ミーティングの風景

インターネットやSNSの普及などもあり、中途の採用手法も多様化が進んでいます。必要な人材を採用するには、採用手法のトレンドを把握したうえで、自社にマッチした手法を選択する必要があります。本記事では、中途採用で用いられている主要な12種類の採用手法の内容や選び方などについて解説します。

主要な採用手法12種類のメリット・デメリット

中途採用を効果的に進めるために、採用の現場ではさまざまな手法が活用されています。ここでは、主な12種類の採用手法について、それぞれの特徴やメリットとデメリットを解説します。

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、国が運営している雇用サービス機関で、求人情報を無料で掲載できます。

ハローワークの大きなメリットは、求人を完全無料で掲載できることです。また、各都道府県に設置されていることから、地元住民などの地域採用に向いています。

ただし、ハローワークの求人情報の作成・入力は全て自社で行う必要があり、インターネットで全国検索ができるとはいえ専門性の高い求人や大手企業の求人が少ない傾向にあるため、これらを求める人にとっては希望する求人に出会えるとは限らないというデメリットがあります。

自社ホームページ

自社ホームページの採用情報欄や採用専用ページなどを通して、中途採用の応募者を募る方法です。

自社ホームページで中途採用を行うメリットは、実際に職場で働いている社員へのインタビューや注力している事業分野、社会貢献への取り組みなど、求人だけでは伝えられない情報を積極的に開示できることです。自社とマッチ度が高い人材の応募を促すための自由な情報発信と積極的なアプローチができます。

一方自社ホームページでの採用は、インターネット上で「〇〇社 採用」などと会社名で検索をするなどしない限り、なかなか応募者の目に留まりにくいデメリットがあります。そのため、企業によっては自社ホームページだけで採用を行う場合、応募者が集まりにくい可能性もあります。

求人誌

求人誌に自社の求人を掲載して採用活動を行う方法です。

地域限定の雑誌などに掲載できるため、地元採用がしやすいというメリットがありますが、インターネットによる求人検索が一般的になっているため、応募者を集めにくいというデメリットがあります。

転職サイト

各種転職サイトに自社の求人を掲載して応募者を募る採用手法です。

転職サイトには、幅広い業種や職種の求人を掲載する「総合型転職サイト」と、医療業界やIT業界など、特定の業界や業種に特化した求人を取り扱う「特化型転職サイト」があります。

転職サイトは登録者であれば、掲載されている求人に自身の判断で応募することができるため、応募数が多くなる傾向にあります。大量採用や急な欠員募集などの際は、登録者数の多い転職サイトに求人掲載をすることでメリットを感じられるでしょう。

一方、転職サイトによっては求人の掲載に費用がかかる、掲載社数が多いサービスでは自社の求人を閲覧されにくい、といったデメリットがあります。

人材紹介(転職エージェント)

厚生労働大臣の認可をうけて職業紹介を行っている人材紹介会社に、自社が求める人材の採用要件を伝え、希望にマッチする人材を紹介してもらう方法です。人材紹介会社は、一般的に「転職エージェント」と呼ばれています。

人材紹介のメリットは、自社が求める人材を人材紹介会社にある程度見極めてもらえる点です。これにより、一次スクリーニングの手間を大きく省けます。また、採用が決まらない限りは、サービス利用料もかからないことが一般的です。

ただし、人材紹介によって採用が決まった場合は、成功報酬として想定年収の一定の割合の支払いが必要になり、コストが高くなりやすいというデメリットがあります。成功報酬の割合は人材紹介会社によって異なります。

スカウトサービス

スカウトサービスは、サービスのデータベースに登録されている人材の中から、企業が自社に合う人材を探してアプローチする採用手法で、ダイレクトリクルーティングの一つです。

サービス登録者のスキルや経験などをもとに、自社の採用要件とマッチしそうな人材に直接アプローチできるというメリットがあります。またサービスの運営元から、求める人材の条件設定や求人の作成などのサポートを受けられることもあり、採用活動のノウハウを蓄積できます。

一方、自社から求職者にアプローチをするので、場合よってはスカウトメールの対象者が自社に興味がない可能性もゼロではありません。スカウト対象者の選定やメールの文面の工夫など、ある程度のスキルが求められます。

ヘッドハンティング

ヘッドハンティング会社が、依頼主である企業の採用要件に合わせて人材をスカウトする採用手法です。経営幹部など、ハイクラス層向けの採用で使われることが多く見られます。

ヘッドハンティング会社が持つ独自のネットワークやノウハウによって、経験やスキルを備えた優秀な人材が集まりやすいといったメリットがありますが、人材を探し出すのに時間がかかり、ヘッドハンティング会社によっては、成功報酬に加えて着手金という形で人材のリサーチを始める段階からコストが発生することもあるので、費用がかさむ恐れがあります。

ソーシャルリクルーティング

SNSで自社の魅力を発信して中途採用を行う方法で、ダイレクトリクルーティングの一つに分類されます。

SNSを通して幅広い人材にアプローチでき、自社とマッチ度の高い人材をターゲットとした情報発信ができるというメリットがあります。

一方、SNSを使っていない人材へのアピールが難しく、情報発信力はもちろん継続的な投稿が必要になるため、手間がかかるといったデメリットもあります。

説明会

合同説明会、転職フェア、会社説明会などのイベントを通して、求職者にアプローチするという方法です。

イベントの参加者に直接アプローチできるというメリットがありますが、イベントの準備や当日の対応など、自社の担当者の負担が大きくなるという一面もあります。

リファラル採用

リファラル採用はダイレクトリクルーティングの一つで、自社社員の友人や知人などの中から、マッチ度の高い人材を紹介してもらう採用方法です。

自社に詳しい社員が人材を選ぶため、求めている人材の採用がしやすく、自社の社風などにもマッチしている可能性が高いといったメリットがあります。

ただし、大量採用は難しく、自社に興味を持ってもらうためのアプローチが必要になることがあり、採用に時間がかかるといったデメリットがあります。

ミートアップ

ミートアップは、自社に中途入社希望者を招待し、社内見学や職場の社員との交流を通して転職意欲を高めてもらう採用手法です。

実際に自社を見学してもらうことで、興味を持ってもらいやすいというメリットがありますが、イベントとしての意味合いが強く、必ずしも応募につながるとは限りません。

アルムナイ採用

アルムナイ採用は、自社から「卒業した人(アルムナイ)」を再度雇用する採用手法です。

過去に自社に所属していた経験があるため、即戦力を雇用できるというメリットがあります。ただし、退職理由によっては再雇用することがそもそも難しいことに加えて、アルムナイと退職後に継続的な関係性を構築しておくことや在籍社員のフォローなど、手間がかかるというデメリットもあります。

中途採用手法のトレンドとは

中途採用市場においても人材不足は深刻であり、競合企業との人材獲得競争が続いています。

企業規模によって人材採用に許容できるコストは異なりますが、経験やスキルなどを含めたマッチ度の高い人材の採用を重視する傾向が特に強くなっています。

「人材紹介(転職エージェント)」や「スカウトサービス」といった外部サービスは引き続き利用されていますが、自社のリソースを活用したダイレクトリクルーティングである「自社ホームページ」「ソーシャルリクルーティング」「リファラル採用」を活用する企業も見られます。

採用手法を選ぶ際の判断基準

中途採用の手法にはそれぞれに特徴がありますが、どういった判断基準で選べばいいのでしょうか。ここでは、4つの基準を紹介します。

自社の採用要件に合うか

最も重要な判断基準は、自社の採用要件に合うか否かです。

選択した採用手法によって、必要な人材が採用できなければ意味がありません。まずは、必要な経験やスキルを持った人材にアプローチできる採用手法を選ぶことが大切です。

コスト

コストについては、主にサービス利用にかかる費用が着目点になります。

「人材紹介(転職エージェント)」や「ヘッドハンティング」などは、成功報酬が高コストになりやすい傾向にあります。一方、自社のリソースを活用する「リファラル採用」「自社ホームページ」などは比較的コストは低めでしょう。

工数

工数については、自社の採用担当者にかかる負担に着目する必要があります。

「ハローワーク」や「求人サイト」は、求人作成は自社で行うため工数がかかるでしょう。一方、「人材紹介(転職エージェント)」や「ヘッドハンティング」などは、人材選定や選考の調整などを外部委託できるので、工数を削減できます。

時間

時間については、スケジュール通りに採用活動が終了できるかを考慮する必要があります。

外部の既存サービスを利用すれば時間を短縮できますが、「自社ホームページ(SNS含む)」や「リファラル採用」などは、アプローチはもちろん、転職意欲が低い人の場合は選考に進むまでの時間が長くなる恐れがあります。

中途採用を行う際に気を付けたいこと

中途採用を行う際には、手法はもちろん事前準備なども大切です。ここでは、実施する際に気を付けるポイントを紹介します。

採用課題の把握を行う

自社の採用課題について、これまでの採用活動を踏まえて振り返ることが大切です。

採用活動の課題は、状況に応じてさまざまなものがあります。

<求人募集時の課題>

  • そもそも求人に対しての応募者数が少ない
  • 自社が求める経験やスキルを備えた人材の応募が少ない

<選考の課題>

  • 選考でマッチ度の高い人材を見極められない
  • 内定を出しても自社に入社する人が少ない

採用課題によって選ぶべき採用手法はもちろん選考試験の内容も変わるため、事前把握が欠かせません。

複数の採用手法を並行して取り入れる

採用手法を複数取り入れ、並行して採用活動することも大切です。一つの採用手法だけ取り入れていると、期待したほど応募者が集まらず、採用活動が長期化する恐れがあります。

自社の採用スケジュールと許容コストを見極めることに加えて、それぞれの採用手法のメリット・デメリットを理解した上で、複数組み合わせることも考慮しましょう。

定期的な振り返り・見直しを行う

採用手法を選んで実行したら、定期的に振り返り、採用活動にフィードバックさせましょう。

採用手法はもちろん、採用活動を行うタイミングなど、さまざまな要因で応募者数に違いが出ることもあります。スケジュールに沿って採用活動を行いながら、定期的に応募状況や選考試験の状況を振り返り、効果的な採用手法に注力するなどの見直しを行いましょう。

コストや工数を抑えたい場合はスカウトサービスの活用がおすすめ

中途採用にはさまざまな手法があり、それぞれにメリットとデメリットがありますが、自社が求める経験・スキルを持っているマッチ度の高そうな人材にアプローチすることが大切です。
スカウトサービスであれば、登録している求職者の職務経歴などをもとに、自社が必要とする人材に直接アプローチできるというメリットがあります。また、求人作成のサポートなども受けられるため、担当者の負担を軽減することもできます。

中途採用活動のノウハウを蓄積しながら効率的な中途採用活動を行うならば、スカウトサービスの「リクルートダイレクトスカウト」の利用をご検討ください。

この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトをご利用いただくと、日々の時間をかけなくても候補者を確保できたり、独自のデータベースから他では出会えない即戦力人材を採用できる可能性が高まります。初期費用も無料ですので、ぜひご検討ください。