人的資本経営を支える、これからの企業研修。日本の誰もが、ゲームで学ぶ時代がやってくる。

テーブルに広がるボード、山積みになったカード、周囲に響く歓声やため息。人を夢中にさせる“ゲーム”の力を企業の人材育成に活用する——。そんな新しい学びの形をつくっているのが、株式会社NEXERAだ。創業以来「世界を代表するゲーム学習の会社になる」をビジョンに掲げ、マーケティング、キャリアデザイン、マネジメントと研修テーマを広げてきた。

人的資本経営が浸透し、企業の“学ばせ方”が変わる中、NEXERAが提供する価値とは何なのか? 一般的な研修とは、どう異なるのか? そして、メンバーたちはどんな思いで働いているのか? 代表の飛田さん、事業推進室長の野北さん、コーディネーターの仙䑓さん、大塚さんに話を聞いた。

飛田 恭兵 Kyohei Tobita

学生時代、経営を疑似体験できるゲーム学習に衝撃を受ける。その後、現在NEXERAで最高ボードゲーム責任者(Chief Boardgame Officer)を務めている山本と出会い、NEXERAを創業。ゲーム学習を社会のスタンダードにしていくことをビジョンに掲げ、さらなる事業展開を視野に入れている。

野北 瑞貴 Mizuki Nogita

前職では、広告会社のマーケティング部の統括を担当。自ら体験したNEXERAの“マーケティングタウン”の魅力に惹かれ、その学習効果の高さから関心を持つ。現在は、事業推進室長として、マネジメント向け研修サービス「Management Base」のサービス立ち上げと推進を担う。

仙䑓 尚平 Shohei Sendi

大手小売業・大手不動産会社・大手人材育成の会社を経てゲーム研修の業界へ。その後、子どもの誕生もきっかけに転職活動をしていたときにNEXERAと出会う。飛田が描くビジョンや、付加価値の高いサービス、働きやすい環境が決め手となり入社。現在はコーディネーターとして様々な企業の人事担当者に、ゲーム学習を提案している。

大塚 伶奈Reina Ohtsuka

前職までは、マーケティング支援会社、大手外資系出版社などでソーシャルメディアプランナー、制作ディレクターに従事。ファシリテーターとして関わっていた家族を通じてNEXERAのプロダクトに触れ、ゲーム学習の面白さに目覚める。現在はコーディネーターを務める他、プロダクトを広めるため東京都主催、経済産業省主催のイベントに登壇するなど、活動の場を広げている。

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挑戦を重ねた先に見えた可能性

── NEXERA創業に至るまでの経緯を教えてください。

飛田:学生時代に、経営学の講義でゲーム学習に触れたのがはじまりです。経営を疑似体験できるゲームだったのですが、それまで座学で学んでわかったつもりになっていた内容が、実体験を通したことで「なるほど、そうだったのか!」と腹落ちしました。それまでは授業の開始ギリギリに教室に入ることが多かったのですが、その授業は講義開始の20分前には席に着いて黙々と攻略法を練るほど、衝撃的な出来事でした。

大学卒業後は、財務系のコンサルティング会社への就職を経て、IT関連の会社を起こしました。あいにく業績が振るわず撤退してしまい、起業支援施設であるスタートアップカフェ大阪のスタッフとして働きはじめたのです。そこにやってきたのが、現在NEXERAで最高ボードゲーム責任者(Chief Boardgame Officer)を務める山本です。

「飛田さん、僕はいま開発中のボードゲームを5,000個売って、奨学金を返済したいんです!」

「えっ? ボードゲーム?」

 学生時代の体験が一気に蘇り、二人でボードゲームに対する想いを語り合いました。すぐさま取り掛かったプロトタイプの作成は猛烈なスピードで進み、3ヶ月後にはベータ版が完成したんです。これが、のちに大ヒットとなる『マーケティングタウン』という経営シミュレーションゲームの原型でした。実際に自分でプレーしてみると、現実で起きているマーケティングや財務、経営戦略などの企業の動きが絶妙なバランスの抽象度で表現されていたのです。

あらゆる職種や職位にむけた学びをゲーム化できる可能性を感じ、二人でワクワクしたことを覚えています。きっと、世の中に受け入れられるに違いない。これが、NEXERA創業のきっかけとなりました。

── 創業後は、お二人が期待していた通りに、普及が進んできたのでしょうか?

飛田:いいえ。そう簡単ではありませんでした。当初こそ、『マーケティングタウン』がSNSで話題になり、口コミで導入企業が増えていったんです。ところがその矢先、コロナ禍に見舞われました。ボードゲームは、いわゆる「3密」の象徴ですから、予定していた研修も次々とキャンセルになってしまったのです。

 しかし、ただ落ち込んでいても仕方ありません。

「アナログのゲームを、どうにかオンラインで運営できないだろうか?」

メンバー同士で検討を重ね、ボードゲームの盤面を撮影・中継する機材への投資もしました。その結果、インタラクティブなオンライン研修を提供できる会社はまだほとんどなかったため、これまで以上の問い合わせが入ってきました。コロナ禍という逆境が、業績を大きく押し上げるきっかけになったのです。

その勢いのまま、アナログ・デジタルを問わず学びの環境を提供し続けてきました。当初のマーケティング向けに加え、キャリアデザインやマネジメントといった領域に向けたプロダクトも開発し、いまでは総受講者数が30,000人を超えています。でも、まだまだ満足はしていません。各企業における人材育成の重要性が見直される中、研修業界の果たす役割はますます大きくなっているからです。

企業の課題は100社100様。1つとして同じ研修はない。

── いまお話に出た、人材育成・研修業界はどんな状況にありますか?

飛田:いかにして、社員一人ひとりの生産能力・価値そのものを高めていくか——。生産年齢人口の減少を背景に、いわゆる人的資本経営が広がり、「社員への投資」は企業の前提になっています。これにより、我々の市場全体も年間で1〜3パーセントのペースでゆるやかに成長し、各企業が人材育成・研修に注力している様子がうかがえます。

一方でコロナ禍を経て、「知識のインプットだけなら eラーニングで十分」という考え方も定着してきました。そんな中で我々が行う対面研修に求められるのは、「知った」「わかった」で終わらせずに、「できる」という状態を、いかにしてつくってあげられるかです。知り得た情報に対して、どのような判断をくだし、どのようにアクションへと繋げていくのか。そのトレーニングこそが、研修業界に期待されていると考えています。

野北:いま飛田が話したように、「わかった」では不十分なのですが、生成AIの普及によって、「わかった」という状態がより手に入りやすくなっています。そこで止まってしまうのではなく、受講者それぞれが日頃行っている実務にどう活かしてもらえるのかを考えなければなりません。

── そうした中での、NEXERAの立ち位置や強みについて、どう捉えていますか?

飛田:よく誤解されるのですが、私たちはゲームをつくる会社ではありません。学びのための仕組みをつくっている会社です。この仕組みづくりのために、ボードゲームの開発・研修の設計・コーディネート・ファシリテーションまで、すべて社内で完結しているのはひとつの強みだと思います。ゲームを提供して終わり、研修を実施して終わりではなく、企業の人材育成における課題解決という結果も含め、すべてに責任を持って取り組んでいます。

野北:受講する業界や業種によって研修内容が異なるのはもちろん、同業種であっても各企業の課題は100社100様に異なりますから、1つとしてまったく同じ研修はありません。研修の目的や受講者にあわせてカリキュラムを設計し、講義内容から当日のファシリテーションまでを細かく調整したうえで本番に臨みます。

研修中も、用意したゲームをただプレーしてもらうのではなく、ファシリテーターが適宜、コメントを入れます。たとえば経営シミュレーションのゲームなら、「その意思決定で、どれくらいの利益が増加しそうですか? 」「この状況は、実際のビジネスシーンでは〇〇という状況ですね」など、受講者にビジネスシーンを想定してもらうことで、実務の疑似体験を提供できるのです。

── 研修を受ける人たちに対する姿勢が伝わってきましたが、社員一人一人や社内のチームとして大切にしていることはありますか?

野北:各担当者がしっかりと教育を受けていることです。課題をヒアリングして研修を形にするコーディネーター、研修の進行を務めるファシリテーター、それぞれに社内教育のプログラムが用意されています。認定を受けたメンバーでなければ登壇できない仕組みです。

飛田:加えて、NEXERAのゲーム学習はすべて学術的な根拠にもとづいて設計されています。例えば、学習への没入体験を生み出す「フロー理論」や、大人の学びに必要となる条件を整理した「成人学習理論」などを組み込んだ設計になっています。こうしたアカデミックな知見を取り入れるために、社内で研究を進めているメンバーもいるんです。

場所も文化も、常識さえ飛び越える、ゲームの可能性。

── ここ最近の動きや、これからのビジョンについてお聞かせください。

飛田:いろんな可能性を探っています。たとえば、『1分で話せ』というビジネス書をご存知でしょうか。本書は67万部を超えるベストセラーですが、その読者全員が1分で話せるようになるわけではないと思います。そこで私たちは昨年、著者や出版社と協業というかたちで、本書の内容をすぐに実践できるゲームを開発しました。これまではマーケティングやマネジメント、キャリアデザインといった体系立てたプロダクトが人材育成の常識とされていた中で、それとは異なる領域として、新たな柱の1本になっていくと考えています。

さらに、今後の視野に入れているのが、グローバルな展開です。仕組みを変える必要はなく、言語のみ変えれば世界共通で導入できます。ゲームをまったくやらない、という文化圏はありません。ゲームはその性質上、海外展開との相性がとてもいいのです。実際に、国内の外資系の企業向けにオールイングリッシュの研修を提供するなど、少しずつ実績を重ねています。日本よりマーケットの大きなアメリカでは、企業研修だけでなくビジネススクールをはじめとした学校への導入も可能性として考えられます。

── まさに、創業時に山本さんと描いていた「世界を代表するゲーム学習の会社」というビジョンに向かっているわけですね。

飛田:まだまだ途上ですが、志を同じくするメンバーも増えてきたおかげで、ますます可能性は広がっていると思います。

「学び」というのは、生まれた瞬間から人生を終えるまで密接に関わってくる、人である以上は切り離せないものです。「学び」を重ねれば重ねるほど、人生における選択肢は増え、思いの実現へと近付いていきます。

ゲームは、楽しさの側面ばかりが注目されますが、その土台には物事の構造を体験できるという性質があります。だからこそ、学びを効果的におこなう手段として、ゲーム学習を当たり前に社会に実装していきたいのです。

受講者とともに、私たち自身も成長していく。

── 働くメンバーにとって、NEXERAはどんな会社なのでしょう?

飛田:いわゆる縦割りのような役割の枠に縛られず、全員参加型で会社を成長させたいと考えています。実際に、コーディネーターがプロダクト開発に、ファシリテーターが組織づくりに関わることも珍しくありません。目標設定をする際もトップダウンではなく、メンバーたちとすり合わせて決める、というやり方です。また、出産や育児などのライフステージに合わせて働き方を調整できる仕組みづくりにも力を入れ、メンバー全員が無理なく働き続けられるキャリアを歩めるように心がけています。

大塚:全員参加というスタンスは、つねに感じています。私は、もともとコーディネーターとしてジョインしたのですが、後にプロダクトの推進を任されたり、東京都主催のピッチコンテストに出場したりと、活躍の場をどんどん広げていける環境があります。

普段は、「受講生が本当に必要としているスキルとは何なのだろう?」「それをどんな体験を通して学んでもらえばいいのだろう?」とひたすら考えているため、一つ一つの研修が開催される度に、頭の疲れ方が尋常ではありません(笑)。それでも、仕事で得た成功体験が確実に自分自身の糧になり、日々成長している実感を強く持っています。

仙䑓:転職活動をしていたとき、面接でいちばん熱心に話を聞いてくれたのがNEXERAです。私の場合、子どもの誕生を機に転職しただけに、リモートやフレックスなどの柔軟さには最初から助けられています。

どのプロダクトも完成度が高く、自信をもってお客様にお勧めできます。コーディネーターとして何度もゲームに触れていると、研修で提供している学びを自分も身につけていると実感する瞬間もあるんです。それくらい結果を残せるものに仕上がっていますし、いつか自分の子どもにもうちのプロダクトを体験してほしいと思っています。

野北:主要都市をはじめとした全国の企業からご相談をいただくため、ファシリテーターは会社で仕事をしている日が少ないんです。日々現場の最前線で学びを届け続けるため出張が続く時期もありますが、お客様から信頼いただけた瞬間に、やっていて良かったなと思えます。

たとえば、「離職防止の施策を考えないといけないんです……」「うちの会社、なんだか風通しが悪いんですよね」など、研修とは直接紐づけしづらい内容でご連絡をいただく場面も少なくありません。ヒアリングを繰り返して本質的な課題を見つけ、NEXERAの研修やプロダクトによって解決できるのは、事業推進をする立場として冥利に尽きます。

── 最後になりますが、これから迎えたい仲間に向けて、代表の飛田さんからメッセージをお願いします。

飛田:会社のバリューにある「飽くなきこだわり」という言葉通り、メンバー全員が強い探究心を持っています。もっとプログラムをよくしたい、ローンチしたプロダクトをつねにアップデートさせたい——。その思いに突き動かされ、誰からも指示されずとも、一人一人が自発的に動いています。その結果として、普段は受講者の学びをサポートする役割ですが、私たち自身もまた、成長できているのは間違いありません。

ですから、仕事をただただ夢中になって楽しめる方、とことんやりきりたいという意欲のある方に、向いている会社なのではないでしょうか。逆に、たとえば個人の目標を早く終わらせてしまおうという姿勢の人には向いていないと思います。

「もっと付加価値を高めたいのに……」と悶々と悩みながら、「こうしたら形にできるかもしれない」と創意工夫して、一歩前に進むことを諦めない。そういう仲間と出会いながら、NEXERAのビジョンを実現したいと思います。

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