「転職先の探し方」8つの方法と、応募先を選ぶポイントを解説

転職先を探す方法には、転職サイトや企業のホームページで探す、転職エージェントで紹介してもらう、SNSを活用するなどさまざまなものがあります。膨大な情報の中から自分に合った転職先に出会うためには、それらをどのように活用すれば良いのでしょうか。それぞれの転職先の探し方の特徴や、どのような人にお勧めなのか、また、集めた情報からどのように応募先を選んでいけばよいのかを、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏にうかがいました。

転職先の8つの探し方と利用のポイント

転職先を探すための主な方法としては、次の8つが挙げられます。それぞれの特徴と利用のポイント、どのような人にお勧めできるかをご紹介しますので、自分に合った手段を選ぶ参考にしてください。

1.転職サイト

WEBサイトに企業の求人広告が掲載され、求職者が自分で職種、勤務地などの希望条件に合った求人を検索して応募することができます。運営会社にもよりますが、若手の人材募集や、大人数の採用計画に基づく求人が比較的多く見られるようです。

【メリット・デメリット】

● 多くの求人の中から、好みの検索条件で自分に合った求人を自由に探し、直接応募することができる。いつでも自由に利用し、自分のペースで転職活動を進められる。
● 情報量が多いため、転職の軸が定まっていない人には求人を探すのが大変。企業への対応を全て自力で行うため、在職中の人や複数社に応募する人にとっては負担が大きい。求人選びや書類選考、面接対策が固定化しやすく、転職活動がうまくいかない時に修正がしづらい。

【利用する時の注意点】

求人件数が多いため、自身の希望に沿った求人にたどり着くまでに手間と時間がかかる。また、転職サイト内の求人情報だけで企業を判断することは難しいため、企業のホームページやSNSを見てみたり、友人知人に聞いたりするなど、複数の情報源を使って検討を。

【こんな人にお勧め】

転職の軸や、希望職種、業界、条件がある程度明確になっている人。自分のペースを守りながら自由に転職活動を進めたい人。

2.スカウトサービス

サイト上で希望条件を登録しておくと、企業の採用担当者や転職エージェントから、経験・スキルに合致したスカウトが、メールやサービス内のメッセージ機能などで受け取れます。扱う案件には、高年収帯を対象とした求人や、幹部候補、専門職などの求人も多く見られます。

【メリット・デメリット】

● 自分で求人を探す手間や時間が省ける。自力では探せない求人との出会いもあり、自分の市場価値が掴める。
● 例えば現職の企業がそのスカウトサービスで求人を出していた場合に、レジュメの閲覧を限定する機能を設定しないと、現職の企業に転職活動を知られてしまう可能性がある。

【利用する時の注意点】

メールには、掲載求人の告知や選考へのオファーも含まれ、スカウトを受けたとしても内定の確約ではない。定期的にログインしてレジュメの見直しや更新をしないと、スカウトが届かなくなる。

【こんな人にお勧め】

転職意欲は高いが、多忙であるなどの理由から効率的に転職活動をしたい人。自分の市場価値を確かめ、キャリアの選択肢をより広げたいと考えている人。転職自体を急いでおらず、自分に合う求人があれば転職したいと思っている人。

3.転職エージェント

民間が行う人材紹介サービス。転職支援のプロであるキャリアアドバイザーが求職者と面談した上で、経験・スキル、希望条件、キャリアプランなどを元に最適な求人を紹介し、企業との間に入って転職活動全般をサポートします。高年収帯を対象とした求人や、幹部候補、専門職などの求人も多く見られます。

【メリット・デメリット】

● 客観的視点でのアドバイスや、企業との調整、条件交渉など幅広いサポートを受けられる。選考での企業評価等のフィードバック情報を得ることもでき、転職活動を修正できる。ほかでは入手できない非公開求人の情報を得ることもできる。
● 担当者との相性が良くないと、希望条件への理解度が低かったり、紹介される求人が合わなかったりすることも。また、希望しても転職エージェント側の判断で応募できないなど、自分のペースで転職活動が進められないケースもある。

【利用する時の注意点】

運営会社や担当者によって求人情報の量や質に違いがあるため、自分との相性をよく見極めることが大切。担当者から勧められた案件でも、最終的な応募や入社の判断は自分でする。

【こんな人にお勧め】

多忙などの理由から、プロのサポートを受けて効率的・効果的に転職活動を進めたい人。転職活動が初めての人。転職も含めた中長期のキャリア構築について相談したい人。

4.ハローワーク(公共職業相談所)

国が所管する地域の総合的雇用サービス機関として、職業紹介、雇用保険、就職支援などを担います。企業が無料で求人を出せるため、企業規模や業種、職種、雇用形態も含めて非常に多種多様であり、かつ地域性が高いのも特徴。インターネットでも利用が可能です。

【メリット・デメリット】

● 全国約500カ所にあり、地域に密着した仕事を探しやすい。求人数が多く「マザーズハローワーク」や「わかものハローワーク」など、特化型の支援コーナーも設置し、幅広い層に手厚く対応している。
● いわゆる「都心の大手企業」の求人は少ない。求人票は各企業が作成しているため、情報が限定的で社風などが掴みにくいこともあり、選考を通じて情報を十分に見極める必要がある。

【利用する時の注意点】

求人票に社風や人事制度、労働条件等の情報が少ない場合や、面接回数も少ないケースがあるため、企業について積極的に情報収集し、自分とのマッチ度を慎重に見極めることが必要。

【こんな人にお勧め】

できるだけ多くの求人を見て幅広い選択肢から選びたい人。地域密着の企業を探したい人や、U・I・Jターンを検討している人。

5.友人・知人(縁故・リファラル)

仕事で培った人脈を利用して求人を紹介してもらう、親戚縁者が勤めている企業に口をきいてもらうといった方法で転職をする人も少なくありません。最近では、リファラル採用(自社社員による紹介制度)を取り入れる企業も増えつつあります。

【メリット・デメリット】

● 経験・スキル、人間性などを理解する友人・知人による紹介なので、自分にマッチしている可能性が高く、選考がスムーズに進むことも多い。内情などのリアルな情報が得やすく、転職を決断する際も検討がしやすい。その時点で募集をしていない職種への応募など、他経路では選考に進みづらい場合も、リファラルによってチャンスが生まれることがある。
● 知人から声を掛けられた1社のみに応募するなど、比較検討の機会が極端に少ない場合、転職理由やキャリアについて深く考えずに転職をしてしまうケースもある。紹介者の手前、選考途中で合わないと思っても辞退しづらい。「紹介による入社」という理由で、周囲の期待値の高さがプレッシャーになることも。

【利用する時の注意点】

「リファラル」や「知人・友人紹介」でも必ず内定するとは限らないので、NGになっても紹介者との関係性が悪くならないよう、事前に認識合わせを(辞退する場合も同様)。また、最終的に決断するのはあくまで自分。「誘われたから」ではなく「自分にとって必要だから」というスタンスで検討を。

【こんな人にお勧め】

転職サイトや転職エージェントなどで、マッチする求人になかなか出会えない人。人脈のある特定の企業に興味関心がある人。

6.企業のホームページ

特定業界や企業に興味関心がある場合に、情報源となるのが各企業のホームページです。
個別に検索する手間はありますが、時には転職サイトや転職エージェントで扱われていない独自の採用情報が見つかることもあります。また、企業によっては、ホームページから直接応募してきた求職者を「志望意欲が高い」と評価することもあります。

ただ、興味のある企業が募集をしているとは限らないため、企業のホームページから求人情報を探し出すのは非常に手間がかかります。転職サイトなどほかの方法と併用し、社風や仕事の様子を知るといった目的で利用することをお勧めします。

7.転職フェア

複数の企業が、合同で転職に特化した最新情報を提供するイベントで、展示場でのリアル開催のほか、ウェビナー(オンライン上で行うセミナー)形式のものもあります。求人の傾向としては、若手人材や通年での大規模採用が多いようです。同時に多くの企業を見ることができ、直接情報を得たり、その場で質問したりできるため、まずは色々な企業の情報を集めて検討したい人には有意義です。

ただ、人気企業では面談時間が限られていたり、プレゼン形式のみで質疑回答がなかったりなど、状況によっては期待する情報が得られないこともあります。参加する際は、事前に面談の予約をすると同時に「面談も選考の一環」と考えて、相手企業についてある程度調べておくことをお勧めします。

8.SNS

近年は、SNSを利用した転職も一つの選択肢です。例えば、ビジネス型SNSに職務経歴・スキル・資格・実績などのプロフィールを登録し、企業からのオファーメッセージを待つ方法があります。また、SNSのハッシュタグ機能を活用して、求職者が経験・スキルを売り込む投稿をしたり、企業の採用担当者が中途採用を告知したりするケースが多く見られます。

SNSを利用した転職では、カジュアルな面談から採用フローが始まる場合も多いため、求職者にとっては転職活動のハードルが低くなるメリットがあります。半面、企業側も気軽に採用活動が始められることから、実際は詳細な勤務条件が固まっていないこともありえます。内定が出てから条件を確認して「こんなはずでは…」と後悔することがないよう、事前に給与や賞与、勤務条件などはしっかり確認して進めることが大切です。

転職の選択肢を広げる応募企業の選び方

さまざまな方法で情報を見つけても、一つひとつの求人を漠然と検討するだけでは「ピンと来ない」「応募したい企業が見つからない」という状況になりがちです。数多くの求人の中から、自分の希望に合致し、応募したいと思える求人と出会うためには、どのような観点で比較検討していけば良いかをご紹介しましょう。

まず「転職の軸」を明確にする

求人情報を数多く見ても「自分に合うものがない」という場合、転職の軸や目的が明確でない可能性があります。そのため一件ごとに優先順位が変わり、判断基準がぐらついてしまっているのではないでしょうか。まずは「自分が転職に何を求めるか」を明確にしましょう。

転職の軸を可視化する簡単な方法の一つとして「人が企業に期待する項目」を次の4つに分けて整理するやり方があります。

● 目的への共感…企業理念に共感できたり、ビジョンにワクワクしたりする
● 活動内容の魅力…扱う商品が好き、仕事内容が魅力的
● 構成員への魅力…風通しが良い社風、優秀な社員が多い
● 特権への魅力…給与や福利厚生、勤務場所、評価制度、教育・研修制度の充実

  • まず自分の現在の仕事に、上の4項目それぞれの点数を付けてみましょう。合計点は何点になっても構いません。
  • 次に「転職で目指したい状態」として、現在の仕事の合計点を上の4項目に振り分けてみましょう。

転職先には「給与も、ビジョンも、社風も…」と、あらゆる面で理想を求めたくなりますが、すべての希望が叶う職場はそうそうありません。この作業をすると、現在の仕事を振り返った上で転職後に実現したいことが明確になり、自分の転職の軸を確認することができるでしょう。

求人を点数化して比較検討する

転職の軸がある程度明確になったら、一件ごとの求人を点数化してみることをお勧めします。まず、気になる求人を10〜15社ほどピックアップし「仕事内容」「社風」「将来性」「年収」「スキルアップできる」など、自分が注目する複数の項目で採点します。さらに現在の仕事にも同じ項目で点数を付け、それぞれの合計点を比較してみましょう。

そうすると、凹凸はあっても「総合的に見て」現職より評価の高い求人が可視化できます。それらの求人は、とりあえずの応募先候補と考えて良いでしょう。さらにその応募先候補を比較検討することで「自分は環境を一番重視していたのだな」「給料が良くてもこうした企業にはあまり魅力を感じないな」といった、本来の希望が明確になっていくはずです。

ただ応募前の採点は、現時点で把握できる二次情報・三次情報での判断であり、あくまで暫定的なもの。企業に面接に行ったり、社員に話を聞いたりすれば点数は変わる可能性があることも頭に入れておきましょう。

第三者のアドバイスや一次情報を取りに行く

求職者が自力で探せる求人情報は、要約された文字情報が中心となり、どうしても限定的な内容になりがちです。「より自分にマッチした転職先を探したい」「新たな可能性を広げたい」という人は、一人で解決しようとせず、転職活動のフィールドをさらに広げることをお勧めします。

例えばいくつかのスカウトサービスに登録して、自分の経歴や希望条件に合致している求人を集め、比較検討するのもいいでしょう。あるいは、複数の転職エージェントに相談してアドバイスや見立てを受けるのも有益です。知人を通じてリファラル採用の可能性を探ったり、転職フェアに参加したりすることで、自分から一次情報を取りに行くのもお勧めです。

転職活動を始めてみる

本来の自分の希望にマッチする転職先を探すには、転職活動を始めるのが一番の早道です。決して「転職活動」=「転職」ではないので「希望に合う企業が見つかれば転職し、なければもう少し探してみよう」と考えて、中長期で取り組むのも一つの方法です。

求人に応募して面接を受けた結果「希望と全然違っていた」と感じたとしても、その経験は今後の自分の判断基準となります。直接応募するのに慎重な人は、手始めに企業のカジュアル面談を受けるのも一つの方法です。実際に行動を起こす中で、転職市場の状況や、自分の現状・立ち位置を理解し、キャリアの可能性を発見できれば、転職する・しないに関わらず、納得度の高い選択ができることでしょう。

【アドバイザー】

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野 友樹(あわの ともき)氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

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