求人 来ない

「求人を出しているのに応募が来ない」――その原因は多岐にわたります。まずはなぜ応募が来ないのかを分析し、適切な対策を行いましょう。求人に応募が来ない原因、応募を増やす方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。 

求人に応募が来ない原因とは

求人を出しても応募が来ない原因として、よく見られるのは次のパターンです。

求人内容が不十分 

求人広告や採用サイトなどで発信している求人情報の内容が不十分で、求職者に自社の魅力が伝わっていない可能性があります。業務内容や労働条件が不明瞭で分かりにくいほか、ターゲット人材から見てその仕事や職場に魅力を感じられない内容となっているケースです。 

他社と比べて待遇が悪い

求職者は、給与・休日休暇・福利厚生など、さまざまな観点で求人情報をチェックしています。他社の同職種・同ポジションよりも待遇面で劣っている場合、比較されて他社が選ばれているのかもしれません。

近年は中途採用の難易度が上がっているため、中途採用の成功を目的としてテレワーク導入など、働き方の柔軟性向上の工夫をしたり、残業削減などの働き方改革を実施したりする企業が増えています(※1)。気がつかないうちに、待遇・条件面で他社より見劣りするようになっているのかもしれません。

中途採用の成功を目的として行った取り組みについて

出典(※1):「企業人事の採用に関する調査」https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230926_hr_01.pdf

応募条件が厳しい 

応募条件を厳しく設定しているため、応募条件を満たす求職者の絶対数が少ないことも考えられます。また、興味を持った求職者がいたとしても、「自分のスキルや経験では難しいだろう」と考え、応募に至っていない可能性もあるでしょう。 

求人の露出が少ない 

募集していても求人の露出が少ないと求職者の目に留まりにくいといえます。応募者が集まっている企業は、求人メディアへの出稿のほか、自社の採用ページやSNSでの発信、転職イベントへの出展など、さまざまな手法を併用することで求職者に認知されています。 

採用手法がマッチしていない 

自社が採用ターゲットとしている層と採用手法がマッチしていないこともあります。採用手法は、求人メディアを通じた募集、転職エージェントへの紹介依頼、ダイレクトリクルーティング、採用イベントへの参加、リファラル採用など多様です。自社が求める人材と出会いやすい手法を選択できていないのかもしれません。 

応募を増やす方法 

より多くの応募者を集めるための方法をご紹介します。応募が来ない原因と自社の採用ターゲット層を踏まえ、適切な採用手法を活用してください。 

求人内容を見直す 

人材採用を希望している現場責任者に次の観点でヒアリングを行い、詳細を求人情報で伝えましょう。 

  • 担当する業務内容 
  • 期待する役割 
  • 仕事の流れ、進め方 
  • 活かせる経験・スキル
  • 身に付くスキル 

職場や働く様子がイメージできるような画像や動画などを掲載するのも有効です。 

また、転職エージェントに相談し、自社が求めるターゲット層が企業選びでどのようなポイントを重視しているのかを聞いてみるのもいいでしょう。魅力と感じられる要素が自社にあれば、それを積極的にアピールしてください。アピール材料となり得るポイントの一例をご紹介します。 

  • 会社・事業の成長率 
  • 商品・サービスの業界シェア 
  • プロダクトの先進性 
  • 裁量権の大きさ 
  • 昇進スピード 
  • 人事評価制度 
  • キャリアパスの多様性 
  • 一緒に働く上司や同僚の経歴 
  • 副業OK
  • リモートワーク・フレックスタイム制など柔軟な働き方の制度 
  • 育児と仕事の両立支援

応募条件を見直す 

応募条件に多くの項目を盛り込み過ぎていないかを見直し、「必須」「あれば尚可」に分けて整理しましょう。現場責任者とも協議し、「この経験は必須だが、この経験については他のメンバーがフォローできる」「このスキルはすぐに必要だが、このスキルについては入社後に学んで身に付けてもOK」など、本当に必要な経験・スキルを確認します。求職者からの応募が来ないと、選考は始まりません。応募条件を設定し直すことで、より多くの人が応募しやすいようにしましょう。 

応募ルートを増やす  

求人広告の出稿先を増やし、より多くの求職者の目に触れるようにします。 

求人メディアには、さまざまな業界・職種の求人を掲載する「総合型」と、特定の業界・職種の求人を掲載する「特化型」があります。多様なメディアがあるため、自社のターゲット層が多く利用するメディアを選ぶことが重要です。紙のメディアとして、駅やコンビニなどに置かれている無料のフリーペーパーや新聞の折り込み広告などもあります。地域に特化しているメディアの場合は、その地域に住む求職者にアプローチできるでしょう。 

また、転職エージェントにも「総合型」と「特化型」があります。求人メディアを使わず、転職エージェントに相談して求人紹介を受ける形で転職活動を進める求職者も多いため、複数の転職エージェントに依頼する方法もあります。 

このほか、「リファラル採用」の仕組みを導入し、自社社員から友人・知人に声をかけてもらうのも一つの手です。 

採用ページやSNSなどのダイレクトリクルーティングを活用する 

求人メディアに出稿する場合、広告のフォーマットが決まっていたりスペースに制限があったりと、求職者に伝えたい情報を十分に盛り込めない可能性があります。そこで、「ダイレクトリクルーティング」と呼ばれる手法の活用が効果的です。例えば自社で採用サイト(採用ホームページ/採用オウンドメディア)やSNSを運営し、詳細な情報を伝えるという方法が挙げられます。 

企業理念や事業内容、商品・サービスのラインナップなどはコーポレートサイトでも伝わりますが、採用サイトでは「仕事内容」「職場環境」「働きか方」「人事評価制度」「キャリパス」など、求職者が求めている情報を掲載します。求人情報を見て興味を持った求職者が採用サイトを訪れ、自社への理解を深めることで応募につながる確率が高まることもあります。 

また、SNSではメンバーや社内イベント、日々の取り組みなどを発信することで、社風や従業員の魅力を感じ取ってもらうことができるでしょう。 

先にご紹介した「企業人事の採用に関する調査」でも、2022年度に力を入れた採用手法を聞いたところ、「求人広告」「人材紹介」は引き続き割合が高い一方、「ダイレクトリクルーティング」の割合が26.4%に上り、約4社に1 社が注力している状況が明らかとなりました。ほか、「リファラル採用」や「ソーシャルリクルーティング」も約5 社に1社が力を入れています。 

時間や工数がかかる手法ですが、中途採用の難易度が上がっているなか、採用ターゲットに応じて採用手法を変えていこうとする企業が増えているようです。 

2021度に比べて、2022年度特に力を入れた採用手法について

スカウトサービスを取り入れる 

ダイレクトリクルーティングの一環として、求人広告を出稿して応募を待つ、転職エージェントからの紹介を待つといった「待ち」の採用手法ではなく、自社から積極的に人材にアプローチをするスカウトサービスを取り入れる方法もあります。 

スカウトサービスは、スカウトサービスに登録している求職者のプロフィールを閲覧し、自社が求める経験・スキルを持つ人に直接アプローチすることができます。登録者には「積極的に転職活動をしているわけではないが、いい企業があれば転職を検討する」という人も多く、こうした「転職潜在層」に対しては「カジュアル面談」を行うことで自社に興味を持ってもらうと効果的です。 

リクルートダイレクトスカウトをご利用いただくと、日々の時間をかけなくても候補者を確保できたり、独自のデータベースから他では出会えない即戦力人材を採用できる可能性が高まります。初期費用も無料ですので、ぜひご検討ください。
この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。