ライフステージの変化が仕事に与える影響は?キャリアへの不安を解消する方法

結婚や出産、転居、介護など、人生にはさまざまな転機があります。

ライフステージの変化は、私たちの生活を大きく変えるだけでなく、働き方やキャリアにも少なからず影響をおよぼすでしょう。

そのようなときに、「今の仕事を続けられるだろうか?」「転職したほうが良いのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ライフステージの変化によって生じる仕事の課題や家庭との両立の不安を整理し、自分に合った働き方を見つける方法を紹介します。

ライフステージに合わせてフレキシブルに働く時代

近年、働き方は大きく変化し、個々のライフステージに応じて柔軟に働ける環境や選択肢が整いつつあります。

例えば、結婚や出産、育児、介護といった人生の重要なイベントに直面しても、従来のようにキャリアを諦める人は少なくなりました。

テクノロジーの進化によりリモートワークが一般化し、在宅勤務、あるいは従来からあったフレックスタイム制や時短勤務に加えて、副業・兼業の解禁など、多様な働き方が選択できるようになっています。

また、企業側も働き方改革を進め、従業員が仕事とプライベートのバランスを取りやすい制度を導入する動きが広がっています。

育児・介護休業制度の充実やリモートワークの導入により、家庭と仕事を両立しやすい環境を整備する企業も増えているため、よりライフステージに合わせたキャリア形成を目指すことができるでしょう。

一方で、すべての企業が柔軟な働き方を認めているわけではなく、それらの制度がすべての方に適しているというわけでもありません。

重要なのは、自分のライフスタイルや価値観に合った働き方を選択し、無理なく継続できる環境を見つけることです。

働き方の選択肢が増えた今だからこそ、自分にとって最適な働き方を考え、フレキシブルに働ける仕事を選ぶことが必要になるでしょう。

ライフステージの変化で仕事にどのような影響があった?

結婚や出産、転居、介護など、ライフステージや生活の変化が仕事に与える影響は、思った以上に大きいものです。

続いては、実際にどのようなことが変わったか、仕事を続けるうえで困ったことや大変だったことについて、転職経験者のリアルな声を紹介します。

結婚による変化

社会人3年目で結婚。一人暮らしの頃に比べ、家事や買い物の負担が増え、結婚生活に慣れるまで時間がかかりました。仕事には大きな支障はなかったものの、朝の準備に時間がかかり、以前は始業30分前までに出勤していたのが、ギリギリになる日も増えました。夫とは働き方が異なり、夫はリモートワーク、私は出社勤務のため、家事の分担を見直しながら、ストレスを減らせるよう試行錯誤しています。

(東京都 20代 女性)

出産・育児による変化

出産後、職場復帰してからの仕事は本当に大変でした。子どもが1歳のときに復職しましたが、夜間の授乳で常に寝不足、さらに職場に共感してくれる人が少なく、精神的にも辛い状況でした。土日祝の保育環境が整っておらず、出勤が難しいと相談したものの、理解は得られず…。シフト勤務が厳しくなり、残業なし・暦通り休める職場への転職を考えるようになりました。育児と仕事の両立は想像以上に難しく、悩みは尽きません。

(埼玉県 30代 女性)

転居による変化

マイホームを購入し、引っ越したことで通勤時間が片道30分から1時間半に延びました。その影響で、仕事とプライベートのバランスが大きく崩れてしまいました。朝は早く家を出なければならず、残業して帰宅すると疲れ果て、何もする気が起きません。趣味の時間はもちろん、家事に手をかける余裕もなくなり、生活リズムが乱れたことで、精神的な負担も増していきました。また、職場の飲み会や急な残業にも対応しづらくなり、人間関係にも少なからず影響が出たと感じています。このまま続けるのは厳しいと判断し、転職を真剣に考えるようになりました。

(埼玉県 40代 男性)

介護による変化

親の介護が必要になり、仕事と介護の両立に悩むようになりました。急な体調不良で早退や休みを取ることが増え、職場に迷惑をかけていると感じることも多々あります。フルタイム勤務が厳しくなり、時短勤務や在宅勤務を検討しましたが、職場の制度が整っておらず、やむを得ず転職を決意しました。仕事を続けたい気持ちはあるものの、介護の負担が大きく、柔軟な働き方ができる環境を求めるようになりました。

(神奈川県 50代 女性)

ライフステージの変化を乗り越えるための具体的な対策

ライフステージの変化によって仕事と家庭のバランスが崩れそうになったとき、すぐに転職を考えるのではなく、まずは今の環境でできる対策を検討する方が多いようです。

ここでは、ライフステージの変化を乗り越えるための、具体的な方法を紹介します。

家庭内の役割分担を見直す

仕事と家庭の両立を実現するためには、パートナーとの協力が不可欠です。

家事や育児の役割分担を見直し、お互いに無理のない範囲で協力し合える環境をつくりましょう。

特に共働きの場合、よく話し合って家事の負担を減らす工夫を取り入れることが有効です。

小さな工夫を積み重ねることで、仕事との両立がしやすくなります。

フレックスタイム制を活用する

フレックスタイム制を導入している企業であれば、出勤や退勤時間を柔軟に調整することで、家庭とのバランスを取りやすくなります。

例えば、子どもの送迎に合わせて朝の勤務時間を遅らせたり、介護が必要な時間帯を避けて働いたりすることができます。

このように、フレックスタイム制は自身のライフスタイルに合わせて柔軟に働くことでワーク・ライフ・バランスを整えやすくなるでしょう。

テレワーク・在宅勤務・時短勤務を活用する

転居による通勤時間の延長や、育児・介護で家を空けにくくなった場合でも、テレワーク、在宅勤務や時短勤務なら、家庭と仕事の両立がしやすいです。

働く場所や時間を調整できれば、急な用事や家庭の事情にも対応しやすくなり、精神的な余裕も生まれやすくなります。

コロナ禍以前に比べると、テレワークや在宅勤務、時短勤務を導入する企業も増えているため、職場の制度を確認しましょう。

育児休業を取得する

育児と仕事の両立を考えるうえで、育児休業の取得は大きな選択肢の一つです。

厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、育児休業取得者の割合が増えており、企業側の支援体制も整いつつあります。

特に、男性の育児休業取得率は2020年以降大幅に向上し、育児に積極的に関わる風潮が広がっていることが分かります。

一方で、長期間の休業に対する不安や、職場復帰後のキャリアの継続性に悩む人も少なくありません。

育児休業は法律で定められた制度であり、一定の条件を満たせば誰でも取得可能です。育児休業給付金の制度を活用すれば、収入面での不安も軽減できます。

育児休業の取得を検討する際には、事前に職場の上司や人事と相談し、業務の引き継ぎや復職後の働き方について、あらかじめ確認することが重要です。

また、育児休業期間中にもスキルアップの時間を確保することで、仕事復帰後のスムーズなキャリア継続につながるでしょう。

介護休暇を取得する

介護休暇を活用することで、一時的に仕事から離れ、家族の介護に専念できるだけでなく、介護サービスの手続きや施設の調整など、今後の生活設計を整理する時間を確保することができます。

しかし、厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、令和3年4月から令和4年3月の間に従業員が介護休業を取得した事業所の割合は1.4%にとどまり、実際に介護休業を取得した労働者の割合も、全体の0.06%と低水準です。

男性の介護取得率は女性に比べてさらに低く(女性0.1%、男性0.04%)、家族の介護を担う際の負担が偏る現状が浮き彫りになりました。

このような状況を改善するため、令和7年4月1日施行「育児・介護休業法の改正」では、介護離職防止のための雇用環境整備が義務化されました。

介護休暇は「1日単位」や「時間単位」で取得できるため、フルタイム、長期の休業ではなく、柔軟に調整しながら介護と仕事を両立できるなど、従業員が介護休暇を取得しやすい環境を整える動きが加速しています。

職場の制度を事前によく確認し、適切なタイミングで活用することが大切です。

ライフステージの変化を強みにする!キャリアアドバイザーによるキャリア形成のコツ

ライフステージの変化をネガティブにとらえるのではなく、むしろチャンスととらえて強みに変えていく、といった柔軟な考え方も大切です。

ここからは、ライフイベントを乗り越えながら、無理なくキャリアを築くコツをキャリアアドバイザーの視点で紹介します。

完璧を求めすぎない

仕事と家庭の両立が難しいと感じたとき、どうしてもすべてを完璧にこなそうとしてしまいがちですが、その必要はありません。

ときには「頑張りすぎない選択」をすることも大切です。

例えば、テレワークや時短勤務を活用し、家庭に必要な時間を確保したうえで、無理のない範囲で仕事をするというのも選択肢の一つです。

また、家事や育児の一部を家族や外部サービスに頼り、自分の時間を確保するという方法もあります。

仕事と家庭の両立は、環境の変化に合わせて柔軟に調整していくことが大切です。

焦らずに少しずつ、自分らしい働き方を見つけていきましょう。

キャリア形成を見直す

現代では、ライフステージに大きな変化があっても、キャリアを諦める必要はありません。大切なのは、目の前の変化に振り回されるのではなく、長期的な視点を持つことです。

子育てや介護が落ち着いたタイミングでフルタイムに戻り、そこから改めてスタートを切り、将来的に管理職を目指すなど、自分なりのキャリアプランを考えてみましょう。

時間を有効に使って、将来に向けて今のうちにオンライン講座を受講したり、資格を取得したりすることで、未来の選択肢を広げることができます。

「今は思うように動けなくても、数年後のために準備をしている」という意識を持つことで、生活の変化に対する焦りや不安が和らぐはずです。

ライフステージに合った仕事を見つける

もし現在の職場で両立がどうしても難しいと感じるなら、思い切って今の自分に合った仕事を探してみるのも良いでしょう。

近年は、在宅勤務やフレックスタイム制度を導入する企業も増えており、育児や介護と両立しやすい職場を選ぶことが可能になっています。

転職を考える際は、自力で何とかしようとするだけでなく、転職エージェントやスカウトサービスを活用するのがおすすめです。

希望条件や家庭環境に合った仕事を紹介してもらえるため、働きながら無理なく転職活動を進めることができます。

ライフステージが変化してもキャリアは諦めない!

繰り返しますが、ライフステージの変化に直面しても、キャリアを諦める必要はありません。

育児や介護、ライフスタイルの変化に合わせた働き方を見つけることで、仕事と家庭の両立がしやすくなりました。

現職で柔軟な働き方を模索するのも一つの方法ですが、より自分に合った環境を求めるなら、転職も視野に入れるのも良いでしょう。

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効率的に転職活動を進められるため、仕事と家庭のバランスを取りながら、新たなキャリアの可能性を探ることができます。

給与や待遇、働き方に関する希望条件を設定できるため、自分に合った求人を見つけやすくなるのも魅力です。

ライフステージが変わっても自分らしく働き続けるために、今できる選択肢を広げていきましょう。

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監修者

梅原 和也(うめはら かずや) 氏

1987年に日系金融機関に入社後、約30年間人事・総務業に従事。その後、外資系コングロマリット企業・大手IT企業などにおいて、採用統括責任者や人事責任者などを歴任。

現在は、高等学校の非常勤講師として従事するほか、キャリアカウンセラーや組織人事コンサルタントとしても活動している。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。