採用 スクリーニング

効率的に採用活動を行うためには、スクリーニングもひとつの有効な手段になります。この記事では、人材採用においてスクリーニングを行うメリットや注意点、代表的な方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

採用活動における「スクリーニング」とは?

「スクリーニング」という言葉は、「条件に合うものを選び出す」という意味を持ちます。一般的には、採用活動におけるスクリーニングは「複数の応募者の中から自社が求める人材要件を一定水準以上満たしている人」を選び出すことを指します。
主に応募者が多数の場合、面接の前段階でスクリーニングを行うことで採用効率化につながることから、スクリーニングを取り入れる企業が多いようです。書類選考と同義に使われることもしばしばあるようです。

「スクリーニング」と「採用基準」との違い

採用基準とは、例えば「営業経験3年以上」「○○に関する業務知識が豊富」など、企業や募集職種に必要とされる経験やスキル、知識、素養などのこと。
一方スクリーニングとは、一般的にその採用基準を参考にしながら、多数の応募者の中から次の選考に進んでもらう人を選び出すという意味で使われます。特に、応募者が多い場合に、面接可能な人数まで絞り込むことを目的に、募集職種に必要不可欠な最低限の基準をもとに行われることが多いようです。

採用活動でスクリーニングを行うメリット

採用活動にスクリーニングを取り入れるメリットをご紹介します。

採用活動における時間やコストの削減

応募者の中には、自社の採用基準との乖離が大きい人もいるでしょう。スクリーニングをすることで、自社の採用基準にある程度合致する人に絞って面接を実施することができ、面接に割く時間や日程調整にかかる時間、面接担当者の負担を軽減できるうえ、面接会場確保のための費用なども減らすことができます。

面接の精度向上

スクリーニングにより面接に来てもらう人の数を絞ることで、面接で応募者1人当たりにかけられる時間を増やすことができます。これにより、応募書類の中で確認しておきたいことを深掘りできたり、より深く本質的なコミュニケーションが取れたりするなど、面接の精度が向上し充実したものになると期待できます。

応募者の納得感の向上

スクリーニングにより、自社や募集職種にある程度マッチした人材が面接に来ることになります。そのため多くの企業は「できるだけ自社を理解してもらい、自社への入社を検討してほしい」と考え、面接時により深くコミュニケーションを取ったり、応募者が求める情報を提供したりしようとするケースが多いようです。
その結果、応募者からの自社の印象が良くなり入社意欲が高まったり、不採用になったとしても「応募者としっかり向き合い、情報を開示してくれるいい企業だった」という印象を残せたりする可能性があります。

採用活動でスクリーニングを行うデメリット

一方、スクリーニングを行うことで以下のようなデメリットが生じる可能性もあります。

主観が入ってしまう可能性がある

担当者の主観や偏見、経験則、感情などが入り過ぎてしまい、適切なスクリーニングができなくなる可能性があります。たとえば「このようなタイプはうちに合わないから」などと、担当者が悪気なく独自のふるい分け基準を設けてしまうケースもあるようです。
スクリーニングする中で「このポイントだけは譲れない」という項目を決めておく、スクリーニングの際に主観が入り込んでいないか客観的に振り返ってみる、上司や現場社員とWチェックする、などといった対策が必要です。

優秀な人を見落としてしまう可能性がある

スクリーニングは、多数の応募者から面接に来てもらう人を選び出すことが目的であるため、業界・職種経験の有無や経験年数、資格の有無、転職回数など主に応募書類などの経歴から判断できる情報で線引きし、選び出すケースが大半です。
そのため、例えば「営業スキルは高いものの業界経験はない」「高い実績を収めているけれど求める経験年数に少し足りない」などといった、実はポテンシャルが高い人材を見落としてしまう恐れがあります。

基準を完全に満たす人だけを選び出すのではなく、ある程度を満たしていれば後は面接で判断するなど、スクリーニングに頼り過ぎず、臨機応変に対応する姿勢が大切です。

主なスクリーニングの方法とは?

代表的なスクリーニング方法をご紹介します。

応募書類(履歴書・職務経歴書など)

応募時に履歴書や職務経歴書などの書類提出を求め、その内容をもとに自社が求める人材に合致していそうかどうかを判断する方法。以前から多くの企業で用いられている一般的なスクリーニング方法です。
応募書類に記載されている職務経歴や経験、実績などのほか、文章作成能力や論理的に伝える力なども読み取ることが可能です。

適性検査

適性検査や筆記試験も、多くの企業でスクリーニングに利用されています。性格適性と基礎学力を見る検査や心理検査などが広く使われています。専門知識の有無や深さを筆記試験で確認するケースもあります。
注意したいのは、適性検査や筆記試験が高得点だからといって、自社の求める人材に合うとは限らないということ。どの程度の学力を満たしていてほしいのか、どのような強みを持つ人材に来てほしいのかといった視点で、スクリーニングの基準を設けることが必要です。応募書類など、他のスクリーニング手法と併せて行うのも一つの方法です。

転職エージェントの活用

人材採用において転職エージェントを活用している場合は、スクリーニング段階からサポートしてもらう方法があります。
自社で決めたスクリーニングの基準をもとに、転職エージェントにスクリーニングしてもらえば、担当者の主観が入らずフラットなスクリーニングが可能になります。スクリーニングの工程を任せることで効率化も図れるでしょう。

また、スクリーニング基準の設定自体を転職エージェントとともに行う方法もあります。自社で設定しているスクリーニング基準が高すぎる、もしくは緩すぎるというケースは少なくありません。採用のプロである転職エージェントに客観的な視点でチェックしてもらうことで、より現実に即した基準にブラッシュアップすることができ、スクリーニングの精度も上がるでしょう。

スクリーニングを行う上での注意点

スクリーニングを行う際には、下記のようないくつかの注意点があります。

客観的な視点を意識する

前述のように、スクリーニングの際には多かれ少なかれ、どうしても主観が入り込んでしまうものです。自社に合った人を選ぶためにも、「主観や感情で選んでいないか?」と常に振り返る姿勢が重要。そして上司や同僚、採用部署の責任者や現場社員など、複数の人の視点を取り入れ、客観的に判断することが大切です。

スクリーニング結果を信頼し過ぎない

スクリーニングはあくまで、多数の応募者から面接する人を選び出すためのものです。一方で採用基準は、自社や業務に必要な経験やスキルなどの人材要件を保有しているかどうかを判断するものです。

したがって、スクリーニングでは高評価だったからといって、自社の採用基準を高水準でクリアしているとは言い切れません。スクリーニングに頼り過ぎず、面接の場で改めて採用基準に沿った人材かどうか、自社の事業戦略や人材戦略、社風や文化にマッチしているかどうか確認することが重要です。

応募者の「良い点」を見るよう心掛ける

「多くの応募者から選び出す」という特性上、「○○の経験がない」「△△を満たしていない」など減点評価でスクリーニングを行っている企業が多いようです。ただ、スクリーニングが厳しすぎると、次の選考に進んでもらう応募者の絶対数を確保できず、少ない人材から採用者を選んだ結果ミスマッチが起きてしまうケースもあるようです。

厳しいスクリーニングの結果、選ばれなかった応募者の中には、キラリと光るものを持っている人もいるかもしれません。減点評価ではなく加点評価で応募者の良い点に注目し、場合によってはスクリーニングの基準を満たしていなくても面接に進めることを検討しましょう。その際、「○○の観点ではスクリーニングの基準を満たしてはいませんが、こういう点を評価して面接に来てもらいました」など、面接担当者に補足情報を伝えておくといいでしょう。

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この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。