幹部転職だからこそやって欲しい、応募先企業の3つの情報「フィーリング」チェック

皆さんは当然のことながら、いま進めている転職活動において応募先企業のホームページや関連企業情報をご覧になられているでしょう。しかし、「見た」と言っても事業・商品・サービス紹介をチェックするくらいで、せっかく企業サイトを回遊しても、転職において確認・把握・すり合わせすべき情報については案外、上の空でスルーしてしまっていることが多いようです。今回は、幹部のみなさんだからこそ、しっかり確認いただきたい応募先企業の情報確認ポイント3つに着目します。

あなたの心の琴線に触れる「フレーズ」と出逢えたか?

かつてに比べて、昨今、「ミッション(企業理念)」や「ビジョン(将来像)」、「バリュー(価値基準)」について明確に定め、発信されている企業はかなり多くなりました。特に注目の成長ベンチャーや、事業や商品・サービスに独自性を持つ既存企業などは、概ねこれらが非常にはっきりしています。

皆さんも応募先企業でこれらが紹介されているページがあればご覧になっていると思います。
さて、いま選考が進んでいる企業のミッション、ビジョン、バリューを言えますか?

……、どうでしょう?(まだ)社員ではありませんし、暗記して言える必要はありません。ただ、ここでぜひ、確認いただきたいことがあります。
ミッション、ビジョン、バリューをご覧になって、あなたは心からそれらに共鳴していますか?さらに言えば、

◎理屈を超えて、直感的、感覚的に「いいな!」と思えるメッセージやキーフレーズがありますか?

ここが大事です。本音で「とても共鳴する」「この感覚、好きだな」「まさに自分がこだわっていることと重なっている」というような気持ちを持てるものがあるか否か。ここが志望度を決めてもよいくらい、大事な部分だと私は考えています。
転職時の意思決定においても、さらには入社後、色々と困難なことに直面した際に、これがあるか否かで、頑張れるか折れるかが決まると言っても過言ではないでしょう。

いま進めている企業のミッション、ビジョン、バリューを確認し、本当に次の職場として自分の方からのめり込んでいけそうか、自分の心に問いましょう。

自社の商品・サービスを愛せるか?

次に見て頂きたいのは、事業・商品・サービス紹介のページです。
もちろん、既にご覧になられていたと思いますが、もう一度アクセスしてみていただけますか?

さあ、応募先企業の事業・商品・サービス紹介ページを見て、入社する人間としてではなく、B2C企業ならユーザーとして、B2B企業なら取引先や関係者としての目線でご覧になってみて、その会社が扱っているモノ・コトに触れ続ける自分が気持ちよくい続けられそうかどうか、自問してみていただけますでしょうか。

更にはサイトの雰囲気、関連してその企業が運営している情報サイトや発信しているネット情報などを見て、

◎サイトのデザインや構成などのテイストが、センス的に自分の好みや心地よさと合致しているでしょうか?

自社の事業や商品・サービスが、「自分が好きで愛せるものが望ましい」派と、「必ずしも自分が好きで愛せるものである必要はない。そうでないほうがよい」派と、両派いらっしゃいます。これはある面、哲学論争になるお題でそれぞれの派が持論を主張すれば、平行線をたどるしかないテーマです。

しかし、エグゼクティブサーチに長らく携わってきて、幹部各位の活躍・失敗を拝見してきた身としては、やはり自社の事業や商品・サービスを愛せなければ経営やマネジメントにコミットし切ることは難しく、成功させるための試行錯誤もアイデアも湧きにくいのが現実だと感じています。

そもそも自分のセンスやフィーリングに合わないものに囲まれて仕事をするのは、気が乗らないですよね…

その会社のコミュニティの輪に溶け込めそうか?

応募先企業の社長、経営陣のプロフィールは、皆さん、興味津々でチェックされますね。学歴、経歴、部署歴や関連メッセージ。
「なるほど、こんな出身か」「こんな組織体制なのだな」、皆さん、<会社情報>として彼らの掲載情報をご覧になられています。

ここで視点を少しだけ変えてみましょう。他に採用情報などにアクセスすると、社員紹介が掲載されている応募先も少なくないと思います。
経営陣、社員たちの情報を見て、その輪の中にいる自分がイメージできますか?彼ら彼女らと机を並べて働く可能性があるわけですが、

◎生理的にフィーリングが合いそうだと感じますか?

もちろんバストショット写真やちょっとしたコメント情報くらいでは、その人たちがどのような人たちかを詳細、正確に知ることは難しいでしょう。
しかし不思議なもので、数名以上の社員たちの顔写真があれば、そこはかとなくその人たちがいる集団の雰囲気を感じ取ることができます。

その人たちは、あなたがこれまで身を置いてきたグループや組織と同質の集団だと感じますか?あるいは全く異なるタイプの人たちだと感じますか?

平日日中顔を合わせる人たちです(例えリモートだったとしても、逆に、であればなおさら)、生理的にフィットするグループかどうかはあなたの業務生産性を数十%は左右する要因となります。
何をやるかと同じ程度に、誰とやるかは大事です。あなたからみて「気の合う仲間たち」となりうる人たちがいる会社か否か、しっかり感じてみてください。

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あえて今回、感覚的、直感的に、みなさんが応募先企業のコアな部分に対してどう感じるかを問うてみました。幹部のみなさんが気持ちよく150%、200%の力を新天地で発揮するために、こうしたセンスの部分での合致度、違和感のなさが非常に重要であることを認識いただき、その観点からも応募先企業の確認、選定を進めてみてください。

ではまた、次回!

井上和幸氏

井上和幸

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。

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