採用活動を始めるにあたっては、まず人材を「募集」し、採用候補者の母集団形成を図ります。人材サービスの多様化やSNSの拡大によって人材募集の方法が多様化するなか、自社の採用ターゲット層や予算・人的リソースに合う募集方法を選定することが重要です。13種類の募集方法の特徴、自社に合う募集方法を選定するポイントについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

人材募集を行うための13の方法

 人材募集の方法として、採用支援サービスを活用するほか、自社で独自に人材にアプローチする「ダイレクトリクルーティング」も広がっています。従来型の募集方法と新たな募集方法、計13種類をご紹介します。

1.ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワーク(公共職業安定所)は、国が運営する雇用サービス機関であり、企業は無料で求人を公開できます。各都道府県に設置されており、インターネットでの求人検索機能もあるため、全国での募集が可能。通常、求人情報の作成・入力は自社で行います。 

2.求人誌

求人誌に求人広告を掲載します。近年、紙の求人媒体は地域限定で展開する傾向があり、地元の人材を採用しやすいという点でメリットがあります。ただし、インターネットでの求人検索が一般的になっているため、求職者の目に留まりにくいというデメリットもあるでしょう。 

3.転職サイト

 転職サイトとは、求人を掲載できる無料・有料のインターネットサービスです。幅広い業種・職種の求人を掲載する「総合型転職サイト」と、「医療」「IT」「外資系」など特定の業界や領域に特化した人材募集に向く「特化型転職サイト」があります。 

転職を検討している多くの人の目に触れるため、応募者の「母集団形成がしやすい」メリットと言えるでしょう。

4.求人検索エンジン

「Indeed(インディード)」に代表される「求人検索エンジン」とは、求人情報に特化した検索エンジンです。求職者がキーワード(業種・職種・勤務地・希望条件など)を入力して検索すると、さまざまな求人サイトや企業の採用ページに掲載されている求人情報のなかから、キーワードに合致する求人情報が検索結果に表示される仕組みです。

自社の採用サイトを運営していれば、求職者の目に留まる可能性が高まります。ただし、多くの求人に埋もれてしまう可能性があるため、キーワードの工夫が必要です。有料枠を利用すると、検索結果に表示されやすくなるため、応募数の増加が期待できます。

5.人材紹介会社(転職エージェント)

厚生労働大臣の認可を受けて、職業紹介を行っている人材紹介会社(転職エージェント)に、自社が求める人材要件を伝え、マッチする人材を紹介してもらいます。人材紹介会社(転職エージェント)を利用すると、応募の一次スクリーニングの手間を省けること、また、競合他社などに自社の動きを知られたくない場合、「非公開求人」として募集を行える点にメリットがあります。

 多くの人材紹介会社(転職エージェント)は「成功報酬型」をとっており、採用が決まるまでサービス利用料はかかりません。ただし、採用に至った場合は紹介した人材の年収の一定割合が成功報酬となるため、職種や人数によってはコストが高くなる傾向にあります。 

6.ヘッドハンティング

ヘッドハンティング会社に自社が求める人材像を伝えると、「ヘッドハンター」と呼ばれる専門家がマッチする人材をサーチし、自社に代わってスカウトを行います。経営幹部や高度な専門職など、ハイクラス層向けの採用で使われるケースが多い手法です。

ヘッドハンターは独自の情報ルートを持ち、人材を発見する力に長けていますが、人材サーチや対象者との交渉に時間がかかることもあります。成功報酬に加えて「着手金」が必要となり、コストがかさむケースもあります。 

7.スカウトサービス

企業自らが、ほしい人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」の手法の一つです。
「スカウトサービス」に登録されている人材のデータベースから、企業が自社に合う人材を探して直接アプローチします。 サービスの運営元から、求める人材の条件設定や求人の作成などのサポートを受けられることもあります。

ただし、アプローチした相手が応じてくれるとは限りません。興味喚起するメール文面を作成するなど、応募意欲を促すための工夫が必要です。

リクルートダイレクトスカウトをご利用いただくと、日々の時間をかけなくても候補者を確保できたり、独自のデータベースから他では出会えない即戦力人材を採用できる可能性が高まります。初期費用も無料ですので、ぜひご検討ください。

8.自社の採用ホームページ

自社ホームページ内に「採用ページ」を設け、求人を公開します。転職サイトなどは、掲載できるボリューム・内容・表現方法(画像・動画など)に制限があるのに対し、自社ホームページであれば、自由に情報を発信できます。

採用ページの立ち上げにはコストがかかるものの、求人広告の出稿や転職エージェントへの成功報酬がかからない分、長期的には採用コストを抑えられます。ただし、知名度が低い企業の場合、求職者に「見つけてもらう」ことが難しく、応募者が集まらない可能性があります。 SNSと連動させたり、求人検索エンジンに登録したりするなど、アクセスを増やす工夫が必要です。

9.ソーシャルリクルーティング

SNSで自社の魅力を発信して応募者を集める方法で、ダイレクトリクルーティングの一つに分類されます。幅広い人材にアプローチでき、自社とマッチ度の高い人材をターゲットとした情報発信ができるのがメリットでしょう。低コストで優良人材の採用を実現できる可能性もあります。 

一方、SNSを使っていない人材へのアプローチが難しく、情報発信力はもちろん継続的な投稿が必要と言えるでしょう。

10.説明会/採用イベント

自社独自で会社説明会を開催するほか、人材サービス企業や自治体などが主催する合同説明会や「転職フェア」などのイベントに出展する方法があります。転職意思がある来場者への直接アプローチが可能ですが、イベントの準備や当日の対応など、自社の担当者の負担が大きくなるという一面もあります。

11.リファラル採用

自社社員に自身の友人・知人に声をかけてもらい、自社への応募を促すもので、ダイレクトリクルーティングの一種です。社員が「自社にマッチしている」と思う人を選ぶこと、対象者が友人から会社の話を聞いて理解して応募することから、入社後にミスマッチが生じにくい傾向にあるでしょう。 

ただし、大量採用は難しく、自社に興味を持ってもらうためのアプローチが必要になるため、採用に時間がかかる傾向があります。 

12.ミートアップ 

自社に中途入社希望者を招待し、社内見学や社員との交流によって、入社意欲を高めてもらいます。自社を見学してもらうことで興味を持ってもらいやすいメリットがありますが、「イベント」としての意味合いが強く、必ずしも応募につながるとは限りません。 

13.アルムナイ採用

自社から「卒業した人(アルムナイ)」、つまり退職者を再雇用する方法です。過去に自社で働いていた経験があるため、「即戦力」が期待できます。ただし、退職理由によっては再雇用することがそもそも難しいケースもあるほか、制度化するとなると、アルムナイとの継続的な関係構築に時間と手間を要します。

また、退職した社員が好条件で再雇用されると在籍社員のモチベーションに影響しかねないため、制度の周知や在籍社員のフォローなども必要となるでしょう。

自社に合った人材募集方法を選定するポイント

上記のとおりさまざまな人材募集方法がありますが、自社に合う方法を選ばなければ、効果を得られない可能性があります。適切な選定をするために、以下のポイントを押さえておきましょう。

自社の採用課題を整理する

採用課題によって、適切な募集方法は異なります。まずは自社の採用課題を整理・分析しましょう。以下に一例を挙げてみます。

  • 応募者の総数が少ない
  • 応募はあるが、自社が求める経験やスキルを備えた人材の応募が少ない
  • 選考途中の辞退、内定辞退が多い
  • 入社後、ミスマッチによる離職が多い
  • 採用業務に関われる人員が少ない

課題に応じて、例えば、「応募数が少ない」→「閲覧者が多い求人媒体を活用」、「求める人材の応募がない」→「人材紹介(転職エージェント)・スカウトサービス・ヘッドハンティングを活用」、「辞退やミスマッチが発生」→「より多面的・大量に情報を届けられる自社サイト・SNSを活用」といったように、どの方法が課題解決につながるかを判断しましょう。

採用ターゲットに合わせた人材募集方法を見極める

採用課題に加え、採用ターゲット層に合う募集方法を選ぶことも大切です。このとき、採用コストの観点でも検討しましょう。

例えば、未経験者や経験年数が短いターゲットを複数~大量採用する場合は、多くの求職者の目に留まる「転職サイト」を用いることで、1人あたりの採用コストを抑えやすくなります。SNSの利用が活発な層を狙うなら、SNSの活用も効果が期待できます。

一方、高度な専門性やマネジメントスキルを持つ人材を採用ターゲットとする場合、転職エージェントやスカウトサービスを利用した方が、マッチする人材を絞り込みやすくなります。複数のポジションを採用する場合、1つの募集方法だけでなく、複数の方法を併行して活用するといいでしょう。

採用体制を検討する

自社の採用体制を踏まえ、人員を確保できる募集方法を検討しましょう。
例えば、自社採用ページやSNSを活用する場合、継続して運用する人員が必要となります。一方、「人材紹介(転職エージェント)」や「ヘッドハンティング」などは、人材サーチ、候補者へのアプローチ、面接設定などを委託できるため、採用担当者の工数を抑えられるでしょう。

最適な人材募集方法を選ぶため、「競合調査」「強みの明確化」を

「自社に合う募集方法の判断がつかない」「今より有効な募集方法を検討したい」という場合、競合他社がどのような方法で募集を行っているかを調べてみるといいでしょう。活用している手法やサービスのほか、求職者に対してどのようなポイントをアピールしているかにも注目してください。他社の訴求と照らし合わせ、自社が競合と差別化できる強みや魅力を明らかにしましょう。

「転職潜在層」にもアプローチ可能な「リクルートダイレクトスカウト」

リクルートダイレクトスカウトは「スカウトサービス」に該当します。応募を「待つ」のではなく、求める人材に自ら直接アプローチする「攻め」の募集活動が可能な手法です。

転職サイトの閲覧者、転職エージェントの登録者は比較的転職意思が明確な人が多いのに対し、「すぐに転職する気はない」という「転職潜在層」にもアプローチできるメリットがあります。募集手法の一つとしてご検討ください。

リクルートダイレクトスカウトをご利用いただくと、日々の時間をかけなくても候補者を確保できたり、独自のデータベースから他では出会えない即戦力人材を採用できる可能性が高まります。初期費用も無料ですので、ぜひご検討ください。
この記事の監修者

粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。