総合電機・半導体・電子部品業界の2023年転職市場の求⼈・求職者の動きを、業界に精通した株式会社リクルートの人材領域で活躍するキャリアアドバイザーがレポートします。「2023年の転職市場や業界トレンドを知りたい」「納得感のある転職活動のために、採用動向を知っておきたい」という方はぜひご一読ください。
総合電機・半導体・電子部品業界の2023年転職市場の展望を一言でいうと
企業によって状況は異なるが総じて活況。大量採用のための採用体制の再構築が急務。
求職者は勤務地をはじめとした働く場所や時間の柔軟性を求める。
【電機・半導体・電子部品業界編】転職市場 最新トレンド|リクルートダイレクトスカウト ビジネストレンドビュー
1.【総合電機・半導体・電子部品業界】業界・企業側の動き
企業によっても事業ごとに状況が違うため一概には言えませんが、採用が活発な分野と今は落ち着いている分野がわかれています。業界としては、引き続き求人は伸びていくでしょう。
半導体業界ではパワー半導体分野を中心に堅調に求人が出ており、一定のボリュームの採用が続く見通しです。省エネ需要も相まってこの傾向は続くと思われます。車載系についても、半導体不足で生産ができていない状況にあるため引き続き強化されるでしょう。
円安の影響はネガティブな影響もポジティブな影響もありますが、業界全体としては落ち込んでいるというほどではありません。IT系エンジニアの採用ニーズも引き続き高く見られますが、一部の企業では充足傾向にあるなど採用が順調に進んでいます。
SDGsへの取り組みの中で、前年のレポートでも触れたように調達の最適化に着手する企業が増えており、IT人材やメンバークラスだけでなく、調達購買部門の責任者などの上位レイヤーの採用が出ていますが、採用の難易度が高くなかなか充足には至らない状況です。
また、人的資本経営の開示項目への対応から、改めてダイバーシティ経営に力を入れる企業が増えてきています。ただ、こうした高難易度な採用に加え、採用規模が年々大きくなる中、採用体制の整備が遅れている企業と、対応できている企業で差が出ていくように思われます。
具体的には、目標の採用人数に対して人事・採用に関わるメンバーの数が足りなかったり、現場の理解を得られていないままに進めていったりしてもうまくいかないため、経営者も含めて、今までにない採用を進めることを決めた場合は、人事・採用の体制もアップデートして進める企業も増えています。
2.【総合電機・半導体・電子部品業界】求職者側の動き
働く場所や時間の柔軟性を求める求職者が増えており、「製造業だから」という理由で柔軟性を欠いてしまうと他業界の企業と比較されてしまう状況です。また、特に最近は勤務地についての要望が増えている印象があり、転勤がないということに加え、勤務地固定の求人に応募が集まる傾向があります。地方では、県の中でも特定エリア固定の求人などにすると、UIターンも含めて応募が集まるというケースが見られます。
景気動向も変化が予想される中で、求職者も自社と比べながら情報収集や転職活動を行っています。求められるスキルも時代によって変わってくるため、いくら転職市場が活況であっても、求職者側も情報を基に次に何のスキルを身に付けると良いのか、その中で自分は何をしたいのかを整理していく必要があるでしょう。
<総合電機・半導体・電子部品業界の転職動向>
出所:リクルート『リクルートエージェント』転職決定者数の分析
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大橋裕介
東海エリアにて自動車業界を担当後、現在は首都圏の大手製造業を担当。自動運転、スマートファクトリーなどAI、IoTに関わる採用支援経験が強み。
松田 彩
新卒入社以来、一貫してリクルーティングアドバイザーとして自動車・派遣・化学などを中心に大手製造業における中途採用支援に従事。現在は、同業界における大手企業専任組織のマネジャーに従事。
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