求人広告

採用活動では自社に必要な人材からの応募を増やすために、人材要件などを記載した求人広告を作成し求人媒体に掲載するのが一般的です。求人広告の記載内容はもちろん、掲載する求人媒体によって費用対効果は大きく変わります。本記事では、応募が集まりやすい求人広告の特徴や広告掲載の費用相場、効果的な求人広告作成のポイントなどについて解説します。 

応募が集まる求人広告の特徴

自社が求めている人材の応募を集めやすい求人広告には、以下のような特徴があります。 

求職者目線で書かれている

求人広告を読むのは求職者なので、当然のことながら求職者目線で必要な情報が書かれている求人広告は応募を集めやすいでしょう。 

企業が求めている人材像を記載しているだけでは、求職者側の興味を惹くことはできず、採用したい人材からの応募が期待できません。仕事内容や勤務時間などの情報に加えて、求職者が知りたい情報が優先的に記入されており、適切な情報が網羅的に記載されている必要があります。 

働いている姿がイメージできる

 求人広告を読むことで、求職者が働いている自分をイメージできることも応募が集まる求人広告の特徴の一つです。 

給与待遇や職場環境といった情報だけでなく、仕事内容はもちろん社員の1日の業務スケジュールなどの情報も記載されていると、求職者はより具体的に入社後のイメージを持つことができるでしょう。 

企業の価値、魅力が伝わる

自社の魅力や入社することで得られる価値が、言語化されていることも重要です。 

競合他社と比べた自社の魅力を具体的な言葉で記載するのはもちろん、在籍している社員が感じている仕事上のやりがいや自社の良いところなどが掲載されていると、求職者に魅力が伝わりやすくなるでしょう。 

求人広告にかかる費用

求人広告は自社サイトや各種求人媒体を利用して、求職者に情報を開示します。 

ハローワークのような公的機関では求人情報の掲載は無料ですが、民間の求人媒体を利用する際には、一部無料から有料までさまざまなサービスがあります。 

厚生労働省の『求人情報・求職情報関連事業実態調査結果の概要(※1)』のアンケート結果では、正社員向けの広告掲載料は求人掲載誌などの紙媒体では5万円未満が54.4%と最も多く、求人情報サイトも5万円未満が55.2%とされています。 

また、求人広告の掲載料が無料のサービスもあり、例えば、スカウトサービスや転職エージェントは求人広告の掲載料は無料としていることがほとんどです。ただし、サービス利用料や成功報酬などの費用がかかるケースが多いです。 

(※1)参考:厚生労働省「求人情報・求職情報関連事業実態調査結果の概要」 

求人広告の効果的な書き方

求人広告を作成して各種媒体で掲載しても、求職者の興味を惹く内容でなければ応募者数が目標に達しないという事態になりかねません。ここでは、効果的な求人広告の書き方のポイントを紹介します。 

伝えたい相手(ペルソナ)を決める

求人広告は、自社が採用したい人材の応募につながるような内容にする必要があるため、「伝えたい相手(ペルソナ)」を決めることが大切です。 

求人広告作成におけるペルソナは、自社が求めている経験・スキルなどはもちろん、性格や働く上でどういった点を重視するかといった価値観まで深掘りできると、より具体的な訴求内容を決めることができます。 

興味をひくようなタイトルを付ける

求人広告の読み手の目に入りやすい、タイトルを付けることにも配慮が必要です。 

求人媒体に求人広告を掲載する場合、多くの企業の求人広告の中から自社を選んでもらわないといけません。最初に求職者の目に入るタイトルに興味をそそられないと、中身を読んでもらえない恐れがあります。そのため、自社が必要としている人材が魅力的だと感じるような言葉を選び、タイトルを付けるようにするといいでしょう。 

このとき、インパクトのある言葉を使うよりも、求職者が知りたい情報を分かりやすく伝えることが重要です。例えば、スキルアップを重視する人には「社内研修20講座以上。外部セミナーへの参加支援制度もあります」などのように、具体的に記載されていると興味を惹きやすいでしょう。 

他社との差別化

人材採用においても競合他社が存在するため、求人広告でも他社との差別化が欠かせません。 

給与や福利厚生、キャリア支援制度など、設定したペルソナが興味を持ちそうな項目を選んだ上で、自社の魅力を記入する必要があります。 

ただし差別化ポイントを記載する際には、他社名を出して優位性を記載するのは避けるのが基本です。「業界最高水準」などと記載する場合は、客観的なファクトを示したうえで、業界や業種全体と比較した魅力を伝えるようにしましょう。 

自社で働く魅力を分かりやすく伝えるために社員インタビューを使用する際にも、写真や文章だけでなく動画を掲載するなど、見せ方を変えることで興味を惹くこともできます。 

掲載写真を工夫する

求人広告で自社の魅力を伝えるとしても文字だけでの訴求には限界があるため、掲載する写真の工夫も必要です。 

配属予定先のオフィスの外観や社員が働いている様子など、会社の雰囲気が分かる画像はもちろん、福利厚生のイメージ像など、ペルソナが知りたがっている情報に着目した上で、自社の魅力が伝わりやすい写真を積極的に掲載しましょう。 

求人広告作成時の注意点

求人広告を作成する際には、人材雇用に関わる法律を遵守するのはもちろん、求職者に誤解を与えない表現で記載しなければならないなど、さまざまな注意点があります。 

必ず明示しなければならない事項

『職業安定法(※2)』では虚偽の表示禁止はもちろん、求職者に誤解を与えない情報掲載が義務付けられており、以下のような事項の正確かつ最新の情報掲載が求められています。 

項目 記載例 注意事項 
業務内容 一般事務 「一般事務」と記載されているのに、実際に就労すると「営業」「製造」「運送」などの実際の業務と乖離する名称とすることは禁止されています。 
契約期間 期間の定めなし
試用期間 試用期間あり(3カ月)
就業場所 本社(住所:−) 支社での就業の場合は、「△支社(住所:−)」と記載します。また、就業場所に変更の可能性がある場合は本社又は△支社(住所:−)と記載します。
就業時間 8:30~17:30 労働基準法など、労働関係法令に違反していないか確認した上で記入します。 
休憩時間12:00~13:00 労働基準法など、労働関係法令に違反していないか確認した上で記入します。 
休日土日、祝祭日(年末年始を含む) 労働基準法など、労働関係法令に違反していないか確認した上で記入します。 
時間外労働あり(月平均15時間) 労働基準法など、労働関係法令に違反していないか確認した上で記入します。 
賃金 月給:25万円 
(ただし、試用期間中は月給20万円) 
固定残業代の場合は、基本給と残業代の区別がない表記は禁止されています。また、「モデル収入」を記載する場合は、必ずもらえると誤解されないように「平均給与」を記載するなどの配慮が必要です。 
加入保険 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険 
受動喫煙防止措置 屋内禁煙 喫煙場所を設ける場合は、「喫煙場所(特定屋外喫煙場所)あり」などと記載します。 
募集者の氏名または名称○○株式会社 求人募集元の企業名のみを記載します。グループ会社名など、読み手が混乱する情報の掲載は避けます。 
雇用形態 正社員派遣労働者として雇用する場合は、「派遣労働者」と記載します。 

改正職業安定法では、特に「業務内容」「賃金」「募集者の氏名または名称」の表記に注意喚起がされており、応募者に誤解を与えないような配慮が義務付けられています。 

(※2)参考:職業安定法 

求人広告での禁止表現

 求人広告では、虚偽の記載や誤解を与える表現以外にも、労働基準法などの労働関係法令に違反した記載も禁止されています。差別的な表記などにも注意が必要なため、ここでは、いくつかの禁止表現を紹介します。 

労働基準法違反になる内容

労働基準法に定められている「労働時間(時間外労働を含む)」や「休日(有給休暇の取得日数も含む)」「休憩時間」などのルールに反した内容の記載は禁止されています。 

また、「賃金」についても最低賃金を下回る雇用は禁止されており、毎年10月頃に変更される各都道府県の最低賃金に合わせて、求人広告の掲載内容も適宜修正しなければいけません。 

性別による雇用制限

男女雇用機会均等法では、男女の性差によって特定の職業への就労を制限することが禁止されています。そのため、「募集人数:男性2名、女性2名」などと表記することは避け、性別ごとに区別せずに「募集人数:4名」と記載しなければいけません。 

ただし女性専用サロンのエステティシャンや防犯上の要請が必要な守衛などの特定の職種や、女性活躍推進のために女性の採用を増やす「ポジティブ・アクション」としての採用活動の場合は、例外が認められることもあります。 

また、「看護婦」「セールスマン」などのように性別を限定するような表記も禁止されているため、「看護師」「セールスパーソン」などと記載しましょう。 

年齢による雇用制限

求人広告では、応募者の年齢を制限するような記載は労働施策総合推進法で禁止されています。「50代以上限定」「40歳以下まで」のような年齢制限の表記は認められておらず、「年齢不問」と記載しなければいけません。 

なお、同法の例外事由に該当するならば年齢の制限を認められますが、求人広告への表記には注意が必要です。自社の状況にあわせて、厚生労働省の『その募集・採用年齢にこだわっていませんか?(※3)』を参考に作成することもおすすめです。 

(※3)参考:厚生労働省「その募集・採用年齢にこだわっていませんか?」 

差別的な雇用制限

年齢制限や性別といった差別はもちろん、障害者差別による雇用制限も「障害者の雇用の促進等に関する法律」によって禁止されています。 

障害者の応募を制限したり、障害者のみに特別な資格の取得を応募要件に加えたりするといった表記は避けなければいけません。 

特定の人に対する雇用制限

求人広告に特定の人を差別または優遇するような表現を用いることは、労働基準法で禁止されています。以下のNG例を参考に、差別の意識の有無に関わらず、受け取り手が不快な思いや苦痛を感じるような表現や用語の使用はしないように配慮しましょう。 

【NG例】 
人種・民族・国家・国籍(NG例:日本国籍) 
心身的な条件や性格(NG例:明るい方、身長○○cm以上の方) 
出身地・居住地・通勤時間での排除・制限(NG例:〇〇県出身の方限定) 
家庭環境に言及する表現(NG例:既婚者限定) 

求人広告の作成に不安がある場合はリクルートダイレクトスカウトがおすすめ

 求人広告は人材採用において欠かせませんが、記載内容が求職者目線になっていないなど、訴求内容に問題があれば自社が必要とする人材の応募に結びつかなくなることもあります。 

リクルートダイレクトスカウトは、自社に必要な人材へのスカウト支援を行うサービスで、「初期費用なし」でサポートを受けられます。人材の条件設定や求人広告の作成に不安がある企業は、サポート体制が整っているリクルートダイレクトスカウトの利用をご検討ください。 

この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

この記事の監修者

岡 佳伸(おか よしのぶ)氏 

アパレルメーカー、大手人材派遣会社などでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、雇用保険を活用した人事設計やキャリアコンサルティング、ライフプラン設計などを幅広くサポート。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。 

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