具体的に何をしてくれるのか。ヘッドハンターとどう違うのか。利用することでどんなメリット・デメリットがあるのか。ぜひ詳しく知って、上手く使いこなすことで、転職成功につなげてください。
転職コンサルタントとは
転職を検討している方と採用を考えている企業の間に立って求人情報を紹介し、転職活動をサポートしていく人を転職コンサルタントと言います。
所属先は転職エージェント、人材紹介会社、人材派遣企業の人材紹介部門など。
また、企業の形態も、大手企業から中小企業、業界・職種を絞った特化型エージェント、個人企業、個人事業主まで様々です。
求職者は無料でサービスを利用できることが法律で定められている
人材紹介(有料職業紹介)事業を提供する企業は年々増加していますが、事業を始めるにあたっては国の許可が必要になります。細かな要件を満たし、所定の届け出をして認可が下りてからも、定期的な講習受講、および職業安定法に定められた運用ルールを守る必要があります。
また、職業安定法では、求職者からの手数料は原則受け取ることができないと定められていますので、求職者は無料で人材紹介サービスを利用することができます。
企業が支払う手数料は、入社時の成功報酬が基本
求人企業から受け取る手数料についても、職業安定法で細かく決められています。基本的には、入社が決定した場合に、成功報酬として決められた手数料を支払いますが、単に「入社させてしまえばいい」というものではありません。短期で離職した場合は、手数料を返金するルールを設けているケースが一般的なため、多くの事業者が入社後の定着を考えて求人を紹介しています。
ヘッドハンターとの違いは?
「転職エージェント(個人を指している場合)」と「ヘッドハンター」について、明確に定められている定義はありません。
あえて違いを挙げるなら、転職エージェントや転職コンサルタントが幅広い年収帯を主に取り扱うのに対し、ヘッドハンターは高年収帯や経営幹部層をメインとした取り扱いが多いこと。
また、ヘッドハンターの場合、転職希望者が自社に登録してくれるのを待つだけではなく、企業の人事人材にアプローチしていく候補者開拓を自ら行うケースがあります。
転職コンサルタントに関連する類似用語
キャリアコンサルタント
2016年4月に創設された国家資格。学科試験と実技試験に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録された方だけが名乗ることができます。
キャリアアドバイザー
1.転職エージェントで、求職者を担当し、キャリアのアドバイスや求人提供を行う人のこと。
2.転職エージェントで、求職者と企業の両方を担当し、企業の求める人材および労働条件の把握、キャリアのアドバイスや求人提供を行う人のこと。
3.転職コンサルタントと全く同義で使用。
リクルーティングアドバイザー
主に転職エージェントで、企業担当を指すことが多く、企業の求める人材および労働条件の把握を行います。
そのほか、キャリア○○など
各企業が独自に名乗っている名称であることが多いです。
転職コンサルタントの仕事とは
求人・求職者の募集から内定・入社までの一貫した転職支援サービスを提供していく転職コンサルタント。求職者と企業のベストマッチングを生み出していくため様々な業務を行っています。
キャリア面談、求人企業の募集内容の把握
- 求職者、求人企業の募集
- 求人企業からの求人受理
- 求人の業種、職種、社風、給与体系、労働条件等のヒアリング・理解
- (場合により)企業の代理としての求人票作成
- 求職者とのキャリア面談により、転職理由、今後の希望・志向、スキルや経験、諸条件のヒアリング
- 求職者に合う求人情報の提供・提案、質問事項への対応
応募書類・面接のアドバイス
- 職務経歴書の添削、アドバイス
- (場合により)面接対策、模擬面接の実施
- (場合により)面接への同席
転職活動の進行とサポート
- 応募意思をもらった企業への推薦
- 推薦理由やスキルが企業側の条件と完全にマッチしていない場合の企業への期待値調整
- 面接日程の調整
- 求職者の他企業への転職活動の状況把握
- 給与・勤務地・労働時間・福利厚生等の条件交渉・調整
- (場合によって)条件面談の設定
- 内定時期を揃えるため等のスケジュール調整
内定~入社時
- 選考結果の連絡
- オファーレター(内定条件通知書)の内容確認と求職者への受渡し
- 入社の確認
- 辞退時の対応
転職コンサルタントを利用するメリット
転職活動をスムーズに進めるための様々な支援サービスを無料で受けられることが最大のメリット。また、転職活動や採用に関するノウハウを持った転職コンサルタントも多く、アドバイスを受けることで自分では気づかなかった見解を得られることがあるのも魅力です。
転職活動にかかる手間を減らせる
- 日程調整や条件交渉などを転職コンサルタントが代行し、手間のかかる転職活動をサポート
- 複数社を同時応募している場合、内定時期を揃えるなどスケジューリングを考慮した調整が可能
客観的な視点で転職のアドバイスを受けられる
- キャリア面談を通して新たな可能性に気づき、自分では知らなかった企業や職種に出会えることも
- 応募書類の添削によって自己PRのポイントをブラッシュアップし、面接対策で企業の視点を知った上で転職活動に臨める
- 転職コンサルタントが企業への推薦を行い、求職者を売り込んでくれる強い味方に
非公開の求人を紹介してもらえる
- 転職サイトなどには公開していない、非公開求人を保有しているケースが多数
- 転職コンサルタントによっては、求人がなくても、スキルにマッチしたポジションを企業に打診してくれることも
転職コンサルタントを利用するデメリット
転職コンサルタントを介すことで得られるメリットもある一方で、時間的ロスや認識違いが発生するリスクも。気になる点はしっかり確認していく意識が大切です。
人を介すため、手間や認識の違いが生まれることも
- 転職コンサルタントが間に入るため企業とのやりとりに時間がかかることも
- 複数の転職コンサルタントを利用する場合、自分自身で全体の状況を把握しておくことが必要
- 企業との認識違いや確認ミスが発生するケースもあるので、不安な点は事前にしっかり確認することが大切
転職市場の相場を度外視した応募・相談は受けてもらえないことが多い
絶対に受けたいという企業があっても、スキルが合わなければ応募自体させてもらえないケースも(企業にとって転職コンサルタントは、自社に合った人材を紹介してくれることに価値があるため、合わないと判断した人を推薦することは原則行いにくいため)
転職コンサルタントを使いこなすコツ
転職コンサルタントを賢く利用できるかどうかで、転職成功の可能性は大きく変わってきます。使いこなすコツをいくつか紹介していきますので、ぜひ取り入れてみてください。
相性の良い転職コンサルタントを見つける
まずは複数名や複数企業に会い、自分に合う人・会社を探しましょう。
特に大手の転職エージェントと特定領域に特化したエージェントは、紹介する求人や強みが異なるため、両方に会ってどちらが合うか確認することが大切です。 たとえば大手エージェントは求人数が豊富なため、これまでの経験とは多少異なる業界や職種にも転身しやすいという特徴も。また、特化型エージェントは、特定領域の知見・ノウハウが豊富なため、当該領域でのステップアップのアドバイスが得られたり、企業との深いパイプの中で独自案件を持っていたりするケースも。後から絞っていけばよいので、最初は複数の転職コンサルタントを幅広く利用することをおすすめします。
転職コンサルタントも人間なので、相性もあります。
自分の人生の一部を預けられる相手なのか、しっかり見極めましょう。人生やキャリアの応援者になってもらえる転職コンサルタントと出会えるとよいですね。
遠慮せず、転職活動中のコミュニケーションは密に
自分の意向・希望・変更は、はっきり伝えましょう。
ただし、希望する条件が全て揃った完璧な求人案件は滅多にありませんので、譲れる部分・譲れない部分を柔軟に考えていくことも大切。たとえば年収の希望を「理想の年収額」と「譲れない年収額」の2つを提示することで、求人の幅が大きく広がります。
スピーディかつ積極的に意思疎通を図りましょう。
転職活動が進む中で、希望が変わっていくことはよくあること。何かを変えたい場合は、遠慮せず迅速に転職コンサルタントに伝えておくことが大切。最終段階になって突然違う話が出てくると、企業との期待値調整などが難航してしまうことも。早めに伝えてくれるだけで、もっと良い進め方ができたというケースもよくあります。
定期的に相談、情報収集を行う
転職コンサルタントの情報をうまく活用しましょう。
半年~1年という短期間で転職市場は大きく変化しますので、過去にアドバイスを受けていた場合も、状況が変わっている可能性も。転職コンサルタントを上手く活用し、定期的に相談したり、情報収集をしていくことをおすすめします。