一人ひとり、一社一社の「本音」と「本気」と向き合う。価値観でつながる出会いのために。

『RECRUIT DIRECT SCOUT HEADHUNTER AWARD 2025』コーポレート部門で第1位を受賞した、富士ヒューマンテック株式会社 営業部長の大園達さん。銀行業界で31年間、法人営業として延べ1,000社以上の経営者と向き合い、数字や条件の裏にある「人」や「組織」の本質を見抜く力を磨いてこられました。現在はその経験を活かし、求人票では伝わらない企業の「価値観」や「空気感」まで掘り下げるスタイルで、多くの転職成功を後押ししています。今回は、大園さんが考えるヘッドハンターの役割と、求職者に伝えたい転職活動のポイントを伺います。 

大園 達

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銀行での法人営業も、転職支援も、大切なのは「人」と向き合うこと。

── はじめに、これまでのキャリアについて教えてください。 

富士ヒューマンテックに入社する前は、大手金融機関に30年以上勤めていました。支店長として、営業推進や人事・総務も経験しましたが、私のキャリアの中心は法人営業。31年間で延べ1,000社以上の経営者の方々とお会いして、事業課題の解決に取り組んできました。銀行の法人営業の面白いところは、ただ取引額を増やすことがゴールではないということです。課題解決を通じてお客さまの事業拡大に貢献することが、結果的に自分たちの数字にもつながる。どこまでもお客さまと成長を共にする仕事です。だからこそ、金融関連のご相談だけでなく、経営方針から事業拡大、人材に関するお悩みまで、どんなご相談に対応できるように経験を積んできました。その上で私が学んだことは、役員の方々や現場の社員ともコミュニケーションを図り現場を深く知ることの大切さ。決算書1枚をとっても、それがどのような人員構成や事業戦略を汲んで作成されたものなのか、想像を巡らせることができると、より効果的な判断ができます。深い付き合いになったお客さま先では、部署ごとに顔を出して社員の悩みをヒアリングし、経営者にフィードバックすることもありました。こうした姿勢が、ヘッドハンターとしての今の支援スタイルの土台になっています。 

── 富士ヒューマンテック社には、どのような特徴がありますか。 

最大の特徴は、ヘッドハンター同士が情報を共有し、「チーム」で求職者や企業と向き合っているところでしょうか。毎朝のグループミーティングでは、チームとして良いマッチングを生み出すべく、各メンバーで情報を共有しています。「自分の担当企業では残念ながらお見送りとなってしまったが、この求職者のスキルが活かせる企業を知らないか?」「こんな人材を求めている企業があるが、相性が良さそうな求職者はいないか?」など。実際に私がスカウトした人材が、同僚の担当する企業とマッチングしたこともあります。転職活動で苦労されている方に対して、ひとつでも多くの可能性をご提案できることは、ヘッドハンターとして嬉しい限りです。求職者からお預かりした貴重な情報資産を活用できるということですから。 

また、弊社は銀行からご紹介いただく企業が多いことも特徴です。銀行と企業との接点の多くは経理部門でのやりとりですので、必然的にコーポレート部門の求人が豊富に集まってきます。経営幹部、財務・経理、人事・総務などに加え、近年は営業職の取り扱いも増えてきました。私自身、金融業界でのキャリア経験がありますので、企業と求職者、双方に還元できることは多いのではないかと感じています。

 

「求める人物像」は、求人票だけでは見えてこない。

── 求職者の方を支援する際に、特に大切にされていることはありますか? 

私が何より重視しているのは、求人票には載らない企業の「温度感」や「空気感」まで把握することです。そのため、必ず企業を訪問し、経営者や採用担当者と直接顔を合わせて対話します。求人票に「求める人物像」としてスキルや条件を提示いただいても、実際に活躍できるタイプは企業ごとに異なります。挑戦意欲が旺盛な人が活躍しやすい会社もあれば、協調性の高い人が成長しやすい会社もある。こうした違いは、現場で話を聞き、肌で感じて初めて分かるものです。また、求職者にとっても、職場の空気や共に働く人の雰囲気は、入社後の満足度や成果に大きく影響します。だからこそ、私は可能な限りリアルな職場環境をお伝えし、納得感を持って選択してもらうことを大切にしています。求職者だけでは得られない情報を集め、企業と求職者双方の価値観が合うかを見極める。それが現場を知るヘッドハンターの務めだと考えています。

── 印象に残っている支援事例をご紹介いただけますか。 

長年、派遣社員として金融機関の窓口に勤めていた方から、「キャリアアップのため、経理職に挑戦したい」とご相談を受けたことがあります。金融機関の窓口業務は、ミス防止のために定型のアプリケーションで運用されていることが多く、特にその方が携わっていた預金業務はマニュアル通りの作業が中心でした。一方で、経理職はより幅広いスキルや柔軟な対応力が求められます。正直なところハードルが高いように思われましたが、面談でお話を伺うと、キャリアアップに向けて「毎日、簿記の勉強をしている」と言うのです。「この向上心と学び続ける姿勢があれば、評価してくれる企業はある」と考え、思い当たる一社をご紹介。スキル面の不足は承知の上で挑戦していただいた結果、見事に経理職での入社が決まりました。スキルや経験だけでなく「姿勢」や「適性」も大きな決め手となる。お一人おひとりの可能性を見極め、相性のよい企業との出会いをつくること。それこそが私の役割だと改めて実感しました。 

本音で話すと、思いがけない選択肢が見えてくる。 

── エージェントとは、どのような姿勢で向き合うべきでしょうか? 

求職者の皆さんには、私たちを「良き相談相手」にしていただきたいです。面談の場では、悩んでいることや本当に助けてほしいことを、できるだけ本音でお話してください。そうすることで、求職者に合う仕事や職場の解像度が上がり、提案の質が格段に高まります。私たちは、皆さんの話を評価したり、コントロールしたりすることはありません。まずは、皆さんの思いや考えを深く知りたいと思っています。率直にヘッドハンターと話す中で、自分の知らない業界や職種に出会い、視野が広がることもあります。また今すぐに転職を考えていなくても、履歴書や職務経歴書の作成を通じて、ご自身がこれまで培われてきた経験や価値観を棚卸しするだけでも、気づきがあるはずです。情報提供を受ける場、何でも相談してよい場として、上手にヘッドハンターとコミュニケーションをとっていただきたいです。 

加えて、求職者の皆さん自身がヘッドハンターを見極めることも重要です。無理に応募を促してこないか、企業の背景まで理解した上で求人内容を紹介してくれているか。転職では、企業だけが選ぶ側ではありません。求職者もまた、自分の人生を託せるかどうか、企業やヘッドハンターを選ぶ立場なのです。相談相手として、本当に信頼できるか。そういった視点で、ヘッドハンターと向き合ってみてください。 

── エージェントやスカウトを活かすためのアドバイスをお願いします。 

スカウトを最大限に活用するためには、まずは職務経歴に記載する情報を充実させることが大切です。中でも特に意識していただきたいのは、単なる業務や実績の羅列で終わらせないこと。ご自身の強みをどう活かして成果につなげたのか。プロセスを詳しく教えていただきたいと考えています。たとえば「前年比120%以上の実績」や「上期・下期で目標達成」などの記載があっても、企業によって基準はさまざまなので、採用担当者にはその価値が伝わりにくい。どんな工夫やマネジメントを通じて実績を上げたのか、どういう経緯で会社に貢献したのか、といった過程まで伝えることで、企業との共通認識ができます。その上で「自分は他の人とここが違う」とアピールできると、ご自身の魅力が上手く伝わると思います。 

最近では各種転職サイトでもAIによる書類作成支援機能が整備されるなど、便利な時代になりました。かといってむやみにAIに頼りすぎることはおすすめしていません。AIが生成する文章はどうしても表面的になりがちで、その人のらしさや積み上げてきた経験のディティールが見えにくい。AIの文章はあくまで叩き台にとどめ、そこに自分ならではの実績や想い、「転職で何を実現したいのか」といった軸を加えてほしいと思います。文章で表現しづらい場合などは、ヘッドハンターに相談するのも良いと思います。あなたの本気度が伝われば、ヘッドハンターもきっと、熱意のある魅力的な方をぜひ担当企業に紹介したい、と前向きに向き合ってくれるはずです。

悔いのないキャリアと人生のために。 

── 最後に、転職を考えている方へのメッセージをお願いします。 

転職は、新たなステージへの挑戦であると同時に、自分らしい生き方の再設計でもあります。だからこそ、本当に納得のいく転職をするためには、条件や年収だけでなく、自分が何を大切にして生きたいのかーー自分の本音と向き合うことが欠かせません。ヘッドハンターは、求人票に書かれていない情報、企業の考え方、職場の温度感、活躍する人材のタイプなどを熟知しています。ヘッドハンターへの相談に身構えることなく、まずは何でも話してみることから始めてみてください。人と人との対話を通して、あなたの想いと企業の想いの接点を見出し、両者にとって最良の出会いをつくりたいと考えています。もちろん今すぐに転職しなくても構いません。自分が何を大切にして生きてきて、これから生きていきたいのか。そんな問いと向き合う時間は、必ず未来の選択に活きてくるはずです。相談することで人生そのものに選択肢が広がる。そんなきっかけになれたら、と願っています。

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※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。