人材紹介 手数料

中途採用を進める際、採用活動の効率化などのために人材紹介会社を利用しているケースも多いでしょう。本記事では、中途採用で人材紹介会社を利用した際に必要になる手数料の相場やスカウトサービスとの違いなどについて解説します。 

人材紹介会社へ支払う紹介手数料とは

人材紹介会社に対しては、一般的には紹介を受けた人材の入社が決まった時点で、成功報酬として紹介手数料を支払います。 

人材紹介会社とは、採用活動を行う企業と転職活動者の間に立って、お互いのマッチングをサポートする企業を指し、厚生労働大臣の認可をうけて職業紹介を行っています。 

人材紹介会社は一部着手金が必要なサービスはあるものの、基本的に成功報酬型のサービスなので、人材の紹介を受けたけれど入社に至らなかった場合は手数料の支払いは発生しません。 

紹介手数料は「紹介を受けた人材の入社日=請求日」となるのが一般的で、複数人の採用をした場合でも、採用した人材それぞれに対して支払いが発生します。例えば、ある人材紹介会社から5人の紹介を受けて3人採用したら、3人分の成功報酬を支払い、さらに3人それぞれの入社日が異なる場合は、紹介手数料の支払日も同様に異なります。 

人材紹介手数料(報酬)の相場

人材紹介手数料の相場は、紹介を受けて入社した人材の「理論年収の30%〜40%」が一般的です。 

ただし、人材紹介手数料の設定は各社さまざまであり、人材のスキルや専門性などのレベルが高く、そもそも候補者数が少ないような場合は手数料率が高くなる場合もあります。 

例えば、専門職や管理職などを対象としたハイクラス向けの人材紹介会社ならば、40〜50%ほどの手数料になることも少なくありません。 

人材紹介手数料の種類と算出方法

人材紹介手数料には、採用者の理論年収から算出する「届出制手数料」と入社後に支払われた賃金額から算出する「上限制手数料」の2つがあり、これに加えて「着手金」が必要になる場合があります。 

ここでは、理論年収の仕組みや算出方法、3つの手数料の詳細について解説します。 

理論年収の定義と算出方法

人材紹介手数料のうち、届出制手数料は「理論年収」をもとに算出されます。理論年収とは、採用後に入社した人材が12カ月間(1年間)就労した際に支払われる推定年収のことを指し、以下の式で算出します。 

理論年収=月給×12+賞与 

月給には基本給や各種手当、固定の時間外労働手当、インセンティブなどを含むのが一般的で、賞与は前年度の支給月数から算出します。なお、年棒制の労働契約ならば年棒額がそのまま理論年収になります。 

届出制手数料

届出制手数料とは、人材紹介会社が厚生労働大臣に届け出て認可をもらった手数料表に基づいて設定された紹介手数料です。 

人材紹介会社の多くが採用している手数料で、料率は理論年収の最大50%まで設定できますが、30〜40%で設定されているのが一般的です。 

例えば、年収500万円の人材を採用した場合、人材紹介会社の設定している手数料率が35%ならば「500万円×35%=175万円」となります。 

上限制手数料

上限制手数料は、厚生労働省の規制によって採用後に入社した人材の賃金の10.8%(免税事業者は10.3%)が上限と定められている紹介手数料のことです。 

例えば、年収500万円の人材を採用した場合の手数料額は、「500万円×10.8%=54 万円」です。 

着手金

着手金は、人材紹介会社に自社に必要な人材の紹介を依頼する段階で支払う手数料のことです。人材紹介業務の工数に対して支払う手数料なので、採用につながらなかったとしても返金はされません。 

人材紹介会社は基本的に成功報酬型のサービスなので着手金が必要になるケースは少なく、ヘッドハンティングのような企業の採用要件に合わせて人材をスカウトするようなサービスで必要になるのが一般的です。 

人材紹介手数料の返金規定とは

人材紹介会社には一般的に「返金規定(返戻金規定)」が設けられており、この規定を設けている人材紹介会社から紹介を受けて採用した人材が早期退職などをすると、人材紹介手数料の返金を受けることができます。 

人材紹介手数料は採用の成功報酬として支払う手数料であり、入社して早々に退職されてしまってはサービスを利用した会社側にとっては大きな損失です。 

そのため返金規定では、紹介手数料が返還される条件やその金額などが定められています。返戻される金額は会社によって異なり、退職までの期間によって返金割合が設定されるのが一般的なので、契約する際は必ず確認しましょう。 

<返金規定の例> 

入社後1か月以内の退職:80%を返金 

入社後1か月超、3か月以内の退職:50%を返金 

人材紹介会社にまつわるトラブルを防ぐためのポイント

自社の採用活動で人材紹介会社を利用する際には、紹介手数料の支払いなどでトラブルになることもあります。ここでは、人材紹介会社を利用する際のトラブルを防ぐための対処法を解説します。 

人材紹介会社と交わした契約内容をしっかりと把握する

人材紹介会社と契約をする際には、契約書の内容をしっかりと確認するようにします。さらに、手数料や返金規定などの項目については、少しでも疑問点があれば人材紹介会社の担当者に質問をし、懸念を解消しておきましょう。 

また、紹介手数料については手数料の算出方法や支払い期日など、くまなく把握しておき、特に返金規定は返金料率や返金されるタイミング、返金が適用される条件を明確にしておきましょう。 

求人内容が最新のものであるか確認を行う

求職者の誤解を招かないためにも、人材紹介会社が保有している求人内容が最新のものに更新されているか確認しましょう。 

人材紹介会社は企業側の希望に沿って求人を掲載した上で、候補者を選んで紹介します。しかし、求人内容が最新のものでなければミスマッチが生じるのはもちろん、紹介手数料にも関わる理論年収が実情と異なり、手数料額でトラブルが起こる可能性があります。 

求職者との連絡は必ず人材紹介会社を経由する

人材紹介会社を利用して人材募集をすれば、担当する人材紹介会社が求人企業と求職者の間に仲立ちします。そのため、求職者に直接連絡をしてしまうと人材紹介会社との認識の齟齬が生じてトラブルになる可能性もあります。選考試験中の連絡はもちろん、採用通知や年収などの労働条件連絡など、求職者に伝えたいことがあれば人材紹介会社を通しましょう。 

近年はスカウトサービスにも注目が集まっている

スカウトサービスは、求人企業がスカウトサービスの運営会社のデータベースを利用し、人材を自ら探し出して直接アプローチする採用手法で、近年注目が集まっています。 

人材紹介会社は、候補者の初期選定から一任するため、必ずしも希望に合う人材を紹介してもらえるとは限りません。また、選考試験の調整などの連絡も人材紹介会社を介するため、求職者とのスムーズなやり取りがしにくいというデメリットがあります。 

一方、スカウトサービスならば、候補者の初期選定も自社でできるのはもちろん、選考試験から内定・入社までの手続き連絡まで求職者と直接行うことができます。ただし選考フローを自社で担う分、人事負担や選定コストがかかりやすい面もあるため注意が必要です。 

スカウトサービスの料金形態

スカウトサービスの利用料金は、一定の金額を毎月支払う月額制とスカウトメールなどの送信を行った回数に応じて料金が変わる従量課金制の2つがあります。 

また、利用に際して初期費用やシステム利用料が必要になることもあり、自社が採用活動にかけられる予算や目的によって適切なサービスを選ぶことが大切です。 

人材紹介会社とスカウトサービスの違いと併用のコツ

人材紹介会社とスカウトサービスにはそれぞれ特徴が異なります。ここでは、2つのサービスの違いと併用のコツについて紹介します。 

サービス内容

人材紹介会社は、自社が求める人物像とマッチする人材の紹介とともに、求職者との連絡も代行することが一般的で、自社の採用担当者の負担を軽減することができます。 

一方スカウトサービスは、スカウトサービスを運営会社が保有する人材のデータベースを利用し、企業自身で自社が求める人材を選定し、候補者にスカウトメールなどを送ることで直接アプローチをします。 

求職者とのやり取りなどは基本的に自社で行うことになるため、社内工数は増える傾向にありますが、自社が求める人材のみ選考試験を進めることができるので、ミスマッチを防げることに加えて、採用への熱意を直に伝えられるという大きなメリットがあります。 

採用スピード

人材紹介会社とスカウトサービスのどちらも、自社の採用担当者の手間を考慮しなければ、候補者の選定にかかる時間に大きな差はありません。 

ただし、スカウトサービスは人材紹介会社を挟まずにほとんどの業務を自社で行うので、選考試験のフェーズに入ると人材紹介会社よりも採用スピードは早くなる傾向にあります。 

併用のコツ

人材紹介会社はシステム使用料などが無料で、成功報酬のみが30〜40%かかるのが一般的です。それに対して、スカウトサービスは初期費用やシステム使用料がかかりますが、成功報酬は20〜25%など人材紹介会社より比較的低めに設定されている場合が多いようです。 

そのため、同じ理論年収ならば採用者数が増えるほど人材紹介会社のコストが高くなるため、採用人数に応じて事前にコストを計算することが大切です。 

例えば、年収800万円の人材を5名採用することを目指すとします。5名全員を人材紹介会社(料率35%)で採用すると「280万円×5=1,400万円」ですが、スカウトサービス(料率25%+初期費用等)で採用すると「(200万円×5=1,000万円+初期費用等」です。 

人材紹介会社のみで、ハイクラス人材を大量人数採用したり継続的に採用したりする場合などは、採用コストが高くなる可能性があるため、スカウトサービスも併用するとコストを抑えることができるかもしれません。 

人材紹介会社とスカウトサービスを活用して人材採用を成功させよう

人材紹介会社は、一般的にハイクラス人材を複数人採用する場合などに採用コストが高くなる可能性があるため、スカウトサービスを併用することで、コストを抑えられる可能性があります。 

リクルートダイレクトスカウトは、初期費用無料のスカウトサービスです。豊富なデータベースから候補者にアプローチもできるので、利用をご検討ください。 

この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

リクルートダイレクトスカウトをご利用いただくと、日々の時間をかけなくても候補者を確保できたり、独自のデータベースから他では出会えない即戦力人材を採用できる可能性が高まります。初期費用も無料ですので、ぜひご検討ください。