
「上司との相性が悪い」「同僚とのコミュニケーションがうまくいかない」「職場の雰囲気がギスギスしている」そのような状況が続くと、仕事そのものがつらく感じてしまうことがあるでしょう。
ストレスを感じて転職を考える方も多いですが、果たして転職すれば人間関係の悩みは解決するのか不安に思っている方もいるかもしれません。
この記事では、職場の人間関係で多い悩みや人間関係に疲れたときの対処法、転職することのメリットについて紹介します。
目次
退職理由の約3割は「職場の人間関係」

転職サイト「リクナビNEXT」の調査(※1)によると、退職理由として最も多いのは「職場の人間関係」でした。
具体的には、約3割の方が「人間関係が原因で仕事を辞めた」と回答しており、これは仕事内容や給与・労働条件を理由とする割合よりも高い傾向にあります。
- 1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
- 2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
- 3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
- 4位:給与が低かった(12%)
- 5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
出典(※1):リクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」
職場の人間関係がストレスになる要因はさまざまですが、特に多いのが「上司との折り合いが悪い」「同僚との価値観が合わない」「職場の雰囲気が悪い」といった問題です。
上司との関係がうまくいっていない場合、評価や仕事の進め方に影響をおよぼすこともあり、モチベーションの低下の原因にもなり得ます。
また、ギスギスした職場環境や陰口が飛び交う職場では、精神的な負担が増えるため、最終的に退職を選択する方も多いようです。
この調査結果からも、仕事へのモチベーションを上げ、長く働き続けるには、給与や仕事内容以上に「人間関係の良し悪し」が重要なポイントであることが分かります。
職場の人間関係で多い悩み

職場で発生しやすい人間関係のトラブルや悩みとしては、「上司との関係における課題」「同僚とのコミュニケーション不足による連携の課題」「部下の育成における苦労」「職場全体の雰囲気が悪い」などが挙げられます。
具体的に、どのような状況に陥りやすいのか、実際に悩みを抱えている方の声とともに紹介します。
上司との関係における課題
上司との関係は、職場の人間関係のなかでも特にストレスの原因になりやすいものです。
具体的には、以下のようなトラブル・悩みが多い傾向にあります。
- 上司の指示が曖昧
- 上司の指示が細かすぎる
- 上司が特定の人物だけをひいきする
- 上司から理不尽な要求を押し付けられる
- 上司と性格や価値観が合わない
- 上司からパワハラを受けている など
上司との対立が続くと仕事へのやる気を失い、最終的には退職を考えざるを得なくなるケースも少なくありません。
上司の指示がその時々で変わり、何を優先すれば良いのか分からず混乱することが多々ありました。指示も曖昧なため、自分なりに進めると「勝手なことをするな」と怒られ、細かく確認すると「いちいち聞くな」と苛立たれてしまい、結局、何をどうすれば正解なのか分からず、精神的に追い詰められました。
また、特定の部下だけをひいきする態度も露骨で、いくら頑張っても評価されないことに虚しさを感じました。仕事自体は好きだったのに、上司の存在がストレスになり、退職を決意しました。
(大阪府 30代 男性)
同僚とのコミュニケーション不足による課題
職場では、業務上の連携や情報共有が欠かせません。
しかし、些細な誤解や認識の違いが積み重なると、同僚との人間関係が悪化し、仕事の効率や職場の雰囲気にも悪影響をおよぼすことがあります。
- 業務の伝達が不十分で、誤解が生じやすい
- 連携の取り方が不明確で、ミスが発生しやすい
- 意見のすれ違いから、衝突や対立につながる
- コミュニケーション不足により、相手の意図を正しく理解できない
些細な行き違いが続くと、相手の意図を誤解しやすくなり、不信感につながることもあります。
情報共有がスムーズに行われないことで「自分だけ知らされていない」と感じたり、意見の違いが解決されないまま「自分の責任ではない」と放置されたりすることもあるようです。
私の職場では、チーム内のコミュニケーション不足が原因で、業務の分担がうまくいかないことが多々あります。例えば、誰がどの作業を担当するのかが曖昧なまま進められ、後になって「これは私の仕事ではない」と責任の押し付け合いになることもありました。
また、忙しい時期ほどお互いの意見を言いにくくなり、結果として小さなミスが大きな問題につながることもストレスになっています。何度か改善策を提案しましたが、なかなか浸透せず、働きづらさを感じています。
(大阪府 40代 女性)
部下の育成における苦労
管理職やリーダーの立場にある人にとって、部下との人間関係は大きな課題の一つです。
- 部下が自主的に動いてくれない
- 部下への指示がうまく伝わらない
- 部下に指示をしても反発される
- 部下に陰口を言われている など
部下との人間関係が悪化すると上司側の負担が大きくなり、精神的なストレスが増えることになります。意図した通りに動いてもらえなかったり、指示に対して反発されたりすることで、業務の効率が低下するケースは少なくありません。
また、部下が上司に対して遠慮しすぎて意見を言えなかったり、報告や相談が適切に行われなかったりすることで、チームの連携がうまく取れないこともあるでしょう。
部下がなかなか指示通りに動いてくれず、何度も同じ説明をしなければならないことがストレスです。業務に対する姿勢が消極的で、必要最低限の仕事しかしない部下が多く、チーム全体の士気が低いと感じています。
部下が指示を勝手に変えてしまったり、報告を怠ったりすることが頻繁に発生し、そのフォローに追われることもしばしばです。信頼関係を築こうと努力しましたが、結局、部下との距離感をつかめず、マネジメントの難しさに直面しています。
(東京都 40代 男性)
職場全体の雰囲気
職場全体の雰囲気が合わないと、日々の業務に支障をきたし、ストレスを感じることが多くなります。
- 自由な発言がしにくい
- 意見を言うと否定される
- ルールが厳しすぎる
- ルールがなさすぎる
- 上下関係が強すぎる など
上下関係が強すぎたり、上司や先輩に気に入られるかどうかで評価が決まったりするような職場では、公平性が損なわれ、頑張っても正当に評価されないと感じる社員が増えていきます。
また、職場のルールは厳格すぎても曖昧すぎても、雰囲気を悪くしてしまうようです。
このような状況が続くと、最終的には社員の定着率が低くなり、新卒・中途採用を繰り返す悪循環に陥ってしまいます。
プロジェクトの雰囲気が全体的に暗く、雑談などが話しにくい空気感だったため、基本的に静かに過ごすことが多かったです。日によっては1回も話さずに仕事をする日もありました。そのため、いざというときに相談しにくかったり、ミスをしたときに立ち直るまでに時間がかかってしまったりと、業務に支障が出やすい環境でした。特定の人物と対立していたわけではなかったのですが、全体的な空気感がストレスにつながっていました。(東京都 20代 女性)
【診断チャート】職場の人間関係に疲れたらどうするべき?

上司との対立や同僚との不和、職場全体の雰囲気が合わないなど、人間関係のストレスは働くうえで大きな問題となります。
しかし、そのストレスにどう向き合うべきかは、人それぞれ異なります。
「もう少し頑張るべきか」「環境改善の努力をするべきか」「それとも転職を考えるべきか」答えを見つけるのは簡単ではないでしょう。
そこで、職場の人間関係に疲れたとき、どう対処すれば良いかが分かる診断チャートを用意しました。
診断結果ごとに詳しいアドバイスも紹介しているので、自分の状況と照らし合わせながら、今後の行動を考えてみてください。

A:人間関係の問題を解決するために努力する
今の職場環境にある程度の魅力を感じており、かつ相談できる相手がいるなら、まずは人間関係の改善に向けて動いてみるのも良いかもしれません。
上司や同僚とのコミュニケーション方法を見直したり、必要に応じて社内外のカウンセリング機関や相談窓口を利用したりするなど、多角的に解決策を探ってみると良いでしょう。
小さな変化の積み重ねが、環境の改善、さらには業務の成果につながることもあります。
B:転職を考える(職場への不満が大きい)
職場環境に対する不満が大きく、人間関係の修復や改善のために行動する意欲を失っている場合は、新たな職場を探すことを視野に入れても良いかもしれません。
仕事の人間関係によるストレスは、長期的に心身への負担となります。
今の職場では自分らしく働くことが難しいと感じるなら、思い切って環境を変えることで、新しい人間関係や働き方を築けるチャンスを得られるでしょう。
C:転職を考える(ストレスで負荷がかかっている)
人間関係によるストレスが原因で健康を害するおそれがある場合、まずは自分の心身を最優先に考えましょう。
無理をせず、適切なサポートを受けながら転職を検討する方法もあります。
心療内科や産業医、カウンセラーなど、相談できる専門機関を活用して、現状を客観的に把握するのもおすすめです。
D:転職を考える(努力したが改善の見込みがない)
人間関係を改善しようと頑張ったうえで、「改善の見込みがない」と判断したなら、思い切って新しいスタートを切ることも、前向きな選択肢と言えるでしょう。
自分に合った職場環境が見つかれば、より良いチームや人間関係を築ける可能性が高まります。
E:今の職場でもう少し頑張ってみる
適度な距離を保ちながら、「もう少し頑張ってみよう」と思えたなら、現状維持を選ぶことも良いかもしれません。
焦って環境を変える前に、今の職場でできる範囲の対策を試してみると、意外な発見や改善があるかもしれません。
また、趣味やプライベートの時間をより充実させて、気分をリフレッシュするのも一つの方法です。
職場の人間関係を理由に転職するのはあり?

職場の人間関係に悩んで転職を考えるのは決して珍しいことではありません。
転職することで、これまでのストレスから解放され、新しい職場で人間関係をリセットできるのは大きなメリットです。
また、より自分に合った環境を選ぶことで、仕事のモチベーションが向上し、キャリアアップのチャンスを得られる可能性もあります。
働く環境が変わることで、これまでの経験を活かしながら新たなスキルを磨くこともできるでしょう。
しかし、一方で転職にはデメリットもあります。
新しい人間関係を一から築く必要があり、場合によっては前職よりもなじみにくい環境に直面することも考えられるでしょう。
さらに、転職活動には履歴書や面接対策、企業リサーチなどの時間と労力が必要になり、現在の仕事を続けながら準備を進めるのは簡単ではありません。
転職によるメリットとデメリットをしっかり比較し、より良い働き方を目指しましょう。
人間関係のストレスを理由に転職する人は多い!リクルートダイレクトスカウトを上手に活用しよう

転職市場は近年活発であり、スキルや経験の有無にかかわらず良い条件の職場を見つけるチャンスが増えています。
職場の人間関係がストレスの原因になり、改善の見込みがないなら、新しい環境で再スタートを切るのも選択肢の一つです。
転職で自身のスキルを活かしながら、より良い職場環境を求める方は転職サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
なかでもスカウト型の転職サービスであるリクルートダイレクトスカウトは、自分の市場価値を知りながら、好条件のオファーを待つことができるため、無理なく転職のチャンスを広げることができます。人間関係の悩みを解決し、より良い環境を目指すために、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
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