
アナログで行なっていたタクシーの配車業務をデジタルに移行することで業務効率化を実現する、クラウド型タクシー配車システム『DS』。従来の配車システムは専用端末を使わなければならず数百万円の初期投資が必要だったのに対し、『DS』はパソコンとネット回線、タブレットがあれば導入可能。初期費用を10分の1以下に抑えることで、中小規模のタクシー会社でも手軽に導入できる革新的なシステムです。2025年現在、全国47都道府県600社、22,000台のタクシーに採用されています。また、配車業務のアウトソーシングサービス『タクシーCC』は、41都道府県、約150社のタクシー事業者の配車業務を受託しており 、着信件数は月間20万件に達するサービスです。これらのサービスを生み出したのは、電脳交通社の近藤洋祐さん。学生時代は単身アメリカにわたり、メジャーリーガーを目指して野球一筋だった近藤さんが、どのようにしてタクシー業界で革新的なサービスを生み出してきたのか。お話をお聞きしました。
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| 年収 | 550~850 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市, 東京都港区 |
| 職種 | プロダクトマネージャー |
| 年収 | 400~600 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市, 東京都港区 |
| 職種 | マーケティングリサーチャー マーケティング戦略企画 |
| 年収 | 400~600 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市, 東京都港区 |
| 職種 | その他カスタマーサクセス |
| 年収 | 400~700 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市, 東京都港区 |
| 職種 | プロダクトマネージャー |
挫折の先で出会った、自分の居場所。
【近藤さんの歩み】
2010年(24歳):タクシードライバーとして業界入り
2012年(26歳):祖父の会社を継承、経営再建に着手
2015年(29歳):電脳交通設立、クラウド型タクシー配車システムDS開発
2020年(34歳):コロナ禍を乗り越え全国展開加速
2025年(39歳):クラウド型タクシー配車システムDSが47都道府県600社に導入、第二創業期へ
── 近藤さんは学生時代にメジャーリーガーを目指していたとお聞きしています。これまでのご経歴を教えていただけますか?
子どもの頃はバスケットボールやラグビーをやっていて、野球をはじめたのは高校から。でも、せっかくやるなら最高峰を目指そうと、はじめからメジャーリーガーになることを視野に入れていました。昔から高い目標を掲げて、そこに向かって努力することが性に合っていたんです。高校は野球推薦組がいるような強豪校でしたが、誰よりも練習をして2年時にはレギュラーを獲得。そのタイミングで、実際にアメリカの大学に視察にも行きました。そして、高校卒業後に全米のカレッジベースボールランキング上位の大学に入学し、ピッチャーとしてセレクションに合格して野球部に入部します。3年時には1軍のベンチ入りを果たしたのですが、肘の靱帯を痛めてしまって。メジャーリーガーを諦めて、卒業後に帰国しました。それまで野球一筋だった反動もあり、地元・徳島には帰らず高松へ。しかし、大きな目標を失い、1年半ほど将来への方向性を見出せずに過ごしていました。当時は何をやってもうまくいかず。アルバイトは3つやって3つともすぐにクビ。野球でも仕事でも結果を残せず、自分の存在価値を見失っていました。ちょうどそのとき、地元でタクシー会社を経営していた祖父が病に倒れて人手が足りなくなったので「徳島に帰って家業を手伝うか」という軽い気持ちで祖父の会社に入社。二種免許を取ってタクシードライバーとして働きはじめました。2010年、24歳のときです。
ドライバーの仕事は充実していました。というのも、今でこそ都内を中心に若いタクシードライバーは増えましたが、当時、徳島のドライバーは高齢者ばかり。24歳の私は珍しがられて、地元企業の役員の方々に重用していただいたり、メディアに取り上げられることもありました。すっかり自信を失っていた自分を、必要としてくれる人がこんなにもいる。タクシードライバー、ひいては自分を受け入れてくれたタクシー業界にいつか恩返ししたいと考えるまでになったんです。
── その後、まずはお祖父さまの会社を継いだとお聞きしています。
2012年ですね。祖父の会社は徳島市内の中でもタクシー保有台数9台と最も規模が小さく、売り上げも思わしくなかったので、まずは再建に奔走しました。地元の経営者や、タクシーの送迎で知り合った東京の起業家の方からマネジメントを学び、『マタニティタクシー』のサービスを立ち上げたり、ドライバー教育を実施して顧客満足度を高めたり。その結果、数年で売り上げを1.5倍まで増やすことができました。経営が安定してきたこともあって、タクシードライバーをはじめた当初に抱いていた「業界に恩返しをしたい」という気持ちが強くなります。業界全体を盛り上げられるような、全国に展開できるサービスをつくろう。野球をはじめたときと同じように、今回も最初に大きな目標を立てました。

母を楽にしたいという想いから生まれた、配車業務効率化システム。
── クラウド型タクシー配車システムは、どういった経緯で生まれたのでしょうか。
きっかけは、一緒に働いていた母の存在です。運行管理や日報集計を担当していたのですが、業務はすべてアナログ。ある日、何も書かれていないホワイトボード上で9個の磁石を動かしている母を見て、何をしているのか尋ねてみると「頭の中で配車をシミュレーションしている」と言うんです。配車のノウハウは完全に属人化していて、これでは誰かに引き継ぐこともできません。母は60歳を超えていたこともあり、「この人に楽をさせてあげられるサービスをつくろう」と思い、配車業務をシステム化できないかと考えました。タクシー会社はどこもアナログでの業務が主流だったので、きっと全国にニーズがあるだろうという期待もありました。
調べてみると、すでに配車システムはあったのですが、既存のものは大手企業向けで、導入に1,000万円以上かかることも珍しくありませんでした。しかし、日本のタクシー会社の7割は小規模事業者。彼らにとって手の届く価格帯で、かつ使いやすいシステムが存在しなかったのです。ちょうどその頃、スマートフォンやタブレットが普及してきていたので、これらを活用すれば導入のハードルを下げられるのではないかと考え、クラウド型タクシー配車システムの構想が生まれます。ただ、周囲のエンジニアに話を聞いたところ、開発は1年がかりで数億円かかると言われてしまって。再建したばかりの会社が投資できる時間と額ではありませんでした。
── そこからどうやって実現に漕ぎつけたのでしょうか?
所属していた地元の青年会議所で、IoTのイベントを企画したんです。そこで講演を依頼していた方が急遽来られなくなってしまい、代役として登壇したのが今、電脳交通社でCTOをしている坂東でした。当時はUターンで徳島に戻り、フリーランスのエンジニアをしていました。打ち上げで配車システムのアイデアを話してみたところ「自分なら3日もあればできますよ」と。そのときは冗談半分で聞いていたのですが、翌日いきなり私の事務所に来て、「昨日のあれ、やりましょうよ」と言ってコードを書きはじめたんです(笑)。そして、本当に数日でテストモデルを完成させてしまいました。それからは私が実際にドライバーとして街を走って、母に意見をもらって、坂東が修正して、というのを繰り返して、ベータ版が完成。自社に導入した2015年12月のタイミングで、電脳交通社を設立しました。

チャンスを確実にものにし、全国へと進出。
── 運命的なものを感じますね。そこからどう他社へと展開していったのですか?
はじめは徳島県内のタクシー会社にアプローチしていきました。事業者リストを見ながら片っ端から連絡をとったり、サービスの概要を紹介するためのセミナーを開いたり。初めて契約が取れたのは、創業から2〜3ヶ月目でした。並行して、いろいろな地域のビジネスコンテストに出場しました。そこで獲得した賞金を運営資金に充てて、また地道に営業する、という日々でした。県外のお客様の契約が取れたのは、2年目を過ぎたあたり。愛媛県と福岡県のタクシー会社でした。このときに、やはりニーズは全国にあるという確信を得ましたね。そのタイミングで、電脳交通の成長を加速させる出来事が起こります。日本交通の川鍋会長が、全国ネットの情報番組で当社を取り上げてくださったんです。その反響は大きく、大手企業数社から出資いただけることになり、3.7億円の資金調達に成功しました。
このチャンスを逃すまいと、ビジネスをスケールできる人材として現COOの北島を採用します。それによって一気に全国展開が進み、2020年までに20の都道府県に進出。三菱商事からの出資もあり、資金調達は5億円にまで増えました。しかし、直後に新型コロナウイルスが流行します。緊急事態宣言により、人々が外出を控えたことで、タクシー業界全体が停滞しました。さらにお客様はコンピュータに不慣れな方が多く、オンラインでの商談もできません。幸い当社はストック型ビジネス(月額利用料をいただく継続的な収益モデル)なので、ある程度の売り上げはありましたが、成長は完全にストップしてしまいました。売上は一時期、前年比で30%減少しました。特に困ったのは、お客様の多くが60代以上の経営者で、オンライン商談に慣れていないこと。これまで対面で築いてきた信頼関係が、突然リモートでの関係構築を求められるようになったのです。それでも私たちは『業界への恩返し』という創業時の想いを胸に、一人も解雇することなく耐え抜き、コロナ終息を待ちました。そしてようやく2023年に新型コロナが5類に移行。そこからの巻き返しは早かったですね。2年ほどで47都道府県への進出を果たしました。

地方部・都市部の両面から、交通インフラを変えていく。
── 今、電脳交通社はどのようなフェーズにあるのでしょうか。
おかげさまで、地方部を中心に多くのタクシー会社に利用いただけるまでになりました。言うなれば、創業からこれまでの10年は、地盤を固めるフェーズでした。そしてここからは、大きく地方部と都市部の二つに分けてビジネスを生み出していくフェーズだと考えています。
地方部のテーマは、少子高齢化などで変革を余儀なくされる交通インフラをどうリブートしていくか。当社がこれまでに築き上げてきたアセットを活用して、タクシーだけでなく広く“旅客業”として何ができるかを、新規事業を含めて考えていく必要があります。
都市部においては、サービスを普及させる以上に、企業の中枢に入り込んでいく戦略を立てています。コンサルティングとプロダクトを掛け合わせて、タクシー会社のDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用した業務変革)を推進していく。実は、タクシー業界は金融や医療、自動車業界などと比較すると社内DXの余地が多く残されています。そのため、タクシー会社発のIT企業である当社だからこそ発揮できる価値がたくさんあるはずです。具体的な取り組みとして、2025年4月にUber Technologies, Inc.や国際自動車、大和自動車交通などを新たに株主に迎え、25億円の資金調達を実施し、累計調達額が52億円に到達しました。今後、私たちはタクシーの配車支援にとどまらず、タクシー事業者が直面するさまざまな経営課題に対応する総合的なサービスを提供していきます。具体的には、労務管理や業務効率化、車両の調達・管理支援、採用支援など、経営全般をサポートするソリューションを強化。事業者がより効率的で持続可能な運営を実現できる環境を構築していきます。
── 第二創業期とも言えるほど、新たな取り組みをはじめられる貴社ですが、どのような方を求めていますか?
抽象的ですが、ビジネスをスケールした経験のある方や、新しい風を吹かせられる方と働きたいですね。ビジネスをスケールさせるというのは、当社のサービスはもちろんですが、“タクシービジネス全体”と捉えていただいても良いと思います。現状のタクシービジネスは主に“輸送サービスの提供による対価”に依存しています。 今後も業界が成長していくためにはどうすれば良いのか。たとえばドライバーと車両というアセットを、特に地方が上手に活用できる方法はないのか、ということを新しい視点で考えて事業化していくことが大切です。電脳交通はタクシー業界を盛り上げていくという想いからはじまっているので、会社だけでなく業界の成長に全力投球できる方を求めています。
── 最後に、求職者の方々にメッセージをお願いします。
クラウド型タクシー配車サービス『DS』は2025年現在、47都道府県600社、約22,000台のタクシーに導入されています。つまり、全国のネットワークはすでに出来上がっている状態です。ここからはまさに、事業成長の加速期です。 活用できるアセットが全国にありますし、想いに共感して投資いただいている企業もたくさんいます。
当社は創業10年目を迎え、新たにミッション・ビジョン・バリューも策定しました。新しいビジョンは、『成長を望む企業と共に、“交通”を軸としたビジネスを進化させ、社会全体にひらいてゆく。』交通を変えていくことで、地域、そして社会のコミュニティまで創造していくという意思表明です。高い目標ですが、共感し、立ち向かっていける方と働きたい。変革が求められているタクシー業界から新たな道を切り開き、時代に名を残すような仕事を一緒にやり遂げましょう。

株式会社電脳交通が募集している求人はこちら
| 年収 | 400~700 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市, 東京都港区 |
| 職種 | 経営企画 |
| 年収 | 550~700 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市, 東京都港区 |
| 職種 | 事業企画 経営企画 |
| 年収 | 400~600 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市, 東京都港区 |
| 職種 | その他カスタマーサクセス |
| 年収 | 350~600 万 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社電脳交通 |
| 勤務地 | 徳島県徳島市 |
| 職種 | インバウンドコールスタッフ 総務 福利厚生/労務/給与管理人事 |
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。