電通経理を徹底解析 〜「決算業務」を着実に行う、洗練された職務と真髄〜

リクルートダイレクトスカウトでは、株式会社電通コーポレートワンで経理部門を担う伊賀知子さん、三宅由記さんをお招きし、経理業務における「決算業務」を着実に行う秘訣をテーマにセミナーを開催しました。企業経営の財務状態を明示する重要な決算業務を、ミスなく対応するべく、どのように取り組んでいるのか語っていただきました。

登壇者

伊賀知子氏

大手総合電機メーカーに入社し、経理業務に従事。その後、公認会計士試験に合格し監査法人にて監査業務に従事。2010年に電通に転職し連結決算を担当、2016年から単体決算を担当。2023年に電通コーポレートワンに転籍。日本公認会計士協会東京会DE&I推進委員会副委員長。

三宅由記氏

公認会計士試験に合格し、監査法人にて監査・アドバイザリー業務に従事、近畿財務局にて証券監査に従事、一般事業会社にて連結決算業務に従事。現在は電通コーポレートワンにて経理業務・プロジェクト案件に関与。

電通経理イベント風景

「大企業の財務諸表を完成させる職人!わたしの職務経歴書」

伊賀:
まずは所属している、株式会社電通コーポレートワンについて説明します。電通コーポレートワンは、dentsu Japan(電通グループの日本リージョン)のコーポレートプラットフォームである株式会社電通コーポレートワンが設立されました。

18のオフィスに分かれており、8つの専門分野での業務を担当しています。我々はファイナンス部門で財務会計を担当しています。

私は新卒で総合電機メーカーに入社しました。大学で会計学を専攻していましたので、経理部門を希望し、最初は本社の経理に配属されていました。

入社3年目に自ら希望して関西の製作所の経理部門に転勤したのですが、激務で体を壊してしまい、退職しました。その後、会計士試験にチャレンジして合格し、監査法人に就職。約5年勤務した後、2010年に株式会社電通に転職。2023年1月に電通コーポレートワンの方に転籍しました。現在は株式会社電通の単体決算業務を担当しております。

電通では、当初は連結決算を担当していました。その後2013年に産育休を取りました。復帰後は1年間時短勤務も経験したのですが、海外のグループ会社とのやり取りは時差の関係で夜の時間帯の会議があることが負担になっていました。また、英語が非常に堪能である方が圧倒的に早く業務をこなせますが、自分にはそこまでの英語力がなく悩んでいました。

限られた時間内でいかに良いパフォーマンス出せるかを考えたときに、海外会社を相手にする連結よりは、国内メインの単体決算の方が自分には向いているなと思い、担当変更を希望し、2016年10月から単体決算を担当しています。その後、転籍したという形になります。

三宅:
私は3回の転職を経て、電通コーポレートワンに入社しました。

大学卒業後は、公認会計士の資格を取得し、監査法人に就職しました。最初は会計監査の業務を担当していたのですが、いろいろな業務を経験したいと思い、監査法人の中でアドバイザリー業務というコンサルティングに近い仕事をするようになりました。
いろいろな仕事はできるものの、業務量が非常に膨大で、業務に追われる日々を続けるのかどうか見つめ直し、監査法人を退職しました。その後、財務局で2年間の有期雇用という契約で、上場会社が提出する有価証券報告書の審査をする仕事をしておりました。

その2年間が過ぎた後に、監査法人では監査する立場、財務局では審査する立場を経験したので、次は作る方の立場をやってみたいなと思い、一般の事業会社に転職しました。
その会社では、連結決算をメインに担当し、部署を束ねながら、自分もプレーヤーとして手を動かすことも並行してやっていました。

しばらく経つと、新しい環境に出ていろいろチャレンジできる会社に行きたいと考えるようになり、電通コーポレートワンに転職することとなりました。

まだ転職2年目ということもあり、伊賀やチームメンバーにフォローしてもらったり、相談にのってもらったりしながら慣れてきた状況です。3回の転職を経て、いろんな立場の人のことを推し量って動くことを学んだと思っています。

完璧が求められる重圧と戦う!決算業務の実態と難しさ

続いては、多くの方が日々直面している決算業務の実態と難しさについて徹底的に深掘りしていきます。

伊賀:
決算業務には大きく分けて、単体決算業務と連結決算業務の2つがあります。単体決算業務は一つの会社の財務諸表を作り上げる仕事、連結決算業務はそれを取りまとめてグループ全体としての財務諸表を作り上げる仕事です。

上記スライドで、株式会社電通の決算数値に関する流れを簡単に示したのですが、日々の営業活動から出てくる経理業務、資金(財務)、管理会計であるFP&A、人事の給与計算、投資(M&A)、与信(審査)など、さまざまな部門から数字が上がってきます。

それらを取りまとめて、電通の財務諸表を作って、世の中に送り出すことが、私たちが担っている仕事になります。決算業務はできて当たり前とされているので、「できませんでした」「期日に間に合いませんでした」というのは、基本的には許されません。

何か起こったときは必要な情報をすぐ集めて、会計処理に落としこんで、監査法人とも交渉しながら、社内でも上長や役員にも報告を入れて対応する必要があります。そのため、日々のコミュニケーションは欠かせません。

また、どの部署の誰に影響するかという点を押さえておかないと、修正が入った場合さらに迷惑をかけてしまうため、そうした点にも気を配るようにしています。

電通経理イベント風景

二人の洗練されたスキル・マインドを探る!「決算業務」を極める真髄

続いては、ミスが許されない重圧と戦う中で、具体的にどういった取り組みを行うことで、この難しい決算業務を全うしているのか。私たちがキャリアの中で積み上げ身につけてきたスキルやマインドを語っていきます。

まず、決算業務に日々取り組む上で意識されていることや取り組みについて、それぞれ紹介します。

三宅:私は、常に欠かせないこととして、情報収集を日々行っています。仕入れた情報をどうするかも考えていかないといけないので、知識を常に吸収するであったり、その背景や理屈への理解力を高めたりしていくことを意識しています。ただ答えはどこにも書いてないことが多いので、持っている知識を応用して、答えに近づけていくようにしています。
会計のことだけわかれば、全てができるようになるわけではないので、会計以外にも会社の事業や様々な情報を吸収する努力を日々しています。

具体的にどうしているかというと、「聞き耳を立てる」です。いろいろなところでいろいろな話をされていることに、常に聞き耳を立てています。直接自分の仕事に関係なくても、会社で今こんなことが起こっている、世の中でどういうことが議論されているなどを、常に聞き耳を立てております。

伊賀:私は部長としての立場もありますので、なかなか時間がとれないことも多いのですが、メンバーたちと積極的に会話をするようにしています。入社したばかりメンバーは、会社の事業周辺知識がまだ身についていないですし、社内の情報をキャッチアップすることも難しいことがあるからです。私の方から「こういう記事出ていましたよね」「こういう研修ツール出ましたよね」といった話はするようにしています。

三宅:
先ほどミスをしないようにするのが前提という話をしましたが、具体的にどのような対処法をしているのかも紹介したいと思います。

例えば、Excelで何かを作った時に見落として間違えたというミスであれば、検証式を必ず入れるなどの基本的な対処は、組織として取り組むようにしています。

また、前回作った資料と見比べておかしいところがないか、ミスした箇所は今回は大丈夫かなどの視点を持つようにも伝えています。疑って見る目というのも必要だと思っています。

できたら終わりではなく、本当にこれでいいのかという目で、もう一度確認するというところはやっていかないと、会社は生きものなので、日々変わっていきます。それこそ聞き耳を立てるじゃないですけど、そこでアンテナ張っておくってことはすごく大切なことかなと思っています。

今までの自分のミス経験はもちろん、活かしていますね。「あーやっちゃった」というみんなに迷惑をかけてしまったというのは自分にも気持ちが残ります。ちゃんと次はミスをしないようにしようというのを心に決めて、日々改善して取り組むという姿勢を大事にするようにはしています。

あとは、誰でもミスすることはあるので、自分だけでチェックするのではなく、複数人でチェックをする体制にしています。誰かが作ったものを必ず別の人がチェックし、チェック後のものを外に出すという点を心がけています。

その中で言うと、これまでの私の職歴の中でいろんな立場を経験して、それぞれが持っている視点というのも理解をしているところがあるので、それぞれの立場で見たときに、私の作った数値がどうなのかというところを一歩引いて見ることができるというのが、強みになっているのかなと思っています。

それぞれの決算業務を取り巻くいろんな立場の人の姿勢というか視点を理解しているので、
自分なりに全体をうまく回せる数字の作り方を意識しています。これまでの経験が業務全体に繋がってそういう形になっていると思います。

リクルートダイレクトスカウトでは、さまざまなコンテンツを公開予定

2024年10月より、『リクルートダイレクトスカウト』は、キャリアの新たな選択を後押しするWebサイト「働くをひらくDAYS!」をオープンしました。順次さまざまなテーマのコンテンツを公開します。またリアルでも企業のエグゼクティブやロールモデルとなるトップランナーによるセミナーや、トップキャリアアドバイザーへ直接キャリア相談できる機会などを提供していきます。

「働くをひらくDAYS」のサイトはこちらから↓
https://career.directscout.recruit.co.jp/event

リクルートダイレクトスカウトは、リクルートが運営する会員制転職スカウトサービスです。リクルートの求職活動支援サービス共通の『レジュメ』を作成すると、企業や転職エージェントからあなたに合うスカウトを受け取ることができます。レジュメは経験やスキル、希望条件に関する質問に答えるだけで簡単に作成可能です。一度登録してみてはいかがでしょうか。