そうした背景を踏まえて、LUUPでは日本独自の運用モデルを採用することにしました。街じゅうの不動産オーナー、1軒1軒に直接交渉をして、LUUP専用の駐輪スペースである「ポート」の設置を依頼。車両はこのポートでの貸出・返却を原則としています。

もう一つ、LUUPならではの特徴があります。「目的地ポートの予約機能」です。出発前に返却予定のポートを指定し、駐輪場の空き状況を確認したうえで初めて利用が可能になる。これにより、近隣エリアでポートを探して迷惑をかけることを防ぎ、スムーズかつ計画的な移動を促しています。また、返却時には、車両がきちんとポート内に収まっているかを自動的にチェックする機能も完備。ここまで駐輪場管理を徹底しているマイクロモビリティ企業は、世界でうちだけではないでしょうか。目的地ポートの予約機能については特許も取得しています。

── よくあるシェアサイクルサービスとは、管理の仕組みがまったく異なるのですね。

その分、利用者の皆さまにとっては、手間に感じることも多いかもしれません。しかしLUUPを本格的な公共交通インフラとして定着させるためには、ユーザー、プロダクト、そしてポートオーナーのそれぞれに配慮した運用設計が欠かせないと考えています。現に目的地ポートの予約機能は、不動産オーナーの方の「うちのポートに車両が溢れてほしくない」という声から生まれたもの。こうしたお声に真摯に応えていく中で、LUUPのポートは都市部を中心にどんどんと増え、結果としてユーザーもより使いやすくなったと思います。さらに予約機能を備えたことで、利用場所や目的地ごとに合わせた料金設定も可能となり、サービスとしての柔軟性・収益性も高めていくことが可能となります。LUUPは日本発のマイクロモビリティ事業として、ただの移動手段にとどまらない、ユニークな価値を提供していきたいと考えています。

── 徹底した運用管理とサービス設計があるから、ここまで普及しているのですね。

現在、全国で少なくとも15,000箇所以上のポートが設置されています。よく驚かれるのですが、実は、23区内のコンビニ大手3社の合計店舗数よりもLUUPのポート数の方が圧倒的に多いんです。しかし、利用者の方からよく言われる理想は「乗りたいと思った時にポートが徒歩1〜2分圏内の距離にある」状態なので、正直まだまだ足りていません。

100年後の日本に必要なサービスとは

── LUUPの創業メンバーは、大学時代のご友人同士だそうですね。どのようにして起業に至ったのでしょうか?

創業メンバーは、自分を入れて東京大学のサークルで出会った同期5人です。はじめから起業を目指していたわけではありませんが、4年間、多くの時間を過ごすうちに自然と仕事が人生でもっとも時間と気合いを使うことだから、せっかく何かに情熱を燃やすなら「100年後の日本に必要なサービスを、自分たちの手でつくりたい」という志を共にするようになりました。就職か?起業か?手段にはこだわっていませんでした。が、一つだけ大切にしていたのはせっかく多くの時間を費やして仕事をするなら、それが社会や人類にとって本当に意義のあるものであってほしいという思いでした。僕は、大手企業が提供できるサービスやプロダクトを、あえてスタートアップがやる必要はないと思っています。偉大な大企業の方が得意とする領域が当然のように多いと考えています。5人で「自分たちがやる意味のある事業とは何か?」をとことん議論した結果、将来必要とされるインフラのうち、小さいスタートアップでしかつくれないものを起業してつくるという選択肢が浮かび上がってきました。ただ、学生時代に実行に移すには資金も経験も足りません。そこで一度社会に出て、それぞれの専門性を磨きながら、「30歳で再合流しよう」と約束したんです。

実際には、予定よりも早く社会人2年目に再び集まり、2018年にLuupを立ち上げました。サラリーマンとして働いていた間も、週末には自分の家に深夜に集まって事業アイデアを出し合っていたのですが、その時に生まれたのが、LUUPの前身となる介護士等のオンデマンド訪問サービスです。介護士がスキマ時間を使って家庭を訪問し、必要な支援を提供するサービスを考えていました。しかし、支援ニーズはあるのに訪問先が駅から遠く、効率的な移動手段がないためにマッチングが成立しない。介護に限らず、日本全体の「交通インフラの穴」がボトルネックになっていることに気づいたんです。僕たちは、まず「移動」を変えなければならない。こうしてたどり着いたのが、電動キックボードや電動アシスト自転車といったマイクロモビリティのシェアリングによる交通課題の解決をする事業でした。

── 創業から現在まで、もっとも苦労されたことは何ですか?

正直に言うと、「これが一番大変だった」と一つに絞るのは難しいですね。日々いろいろな課題に取り組んでいるうちに、ある種の耐性みたいなものができてしまって、つらいことのハードルが上がってしまっているのかもしれません(笑)。ただ、あえて挙げるとすれば、やはり「プロダクトをどうつくるか」は葛藤の連続だったと思います。

LUUPの事業は、単にアプリやデバイスを開発するだけでは成立しません。ハードウェア開発、ソフトウェア開発、データ活用、オペレーション網の構築に加え、地域の町内会から官公庁まで、あらゆる関係者との対話や連携が必要になる、複雑なプロジェクトなんです。この複雑さこそが、大手企業が手を出しづらい理由だとも思っていて…。だからこそ僕らのように、最初からこの構造に耐えられるように組織やプロダクトが設計されたスタートアップの方が有利なんじゃないか、という仮説のもとに動いてきました。

LUUPは公共交通インフラを目指している以上、一般的なサービス以上に高い「安全性」と「品質」が求められます。特に創業初期は、まだ無名の小さな企業でありながらも、省庁や自治体などの行政機関と対等に議論を重ね、信頼を勝ち取る必要がありました。そのために、全国各地で実証実験を重ねましたね。車両区分の違いによってハードウェアやシステムもすべて変えなければならず、振り返ってみても「地域に根ざすプロダクトを、インフラ水準の品質で社会実装する」というのは、相当なチャレンジだったと思いますし、今もまさにその挑戦の延長戦上にあります。

LUUPがつくる未来――「鉄道2.0」を目指して

── 会社としてのこれからの展望を教えてください。

短期的には、現在のマイクロモビリティシェア事業において、ユーザー層と展開エリアの拡大を進めていきたいと考えています。現在のLUUPのメインユーザーは20〜30代なのですが、今後はご高齢者も含む幅広い方々に安全に使っていただけるように、3輪・小型・椅子付きのユニバーサルカー「Unimo(ユニモ)」も発表しました。また、提供エリアも都市部だけにとどまらず、日本全国――特に離島や過疎地といった交通手段が限られている地域へと広げていきたいです。LUUPは無人運営の仕組みを採用しているので、バスや鉄道を新たに整備するよりも、大幅に低コストで導入できるんです。地方においても、通勤や買い物といった日常の足としてしっかりと機能するインフラにしていきます。

そして長期的には、かつて鉄道会社が沿線開発を通して人々の暮らしを支えてきたように、当社も人々の生活基盤を支える存在となり、「鉄道2.0」と呼ばれるような新たなインフラを目指したいですね。安全性と品質を備えた公共インフラでありながらも、スタートアップならではの高成長を両立し、まだ誰も成し得ていない未来をつくる。そして、移動だけに限らず、人々の生活を支えるプロダクトを通して、「街じゅうを<駅前化>するインフラをつくる」というミッションを実現していきます。この高い目標に挑戦し、「人類の前進」に少しでも貢献できる存在になることを本気で目指していきます。

── 組織づくりにおいて、大切にしていることがあれば教えてください。

Luupの組織づくりは、「街じゅうを<駅前化>するインフラをつくる」というミッションを軸に設計されています。事業戦略はもちろん、採用方針や働き方、組織編成に至るまで、すべてがミッションの実現に向けてその瞬間ごとに最適化されている。いわゆる「ミッションファースト」の考え方であり、社員全員が同じ熱量でミッションに向き合うことを大切にしています。

たとえば、半年に一度、社員全員が集まる場を設けており、そこでは経営陣が数時間かけて最新の事業戦略や組織の方針を丁寧に説明します。「なぜ今この方向に進むのか」「その先に何を見据えているのか」といった背景までしっかり共有し、全員で事業の全体像を理解し、会社の向く最新の方向に納得した上で、次のステップに進んでいく。ある意味、社員が私と、まだまだLUUPのミッション実現のために一緒に働くという「契約を更新する」ような場でもあるので、私としては緊張するのですが…(笑)。でも、そうやって全員と顔を合わせてビジョンを共有することが、Luupという組織を本質的に強くしていると感じています。

また、スタートアップというと組織拡大の期待を抱かれることも多いですが、当社はこの先も人数が増えても少数精鋭のチームということを大切にしていきます。僕たちが目指しているのは、自律的に動けるプロフェッショナルの集まり。ソフトウェア、ハードウェア、営業、渉外、データ分析、ファイナンスなど、さまざまな分野からの転職組が多くいます。とくに、最初のキャリアでたしかなスキルと経験を身につけた上で、「次はもっと社会貢献がしたい」「社会に意味のある仕事がしたい」「自分の子供が将来自然とつかっているサービスをつくりたい」と考えて、異業界から飛び込んできた人たちが多いですね。そうしたメンバーは、自分の専門性に誇りを持ちつつも、他の部署の人も含めたメンバーへの敬意を持って、ミッションのために必要な課題や問いを自ら見つけて動くことができる。LUUPの社員は、どんな現場においてもオーナーシップを持ち、やらされるのではなく、自分から動きたくて動いている人ばかりです。一人ひとりの「やりたい」がミッションと重なっているからこその熱量がありますね。

── 最後に、求職者のみなさんに一言をお願いします。

Luupは、まだ誰も達成できていないことを成し遂げ、誰も見たことのない強い組織に成長していく予定です。もし、私たちのミッションに少しでも興味をお持ちいただけたなら、転職を考えていなくても、ぜひ一度、カジュアルに情報交換ができたらと思います。自分はもちろんですが、当社の社員であれば、誰と話しても同じように「ミッションファースト」な姿勢を感じていただけるはず。「街じゅうを<駅前化>するインフラをつくる」という壮大な挑戦を、皆さまと共に楽しみながら取り組める日を、心から楽しみにしています。

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※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。