14回の新規事業失敗の先に見つけた使命。生成AI×デジタルマーケティングで、100年変わらないデザイン産業構造に革命を起こす。

AIとデータを活用した広告クリエイティブの制作・改善サービス 『AIR Design』を展開するガラパゴス社。科学的なプロセスに基づくマーケティング支援ソリューションを強みとし、累計24.2億円の資金調達も完了するなど、広告デザイン業界に確かなインパクトを与えています。今回は代表取締役社長の中平健太さんに、事業の特徴や大切にしている想い、そして今後の展望について伺いました。

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創業5年で感じた、「安定」への危機感

── 創業のきっかけと、これまでの会社の歩みについてお聞かせください。

大学卒業後、製造業のプロセス改善を手がけるコンサルティングファームに入社しました。そこで出会った同期と意気投合し、2009年にガラパゴスを創業。
創業当初は、前職で培ったものづくりの知見を活かしてガラケー向けのサイト制作をメインにしていましたが、ちょうどそのタイミングで日本にiPhone 3GSが登場。スマホアプリ市場はまだまだ黎明期でしたが一目見て「これからはスマホの時代が来る」と確信し、先駆者として業界をリードできるチャンスだと思い、すぐにスマホアプリ開発へと事業をシフトしました。予想は的中し、アプリ開発の受注が増加。2010年には、現在も続くアプリ開発事業の基盤を確立しています。会社は順調に成長し、2015年には売上も安定し、社員数も30名規模になりました。

── 一件順風満帆にも見えますが、大きな葛藤があったとか。

はい。その頃から、どこかモヤモヤした気持ちがありました。正直、創業時からビジョンや大義があったわけではなかったのですが、「大きなことを成し遂げたい」と思って起業したのに、気づけば安定に甘んじている自分がいる。このままでいいのか…。そんなとき、たまたま参加した勉強会でディープラーニング(AI) の技術に出会ったのです。今でこそ珍しくありませんが、当時は衝撃的でしたね。AIが画像を生成する技術で、馬の写真をAIがシマウマに変換するデモを見た瞬間、「これからの時代は、間違いなくAIだ!」と直感しました。
そこから、2016年にAIの研究開発に本格的に取り組むことを決意。組織編制も大きく改革し、これまで安定的に事業を支えてきた稼ぎ頭も失う可能性がある。でも、そんな状況でも一緒についていく、と言ってくれたメンバーもいたため、「会社の構造や体制を変えてでも、新しいチャレンジをしよう」と大きく舵を切りました。もともと居たメンバーにはかなり不安も感じさせたと思いますし、実際離れていってしまうメンバーもいましたが、安定よりも、未来がないほうが嫌だった。
実際、そこからは新規事業として14回挑戦・失敗を繰り返し、かなりきつい思いもしました。そして、自社の得意・不得意パターンも研究した末にたどり着いたのが、AIを活用した広告クリエイティブのデータ分析とプロセス改善、さらに広告成果を最大化させる『AIR Design』という現在の事業の構想でした。

『AIR Design』で、Web広告の在り方を変えていく

── 様々な挑戦の中で生まれた事業『AIR Design』について詳しく教えていただけますか。

Web広告は、マス広告と並ぶ主要なマーケティング手法となり、多くの企業で運用型広告が活用されています。しかし、実際に現場の声を聞くと、「LP(ランディングページ)やバナーの制作に手間がかかるのに、成果が見えにくい」「何が正解かわからない」といった悩みを抱える企業が多いのが実情です。なぜ、成果につながりにくいのか? それは、デザインが「属人的な感覚で作られ」、さらに「作って終わりになってしまう」ケースが多いからです。しかしアートとはまた違い、デザインにはロジックが存在します。知り合い含め50人以上にヒアリングを行い辿り着いたのは、単なるデザイン制作にとどまらず、データとAIを活用して最適なクリエイティブを高速で生成する仕組みと、効果検証と改善を繰り返し、成果を最大化する仕組みを構築することでした。

── 『AIR Design』によって、どんな価値が生まれているのでしょうか。

ガラパゴスが意識しているのは、「企業の成長に貢献するデザイン」を提供することです。例えば、Web広告では「Web上のCV(コンバージョン)」だけをKPIに設定しがちですが、私たちはそうは考えていません。本当に重要なのは、契約や売上といった「事業の成果(事業CV)」につながるクリエイティブを提供することです。まだまだデータやAIを活用しきれていない企業が多い中で、「デザインの力」を最大限に活かし、企業の事業成長を支えていくこと。実際、確かな成果が評価され、サービス開始から5年弱で、大手・中堅企業を含む900社以上に導入されています。
そしてこういった取り組みの中で、私たちは、100年以上変わらなかったデザイン産業の構造を本気で変革しようとしています。この業界には、多重下請け構造や非効率な制作プロセスなど、解決されてこなかった課題が山積みです。その結果、「デザイナー=儲からない」というのが当たり前になってしまっている。しかし、本来デザインはもっと価値のある仕事だと思うのです。テクノロジーを活用すれば、単純作業は自動化でき、人はより創造的な仕事に集中できる。デザインの力で成果を生み、デザイナーが正当に評価される世界をつくれる。そして、それを実現するひとつの方法が、『AIR Design』だと考えています。

生き残るのは強いものではなく、変化できるもの

── 常に挑戦し続けている姿が印象的だと感じますが、貴社ではどんなカルチャーを大切にしているのでしょうか。

大切にしていることのひとつは 「変化し続けること」です。ダーウィンの進化論にもあるように、「生き残るのは強いものではなく、変化できるもの」だと思っています。ガラパゴスという社名も「独自に変化続ける企業でありたい」といった想いを込めてつけました。会社も個人も変化と成長を続け、そして自らが変化の波を生み出すような存在になることを目指しているので、探求精神をもってどんどん挑戦し、失敗して改善してどんどん進化していけばいいと思っています。

── そんなカルチャーを醸成するために取り組んでいることはありますか。

やはりガラパゴスのカルチャーやバリューに共感しながら働いてほしいので、ミッションビジョンバリューに込めた想いは積極的に発信しています。評価制度においては「プロとして行動するヒトをエンパワーメントする」という人事ポリシーのもと、主体的に挑戦し、成果を生み出す人を正当に評価する仕組みを整えていますし、「バリューストーリーアワード」という表彰制度も導入しました。これにより〈プロセスハック〉〈チームドリブン〉〈オープン&フェアネス〉といった、ガラパゴスの7つのバリューを体現するメンバーを称える文化を育んでいます。
また、最新技術を扱う会社として最新技術を社内に導入することにも積極的に行っており、Claude、GPT、Geminiなどの最新AIモデルを全面導入し業務に活用しています。Slack上では部署を超えた技術共有が活発に行われ、組織全体で新しい知識をキャッチアップできる環境を整えました。さらに、技術勉強会や書籍購入補助制度を設け、社員が継続的に成長できる環境づくりを行っています。

「デジタルものづくり」の産業革命を起こす

── 今後の展望をおしえてください。

私たちが目指すのは、単なる「デザインの効率化」ではなく、デジタルものづくりの産業革命を起こすことです。人類はこれまで、工場を舞台にした「フィジカルなモノづくり」の産業革命によって、文明を飛躍的に発展させてきました。そして今、同じ変革が「デジタルなモノづくり」の領域で起ころうとしています。100年以上変わらなかったデザイン産業の根底を、ITの力で変革する——。その最前線に立つのは、ガラパゴスしかいないと本気で思っています。

── 最後に読者の方へのメッセージをお願いします。

最先端の生成AI技術に触れながら、世の中に大きなインパクトを与えるプロダクトやサービスの構築に当事者として関われることは、当社で働く大きな魅力のひとつだと思っています。AIやデータドリブンなアプローチを活用し、「本質的なソリューションを生み出したい」という想いを持つ方には是非ガラパゴス来ていただきたいですし、ガラパゴスのカルチャーやバリューに共感し、プロ意識をもって「変化を楽しみたい」「先端AI技術に携わりたい」「社会を変える仕事がしたい」——そんな想いを持つ方にとって、ガラパゴスはきっと最高の環境になると信じています。

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※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。