いま中途採用を本格化させる理由とは 多様性が生み出す新たな組織と未来

これまで新卒採用が基本だったJR西日本グループが、人財採用において新たなフェーズを迎えています。新幹線と在来線を合わせた路線の長さ4897.5km、駅数1150、保有車両6412両を誇り、国内を代表する鉄道会社として成長を続けてきた同グループ。盤石とも思われた事業基盤が一気に揺らいだのが、2019年終わりから始まったコロナ禍です。人の移動が厳しく制限され、鉄道事業は大幅赤字へと転落。同グループは経営基盤の立て直しと強靭化と並行して、未来に向けた 事業ポートフォリオの大幅な変更を目指しました 。鉄道事業を中心とした「モビリティ分野」と、「不動産」「ショッピングセンター」「地域・まちづくり」「地域ソリューション」などを担う「ライフデザイン分野」という2軸に領域を広げ、さらなる飛躍を図ろうとしています。そして、事業の変革と合わせるように、人財採用のポートフォリオも変化し、その波及効果はさまざま面で形となって表れつつあります。変わりゆく同グループの採用と求める人財像、そして転職者の目線で見たリアルな社内について、人財戦略部の中西さんと、自身も中途採用で入社した村岡さんにお話をうかがいました。

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成長を続け、価値を生み出し続ける企業への転換期。事業領域を広げるJR西日本グループ。

── 転換期を迎えているJR西日本グループの現状について教えてください。

中西:これまで当グループでは、人や物の安心・安全な移動を担う鉄道事業を中核に据えて、周辺ビジネスを展開してきました。あくまでも事業の軸は鉄道であり、高い安全性が問われ社会インフラを支える仕事に対して、すべての社員が責任と使命感を持って取り組んできました。その一方で、将来にわたって持続的に事業を行っていく上で、鉄道に並ぶ新たな柱が必要となっています。その契機となったのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。当たり前であった人の移動が急速に失われ、鉄道事業は1000億円を超える赤字を計上。われわれは、全くの想定外の事態に当初打つ手がありませんでした。そして現在、コロナ禍の収束に伴い鉄道需要は大幅に回復しましたが、またいつ同じような状況が繰り返されるかはわかりません。さらに、人口減少社会においては、「モビリティ分野」だけに頼る収益構造では、今以上の大きな成長が見込めないのも事実です。こうした状況において、当グループは新たな事業ポートフォリオとして、「モビリティ分野」以外の事業収入を2032年までに40%にまで引き上げる転換策を打ち立てました。注力していくのは、不動産、ショッピングセンター、デジタル戦略など、クリエイティブに人と関わる事業領域。「ライフデザイン分野」として、当グループが展開していく新たな収益の柱です。

── そうした中、新卒と同様に中途採用にも注力している理由とは?

中西:事業ポートフォリオが変化すれば、採用のポートフォリオも変わるのが当然です。「ライフデザイン分野」の各種事業を発展させていくには、その領域の知見を持った人財が必要です。しかし、現時点ではグループ内にそうした人員が足りていないのが事実。早急に育てていなかければなりませんが、育成には時間が必要であり、その間にもビジネスチャンスは次々と生まれていきます。こうした状況を打破する上で、われわれが行うべきは、経験と知見に優れた人財の確保に他なりません。もちろんこれまでもデジタル分野等で経験者を採用するなど中途採用も手掛けてきましたが、よりスピード感を持って取り組む必要性が高まっています。外部から来た人の経験と知識、さらに当グループにはない価値観を組織に加えて、多様性を武器に事業を展開していくため、中途採用の拡大にチャレンジしています。

分野は違っても変わらない全社員共通の意識と使命。

── 中途採用の拡大に伴って持ち上がった課題や組織内部の変化について教えてください。

中西: 以前は社員の大多数を新卒人財が占めていたわけで、グループ内に特化した業務の進め方やルールといったものが自然と確立されてきました。それはそれで優れた面もあるのですが、やはり外部から新しいことを取り入れるのも重要です。こうした点において、外部の会社や組織での経験を持つ中途人財の存在が欠かせません。グループ独自のやり方やノウハウに対して、率直に問題点を指摘したり、改善策を提案したりするというカルチャーが醸成されつつあります。新卒人財では気づかないところにまで目配り・気配りしてくれる中途人財が多いのは、本当に助かっている点です。よく社外の人から「インフラ企業は堅い社風なんだろう」と言われますが、そんなことは決してありません。新卒人財は他の会社を知りませんが、知らないからこそ世の中のトレンドや動向への関心が高く、中途人財の存在が大きな刺激になっています。新卒と中途の垣根なくコミュニケーションが活発で、なおかつ率直に意見を言い合えるのが、現在の社風であると言えるでしょう。

── 広がった多様性をどのような武器に変えて事業に取り入れていくのでしょうか?

中西:鉄道を軸とした「モビリティ分野」も、物販やサービスなどの「ライフデザイン分野」も、いずれにおいてもわれわれの顧客は、あらゆる世代のユーザーです。年齢も性別も国籍も価値観も異なるすべての人がお客様になるわけですから、われわれ自身も多様性を身に付けていなければなりません。幅広い価値観を取り入れた上で、すべての人に利用いただけるサービスや付加価値を提供したいと考えています。この考えは、人財の採用と育成においても同様です。多様性に富んだ人財の採用と育成を行っていく上で、特に注目されているのが女性の活躍と定着。鉄道を祖業とする当グループでは、まだまだ「男性が多い組織」という一面があります。しかし、今後は女性の視点をより多く取り入れ、あらゆる分野に反映していく考えです。女性の活躍を推進するため、積極的な女性採用を行い、女性管理職の登用も重視しています。中途採用も同様で、中途人財が適切な教育を受けられる環境を整え、一切の不安なく安心して活躍できる職場や制度を構築するため、さまざまな試行錯誤を行っている最中です。これから当グループで働くみなさんには、われわれ人事部門が中心となって必ず活躍しやすい環境を整えていくので、ぜひ安心していただきたいと思います。

── ご自身も転職者でいらっしゃる村岡さんから見た社内の様子はどのようなものですか?

村岡:入社前と後では、いくつかのギャップがありました。一つが、社風です。堅い社風をイメージして入社しましたが、社内では社長も役職で呼ばずに「さん」付けで呼ぶなど、とてもフラットな印象を受けました。それに、役職者のみなさんはいつも低姿勢で、社外の人財から何かを学ぼうとする意識が強く、いろんなことを柔軟に受け入れてくださいます。「半官半民」という以前のイメージでは、いまだに紙ベースで資料を使っているのではないかと勝手に想像していましたが、業務の至る部分がデジタル化されていたのにもギャップを感じました。クラウドサービスや電子決済・契約システムなどが当たり前のように取り入れられています。働く人もみなさんとてもフレンドリーで、中途人財に対する偏見などは一切感じたことがありません。そうした社風の背景にあったのが、グループ内での活発な人事異動です。定期的に配属先や担当業務がローテーションするため、チームメンバーの変更が当たり前で、人の入れ替わりに対して柔軟な考えを持った人ばかりです。異動者用の育成カリキュラムを中途人財に応用していて、どんな人もキャッチアップしやすい組織風土であることを知りました。

── 社風以外の部分で、JR西日本グループらしさを感じるのはどのような部分でしょうか?

村岡:「モビリティ分野」と「ライフデザイン分野」、さらには私たちのようなコーポレート業務を担う職種を問わず、あらゆる社員が社会インフラを支える一員であることに対して、大きな責任感と使命感を持っている点が挙げられます。私のようにコーポレート部門で働く社員は、日常業務のほとんどが鉄道オペレーションとは関連しません。ですが、有事の際には部署や職種の垣根を超えて、すべての社員が現場に応援に駆け付ける体制になっています。鉄道以外のどんな事業や職種に携わっているとしても、私たちは全員がJR西日本グループの一員です。社会インフラを支えるという使命と責任が、隅々にまで浸透し、誇りを持って日々の仕事に取り組んでいる。それが当グループで働くということだと強く感じています。

個性を尊重し育てていく。JR西日本グループが描く組織ビジョン。

── 人事として、これからどのような組織づくりを目指していきたいとお考えですか?

中西:先ほども申し上げたように、当グループは多様性に富んだ組織づくりを本格的にスタートさせました。多様性を重視するということは、社員一人ひとりの個性を尊重し、伸ばしていくということ。そのためには、あらゆる人の考え方、価値観を受け入れる組織でなければいけません。「心理的安全性」が確実に担保されてこそ、人は個性を発揮できると考えています。「モビリティ分野」と「ライフデザイン分野」のどんな仕事を担うとしても、前提として安全が約束された環境であることに取り組んでいく考えです。その結果としてワークエンゲージメントが高まり、いきいきと働ける職場が形成されていくはずです。

── 飛躍を目指すJR西日本が求めるのは、どのような人財であると言えるでしょうか?

中西:まずは、われわれと同じ思いを持ってくれる人です。コロナ禍を経て、JR西日本グループは大きく変わりました。鉄道領域での事業を大切にする姿勢はそのままに、人と街と社会のつながりを進化させ、心を動かす企業グループへと成長することを目指しています。こうした想いに共感していただける人財こそが、われわれが求める人財です。加えて、どんな事業や仕事に関わるとしても、鉄道インフラの安全と安心を支えるJR西日本グループの一員である意識を持ち続けないといけません。当グループが最重要視するのは安全であることを、いつどんな時も絶対に忘れないで欲しいと思います。

── 最後に、この記事を読んでいるすべての人へのメッセージをお願いします。

中西:われわれJR西日本グループは変化を必要としており、変化のけん引役となる多様な人財を求めています。繰り返しになりますが、それは「ライフデザイン分野」に関わる社員に限ったことではありません。鉄道を軸とした「モビリティ分野」においても同様です。多様な人財が、これからの社会に必要とされ、活躍の場を得ていくのは間違いありません。そして、多様性を重んじるということは、社員一人ひとりの個性を尊重するということです。当グループでは、まずは安心して自分らしさを発揮できる環境を提供します。その上で、自社を変化させ、世の中に新たな価値をもたらすような活躍をしてくださることを期待します。強く熱い思いを持つ人を必ず後押し、応援するのが当グループ。ぜひ一緒に成長していきましょう。

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