1885年、渋沢栄一によって創立された東京ガスは、140年の時を経て「第3の創業」とも言える転換期を迎えています。ガスを中心とした事業から、複数事業のポートフォリオ経営へ。その挑戦を加速していくために、社内ではさまざまな変革が推進されています。働く環境としての東京ガスの魅力とは？多様な人材の活躍を支える人事戦略とは？　今回お話を伺ったのは、人事部のお2人。これまでのイメージを覆す、新しい東京ガスの姿が見えてきます。

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東京を越え、ガスを越え、変わり続ける企業。

── 「新しい東京ガス」のお話を伺うにあたり、お2人にまずお聞きします。現在の東京ガスを一言であらわすと、どんな会社ですか？

米田：言葉にすると月並みになってしまうのですが、私は『トランスフォーメーション企業』という表現がしっくりくると思っています。世の中的には、2010年代に電力・ガス小売の全面自由化という大きな変化がありました。業界内の競争が活発になることはお客さまにとって良いことであり、各エネルギー企業に変革が求められたのは言うまでもありません。当社は、その変化を事業伸長の好機と捉えて、さまざまなチャレンジをしてきました。また、日本の2050年カーボンニュートラル宣言に先駆けて、エネルギー企業として最も早く「CO2ネット・ゼロをリード」すると掲げていて、さまざまな変革を推進しているところです。

伊藤：私が真っ先に思い浮かべた言葉は、『東京を越え、ガスを越え、未来をつむぐ』。2024年にまとめた東京ガスグループの「人的資本レポート」に使用した副題ですが、まさに、今の東京ガスをあらわした言葉だと思います。意図としては、米田が挙げた『トランスフォーメーション企業』に近いですね。当社がどんどん変わっていることを、みなさんに知ってほしい。例えば、東京ガスグループは首都圏の会社だと思われがちですが、全国、海外に事業を展開しています。ガスだけじゃなく電気も扱っていますし、実は他にもさまざまな事業領域があるんです。

米田：そう考えると、東京ガスという社名と当社の歴史が、イメージ転換の足枷になっている部分はあるかもしれませんね（笑）。ただ、多くの方に知っていただいている社名だからこそ、今の取り組み状況を知った方々は「え、東京ガスってそんな会社だったの？」「こんな制度があるの？」と、いい意味でギャップを感じることが多いようです。当社はいま、GX（グリーントランスフォーメーション）、DX（デジタルトランスフォーメーション）、CX（コミュニケーション変革）を軸に、社会やお客さまによりよい価値を提供しようとトライ＆エラーをかさねているところです。その方針のもと、事業内容や人事制度、働き方についても、その時々の価値観などに適した形を模索しながら活発に変わり続けていく。それが現在の東京ガスです。

事業の多様化、人材の多様化。

── それでは、東京ガスの“変化”について具体的にお聞きしていけたらと思います。

米田：事業多様化の面では、電力事業や洋上風力開発を含む再生可能エネルギー事業や、クリーンエネルギーとして注目が集まっているe-メタン(※)の普及拡大にも力を入れています。また、エネルギー関連事業以外にも、オーディオブックなどのアプリ開発やSaaSプロダクト開発、ハウスクリーニング事業など、さまざまな可能性を模索してきました。なかでも成果が出ているのが、法人のお客さま向けであれば不動産・REIT業界向けのクラウドサービス「サステナブルスター」、ご家庭のお客さま向けであればハウスクリーニング事業が挙げられます。後者はお客さまのご自宅にお伺いする事業ですし、都市ガス事業を通じて約140年築いてきた企業ブランドという資本を有効活用できているサービスだと思います。主軸であるエネルギー事業からあまりに“飛び地”の新規事業は上手くいかなかった例もありますが、そうしたトライ&エラーも含めて、今につながっています。
（※ e-メタン：グリーン水素等の非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタンに対して用いる呼称）

伊藤：事業ポートフォリオの多様化に伴い、人材の多様化も進んでいますよね。以前は新卒の総合職採用が大半を占めていましたが、2024年度は新入社員の約4割が経験者採用で入社しています。経験もスキルもさまざま、属性や価値観もさまざまなメンバーが集まる会社になってきているので、その一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境整備も進めています。

米田：東京ガスに対して、まだまだ「ドメスティックな昔ながらの企業」というイメージもあると思うんです。ただ、軽装で出社･勤務できたり、在宅勤務の利用回数に制限がなかったり、ソフトウェアエンジニアなどにはMacも支給されたり、といった実態とイメージとのギャップに対して経験者採用で入社した方から驚きの声をいただくことも多いですね。成果創出に向けて生産性を高めるための働き方や環境は組織や人によってさまざまですし、多様なバックグラウンドや価値観をもった社員一人ひとりが、生活や業務内容に適したスタイルで仕事ができる環境・制度が整っていると思います。

伊藤：働きやすさの観点では、近年、会社として注力していたのが「男性育休の取得推進」と「女性活躍の推進」です。男性育休は、2024年12月末時点で取得率は100%・平均取得期間は約60日となりました。育休時の経済支援やキャリア支援の強化とともに、仲間の育休を支えている周りの社員を評価する人事制度の導入も功を奏したと思います。この制度は、「育休取得によって、周囲に迷惑をかけてしまう後ろめたさがある」という社員からの不安の声を聴いて、導入をしました。女性活躍の推進も着実に成果が出ていて、女性管理職比率は2024年時点で11.3%。10年前と比べると2倍に増えているんです。

望むキャリアを叶える、東京ガスの土壌。

── 人材の多様化を受けて、キャリア形成のあり方も変わってきていますか？

伊藤：そうですね。「会社が定める既定路線のキャリア」というものがなくなってきていますから、一人ひとりがキャリアオーナーシップを持てるように、人事システムが見直されました。大きな変化は、タレントマネジメントシステム『CIRCLE』の活用が始まったこと。社内のすべての業務を約200の分類に体系化するとともに、全社員が持つ業務スキルや知識レベルを可視化したシステムです。これによって、社員一人ひとりが自分の専門性やキャリアの現在地を客観的に把握できるようになります。また、スキルアップのための「推奨学習」が記載されているため、どのように学ぶとよいかが分かるようになっています。

会社側も、より適材適所の人材配置ができるようになりました。社内では今、どんな人材が求められているのか、どんな事業のどんな業務がホットなのかが見えるようになったことも、社員の主体的なスキル開発やキャリア選択を促進していると思います。また、当社にはキャリアコンサルタントが在籍していますが、最近ではキャリアアドバイザーAIも導入しました。キャリアアドバイザーAIは、当社独自の専門性ガイドを基に、どのように専門性を伸ばすべきかの具体的な方法をAIが提案するもので、気軽にキャリア開発を相談できる環境となっています。

米田：自律的なキャリア選択を後押しするように、社内の人材公募制度も見直しました。募集頻度を年1回から2回に拡大し、これまで必須としていた上長推薦を撤廃することで、より応募しやすい仕組みにしました。2024年度には169名の応募があり、半数近くが自ら望む職場・職種への異動を叶えています。

伊藤：キャリア形成の観点からは少しずれるかもしれませんが、経験者採用での入社者の増加を受けて、オンボーディングの取り組みも活発になっていますよね。意見交換や情報共有の場にもなるランチ会、事業理解を深めるための施設見学会などは、社員からも好評です。

米田：価値観も多様化していくなかで、社内のコミュニケーションや結びつきは、むしろ深まっているようにも思います。さまざまな取り組みの成果でしょう。個人的に良い取り組みだと感じているのは、社長とざっくばらんに話ができる『Coffee Chat！』。私自身も事務局として複数回参加しています。社長を囲んでいろんな質問をして、その場限りの話をきかせてもらえたり、アドバイスをもらったりできるのですが、想像以上に社長とフランクに話せるからか、参加者の多くが「また参加したい」「時間が足りなかった」と言っています。経営トップの考えや人柄に触れられる機会が定期的にあるのは貴重ですよね。

伊藤：一人ひとりが心置きなく目標を追うためにも、会社の雰囲気の良さって大切ですよね。経験者採用で入社されたみなさんから、「人がいいですね」と言っていただけるのが印象的です。新卒で入社した私自身もそう感じていたものの、他の会社を経験してきた人から見てもやっぱりそうなんだ！と嬉しくなりました。

創業から変わらない、挑戦のDNA。

── それほどまで「人や雰囲気の良さ」を形成できているのはなぜでしょうか。

米田：これは私見ですが、みんなが大きな目標を見据えているからではないかと思っています。極端なことを言えば、直近1〜2年の経営状況ももちろん大切ですが、当社は短期的な結果に一喜一憂する組織・風土ではありません。社会やお客さま、ひいては人類の10年後、50年後のために何ができるかを考えられる環境のもとで、それらの実現に向けて行動していく会社です。お客さまの暮らしを支える事業がベースにあるからこそ、みんなが未来志向で、大きな目標に向かって建設的な議論や協力がしやすい環境なのだと思います。

伊藤：もとを辿れば、渋沢栄一が「論語と算盤」、いわゆる「社会価値」と「経済価値」の両立を掲げ、1885年に創立したのが東京ガスです。その後、第2の創業と言われる1969年には、日本で初めて液化天然ガスの輸入に踏み切りました。さまざまなリスクを背負いながら、それでも「東京の空を青くしたい」と言ったのが当時の社長だったそうです。そうした挑戦のDNAが受け継がれて、現在、世界を取り巻くエネルギー問題に立ち向かう東京ガスは、第3の創業期を迎えています。きっと、大義があるから足並みが揃う。そして、そこから生まれる一体感が、挑戦しやすい雰囲気につながっている気がします。

米田：私自身も入社以来、何かへの挑戦や自分発信の取り組みに対して頭ごなしに否定されたことがないんですよね。目的に照らして、どうやったら実現できそうかを一緒にまず考えてくれる。挑戦しようとする姿勢を受け止めてくれていると感じます。ずっと変わらず持ち続けるべき確固たる価値観が共有されているからこそ、変えるべきところは思いきって変えていく柔軟性や推進力が生まれているのかもしれません。

変わり続ける東京ガスで、思い思いの挑戦を。

── 「新しい東京ガス」で、社員のみなさんはどのように活躍されているのでしょうか。

伊藤：人事部では、多くの社員にヒアリングやインタビューを実施してきています。その一部をここでご紹介しますね。

再生可能エネルギー事業部　武田さん
「前職の金融機関から、2019年に東京ガスの再生エネルギー事業部に転職しました。入社当時は20名程度の組織でしたが、現在は100名超の大所帯に。前職でも関わっていた再生エネルギー事業の知見を活かして、東京ガスの新事業を中核事業へと発展させていきたいと思っています。東京ガスでは、例えば浮体式洋上風力発電などの最先端分野にも積極的に取り組んでいます。利益を目的とした事業であることは当然ながら、ユーティリティ企業として果たすべき、地域や世の中への貢献も大きなテーマ。この会社だからこその、社会的意義の大きな挑戦ができる環境だと感じています。」

ソリューション事業推進部　久保さん
「私は“社会を支える仕事がしたい”という想いを持って入社したので、育児を理由に仕事を辞めるつもりはありませんでした。育休中も復職後のことを考えて、子どもが寝ている時間を利用してエネルギー管理士の国家資格を取得しました。育休が明ける数ヶ月前には、上司から今の職場の雰囲気を知れる情報や動画を送ってもらえたこともあり、スムーズに復職できたと思います。当時所属していた部署は『心理的安全AWARD』を受賞するなど、働きやすさを社外からも評価されるほど。そんな環境をつくってくれた上司に感謝していますし、今もどんどんアップデートされていくのを感じています。今後は私自身の経験を活かして、より良い職場づくりへのアクションを起こしていきたいです。」

リビング戦略部　杉山さん
「外資系の大手テック企業から転職し、ソフトウェア開発を行っています。私たちのミッションは『お客さまに提供するプロダクトの価値をエンジニアリングで向上させること』。ソフトウェアファーストの時代と言われて久しいですが、様々な環境変化の中で、ますますエンジニアに対する期待の高まりを感じています。当社は2020年に、イギリスの電力小売業界No.1のスタートアップ企業であるオクトパス・エナジーと戦略的提携を結びました。彼らからデジタルの観点はもちろん、事業の仕組みを学び、取り入れながら、事業部門とエンジニアが一体となって新たな価値の創出に取り組んでいます。東京ガスのような大きな事業規模で社会を変える挑戦ができる。エンジニアにとって、とてもエキサイティングな環境だと思います。」

── 最後に、読者に一言をお願いします。

伊藤：さまざまな部署・職種の方に話を聞けば聞くほど、私たち人事部も知らない東京ガスの一面が見えてきます。きっと多くの方が想像されているよりも、いろんな可能性に満ちていて、いろんなチャレンジができる会社です。そんな環境を、ぜひ楽しんでいただければと思います。

米田：東京ガスが求めているのは、現状の組織に順応したり、染まったりするよりも、新しい変化のきっかけになってくれるような方。会社と一緒に変わり続けてくださる方とお会いしたいと思っています。新しい東京ガスに少しでも興味をお持ちいただけたら、応募いただけると嬉しいです。選考過程でお話しできることが楽しみですし、社会・お客さま・東京ガスの更なる発展に向けてともに仕事ができることを楽しみにしています。

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