採用 計画

中途採用を成功させるためには、経営戦略や事業計画を採用計画にしっかりと落とし込んだ上で採用活動を進めることが大切です。採用計画に必要な要素・理由、計画の立て方、計画達成のポイント、計画の振り返りのポイントについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

採用計画とは

採用計画とは、事業戦略を遂行するために必要な人材要件を明らかにし、その人材を採用するために具体的な方法・スケジュールに落とし込んでいくことです。

採用計画に必要な要素

採用計画を立てるにあたっては、以下の要素を検討し、方針を決定する必要があります。

●どの部署で必要なのか

今後の事業戦略や組織体制整備を踏まえ、どの部署で人員が不足しているのか。

●なぜ採用が必要なのか

「欠員補充」「増員」「まだ組織にいない職種・ポジションの迎え入れ」など、採用を必要とする理由。

●どのような職種・ポジションの人材か

必要とする職種と、「メンバークラス」「リーダークラス」「マネジャークラス」などのポジション、あるいは雇用形態など。

●いつまでに何人採用したいのか

採用する人の入社時期と、そこから逆算して内定を出す時期。目標とする採用人数。

●採用予算と募集方法別のコストはどのくらいか

採用活動のために確保できる予算、求職者を募る募集方法とそれにかかるコスト。

●書類選考、面接や選考基準などの選考フロー

求職者の書類選考、面接(方法や回数など)、選考基準を満たす選考フローの策定など。

採用計画が必要な理由

生産年齢人口減少に伴い、人材採用の難易度は高まっています。そうした環境下では、行き当たりばったりで募集をしても応募・採用に至りにくいため、計画を立てて進める必要があります。計画がないまま採用活動を始めると、時間やコストをムダにしてしまうことにもなりかねません。

採用計画を立てる過程では、現状の人材課題を把握し、適切な目標を設定することができます。採用活動は人事部門と配属部門が連携して行いますが、両者間で人材課題や採用目標に対する認識がずれていると、うまく運ばず採用機会を逃してしまう可能性があります。計画段階で課題と目標を明確化すれば、人事部門と配属部門が共通認識を持って進めることができるでしょう。
人事部門と配属部門で連携して採用計画を立てていく過程で、さまざまなアイディアが出たり議論が活発化したりすることもあるため、採用成功確率が高まる効果も期待できるでしょう。

採用計画の立て方を5ステップで紹介

ステップ1:経営方針や事業戦略など、採用の背景を理解する

最初に経営陣や事業責任者らと協議を行い、経営方針や事業戦略について理解を深めましょう。その実行のためにどのような人材が必要なのかを確認し、採用の方向性を明確化します。このとき、中途採用市場の動向や待遇の相場などを把握しておくことも重要です。
経営陣に対しては、採用活動にどのくらいの予算をかけられるかも確認しましょう。

ステップ2:必要な人材要件・人数を明確にする

求める人材とはどのような経験・スキル・素養を持つ人なのかを検討し、要件を明確化します。人材要件があいまいなまま採用活動を開始すると、「求める人からの応募がない」「選考で注目するポイントが複数の担当者間で異なってしまう」「ミスマッチによる選考・内定辞退や入社後の早期離職が起きる」といった事態につながることがあります。

なお、人材要件の設定の際には、「経験・スキル」だけでなく「自社の風土・カルチャーへのフィット」という観点でも、具体的に設定しておきましょう。

人材要件を適切に設定するためには、配属部署の責任者にもヒアリングが必要です。採用したい人物像を具体的にイメージし、必要な人数も設定します。例えば、「○○と△△の経験を併せ持つ人を1人」なのか「○○の経験者+△△の経験者の計2人」なのかといったポイントも、採用難易度と照らし合わせて検討しましょう。

ステップ3:雇用形態を決める

求める人材像に応じて、雇用形態を決めます。場合によっては、正社員採用に加えて、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、あるいは業務委託・アウトソーシングなど多様な雇用形態も視野に入れることで、求める経験やスキルを持つ人材を採用しやすくなる場合があります。

ステップ4:採用手法を検討する

昨今、採用手法は多様化しています。求める人材像に応じて、予算の範囲内でその人にアプローチしやすい採用手法を検討します。

採用手法には次のようなものがあります。

  • 人材紹介
  • ヘッドハンティング
  • 紹介予定派遣
  • 転職サイト
  • 求人検索エンジン
  • スカウトサービス
  • 自社サイト
  • ソーシャルリクルーティング
  • リファラル採用
  • アルムナイ採用
  • ミートアップ
  • 転職イベント

また、採用人数に応じ、費用対効果の観点で最適な手法・媒体を選びましょう。例えば、未経験者も対象とする多人数の採用であれば、何人採用してもコストが変わらない「転職サイト」や「ソーシャルリクルーティング」、希少な経験・スキルを持つ1人を採用するなら「人材紹介」「ヘッドハンティング」「スカウトサービス」などが候補となるでしょう。

ステップ5:採用スケジュールを立てる

採用スケジュールを立てる際、まずは在職中の応募者の場合、退職交渉や引き継ぎに要する期間があるため、内定を出してから入社するまでに最低1カ月半~2カ月程度かかると想定しておきましょう。重要なポジションにいる人物の場合、さらに期間を要することもあります。

人材要件に応じて、内定を出す目標時期を決め、そこから逆算して募集を開始します。募集開始から内定までの期間は、書類選考に要する期間や面接の回数・期間など、自社の事情に応じて算出します。

このとき、採用を行う部門の繁忙期や、面接担当者が面接を行えるスケジュールなども確認しておいてください。現場になるべく負荷がかからないよう、選考スケジュールを立てることが重要です。

採用計画の成果を高めるポイント

採用計画の達成率を高めるために、意識しておきたいポイントをお伝えします。

経営層・現場と連携する

ビジネス環境の変化のスピードが速い昨今、経営戦略も現場の人材ニーズも日々変わっていくものです。採用担当者の独断で進めず、経営層や現場責任者とコミュニケーションをとりながら進めていきましょう。

特に採用活動が計画どおりに進まない場合、協力をあおぐ必要があります。経営層に中途採用市場の厳しさなどを伝えて採用予算を増やしてもらうのも一つの方法です。

現場責任者とは要件緩和について相談し、例えば「募集要件としている○○スキルについては、他のメンバーがフォローできるので必須要件から外す」などの対応をすることで、前に進みやすくなる可能性があるでしょう。

内定者が入社承諾を迷っている場合は、経営層や現場メンバーにカジュアル面談を行ってもらい、手厚くフォローするのも有効な手段の一つといえるでしょう。

競合をリサーチし、他社の採用活動を確認する

求める人材の採用に至らない場合、求職者が他社に魅力を感じ、自社が選ばれていないことも考えられます。そこで、他社がどのような採用活動を行っているかを知ることも大切です。

同業種・同規模の企業、同じ職種の募集を行っている企業の採用ページや転職サービスに載せている求人を見て、募集要件・勤務条件・待遇のほか、どのようなアピールをしているかを確認してみましょう。

転職エージェントに採用を実現している企業がどのような工夫をしているのかを聞いてみたり、自社の改善点についてアドバイスを受けたりするのも一つの手です。

過去の採用実績にとらわれず、現在の市況を把握する

過去の採用実績に基づいて計画を立てる際には、注意が必要です。1人あたりの採用にかかるコストなどは、売り手市場が加速している場合は過去よりも多めに見積もる必要があるかもしれません。

また、求職者の情報収集ルートが多様化している現在では、以前と同じ転職サービスの利用だけでは、応募数が集められなくなることも考えられます。例えばスカウトサービスやSNSなど、これまで着手していなかった採用手法を併用することを検討してみてもいいかもしれません。

なお、複数の採用手法を使う場合は、運用の負荷が増大する可能性があるため、採用担当部署の人員が足りているかどうかを確認するとよいでしょう。過去の採用活動や実績にとらわれず、現在の市況に合わせて、採用手法の選定も含め柔軟に採用計画を立てましょう。

ITツールの導入や外部サービスの活用も検討する

近年は、HRテック(HR Tech)が進化し、さまざまな採用支援ツールが登場しています。採用計画に合うITツールを導入することで、採用活動の効率化や採用業務に携わる人員削減につながる可能性があります。ツールが示すデータなどを活用すれば、採用計画の振り返り・分析がしやすくなるでしょう。

また、転職エージェントや採用コンサルタント、採用代行サービス(RPO)を活用する方法もあります。転職エージェントからは、求職者の動向や同業界・職種の状況などの情報も得られるため、採用時にアピールすべき自社の強みや特徴、ポイントをみつける参考になるかもしれません。

採用コンサルタントに上流の採用戦略策定から伴走してもらう、採用代行サービス(RPO)に実務の一部を任せることも可能です。外部サービスを活用して自社で不足するリソースを補うことも検討してみましょう。

自社のサイトやSNSでも求人情報を発信する

上に挙げたいずれの採用手法を使うにしても、興味を持った応募者は企業の公式サイトやSNSにもアクセスして、より詳しい情報を得ようとする可能性が高いでしょう。そこで、自社サイトや企業SNSでも求人に関する情報を掲載・発信するといいでしょう。

自社サイトや企業SNSであれば、情報の記載量も表現方法も自由であるため、自社の魅力を伝えやすいといえます。また、企業SNSでの発信内容を充実させれば、転職活動を積極的に行っていない潜在層の目にも留まりやすくなり、興味を持ってもらえる可能性があります。

進捗に合わせて採用スケジュールを調整する

採用活動の進捗状況に合わせ、計画を見直して調整しましょう。例えば、応募者が集まらない場合、求人を掲載している転職サービスがターゲット人材像に合っているかどうかを検討し、募集方法を変えるという方法があります。

また、応募があっても入社に至らない場合、応募者への対応や選考プロセスの見直しが必要かもしれません。採用ピッチ資料や動画コンテンツを充実させて情報提供を増やす、面接回数を減らし選考期間を短縮するなど、活動計画の見直しを図りましょう。

状況変化に応じて、柔軟に対応する

最初に立てた採用計画が予定通りに進まないこともあるものです。例えば、自社の人員リソースやノウハウ不足で採用活動の開始が遅れる、外部パートナーとの連携がうまく進まないといったことも起こりがちです。

また、採用活動を進めていくうちに、計画が達成困難なものだとわかることもあります。例えば、自社の採用ブランディングが十分ではなく、母集団形成ができない、求めているハイクラス人材を採用しようとすると予定していた採用予算では不足しているなどの事態が起こり得ます。

経営陣や配属部門などと情報共有・目線合わせをしながら採用計画を修正し、採用活動を仕切り直すこともときには必要です。

採用活動後の振り返りについて

採用活動を終えたら、以下の観点で計画を振り返りましょう。

求める人材を計画した人数採用できたか

当初求めていたとおりの人材を採用できているか、採用計画人数を満たしているかを確認します。そのうえで以下のポイントを分析しましょう。

採用の目的は適切だったか

例えば、中長期経営戦略に必要な人材と配属部門の人材ニーズに整合性があったかどうかは重要なポイントです。「配属部門の面接担当者は高く評価したが、経営陣との最終面接で採用を見送られた」というようなケースがあった場合、採用の目的を確認する必要があるでしょう。

募集方法は適切だったか

例えば、経営幹部候補となるハイクラス人材採用をしたいのに、若手からミドル人材に強みがある転職エージェントだけを利用した結果、求める人材に出会えなかった……というケースもあります。採用ターゲットとする人材と募集方法がマッチするかどうかを見直してみましょう。

求職者にアピールした内容は適切だったか

採用ターゲット人材が気にかけていること、重視していることについて、情報提供やアピールができていたかどうかを考えます。例えば、経営幹部候補となるハイクラス人材の採用で、「事業優位性」「経営戦略」「裁量権」「報酬制度」といったポイントのアピールが弱いと、魅力を感じてもらえず、応募につながっていない可能性があるでしょう。

選考方法は適切だったか

求める人材像によって、適切な選考方法は異なります。面接担当者や面接回数、質疑応答の内容が適切だったかを振り返ります。なお、ハイクラス人材を採用するならば、選考に入る前に「カジュアル面談」を実施するのも有効な手段の一つです。

採用活動のスケジュールは適切だったか

採用活動のスケジュールについては、特に選考に要する期間を見直しましょう。例えば、「「選考の進捗に時間がかかってしまったため、応募者が先に内定が出た他社に入社を決めてしまった」といったケースはよく見られます。配属部門の業務スケジュールなども踏まえ、スケジュールの最適化を図りましょう。

採用コストは適切だったか

採用者1人あたりにどの程度のコストがかかったかを検証します。別の採用手法を使っていれば、どの程度のコストだったかにも着目し、比較検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。