求人広告 費用

昨今では求職者がスマホなどで手軽に求人情報を閲覧できるようになり、企業の採用活動では求人広告を利用した人材募集が一般的になっています本記事では、求人広告の費用相場や広告を掲載する媒体の料金形態、求人広告を活用した採用活動の費用対効果を高めるポイントなどについて、社会保険労務士の岡佳伸氏監修のもと解説します

求人広告の費用相場

求人広告とは、採用活動を行っている企業が求職者に対して、企業概要や求人内容を掲載するための媒体のことを言います。 

広告を掲載する媒体にはさまざまなものがあり、新聞などの折り込みチラシやフリーペーパーなどの紙媒体から、近年ではWEBサイト上の媒体も多く使われています。 

厚生労働省の『採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 調査結果(令和4年)(※1)』によると、1件あたりの平均採用コストは以下となっています。 

1件あたりのコストのため、全体で見た場合に費用は前後しますが、費用相場の目安として参考にすると良いでしょう。 

【転職サイト】 
正社員:28.5万円 非正社員:10.8万円 

【求人情報誌・チラシ】 
正社員:11.3万円 非正社員:7.7万円 

【新聞広告・屋外広告】 
正社員:7.1万円 非正社員:4.5万円

(※1)参考:厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 調査結果(令和4年)

求人広告を掲載する媒体の料金形態

求人広告の掲載媒体を利用する際にかかる料金の形態は、大きく4つに分けられます。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。 

完全無料型

求人広告の掲載料はもちろん、システム利用料や媒体を経由して応募してきた人材を採用した際の成功報酬なども一切かかからない料金形態です。 

代表的な完全無料型の媒体はハローワークで、民間が運営しているサービスの中にも費用がかからない媒体があります。 

一部無料型

完全に無料ではなく、一部のサービスの利用が無料となる料金形態です。 

例えば、求人掲載は無料だが、実際に採用が決定したら費用が発生する、採用人数に制限があり「〇名までは無料」など、有料になる部分は媒体によって異なります。 

先行投資型

媒体を利用する前に各種掲載条件に応じた費用を支払ってから、求人を掲載する形態です。 

例えば、転職サイトのように求職者が検索機能を使って求人を探せるような機能がある媒体は、掲載料金に加えて、自社の求人を上部に表示させるサービスの利用、求人広告への動画掲載など、追加で利用するサービスに応じた料金がかかるのが一般的です。 

また、求人情報誌のような紙媒体の場合は、掲載箇所や広告のサイズによって料金が違うなど、求人広告へのリーチ数を増やすためにはある程度の先行投資が必要になることもあります。 

成果報酬型

求人情報の掲載は無料で、媒体経由で応募してきた求職者が採用された際に報酬として費用を支払う形態です。 

媒体を利用して選考が進んだ求職者が複数人いても、採用に至らない限り費用は発生しません。 

なお、成果報酬型の中には、応募があった際に費用がかかる「応募課金型」もあります。 

求人広告を出すメリット

求人広告を出すことによる企業側のメリットは、大きく3つあります。 

多くの求職者にアプローチができる

求人広告を出すことで、媒体によっては数十万人を超えるほど多くの求職者にアプローチすることもできます。 

求職者はさまざまな媒体を利用し、自身に合う求人情報を検索しています。例えば転職サイトだけでも複数の種類があり、複数の媒体に並行して掲載している場合はそれだけ多くの求職者の目に触れることになるでしょう。 

情報が具体的であるほど採用時のミスマッチを防げる

 求人広告の内容が具体的であるほど、採用に際してのミスマッチを防ぎやすいというメリットもあります。 

求職者側は募集されている職種の詳細や年収などはもちろん、福利厚生や職場の雰囲気など、自分が入社して働くイメージができる情報が記載されているほど応募しやすくなります。 

求人広告を出す企業側も、自社が必要とする人材の経験やスキルなどの情報を極力具体的に記載することで、マッチ度が高い人材からの応募を受けやすくなるでしょう。 

複数名を採用できれば費用対効果が高まる

求人広告を利用して複数名を採用できれば、1人あたりの採用コストを低減できる可能性があります。 

例えば、人材紹介会社を利用すると、一般的には採用した求職者それぞれに対して年収の30〜40%ほどの成功報酬を支払う必要があります。一方、求人広告ならば、媒体によっては採用人数によらず費用が同じものもあるため、複数名採用でもコストを低減しやすいというメリットがあります。 

求人広告を出すデメリット

求人広告は他の採用サービスと比較して多くの求職者に閲覧される可能性が高いというメリットがありますが、デメリットもあります。ここでは、求人広告のデメリットや使用に際してのリスクを紹介します。 

自社の情報を詳細に開示することになる

求人広告を利用してマッチ度の高い人材の応募を集めるには、求人情報も具体的に記載する必要があります。しかし、求める人材にしっかり訴求するために情報を開示するほど、競合他社に自社の経営戦略を読み取られるリスクが高まります。 

また、役員層や管理職などの経営に深く関わる人材を募集する際には、社内人事で憶測を生んで自社の社員のモチベーションダウンにつながる恐れなどもあるため、求人広告の掲載に注意が必要です。 

そのため、スカウトサービスや転職エージェントなど、求人広告を非公開にしながら採用が進められるサービスの利用も検討しましょう。 

必ず採用に至るとは限らない

求人広告を出したからといって、自社が必要としている人材を必ず採用できるとは限りません。 

また、求職者へのリーチ数を増やしたとしても、そもそも応募があるとも限らないため、求人広告に記載する情報の精査はもちろん、掲載先の媒体の選定も重要です。 

採用までに時間がかかる場合がある

求人広告を媒体に掲載する場合、応募を待つスタンスになりがちなので、採用までに想定以上に時間がかかることもあります。 

求人広告を出すタイミングによっては積極的な求職者が少ない場合もあり、応募数が増えないこともあります。そのため、求人広告を出すだけでなく、企業から求職者に直接アプローチができるようなスカウトサービスを始めとする、ダイレクトリクルーティングを取り入れることも検討するといいでしょう。 

採用ハードルが高くなる可能性がある

 求人広告の記載内容によっては、採用ハードルが高くなり過ぎて求職者が少なくなる恐れもあります。 

採用後のミスマッチを防ごうと経験・スキルなどを細かく指定するほど採用ハードルも高くなりやすいため、応募前に求職者が離脱してしまわないような配慮も必要です。 

求人広告に掲載する場合の注意点

求人広告を掲載する際には、職業安定法を遵守しなければいけません。ここでは、求人広告を作成する場合の注意点について解説します。 

記載する文言の表記に注意を払う

求人広告は、虚偽や誤解を与える表示が禁止されているため、記載する文言の表記には注意が必要です。職業安定法や労働基準法などに外れた内容はもちろん、性別や年齢、出身地など雇用制限と捉えられるような表記も禁止されています。 

募集要項を具体的かつ細かく記載する 

求人広告内に記載する募集要項は、求職者に誤解を与えないためにも具体的かつ細かく記載しましょう。 

例えば、業務内容については職種名を記載するだけでなく具体的な仕事例を記載し、給与については同職種の社員の平均給与をモデル給与として併記する(残業代込みか否かも含める)などの配慮が求められます。 

求人広告の費用対効果を高めるためのポイント

求人広告を利用するメリットを最大化して費用対効果を高めるためには、4つのポイントを意識してみましょう。 

求人媒体ごとの特徴を把握する

求人媒体にはそれぞれにメリットとデメリットがあり料金形態も異なるので、特徴を事前に把握することが大切です。 

求職者に広く広告を開示できる媒体もあれば、ターゲットを絞り込んでアプローチできる媒体もあります。自社が求める人材に応じて複数の媒体を使い分けることも検討しましょう。 

ペルソナ設定を明確にする

求人広告を作成する際には、自社が募集したい人材の「ペルソナ」を設定することが大切です。 

自社の求人広告を閲覧して欲しい相手の人物像を明確にすることで、より効果的な訴求を行うことができます。 

ペルソナを設定する際は、自社で活躍する人材の特徴を参考にしつつ、経験やスキル、性格や働く上での価値観まで深掘りするといいでしょう。 

求人広告に掲載する情報を都度更新する

求人広告に掲載する情報が最新のものになるように、都度更新をしましょう。 

求人広告には最新情報の掲載が必要なのはもちろん、採用活動を進めるうちに求める人物像がより具体的になって募集内容の加筆・修正が必要になることもあります。 

求人広告の表記が古ければミスマッチが起こることもあるため、掲載情報の更新は迅速に行いましょう。 

定期的に採用活動を振り返る

求人広告を利用する場合、応募者の数や自社が求める人物像とのマッチ度などを定期的に振り返りましょう。 

求人広告は、記載内容や掲載する媒体などによって、応募者の数や属性が大きく異なります。採用活動を振り返った上で、求人広告の記載内容をブラッシュアップしたり、別媒体を利用したりするなどして、より効果的な人材募集ができるように改善することが大切です。 

求人広告の掲載媒体は自社に合うものを選ぶ

求人広告は幅広い求職者に閲覧してもらいやすいというメリットがあり、広告掲載料が無料の媒体もあります。しかし、自社の求人情報が競合他社に把握されるリスクがあり、求める人材の応募を促すには媒体選定が重要です。 

自社の採用要件に合う媒体を選び、採用活動を進められるようにしましょう。 

この記事の監修者

岡 佳伸(おか よしのぶ)氏

大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会講師および記事執筆、TV出演などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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